海外旅行の計画を立てる際、多くの人が頭を悩ませるのが「現地でのインターネット通信手段」ではないでしょうか。地図アプリでのナビゲーション、SNSへの投稿、レストランの検索、翻訳アプリの利用など、今やスマートフォンとインターネットは海外旅行に欠かせないツールです。しかし、国内と同じように使ってしまうと、高額な通信料(いわゆる「パケ死」)が発生するリスクもあります。
そこで注目されているのが、海外旅行用のSIMカードやeSIMです。これらを活用すれば、高額な国際ローミング料金を気にすることなく、現地で快適にインターネットを利用できます。しかし、SIMカードには物理的なカードを差し替えるタイプと、スマホ本体に内蔵されたeSIMをオンラインで設定するタイプがあり、どちらを選べば良いのか迷う方も多いでしょう。また、従来からある海外用Wi-Fiルーターも依然として有力な選択肢です。
この記事では、海外旅行先でインターネットを利用するための主要な方法である「SIMカード」「eSIM」「Wi-Fiルーター」「国際ローミング」の4つを徹底比較します。それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説し、どのような人にどの方法が向いているのかを明らかにします。さらに、数ある海外用SIMカードの中から、2024年最新のおすすめサービスを10種類厳選してご紹介。選び方のポイントから購入場所、設定方法、利用時の注意点まで、海外でのインターネット利用に関するあらゆる疑問に答えます。
この記事を読めば、あなたの旅行スタイルや予算、利用するスマートフォンの機種に最適な通信手段が必ず見つかります。快適で安心な海外旅行を実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
海外旅行でインターネットを使う4つの方法
海外旅行中にスマートフォンでインターネットを利用するには、主に4つの方法があります。それぞれに特徴があり、料金体系や利便性、設定の手間などが異なります。まずは、それぞれの方法の概要を理解し、自分に合った選択肢を見つけるための基礎知識を身につけましょう。
海外用SIMカード(物理SIM)
海外用SIMカード(物理SIM)は、現在お使いのスマートフォンに入っているSIMカードを、渡航先で利用できるSIMカードに差し替えて通信する方法です。SIMカードとは、スマートフォンで通話やデータ通信を行うために必要な小型のICチップのことで、契約者情報が記録されています。
海外用のSIMカードは、特定の国や地域(ヨーロッパ周遊、アジア周遊など)で利用できるデータ通信プランがあらかじめパッケージ化されており、日本国内のオンラインストアや空港、または渡航先の空港や市街地の店舗などで購入できます。
この方法の最大のメリットは、比較的安価に大容量のデータ通信が利用できる点です。Wi-Fiルーターのように別途機器を持ち運ぶ必要がなく、スマートフォンだけで完結するため、荷物を増やしたくない個人旅行者に特に人気があります。ただし、スマートフォンのSIMカードを物理的に入れ替える手間がかかり、元のSIMカードを紛失しないよう管理する必要があります。また、利用するスマートフォンが「SIMフリー」または「SIMロック解除済み」でなければならないという前提条件があります。SIMロックがかかっている端末では、他社のSIMカードを認識できないため、この方法は利用できません。
eSIM
eSIM(イーシム)は「Embedded SIM」の略で、スマートフォン本体にあらかじめ埋め込まれているデジタルなSIMを指します。物理的なカードの抜き差しが不要で、オンラインで通信プランを契約し、送られてくるQRコードをスマートフォンで読み込むなどの簡単な設定だけで、渡航先の通信回線に接続できます。
eSIMの最大のメリットは、その手軽さとスピード感です。日本にいるうちにオンラインで購入・設定を完了させておけば、渡航先の空港に到着した瞬間からインターネットに接続できます。物理的なSIMカードの配送を待つ必要も、空港のカウンターに並んで購入する必要もありません。また、SIMカードスロットを塞がないため、日本のSIMカード(物理SIM)を入れたまま、海外用のeSIMを追加して利用する「デュアルSIM」運用が可能です。これにより、日本の電話番号での着信を受けつつ、データ通信は安価な海外eSIMで行う、といった柔軟な使い方ができます。
一方で、デメリットとしては、eSIMに対応しているスマートフォンの機種が比較的新しいモデルに限られる点が挙げられます。iPhoneであればXS/XR以降、Androidも比較的高価格帯のモデルが中心です。また、設定はオンラインで完結しますが、QRコードの読み込みなど、スマートフォンの操作に不慣れな方にとっては少し難しく感じられるかもしれません。
海外用Wi-Fiルーター
海外用Wi-Fiルーターは、手のひらサイズの通信機器をレンタルし、そのルーターを介してスマートフォンやPCなどをインターネットに接続する方法です。渡航前にオンラインで予約し、日本の空港や宅配でルーターを受け取り、帰国後に返却するのが一般的な流れです。
この方法の大きなメリットは、1台のルーターで複数のデバイスを同時にインターネットに接続できる点です。家族や友人とのグループ旅行で、それぞれのスマートフォンやタブレット、PCを接続したい場合に非常に便利です。また、スマートフォンの設定を変更する必要がほとんどなく、Wi-Fiのパスワードを入力するだけで利用できるため、初心者でも簡単に扱えます。
デメリットとしては、常にルーター本体を持ち運ばなければならないこと、そしてルーターの充電を気にする必要があることが挙げられます。ルーターのバッテリーが切れてしまうと、全てのデバイスがインターネットに接続できなくなります。また、単独で行動する際には、ルーターを持ち歩くのが荷物になり、少し不便に感じるかもしれません。料金面では、複数人で利用すれば割安になりますが、一人で利用する場合はSIMカードやeSIMに比べて割高になる傾向があります。
国際ローミング
国際ローミングは、現在日本で契約している通信キャリアのSIMカードをそのまま海外で利用して通信する方法です。特別な申し込みや設定が不要で、スマートフォンの「データローミング」設定をオンにするだけで、提携している現地の通信事業者の電波を掴んでインターネットに接続できます。
この方法の最大のメリットは、圧倒的な手軽さです。SIMカードの交換も、Wi-Fiルーターのレンタルも不要で、普段使っているスマートフォンをそのまま海外に持っていくだけで利用できます。電話番号も変わらないため、日本からの重要な電話やSMSを逃すこともありません。
しかし、最大のデメリットは料金が高額になりがちな点です。かつては1日あたり数千円の通信料がかかるのが当たり前で、「パケ死」の主な原因となっていました。最近では、大手キャリアが1日あたり約1,000円程度の定額プランを提供していますが、数日間の滞在になると、SIMカードやeSIMを利用するよりも総額が高くなるケースがほとんどです。ahamoや楽天モバイルのように、追加料金なし、または非常に安価に国際ローミングが利用できるプランも登場していますが、多くのユーザーにとっては、緊急時や短期滞在(1〜2日程度)向けの選択肢と言えるでしょう。
これら4つの方法は、それぞれに一長一短があります。 次の章では、これらの違いをより分かりやすく比較し、あなたがどのタイプに当てはまるかを見ていきましょう。
SIMカード・eSIM・Wi-Fiルーターの違いを一覧で比較
海外でインターネットを利用する主要な3つの方法、「SIMカード(物理SIM)」「eSIM」「海外用Wi-Fiルーター」について、それぞれの特徴をより深く理解するために、項目別に比較してみましょう。国際ローミングは利便性が高いものの、多くの場合でコストが高くなるため、ここではコストパフォーマンスに優れた3つの選択肢に絞って比較します。
以下の比較表で、あなたにとってどの要素が重要かを確認しながら、最適な通信手段を見つける手助けにしてください。
比較項目 | SIMカード(物理SIM) | eSIM | 海外用Wi-Fiルーター |
---|---|---|---|
手軽さ(準備) | △(SIMの入れ替えが必要) | ◎(オンラインで完結) | ○(空港での受取・返却が必要) |
手軽さ(利用中) | ◎(スマホのみで完結) | ◎(スマホのみで完結) | △(ルーターの持ち運び・充電が必要) |
料金 | ◎(比較的安価) | ◎(比較的安価) | △(1人利用だと割高な傾向) |
複数人・複数台での利用 | △(テザリングは可能だが電池消費大) | △(テザリングは可能だが電池消費大) | ◎(複数台同時接続が前提) |
対応機種 | ◎(SIMフリーならほぼ全ての機種) | △(比較的新しい機種に限定) | ◎(Wi-Fi対応なら全機種OK) |
設定の難易度 | △(APN設定が必要な場合がある) | △(QRコード読込など初期設定が必要) | ◎(パスワード入力のみで簡単) |
紛失・破損リスク | ○(SIMカード本体を紛失する可能性) | ◎(物理的な紛失リスクなし) | △(ルーター本体の紛失・破損リスク) |
利用開始までの時間 | △(SIMカードの到着を待つ必要) | ◎(購入後すぐに利用可能) | ○(予約・受取の時間が必要) |
日本の電話番号の利用 | △(SIMを抜くため着信不可) | ○(デュアルSIMで着信可能) | ◎(スマホの設定は変更しないため可能) |
この表から分かるように、それぞれの方法には明確なメリットとデメリットが存在します。
SIMカード(物理SIM)は、コストを最優先し、かつSIMフリーのスマートフォンを持っている方にとって非常に魅力的な選択肢です。特に、スマートフォンの設定にある程度慣れており、SIMカードの入れ替え作業に抵抗がない方であれば、最も経済的に海外での通信環境を整えられます。
eSIMは、利便性とスピードを重視する方、新しいテクノロジーに抵抗がない方に最適です。出発直前でも購入でき、物理的なモノの管理から解放される点は大きなアドバンテージです。日本の電話番号での着信も逃したくないビジネスパーソンや、荷物を少しでも減らしたいミニマリストな旅行者にもおすすめです。ただし、対応機種が限られるため、ご自身のスマートフォンがeSIMに対応しているかどうかの事前確認が必須です。
海外用Wi-Fiルーターは、設定の簡単さと複数人での利用を最優先する方にとって、依然として最も優れた選択肢です。家族旅行や友人とのグループ旅行で、みんなでインターネットを共有したい場合には、コストパフォーマンスが最も高くなります。スマートフォンの設定に不安がある方や、PCやタブレットなど複数のデバイスを安定して接続したい場合にも安心して利用できます。
結論として、どの方法が一番優れているということはなく、あなたの旅行スタイル、予算、持っているデバイスによって最適な選択は変わります。 個人旅行でコストを抑えたいならSIMカード、手軽さとスマートさを求めるならeSIM、グループ旅行や設定に不安があるならWi-Fiルーター、というように、それぞれの特徴を理解し、自分のニーズに最も合ったものを選ぶことが重要です。
SIMカード(物理SIM)とは
SIMカード(物理SIM)は、海外でインターネットを利用するための、古くからある信頼性の高い方法です。ここでは、その基本的な仕組みから、具体的なメリット・デメリットまでを深掘りして解説します。
SIMカードとは、Subscriber Identity Moduleの略で、契約者情報を記録したICチップです。このチップをスマートフォンに挿入することで、通信キャリアのネットワークに接続し、通話やデータ通信が可能になります。通常、日本国内でスマートフォンを契約すると、そのキャリアのSIMカードが挿入されています。
海外用SIMカードは、これと同じ仕組みを利用します。渡航先の国や地域で利用できる通信プランがプリセットされたSIMカードを購入し、日本で使っているSIMカードと入れ替えることで、現地の通信ネットワークを利用できるようになります。これにより、高額な国際ローミング料金を支払うことなく、現地価格に近い料金でデータ通信が可能になるのです。
SIMカードのメリット
物理SIMカードを選ぶことには、多くのメリットがあります。特に、コスト意識の高い旅行者や、特定のニーズを持つユーザーにとって、依然として強力な選択肢であり続けています。
① 圧倒的なコストパフォーマンス
最大のメリットは、料金の安さです。eSIMやWi-Fiルーターと比較しても、同程度のデータ容量であれば、物理SIMカードの方が安価なプランを見つけやすい傾向があります。特に、アジア圏など物価の安い国では、現地でSIMカードを購入することで、驚くほど安価に大容量のデータ通信を利用できる場合があります。長期滞在やデータ通信を多用する予定がある場合、このコストメリットは非常に大きくなります。
② 対応機種の豊富さ
eSIMが比較的新しい機種にしか対応していないのに対し、物理SIMカードは、SIMカードスロットさえあれば、ほとんどのスマートフォンで利用可能です。数年前に購入したモデルや、比較的安価なAndroidスマートフォンでも、「SIMフリー」または「SIMロック解除済み」であれば問題なく使えます。自分のスマートフォンがeSIMに対応しているか心配な方や、古い機種を海外用として利用したい方にとっては、非常に安心できる選択肢です。
③ 選択肢の多さと入手のしやすさ
物理SIMカードは、非常に多くの事業者から多種多様なプランが販売されています。Amazonや楽天市場などのオンラインストアで事前購入できるのはもちろん、日本の主要空港のカウンターでも購入可能です。さらに、渡航先の空港や市街地のコンビニ、通信キャリアの店舗など、現地での入手手段も豊富です。万が一、日本で買い忘れても、現地に到着後すぐに購入できる安心感があります。プランも、データ通信専用のものから、音声通話やSMS付きのものまで、ニーズに合わせて細かく選べます。
④ 分かりやすい利用形態
物理的な「モノ」としてSIMカードが存在するため、仕組みが直感的で分かりやすいと感じる人も多いでしょう。オンラインでの複雑な設定やQRコードの読み取りといったプロセスがなく、「カードを入れ替えるだけ」というシンプルな手順は、デジタル機器の操作に不慣れな方にとっては安心材料になります。
SIMカードのデメリット
多くのメリットがある一方で、物理SIMカードにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。これらを理解しておくことで、利用時のトラブルを避けることができます。
① SIMカードの入れ替えと設定の手間
最も手間と感じられるのが、物理的なSIMカードの入れ替え作業です。スマートフォンの側面にある小さな穴にSIMピンを差し込み、SIMトレイを引き出してカードを交換する必要があります。この作業は細かい作業が苦手な人にとっては少し面倒かもしれません。また、交換後にAPN(Access Point Name)設定という、インターネットに接続するためのネットワーク設定を手動で行わなければならない場合があります。多くの場合は自動で設定されますが、もし接続できない場合は、説明書を見ながら自分で設定情報を入力する必要があります。
② 日本のSIMカードの紛失リスク
SIMカードを入れ替えるということは、元々使っていた日本のSIMカードを取り外して保管しておく必要があるということです。SIMカードは非常に小さいため、旅行中に紛失してしまうリスクが常に伴います。万が一紛失してしまうと、帰国後に再発行手続きが必要になり、手間と費用がかかります。専用のケースに入れるなど、厳重な管理が求められます。
③ 日本の電話番号が利用できなくなる
日本のSIMカードを抜いてしまうため、海外滞在中は日本の電話番号での音声通話の発着信や、SMSの送受信ができなくなります。LINE通話などのIP電話はデータ通信経由で利用できますが、銀行の二段階認証などでSMSが必要になる場合、受信できずに困ることがあります。この点は、eSIMのデュアルSIM運用と比較した場合の大きなデメリットと言えるでしょう。
④ 購入・受け取りに時間がかかる
オンラインで注文した場合、SIMカードが物理的に手元に届くまでには数日間の配送時間が必要です。出発直前に準備を始める場合には間に合わない可能性があります。空港で購入する場合は、カウンターの営業時間内に立ち寄る必要があり、混雑していると時間がかかることもあります。eSIMのように「購入後即時利用開始」とはいかない点は、計画的に準備を進める必要があることを意味します。
これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、物理SIMカードが自分の旅行スタイルに合っているかを検討することが重要です。
eSIMとは
eSIM(イーシム)は、近年急速に普及している新しいタイプのSIMです。物理的なカードではなく、スマートフォン本体に組み込まれた電子的なSIMであり、海外旅行におけるインターネット利用のあり方を大きく変える可能性を秘めています。ここでは、eSIMの基本的な概念から、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
eSIMの「e」は「Embedded(埋め込まれた)」を意味します。その名の通り、工場出荷の段階でスマートフォン本体の基板に直接埋め込まれているため、ユーザーが物理的に抜き差しする必要がありません。通信に必要なプロファイル(契約者情報など)は、オンライン経由でダウンロードし、eSIMに書き込むことで利用可能になります。
海外旅行でeSIMを利用する場合、HolaflyやAiraloといったeSIM提供サービスのウェブサイトやアプリから、渡航先と希望するデータプランを選んで購入します。購入後、登録したメールアドレスにQRコードが送られてくるので、それをスマートフォンのカメラで読み取り、いくつかの設定手順を踏むだけで、渡航先の通信回線が利用できるようになります。
eSIMのメリット
eSIMが多くの旅行者に支持される理由は、物理SIMにはない数多くのメリットにあります。特に、利便性やスマートさを求める現代の旅行スタイルに非常にマッチしています。
① オンラインで完結する手軽さと即時性
最大のメリットは、購入から利用開始までの全プロセスがオンラインで完結することです。物理的なSIMカードのように配送を待つ必要も、店舗や空港カウンターに足を運ぶ必要もありません。旅行の計画中はもちろん、出発当日の空港や、すでに渡航先に到着した後でも、Wi-Fi環境さえあればいつでもどこでも購入し、即座に利用を開始できます。このスピード感と手軽さは、eSIMならではの大きな魅力です。
② 物理SIMの紛失・破損リスクがない
eSIMはスマートフォン本体に組み込まれているため、物理的なSIMカードのように紛失したり、破損したりする心配が一切ありません。海外旅行中、慣れない環境で小さなSIMカードを管理するストレスから解放されます。特に、複数の国を周遊する際に、国ごとにSIMカードを入れ替えるような手間や紛失リスクを考えなくてよいのは、精神的にも非常に楽です。
③ デュアルSIM運用による柔軟な使い方
多くのeSIM対応スマートフォンでは、物理SIMとeSIMを同時に有効にする「デュアルSIM」機能が利用できます。これにより、普段日本で使っている物理SIMを挿したまま、海外用の通信プランとしてeSIMを追加できます。この使い方のメリットは絶大で、データ通信は安価な海外eSIMを使いながら、日本の電話番号での音声通話やSMSの着信を維持できるのです。これにより、緊急の連絡やSMS認証が必要な場面にも対応でき、利便性が飛躍的に向上します。
④ 環境に優しい
物理的なSIMカードはプラスチックと金属でできており、その製造や輸送、廃棄には環境負荷がかかります。eSIMはデジタルな存在であるため、プラスチックごみを出さず、輸送に伴う二酸化炭素排出もありません。サステナブルな選択をしたいと考えるユーザーにとって、これも一つのメリットと言えるでしょう。
eSIMのデメリット
多くのメリットを持つeSIMですが、まだ発展途上の技術であるため、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
① 対応機種が限られる
現時点での最大のデメリットは、eSIMに対応しているスマートフォンの機種がまだ限られていることです。Apple製品ではiPhone XS/XR以降のモデル、Google PixelではPixel 4以降のモデルなどが対応していますが、Androidスマートフォン全体で見ると、まだハイエンドモデルが中心です。数年前に購入したモデルや、エントリー〜ミドルレンジのモデルではeSIMが使えない場合があります。購入前に、自分のスマートフォンがeSIMに対応しているか、またSIMフリー(またはSIMロック解除済み)であるかを必ず確認する必要があります。
② 初期設定に慣れが必要
eSIMの設定は、QRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードするという、物理SIMとは異なる手順を踏みます。スマートフォンの設定メニューを操作する必要があるため、デジタル機器の操作に不慣れな方にとっては、少し難しく感じられる可能性があります。多くのサービスでは詳しい設定ガイドが用意されていますが、Wi-Fi環境下で落ち着いて設定する時間が必要です。また、QRコードを表示するための別のデバイス(PCやタブレットなど)があると設定がスムーズですが、ない場合は手動で情報を入力する必要があり、さらに手間がかかります。
③ 一度インストールしたeSIMは他の端末に移せない
物理SIMカードは、スマートフォンを買い替えても、SIMカードを差し替えれば同じ契約を引き続き利用できます。しかし、eSIMは一度特定の端末にインストール(プロファイルをダウンロード)すると、原則としてその端末専用となり、他のスマートフォンに移動させることができません。旅行中にスマートフォンが故障してしまった場合など、代替機で同じeSIMを再利用することは基本的にできないため、注意が必要です。
④ 現地でのトラブル対応が難しい場合がある
物理SIMであれば、現地のキャリアショップに持ち込んで相談することも可能ですが、eSIMの場合はそれができません。設定がうまくいかない、通信ができないといったトラブルが発生した場合、サポートは基本的にオンライン(チャットやメール)での対応となります。時差や言語の問題もあり、すぐに解決できない可能性も考慮しておく必要があります。
eSIMは非常に便利で強力なツールですが、これらのデメリットも理解した上で、自分のスキルや持っているデバイスに合わせて選択することが賢明です。
あなたに合うのはどれ?タイプ別おすすめの通信手段
これまで見てきたように、「SIMカード(物理SIM)」「eSIM」「Wi-Fiルーター」には、それぞれ異なる特徴があります。結局のところ、自分にはどれが一番合っているのか、迷ってしまう方も多いでしょう。そこで、ここではあなたの旅行スタイルや性格、状況に応じた最適な通信手段をタイプ別に提案します。
SIMカード(物理SIM)がおすすめな人
物理SIMカードは、確実性とコストを重視する、地に足のついたタイプの旅行者におすすめです。以下のような方に最適です。
- とにかく旅行費用を安く抑えたい人
コストパフォーマンスを最優先するなら、物理SIMが第一候補になります。特に、複数のサービスやプランをじっくり比較検討して、1円でも安く抑えたいという方には最適です。現地で購入すればさらに安くなる可能性もあり、節約志向のバックパッカーや長期滞在者には根強い人気があります。 - eSIM非対応のスマートフォンを使っている人
お使いのスマートフォンがeSIMに対応していない場合、選択肢は物理SIMかWi-Fiルーターになります。その中で、個人の利用で、かつ荷物を増やしたくないのであれば、物理SIMが最も合理的な選択です。数年前のモデルでもSIMフリーであれば問題なく利用できる対応機種の広さは、物理SIMの大きな強みです。 - スマートフォンの設定にある程度慣れている人
SIMカードの入れ替えや、万が一の場合のAPN設定など、多少のスマホ操作を苦にしない方であれば、物理SIMのデメリットはほとんど気にならないでしょう。むしろ、自分の手で設定を完了させることに達成感を感じるタイプの方にも向いています。 - 渡航中に日本の電話番号への着信が不要な人
旅行中は仕事の電話から解放されたい、緊急の連絡はLINE電話などで十分、と考えている方にとっては、日本のSIMを抜くことによるデメリットは存在しません。デジタルデトックスを兼ねた旅行をしたい方にもおすすめです。
eSIMがおすすめな人
eSIMは、スマートさと効率を求める、新しいもの好きの旅行者にぴったりの選択肢です。以下のような方に強くおすすめします。
- 出発直前まで準備で忙しい、または準備を忘れがちな人
オンラインでいつでもどこでも購入・設定できるeSIMは、多忙なビジネスパーソンや、つい準備を後回しにしてしまうタイプの方の救世主です。空港に向かう電車の中や、出国手続きの待ち時間でも準備が完了します。物理的な受け取りが不要なため、「買い忘れた!」という心配もありません。 - 荷物を最小限にしたいミニマリストな人
Wi-Fiルーターはもちろん、予備のSIMカードやSIMピンといった細々とした物さえ持ち歩きたくない、という方にはeSIMが最適です。スマートフォン一つで全てが完結するスマートさは、身軽な旅を好む人にとって何物にも代えがたい魅力です。 - 渡航中も日本の電話番号で着信を受けたい人
デュアルSIM運用ができることはeSIMの最大の強みの一つです。海外にいても、家族からの緊急連絡や、職場からの重要な電話を逃したくない方、またSMS認証が必要なサービスを海外でも利用したい方にとって、eSIMはほぼ唯一の合理的な選択肢と言えるでしょう。 - 複数の国を周遊する予定がある人
ヨーロッパや東南アジアなど、短期間で複数の国を訪れる旅行では、国境を越えるたびにSIMカードを入れ替えるのは非常に面倒です。eSIMであれば、周遊プランを一つ購入しておけば、対応国に入ると自動的に現地のネットワークに接続してくれます。物理的な手間なく、シームレスな通信環境を維持できます。
Wi-Fiルーターがおすすめな人
Wi-Fiルーターは、安心感と共有を重視する、誰とでも楽しめるタイプの旅行者に適しています。以下に当てはまる方は、Wi-Fiルーターを検討するのが良いでしょう。
- 家族や友人とグループで旅行する人
1台で複数人が同時にインターネットを利用できるWi-Fiルーターは、グループ旅行でこそ真価を発揮します。費用を人数で割れば、一人あたりのコストをかなり抑えることができます。みんなで同じWi-Fiに接続すれば、はぐれた時の連絡や、レストラン情報の共有もスムーズです。 - スマートフォンの設定に自信がない、または面倒だと感じる人
SIMカードの入れ替えやAPN設定、QRコードの読み込みといった作業に不安を感じる方にとって、Wi-Fiルーターは最も簡単な選択肢です。電源を入れて、スマートフォン側でWi-Fiのパスワードを入力するだけで、すぐにインターネットに接続できます。難しい設定は一切不要という安心感は、特にデジタル機器が苦手な方にとっては大きなメリットです。 - スマートフォン以外のデバイス(PC、タブレットなど)も利用したい人
旅行中にノートPCで仕事をしたり、タブレットで動画を見たりと、複数のデバイスをインターネットに接続したい場合、Wi-Fiルーターが便利です。スマートフォンのテザリングでも可能ですが、バッテリー消費が激しくなります。専用のルーターがあれば、スマートフォンのバッテリーを気にすることなく、安定した通信が可能です。 - 会社の経費で通信費を精算する必要がある人
出張などで通信費を会社に請求する場合、レンタルWi-Fiルーターは領収書の発行が明確で、経費精算しやすいというメリットがあります。
このように、それぞれの通信手段には得意なシチュエーションがあります。ご自身の旅行メンバー、ITリテラシー、持っている機材、そして何を最も重視するかを考え合わせることで、後悔のない選択ができるはずです。
海外旅行用SIMカードの選び方7つのポイント
海外旅行用のSIMカード(物理SIM・eSIMを含む)を選ぼうとしても、あまりに多くの選択肢があるため、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえることで、自分の旅行計画にぴったりの一枚を簡単に見つけ出すことができます。ここでは、後悔しないSIMカード選びのための7つのチェックポイントを解説します。
① 物理SIMかeSIMかで選ぶ
まず最初に決めるべきは、物理的なSIMカードにするか、デジタルなeSIMにするかです。これは、前章「あなたに合うのはどれ?タイプ別おすすめの通信手段」で解説した内容と密接に関連します。
- ご自身のスマートフォンがeSIMに対応しているかを必ず確認しましょう。対応していなければ、選択肢は物理SIM一択です。
- 利便性や即時性、日本の電話番号での着信維持を重視するならeSIMがおすすめです。
- コストを最優先する、またはeSIM非対応機種を使っている場合は物理SIMを選びましょう。
この最初の選択によって、探すべきサービスの範囲が大きく絞り込まれます。
② 渡航先に対応しているか確認する
当たり前のことですが、購入しようとしているSIMカードが、あなたの渡航先で利用できるかを必ず確認してください。一つの国だけでなく、複数の国を周遊する場合は特に注意が必要です。
- 単一国プラン: アメリカ専用、韓国専用など、一つの国でしか利用できないプラン。滞在国が決まっている場合に最適です。
- 周遊プラン: 「ヨーロッパ周遊」「アジア周遊」など、特定のエリア内の複数の国で利用できるプラン。国境を越えても同じSIMを使い続けられるため、非常に便利です。
- グローバルプラン: 100カ国以上など、世界中の多くの国で利用できるプラン。世界一周旅行や、渡航先が広範囲に及ぶ場合に適していますが、単一国プランよりは割高になる傾向があります。
購入前に、公式サイトなどで対応国リストを詳細に確認し、自分の旅程が完全にカバーされていることを確かめましょう。乗り継ぎ(トランジット)で数時間滞在する空港がある場合、その国も対応しているかチェックしておくと安心です。
③ 必要なデータ容量で選ぶ
データ容量は、料金に直結する重要な要素です。自分の使い方に合わない容量を選んでしまうと、データが足りなくなって追加購入する羽目になったり、逆に余らせて無駄な出費になったりします。
【データ使用量の目安(1GBあたり)】
- Webサイト閲覧: 約3,000〜4,000ページ
- 地図アプリ(Googleマップなど): 約10〜15時間
- LINEトーク: 約50万回
- LINE音声通話: 約55時間
- 動画視聴(標準画質): 約1.5〜2時間
海外旅行では、地図アプリやWeb検索が主な用途になるでしょう。SNSで写真や短い動画をアップロードすることも考慮すると、1日あたり500MB〜1GBあれば、多くの場合で十分です。ホテルやカフェの無料Wi-Fiを併用すれば、さらにデータ量を節約できます。
- ライトユーザー(主に地図と検索): 5GB / 7日間 程度
- ミドルユーザー(SNSも頻繁に利用): 10GB / 7日間 程度
- ヘビーユーザー(動画視聴やテザリング多用): 20GB以上、またはデータ無制限プラン
最近では、データ通信量が無制限のプランも人気です。Holaflyのように、多くの国でデータ無制限プランを提供しているサービスもあります。容量を気にせずストレスフリーで使いたい方は、無制限プランを検討するのも良いでしょう。
④ 滞在日数に合った利用期間で選ぶ
SIMカードには、それぞれ有効期間が設定されています。「開通後〇日間」や「〇月〇日まで」といった形式で定められており、この期間を過ぎると利用できなくなります。
ご自身の滞在日数(日本出発から帰国まで)をカバーできる利用期間のプランを選びましょう。例えば、7泊8日の旅行であれば、8日間以上のプランが必要です。「5日間プラン」や「7日間プラン」では、最終日に使えなくなってしまう可能性があります。少し余裕を持たせて、滞在日数より少し長めのプランを選ぶと安心です。
⑤ 音声通話やSMSが必要か確認する
多くの海外用プリペイドSIMはデータ通信専用です。LINE通話などのIP電話は利用できますが、現地の電話番号での発信や着信はできません。
- 現地のレストランやホテルの予約で電話をかける必要があるか?
- 現地のツアー会社などとSMSで連絡を取る可能性があるか?
もしこれらの可能性がある場合は、音声通話やSMS機能が付いたプランを選ぶ必要があります。一部のサービスでは、データ通信専用プランに加えて、通話付きプランも提供されています。また、現地の電話番号が付与されるタイプと、国際電話として発信するタイプがあるので、仕様をよく確認しましょう。ただし、ほとんどの旅行者にとっては、データ通信専用プランで十分な場合が多いです。
⑥ テザリング機能が使えるか確認する
テザリングとは、スマートフォンをモバイルWi-Fiルーターのように使い、PCやタブレット、同行者のスマートフォンなどをインターネットに接続する機能です。
全てのSIMカードやプランがテザリングに対応しているわけではないため、この機能を使いたい場合は必ず事前に確認が必要です。特に、データ無制限プランの場合、テザリングには非対応であったり、テザリングで利用できるデータ量に上限(例:5GBまで)が設けられていたりすることがあります。公式サイトのプラン詳細やFAQで、「テザリング(Tethering)」「ホットスポット(Hotspot)」に関する記載を確認しましょう。
⑦ 料金が予算に合っているかで選ぶ
最後に、もちろん料金も重要です。これまで挙げた①〜⑥のポイントを満たすプランの中から、最もコストパフォーマンスの良いものを選びましょう。
ただし、単純な価格の安さだけで選ぶのは危険です。サポート体制が整っているか、利用者のレビューや評判は良いか、といった点も考慮に入れると、より安心して利用できるサービスを選ぶことができます。1日あたりの料金に換算して比較したり、必要なデータ容量あたりの単価を計算してみたりすると、プランごとのお得度が分かりやすくなります。
これらの7つのポイントを一つずつチェックしていけば、数ある選択肢の中から、あなたの海外旅行を快適にする最適なSIMカードがきっと見つかるはずです。
海外旅行SIMカードおすすめ比較10選
ここでは、2024年時点でおすすめの海外旅行用SIMカード・eSIMサービスを10種類、厳選してご紹介します。各サービスの特徴、料金、対応エリアなどを比較し、あなたのニーズに合ったものを見つける手助けをします。料金やプランは変動する可能性があるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
① Holafly (オラフライ)
特徴: 多くの渡航先でデータ通信無制限プランを提供しているeSIM専門サービスです。データ容量を気にせず、地図アプリ、動画視聴、SNSなどを思う存分楽しみたい方に最適。設定も簡単で、サポート体制も充実しているため、eSIM初心者にも人気があります。一部プランでは通話機能も利用可能です。
- 通信方式: eSIM
- おすすめポイント: データ無制限プランの豊富さ、24時間対応の日本語チャットサポート
- 料金例(アメリカ): 5日間 2,900円(無制限)、10日間 4,900円(無制限)
- 注意点: データ無制限プランでは基本的にテザリングが利用できません。
- 参照: Holafly公式サイト
② Airalo (エアラロ)
特徴: 世界200以上の国と地域に対応する、世界最大級のeSIMストアです。1GB程度の少量プランから用意されており、料金も比較的安価なため、短期間の滞在やデータ使用量が少ない方、コストを抑えたい方におすすめ。アプリの使いやすさにも定評があります。
- 通信方式: eSIM
- おすすめポイント: 対応国の多さ、少量・低価格プランの豊富さ、使いやすい専用アプリ
- 料金例(韓国): 7日間 1GB 約5ドル、10日間 3GB 約8.5ドル
- 注意点: データ専用プランがほとんどで、日本語サポートは限定的です。
- 参照: Airalo公式サイト
③ World eSIM (ワールドeSIM)
特徴: NTTドコモが提供するeSIMサービスで、日本の大手キャリアが運営している安心感が魅力です。ドコモユーザーでなくても誰でも購入可能。ahamoとは異なり、プリペイド式の買い切りプランなので、使いすぎる心配がありません。日本国内で事前に購入・設定を済ませておける手軽さが特徴です。
- 通信方式: eSIM
- おすすめポイント: ドコモ提供の安心感、日本で事前準備が完結
- 料金例(ヨーロッパ周遊): 8日間 1GB 1,180円、30日間 5GB 3,880円
- 注意点: 比較的新しいサービスであり、他の専門サービスに比べるとプランの選択肢が少ない場合があります。
- 参照: NTTドコモ World eSIM公式サイト
④ ahamo (アハモ)
特徴: NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」は、追加料金なしで海外91の国・地域でデータ通信が利用可能です。月間のデータ容量20GBまでなら、日本にいる時と同じように使えます。頻繁に海外に行く方や、留学・長期出張などで滞在が長くなる方にとっては、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
- 通信方式: 契約SIM(物理/eSIM)による国際ローミング
- おすすめポイント: 追加料金・追加申込不要、20GBまで利用可能、日本にいる時と同じ感覚で使える
- 料金: 月額2,970円(ahamoの基本料金)
- 注意点: 海外で最初にデータ通信した日(日本時間)を含めて15日経過すると、通信速度が最大128kbpsに制限されます。日本に帰国してデータ通信を行うとリセットされます。
- 参照: ahamo公式サイト
⑤ 楽天モバイル
特徴: 楽天モバイルも、海外指定70の国と地域で、毎月2GBまで無料でデータ通信が利用可能です。2GBを超過した場合も、1GBあたり500円でチャージできるため、非常にリーズナブル。短期間の旅行で、主に地図や検索で利用する程度のライトユーザーに最適です。
- 通信方式: 契約SIM(物理/eSIM)による国際ローミング
- おすすめポイント: 毎月2GBまで無料、超過後も安価にチャージ可能
- 料金: 楽天モバイルの基本料金(使った分だけ最大3,278円/月)+超過分チャージ料金
- 注意点: 無料分は2GBと少なめ。パートナー回線エリアでの利用となります。
- 参照: 楽天モバイル公式サイト
⑥ Ubigi (ユビジ)
特徴: フランスの通信会社Transatelが提供するeSIMサービス。世界200以上の国と地域に対応し、特にヨーロッパ向けのプランが充実しています。一度アプリをインストールすれば、世界中で必要な時に必要な分だけプランをチャージして利用できる手軽さが魅力。ビジネスでの利用実績も豊富です。
- 通信方式: eSIM
- おすすめポイント: 豊富な周遊プラン、グローバルな対応力、リピート利用のしやすさ
- 料金例(アジア): 30日間 3GB 1,500円
- 注意点: 日本語のサポートが限定的な場合があります。
- 参照: Ubigi公式サイト
⑦ truphone (トゥルーフォン)
特徴: イギリスに本拠を置くグローバルな通信事業者。AppleやGoogleと公式にパートナーシップを結んでおり、技術的な信頼性が高いeSIMサービスです。世界113カ国で利用できるグローバルプランが特徴で、複数の国を頻繁に訪れるビジネスパーソンなどに支持されています。
- 通信方式: eSIM
- おすすめポイント: 技術的な信頼性、シンプルなグローバルプラン
- 料金例(グローバルプラン): 30日間 5GB 約15ドル
- 注意点: 単一国プランは他のサービスに比べて割高になることがあります。
- 参照: truphone公式サイト
⑧ Three (スリー)
特徴: イギリスの大手通信キャリア「Three」が提供するプリペイドSIMカード。「Go Roam」というサービスにより、ヨーロッパ各国やアメリカ、オーストラリアなど71の国と地域で追加料金なしで利用できるのが最大の魅力です。Amazonなどで物理SIMカードとして購入でき、大容量プランが比較的安価です。
- 通信方式: 物理SIM
- おすすめポイント: ヨーロッパ周遊に強い、大容量プランのコストパフォーマンス
- 料金例: 30日間 10GB 約1,500円前後(Amazonでの販売価格による)
- 注意点: 物理SIMのため、SIMフリー端末と入れ替え作業が必要です。イギリス国内でのアクティベーション(利用開始手続き)が推奨される場合があります。
- 参照: Three UK公式サイト、Amazon等の販売ページ
⑨ HISモバイル
特徴: 旅行大手HISの子会社が提供する通信サービス。「変なSIM」というユニークな名称の海外SIM(物理/eSIM)を展開しています。専用アプリから渡航先や日数に合わせてプランをチャージして利用する形式で、プラン料金が比較的安価なのが特徴です。
- 通信方式: 物理SIM / eSIM
- おすすめポイント: HISブランドの安心感、比較的安価なプラン料金
- 料金例(韓国): 8日間 5GB 1,580円
- 注意点: プランをチャージするための基本SIMカード(発行手数料が必要)を最初に購入する必要があります。
- 参照: HISモバイル公式サイト
⑩ mobal (モバル)
特徴: 日本の電話番号(070/080/090)が持てる海外SIMサービスとして、特に海外在住者や長期留学者に人気のサービスです。旅行者向けの短期プランもありますが、日本への一時帰国時にもそのまま使えるなど、長期的な利用を視野に入れた場合に強みを発揮します。
- 通信方式: 物理SIM / eSIM
- おすすめポイント: 日本の電話番号が持てる、長期利用プランが充実、クレジットカードなしでも契約可能
- 料金例(アメリカ放題): 30日間 7GB 3,980円
- 注意点: 短期旅行者向けのプランは、他のプリペイドSIMに比べて割高になる場合があります。
- 参照: mobal公式サイト
海外SIMカードはどこで買う?主な購入場所
海外旅行用のSIMカード(物理SIM)を手に入れようと思った時、どこで購入すれば良いのでしょうか。購入場所によって、価格や利便性、選択肢の幅が異なります。主に3つの購入場所があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の準備スタイルや状況に合わせて最適な場所を選びましょう。
オンライン(通販サイト)
現在、最も一般的で便利な購入方法が、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングといった大手通販サイトや、SIMカード専門のオンラインストアでの購入です。
メリット:
- 選択肢が圧倒的に豊富: 世界各国の様々なキャリアやブランドのSIMカードが販売されており、データ容量、利用期間、価格などをじっくり比較検討して、自分の旅行プランに最適な一枚を選べます。
- 価格が比較的安い: 店舗を持たない分、コストが抑えられており、空港や現地で購入するよりも安価な場合が多いです。セールやキャンペーンを利用すれば、さらにお得に購入できます。
- 出発前に準備が完了する: 旅行前に自宅にSIMカードが届くため、日本語の説明書を読みながら、落ち着いて設定の予習や準備ができます。空港で慌てて購入したり、現地で言葉の通じない店員とやり取りしたりする必要がなく、精神的な安心感が得られます。
- 口コミやレビューを確認できる: 購入前に、他の利用者のレビューや評価を確認できるため、実際の通信速度や使い勝手など、リアルな情報を参考にして選ぶことができます。
デメリット:
- 配送時間が必要: 注文してから手元に届くまで、通常2〜5日程度の時間が必要です。出発ギリギリのタイミングでは間に合わないため、旅行の1〜2週間前には注文しておくのが理想です。
- 実物を確認できない: オンラインでの購入のため、SIMカードのパッケージや説明書を直接見て確認することはできません。信頼できる販売者から購入することが重要です。
結論として、時間に余裕を持って計画的に準備できる方にとっては、オンラインでの事前購入が最もおすすめです。
日本国内の空港
成田、羽田、関西国際空港など、国際線が就航している主要な空港のカウンターや自動販売機でも海外用SIMカードを購入できます。
メリット:
- 出発直前に購入できる: 「オンラインで買い忘れた!」「急な出張が決まった」という場合でも、出発当日に空港で購入できるため非常に便利です。
- 対面で相談できる: カウンターであれば、スタッフに渡航先や滞在日数を伝え、おすすめのSIMカードを相談しながら選ぶことができます。設定方法などで分からないことがあれば、その場で質問できる安心感もあります。
- すぐに手に入る: 当然ながら、購入後すぐにSIMカードが手に入ります。配送を待つ必要はありません。
デメリット:
- 価格が割高: オンラインストアや現地購入に比べて、価格設定は高めである場合がほとんどです。場所代や人件費が上乗せされているため、利便性とのトレードオフになります。
- 選択肢が限られる: 空港で取り扱っているSIMカードの種類は限られています。人気の渡航先(アメリカ、韓国、台湾、タイなど)のものは揃っていますが、マイナーな国や周遊プランの選択肢は少ない可能性があります。
- カウンターの混雑や営業時間: チェックインが集中する時間帯は、カウンターが混雑して購入に時間がかかることがあります。また、早朝や深夜のフライトの場合、カウンターや店舗が営業していない可能性もあるため、事前に営業時間の確認が必要です。
空港での購入は、買い忘れた際の最終手段や、対面でのサポートを重視する方に適しています。
渡航先の空港や市内のショップ
渡航先の空港に到着後、到着ロビーにある通信キャリアのカウンターや、市中のコンビニ、家電量販店などで購入する方法です。
メリット:
- 価格が最も安い場合が多い: 現地の物価が反映されるため、特にアジア圏などの国々では、日本で購入するよりも大幅に安くSIMカードを手に入れられる可能性があります。データ容量も多く、コストパフォーマンスは最も高いと言えます。
- 現地の回線で安心: 現地の通信キャリアが直接販売しているSIMカードなので、通信品質が安定していることが多いです。トラブルがあった際も、現地のキャリアショップでサポートを受けやすいというメリットがあります。
デメリット:
- 言語の壁: 購入時に、現地の言語や英語でのコミュニケーションが必要になります。プランの内容を正確に理解したり、設定方法を質問したりするのが難しい場合があります。
- 購入に時間がかかる: 到着後、SIMカードのカウンターを探し、列に並び、パスポートの提示や手続きを行う必要があるため、時間と手間がかかります。すぐに観光や目的地に向かいたい場合には、タイムロスになります。
- 現金が必要な場合も: 店舗によっては、クレジットカードが使えず、現地通貨での現金払いのみという場合もあります。両替を済ませておく必要があります。
- 偽物や不適切な商品のリスク: 市中の小さな露店などで購入する場合、稀にアクティベートされていないSIMカードや、説明と異なるプランのものを販売されるといったトラブルの可能性もゼロではありません。信頼できる公式ショップや大手コンビニでの購入が推奨されます。
現地での購入は、コストを極限まで抑えたい上級者や、時間に余裕のある長期滞在者、語学に自信のある方におすすめの方法です。 初めての海外旅行や短期滞在の場合は、日本国内で事前に準備しておく方が安心でしょう。
海外SIMカードの使い方・設定方法
海外用SIMカードを購入しても、正しく設定できなければ意味がありません。ここでは、物理SIMカードとeSIM、それぞれの使い方と設定方法をステップ・バイ・ステップで解説します。特に初めて利用する方は、渡航前に一通り流れを理解しておくと、現地で慌てずに済みます。
物理SIMカードの場合
物理SIMカードを利用するには、いくつかの事前準備と現地での設定が必要です。
SIMロックを解除する
まず最も重要なのが、お使いのスマートフォンが「SIMフリー」であることの確認です。ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアで購入したスマートフォンの多くには「SIMロック」がかかっており、そのキャリアのSIMカードしか認識しないように制限されています。このSIMロックを解除し、どの会社のSIMカードでも使える状態にすることを「SIMフリー化」と言います。
- 確認方法: iPhoneの場合は「設定」>「一般」>「情報」と進み、「SIMロック」の項目が「SIMロックなし」となっていればSIMフリーです。Androidは機種により異なりますが、「設定」>「デバイス情報」>「SIMカードステータス」などで確認できます。
- 解除方法: SIMロックがかかっている場合は、契約しているキャリアのウェブサイト(My docomoなど)やショップで解除手続きが必要です。オンラインなら無料で手続きできる場合が多いので、必ず渡航前に済ませておきましょう。
SIMカードを入れ替える
日本を出国する前、または渡航先の機内や空港に到着してから、SIMカードの入れ替え作業を行います。
- スマートフォンの電源をオフにする: 安全のため、必ず電源を切ってから作業を始めましょう。
- SIMトレイを取り出す: スマートフォンの側面にある小さな穴に、付属のSIMピン(なければペーパークリップの先などでも代用可)を差し込み、SIMトレイを引き出します。
- 日本のSIMカードを取り出す: 元々入っている日本のSIMカードを取り出し、紛失しないようにケースなどに大切に保管します。
- 海外用SIMカードを挿入する: 購入した海外用SIMカードを、向きや切り欠きを合わせてSIMトレイに乗せ、スマートフォンに挿入します。
- スマートフォンの電源をオンにする: SIMトレイをしっかり奥まで差し込んだら、電源を入れます。
APN設定を行う
SIMカードを入れ替えて電源を入れると、多くの場合、自動的に現地の電波を掴み、インターネットに接続できるようになります。しかし、もし接続できない場合は、手動でAPN(Access Point Name)設定を行う必要があります。
APNとは、スマートフォンがインターネットに接続するための「接続先情報」のことです。
- 設定画面を開く:
- iPhone: 「設定」>「モバイル通信」>「モバイルデータ通信ネットワーク」
- Android: 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「モバイルネットワーク」>「アクセスポイント名(APN)」
- APN情報を入力する: SIMカードのパッケージや説明書に記載されているAPNの情報を、各項目(APN名、ユーザー名、パスワードなど)に正確に入力します。
- 設定を保存する: 入力が完了したら、設定を保存します。
- 再起動する: スマートフォンを再起動すると、新しいAPN設定が反映され、通信が可能になる場合があります。
このAPN設定が、物理SIMを利用する上で最もつまずきやすいポイントですが、説明書通りに行えば難しくはありません。
eSIMの場合
eSIMの設定は物理的な作業が不要な分、スマートフォンの画面上での操作が中心となります。設定にはWi-Fi環境が必須なので、日本の自宅や空港、渡航先のホテルのWi-Fiなど、安定したネットワークに接続できる場所で行いましょう。
Wi-Fi環境でeSIMをインストールする
購入したeSIMサービスから送られてくるQRコードを使って、eSIMのプロファイルをスマートフォンにダウンロードします。
- Wi-Fiに接続する: まず、スマートフォンをWi-Fiに接続します。
- QRコードを読み込む:
- iPhone: 「設定」>「モバイル通信」>「eSIMを追加」をタップし、カメラでQRコードをスキャンします。
- Android: 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「SIM」の横にある「+」をタップし、「eSIMをダウンロードしますか?」を選択してQRコードをスキャンします。
- 画面の指示に従いアクティベートする: QRコードを読み込むと、モバイル通信プランの追加画面が表示されます。画面の指示に従って「続ける」や「追加」をタップしていきます。この時、主回線(日本のSIM)と副回線(海外eSIM)の役割分担(どちらを音声通話に、どちらをデータ通信に使うかなど)を設定します。一般的には、モバイルデータ通信に海外eSIMを指定します。
データローミングをオンにする
eSIMのインストールが完了したら、渡航先に到着後、実際に通信を開始するための設定を行います。
- 海外eSIMの回線をオンにする: 「設定」>「モバイル通信」で、追加した海外eSIMの回線がオンになっていることを確認します。
- データローミングを有効にする: 追加した海外eSIMの設定画面を開き、「データローミング」のスイッチをオンにします。 これをオンにしないと、現地の提携キャリアの電波を使って通信することができません。
- 重要: このとき、主回線である日本のSIMのデータローミングは必ずオフにしておきましょう。意図しない高額請求を避けるためです。
- 接続を確認する: 設定が完了すると、スマートフォンのステータスバーに現地のキャリア名が表示され、アンテナピクトが立てば接続完了です。
eSIMの設定は、一度経験すれば非常に簡単です。渡航前に手順をよく確認し、QRコードをすぐに表示できるよう準備しておきましょう。
海外SIMカードを利用する際の4つの注意点
手軽で便利な海外SIMカードですが、利用にあたってはいくつか注意すべき点があります。これらのポイントを知らずに渡航してしまうと、「現地で使えなかった」「思わぬトラブルに巻き込まれた」といった事態になりかねません。安心して海外でのインターネットを楽しむために、以下の4つの注意点を必ず確認しておきましょう。
スマホがSIMフリーか確認する
これは物理SIM、eSIMを問わず、海外SIMを利用するための絶対的な大前提です。前述の通り、日本の大手キャリアで購入したスマートフォンには「SIMロック」がかかっていることが多く、この状態では他社のSIMカード(海外SIMを含む)を挿入しても認識されません。
- 出発前の必須作業: ご自身のスマートフォンがSIMロックされている場合は、必ず日本にいる間にキャリアのウェブサイトや店舗でSIMロック解除の手続きを済ませてください。オンラインでの手続きは無料の場合が多く、数分で完了します。
- 確認を怠ると…: この確認を怠って海外用SIMカードを購入しても、現地で「SIMが無効です」といった表示が出て全く使えず、購入費用が無駄になってしまいます。旅行の準備を始める最初のステップとして、SIMロックの状態を確認する習慣をつけましょう。
- 最近の端末: 2021年10月以降に発売されたスマートフォンは、原則としてSIMロックがかけられていない状態で販売されていますが、それ以前のモデルをお使いの場合は特に注意が必要です。
eSIMに対応している機種か確認する
eSIMの利用を検討している場合は、ご自身のスマートフォンがeSIM機能に対応しているかどうかの確認が不可欠です。eSIMは比較的新しい技術であるため、全てのスマートフォンで利用できるわけではありません。
- 対応機種の例:
- Apple: iPhone XS, iPhone XS Max, iPhone XR 以降のモデル
- Google: Google Pixel 4, Pixel 4a 以降のモデル
- その他: Samsung Galaxy、OPPO、SONY Xperiaなどの比較的新しいハイエンドモデルの一部
- 確認方法: 最も確実な方法は、お使いのスマートフォンのメーカー公式サイトで仕様を確認するか、「(お使いの機種名) eSIM 対応」といったキーワードで検索することです。eSIMサービスのウェブサイトに対応機種一覧が掲載されていることも多いので、そちらも参考にしましょう。
- 非対応なのに購入すると…: eSIM非対応の機種でeSIMプランを購入しても、プロファイルをダウンロードできず、全く利用できません。物理SIM以上に、事前の機種確認が重要となります。
日本の法律(技適マーク)に対応しているか確認する
少し専門的な話になりますが、日本国内で販売されているスマートフォンや通信機器は、電波法で定められた技術基準に適合していることを証明する「技適マーク(技術基準適合証明等のマーク)」の表示が義務付けられています。
海外で購入したSIMカードを日本国内のスマートフォンで使用する場合、そのスマートフォンが技適マークを取得していれば、法律上の問題はありません。しかし、注意が必要なのは、海外で購入したスマートフォンを日本に持ち込んで使う場合や、海外のSIMカードにWi-Fiルーター機能が内蔵されているような特殊な製品です。
- 訪日外国人向けの特例: 技適マークのない海外のスマートフォンでも、Wi-FiやBluetoothに接続するなどの利用は、入国日から90日間に限り特例として認められています。
- 旅行者としての心構え: 一般的な旅行者が、日本で購入した技適マーク付きのスマートフォンに海外用SIMカードを入れて使う分には、全く心配する必要はありません。ただし、海外で安価なスマートフォンを購入して日本でも使おうと考えている場合は、この技適マークの存在を念頭に置いておく必要があります。
参照:総務省 電波利用ホームページ
物理SIMカードの紛失・破損に注意する
物理SIMカードを利用する場合、特有のリスクとしてSIMカード自体の紛失や破損が挙げられます。
- 日本SIMの保管: スマートフォンから取り外した日本のSIMカードは、非常に小さく軽いため、少し目を離した隙になくしてしまう可能性があります。財布の中やポケットにそのまま入れるのは非常に危険です。SIMカード専用の保管ケースや、チャック付きの小さなビニール袋などを用意し、パスポートなどと一緒に安全な場所に保管しましょう。帰国してSIMカードがないことに気づくと、再発行に手間と費用がかかります。
- 海外SIMの取り扱い: 購入した海外SIMカードも同様に、SIMトレイにセットする際に落としたり、静電気で破損させたりしないよう、慎重に取り扱う必要があります。特に、飛行機の機内など、狭くて暗い場所で作業する際は注意が必要です。
- SIMピンの携帯: SIMトレイを開けるためのSIMピンも忘れずに携帯しましょう。紛失した場合はペーパークリップなどで代用できますが、いざという時に見つからないとSIMの交換ができず困ってしまいます。
これらの注意点を事前に理解し、対策を講じておくことで、海外SIMカードをより安全・快適に利用できます。準備を万全にして、ストレスフリーな海外旅行を楽しみましょう。
海外旅行のSIMカードに関するよくある質問
ここでは、海外旅行でSIMカードを利用する際に、多くの人が抱く疑問や不安について、Q&A形式でお答えします。
日本で使っている電話番号はそのまま使えますか?
これは利用する通信手段によって異なります。
- 物理SIMカードの場合: 基本的には使えません。 日本で使っている物理SIMカードをスマートフォンから抜いてしまうため、その電話番号での音声通話の発着信やSMSの送受信はできなくなります。LINE通話などのアプリ経由の通話は可能です。
- eSIMの場合: 使えます。 これがeSIMの大きなメリットです。日本の物理SIMをスマートフォンに入れたまま、データ通信用のeSIMを追加する「デュアルSIM」運用が可能です。この設定にすれば、データ通信は安価な海外eSIMを使いつつ、日本の電話番号にかかってきた電話を受けたり、SMSを受信したりできます。ただし、日本のキャリアのプランによっては着信にも料金がかかる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
- Wi-Fiルーターや国際ローミングの場合: 使えます。 スマートフォンからSIMカードを抜かないため、日本の電話番号はそのまま利用可能です。
SIMカードはどこで買うのが一番安いですか?
一概に「ここが一番安い」とは言えませんが、傾向として以下のようになります。
- 最も安くなる可能性がある場所: 渡航先の空港や市街地のキャリアショップ。 現地の物価が反映されるため、特に東南アジアなどの国々では、日本で買うより大幅に安価なプランが見つかることが多いです。ただし、言語の壁や手続きの手間といったデメリットもあります。
- 手軽さと価格のバランスが良い場所: Amazonや楽天などのオンライン通販サイト。 多くの選択肢から比較検討でき、価格も比較的安価です。出発前に日本で準備を完了できる安心感も大きなメリットです。
- 価格は高いが便利な場所: 日本の空港カウンター。 定価販売で割高ですが、買い忘れた時や、対面で相談したい場合には非常に便利です。
コストを最優先するなら現地購入、利便性とコストのバランスを求めるならオンラインでの事前購入がおすすめです。
APN設定とは何ですか?自分でできますか?
APN(Access Point Name)とは、スマートフォンがデータ通信を行うために、どのネットワークに接続すればよいかを示す「接続先の住所」のような情報です。
物理SIMカードを入れ替えた際に、スマートフォンが自動でインターネットに接続できない場合、このAPN情報を手動で設定する必要があります。
- 自分でできますか?: はい、できます。 設定方法は、SIMカードのパッケージや説明書に必ず記載されています。iPhoneなら「設定 > モバイル通信 > モバイルデータ通信ネットワーク」、Androidなら「設定 > ネットワーク > アクセスポイント名」といったメニューから、指定された文字列(APN名、ユーザー名、パスワードなど)を入力するだけです。少し専門的に聞こえますが、作業自体は単純な文字入力なので、説明書を見ながら落ち着いて行えば誰でも完了できます。
ヨーロッパやアジアなど複数国を周遊する場合におすすめのSIMはありますか?
はい、複数国を周遊する旅行者向けに、非常にお得で便利なSIMカードがたくさんあります。
- 周遊eSIM: Holafly、Airalo、UbigiといったeSIMサービスは、「ヨーロッパ周遊プラン」や「アジア周遊プラン」を豊富に提供しています。一度設定すれば、対応国に入ると自動で現地のネットワークに切り替わるため、国境を越えるたびにSIMを交換する手間が一切なく、非常に快適です。
- 周遊物理SIM: イギリスの通信キャリア「Three」のプリペイドSIMは、ヨーロッパの多くの国やアメリカ、オーストラリアなどで追加料金なしでローミング利用できる「Go Roam」というサービスで非常に人気があります。Amazonなどで手軽に購入でき、コストパフォーマンスも高いです。
これらの周遊SIMを選べば、1枚のSIM(または1つのeSIMプラン)で旅行全体をカバーできるため、周遊旅行の際には必須のアイテムと言えるでしょう。購入前に、ご自身の旅程に含まれる国がすべて対応エリアに含まれているかを、必ず公式サイトで確認してください。