【2024年最新】ホテル専門学校おすすめ20選 後悔しない選び方を解説

ホテル専門学校おすすめ20選、後悔しない選び方を解説

ホテル業界は、世界中の人々を迎え、特別な時間を提供する魅力的な世界です。一流のホテリエとして活躍する夢を抱いている方にとって、その第一歩となるのが「ホテル専門学校」への進学です。しかし、数多くの専門学校の中から自分に最適な一校を見つけ出すのは、決して簡単なことではありません。

「ホテル専門学校って大学と何が違うの?」「どんなメリット・デメリットがある?」「後悔しないためには、どうやって学校を選べばいい?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ホテル業界を目指すすべての方に向けて、ホテル専門学校の基礎知識から、メリット・デメリット、そして最も重要な「後悔しないための選び方」まで、網羅的に解説します。さらに、全国から厳選したおすすめのホテル専門学校20選を、2024年の最新情報に基づいて詳しくご紹介します。

この記事を最後まで読めば、ホテル専門学校に関するあらゆる疑問が解消され、自信を持って自分にぴったりの学校を選び、夢への道を確実の一歩として踏み出せるようになるでしょう。

ホテル専門学校とは

ホテル専門学校とは

ホテル業界への就職を目指す上で、有力な選択肢となるホテル専門学校。しかし、具体的にどのような場所で、大学とは何が違うのか、正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。ここでは、ホテル専門学校の基本的な役割と、大学との違いを詳しく解説していきます。

ホテル業界で働くための専門知識とスキルを学ぶ場所

ホテル専門学校は、その名の通り、ホテル業界でプロフェッショナルとして働くために必要な専門知識と実践的なスキルを体系的に学ぶための教育機関です。将来、フロントクラーク、コンシェルジュ、レストランサービス、バーテンダー、ウエディングプランナー、そしてホテルの支配人などを目指す学生たちが集い、夢の実現に向けて日々学んでいます。

学べる内容は非常に多岐にわたります。具体的には、以下のような分野を網羅的に学習します。

  • 宿泊部門関連: フロントオペレーション、予約管理、ナイト業務、ベルサービス、ドアサービス、コンシェルジュ業務など、お客様をお迎えし、快適な滞在をサポートするための知識と技術。
  • 料飲部門関連: レストランサービス、バーサービス、ソムリエの基礎知識、テーブルマナー、衛生管理など、食を通じてお客様に満足を提供するスキル。
  • 宴会・ブライダル関連: 宴会の企画・運営、セールス、結婚披露宴のプランニングと当日のディレクションなど、特別なイベントを成功に導くためのノウハウ。
  • ホスピタリティ・マナー: お客様の心に寄り添う「おもてなし」の精神、美しい立ち居振る舞い、正しい言葉遣い、国際儀礼(プロトコール)など、ホテリエとしての土台となる人間力。
  • 語学: 英語を中心に、中国語や韓国語など、国際的な舞台で活躍するために不可欠なコミュニケーション能力。多くの学校で、レベル別の授業やネイティブ講師による実践的なレッスンが行われています。
  • ホテル経営・マネジメント: ホテル業界の仕組み、マーケティング、会計、人材管理など、将来的に管理職や経営層を目指すための基礎知識。

これらの学習は、単なる座学だけではありません。多くの専門学校では、実際のホテルを模した本格的な実習室(フロントカウンター、客室、レストラン、バー、チャペルなど)を完備しており、現場さながらの環境で繰り返しトレーニングを行います。これにより、卒業後すぐに現場で活躍できる「即戦力」を養成することを最大の目的としています。

ホテル専門学校と大学の主な違い

ホテル業界を目指すにあたり、専門学校と大学(観光学部やホスピタリティ系の学部)のどちらを選ぶべきか、悩む方も多いでしょう。両者にはそれぞれ特徴があり、どちらが優れているというわけではありません。自分の目標や学びたいことに合わせて選ぶことが重要です。ここでは、両者の主な違いを4つの側面から比較してみましょう。

比較項目 ホテル専門学校 大学(観光・ホスピタリティ系学部)
学ぶ期間 2年制が主流(一部3年制・4年制もあり) 4年制
学ぶ内容 即戦力を養うための実践的・専門的スキルが中心 幅広い教養と専門分野の学術的・理論的研究が中心
学費(総額) 比較的安価な傾向(2年制で250〜350万円程度) 比較的高価な傾向(国公立で約250万円、私立で400万円以上)
入試方法 人物重視(AO、推薦、面接、書類選考が中心) 学力重視(一般選抜、共通テストなどが中心)
就職活動 業界とのパイプが強く、学校推薦や実習からの採用が多い 自由応募が中心で、幅広い業界への就職が可能

学ぶ期間と内容

最も大きな違いは、学ぶ期間と内容の重点の置き方です。

  • ホテル専門学校は、2年間という短期間でホテル業務に必要なスキルを凝縮して学ぶカリキュラムが組まれています。授業の多くが実習や演習に充てられており、プロの講師から直接、現場の技術指導を受けられるのが特徴です。まさに「ホテリエになる」という目標に直結した学びができます。
  • 一方、大学は4年間かけてじっくりと学びます。専門分野だけでなく、語学、歴史、経済、心理学といった幅広い一般教養科目も履修します。専門分野の学習も、現場のスキルというよりは、観光学や経営学の観点から物事を分析・研究する理論的なアプローチが中心となります。将来、ホテルの企画・マーケティング部門や経営幹部を目指す上で、大局的な視点を養うのに適していると言えるでしょう。

学費

学費も進路選択における重要な要素です。

  • ホテル専門学校は2年制が多いため、4年制の大学に比べて卒業までの総学費を抑えられるケースがほとんどです。ただし、実習費や教材費、制服代などが別途必要になる場合が多いため、募集要項で総額をしっかり確認することが大切です。
  • 大学は、国公立か私立かで大きく異なります。国公立大学であれば4年間で約250万円程度ですが、私立大学の場合は400万円を超えることが一般的です。

入試方法

入試の方法も大きく異なります。

  • ホテル専門学校の入試は、AO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試が主流です。学力試験よりも面接や書類選考が重視され、「なぜホテリエになりたいのか」という熱意や、コミュニケーション能力といった人物面が評価される傾向にあります。
  • 大学の入試は、ご存知の通り、共通テストや個別学力検査などの学力試験が中心です。近年は総合型選抜(旧AO入試)も増えていますが、依然として高い学力が求められるのが一般的です。

就職活動

就職活動のスタイルも対照的です。

  • ホテル専門学校は、ホテル業界との強いパイプが最大の武器です。多くの学校が有名ホテルと提携しており、学内での単独企業説明会や、教員による推薦、インターンシップ先からの採用といった形で、有利に就職活動を進めることができます。就職サポートも手厚く、一人ひとりの希望に合わせた個別指導が行われるのが特徴です。
  • 大学からの就職は、学生が自ら企業を探して応募する「自由応募」が基本です。ホテル業界だけでなく、金融、メーカー、商社など、幅広い業界への選択肢があるのがメリットです。特に大手企業の総合職を目指す場合は、大卒の学歴が有利に働くことがあります。

ホテル専門学校と大学、どちらの道を選ぶべきかは、あなたが何を優先するかによって決まります。「一日も早く現場に出て実践的なスキルを磨きたい」「憧れのホテルで働くという目標が明確」という方は専門学校が、「幅広い知識を身につけたい」「将来は経営にも関わりたい」「まだ他の業界にも興味がある」という方は大学が、それぞれ向いていると言えるでしょう。

ホテル専門学校に通う3つのメリット

実践的なスキルが短期間で身につく、業界とのつながりが強く就職に有利、同じ目標を持つ仲間と出会える

ホテル業界への最短ルートとも言えるホテル専門学校。その魅力は、単に就職に有利というだけではありません。ここでは、専門学校ならではの3つの大きなメリットを深掘りしていきます。

① 実践的なスキルが短期間で身につく

ホテル専門学校に通う最大のメリットは、即戦力として通用する実践的なスキルを、2年間という凝縮された期間で効率的に習得できる点にあります。大学が「学問」を探求する場であるとすれば、専門学校は「職業」に直結する技術を磨く訓練の場です。

多くの専門学校では、カリキュラムの半分以上が実習や演習で構成されています。校内に設けられた実習室は、まさに本物のホテルの縮図です。

  • フロント・ロビー: チェックイン・チェックアウトの手順、予約電話の応対、外貨両替、インフォメーション業務などを、ロールプレイング形式で繰り返し練習します。お客様役とスタッフ役に分かれて実践することで、様々な状況に対応する応用力が身につきます。
  • 客室(モックアップルーム): ベッドメイキング、客室清掃、アメニティのセッティングなど、快適な空間を作り出すための技術を学びます。タイムを計りながら行うことで、スピードと正確性の両立を目指します。
  • レストラン・バー: テーブルセッティングからオーダーテイク、料理の提供、カクテルメイキング、ワインの抜栓まで、料飲サービスの全工程を実践的に学びます。一流のサービススタッフとしての洗練された立ち居振る舞いもここで身につけます。
  • チャペル・バンケット: 模擬結婚式や模擬披露宴を学生たち自身で企画・運営します。プランニングから当日の進行管理までを経験することで、チームワークとプロジェクト遂行能力が養われます。

こうした実践的な授業を教える講師陣の多くは、有名ホテルで長年の経験を積んだ現場のプロフェッショナルです。支配人、コンシェルジュ、ソムリエ、ウエディングプランナーなど、各分野の第一線で活躍してきた人々から、教科書には載っていないリアルな知識、失敗談、成功の秘訣を直接聞けるのは、専門学校ならではの貴重な経験です。

このように、現場を熟知したプロから、現場と同じ環境で、現場直結のスキルを学ぶ。このサイクルを2年間繰り返すことで、卒業時には新人でありながらも、基本的な業務をスムーズにこなせるレベルに到達できます。企業側から見ても、基礎教育にかける時間とコストを削減できるため、専門学校卒業生は非常に価値の高い人材として評価されるのです。

② 業界とのつながりが強く就職に有利

ホテル業界への就職を強く希望するなら、専門学校が持つ業界との強固なネットワークは計り知れないアドバンテージとなります。多くの歴史ある専門学校は、長年にわたって数多くの卒業生をホテル業界に輩出してきました。その結果、業界の隅々にまで及ぶ強力なコネクションが築かれています。

この「つながり」は、就職活動において具体的に以下のような形で学生を力強くサポートします。

  • 学内企業説明会・選考会: 人事担当者がわざわざ学校を訪れて、その学校の学生だけを対象とした説明会や一次選考会を実施します。一般の就職サイトでは公開されていない求人情報にアクセスできたり、大人数が参加する合同説明会よりも深く企業理解を深めたりすることができます。
  • インターンシップ(企業実習): ほとんどの専門学校では、カリキュラムの一環として長期のインターンシップが義務付けられています。提携している国内外の一流ホテルで実際に働きながら学ぶこの経験は、スキルアップはもちろん、業界や企業の雰囲気を肌で感じる絶好の機会です。実習中の働きぶりが評価され、そのまま内定につながるケースも少なくありません。
  • 卒業生のネットワーク: 多くのホテルでは、同じ専門学校の先輩が働いています。就職活動の際にOB・OG訪問でリアルな話を聞いたり、入社後も何かと気にかけてもらえたりと、縦のつながりは心強い支えとなります。この人的ネットワークは、キャリアを積んでいく上での大きな財産となるでしょう。
  • 信頼に基づく推薦制度: 学校とホテルの間には、長年の信頼関係があります。「〇〇専門学校の学生なら、基礎がしっかりしているから安心だ」という評価が確立されているため、学校からの推薦が採用に大きく影響することがあります。

これらの手厚いサポート体制の結果、多くのホテル専門学校は毎年非常に高い就職率を誇ります。単に就職できるだけでなく、帝国ホテル、ホテルニューオータニ、The Okura Tokyoといった国内御三家や、外資系のラグジュアリーホテルなど、質の高い就職先への道が開かれている点が、専門学校の大きな強みなのです。

③ 同じ目標を持つ仲間と出会える

大学には様々な学部があり、学生の興味や目指す将来も多種多様です。それも大学の魅力の一つですが、専門学校には「一流のホテリエになる」という明確で共通の目標を持った仲間だけが集まります。この環境がもたらすメリットは、想像以上に大きいものです。

同じ夢を追いかける仲間と2年間を共に過ごすことで、自然と強い連帯感が生まれます。

  • モチベーションの維持: 勉強が大変な時、実習で失敗して落ち込んだ時、就職活動で悩んだ時。周りを見渡せば、同じ壁にぶつかりながらも頑張っている仲間がいます。互いに励まし合い、高め合うことで、困難を乗り越えるエネルギーが湧いてきます。
  • チームワークの醸成: ホテルの仕事は、決して一人ではできません。宿泊、料飲、宴会など、様々な部署のスタッフが連携して初めて、お客様に最高のサービスを提供できます。専門学校では、模擬披露宴の運営やグループでの課題解決など、チームで一つの目標を達成する授業が数多くあります。この過程で、協調性やコミュニケーション能力が自然と磨かれます。
  • 一生涯の財産となる人脈: 専門学校で築いた友情は、卒業後も続きます。卒業生は全国各地、あるいは世界中のホテルで活躍することになります。将来、転職を考えた時、新しいホテルがオープンする時、あるいは仕事で困った時に、気軽に相談できる同窓生がいることは、非常に心強いものです。この横のつながりは、業界内でキャリアを築いていく上で、かけがえのない財産となるでしょう。

クラスメイト全員がライバルであり、同時に最高の仲間でもある。そんな特別な環境で過ごす2年間は、専門スキルだけでなく、人間的にも大きく成長させてくれる貴重な時間となるはずです。

ホテル専門学校に通うデメリット

多くのメリットがある一方で、ホテル専門学校への進学にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。進学してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、ネガティブな側面もしっかりと理解しておきましょう。

学歴が大卒にならない

ホテル専門学校に進学する上で、最も理解しておくべき点が「学歴」です。文部科学大臣が認定した2年制以上の専門学校を卒業すると「専門士」、4年制以上の専門学校を卒業すると「高度専門士」という称号が与えられます。これらは社会的に認められた公的な称号ですが、大学卒業で得られる「学士(大卒)」とは異なります。

この学歴の違いが、キャリアにおいて影響を与える可能性がゼロではありません。

  • 初任給や昇進・昇格: 企業によっては、給与テーブルや昇進の基準が学歴によって定められている場合があります。特に、伝統的な大手ホテルや一部の外資系ホテルでは、大卒と専門学校卒で初任給に数万円の差があったり、将来の管理職への昇進スピードに違いが出たりする可能性があります。全てのホテルがそうであるわけではありませんが、そのような可能性があることは認識しておく必要があります。
  • 総合職への応募資格: ホテルの採用には、現場のサービススタッフとして採用する「現業職(専門職)」と、将来の幹部候補として採用する「総合職」があります。この「総合職」の応募資格を「4年制大学卒業以上」と定めている企業は少なくありません。将来的に本社の企画部門やマーケティング、人事、経理といった部署で働きたい、あるいは支配人などの経営層を目指したいと考えている場合、専門学校卒という学歴が選択肢を狭める可能性も考慮すべきです。

ただし、ホテル業界は他の業界に比べて実力主義の側面が非常に強い世界です。学歴はあくまでスタートラインの違いであり、入社後のパフォーマンス、スキル、経験、そしてお客様からの評価がキャリアを大きく左右します。専門学校で培った実践的なスキルを武器に、誰よりも早く現場で頭角を現し、大卒の同僚を追い越していくことは十分に可能です。

また、専門学校卒業後に大学の3年次に編入できる制度を利用したり、社会人になってから働きながら大学の通信教育課程で学士号を取得したりと、後から大卒資格を得る道も開かれています。

分野転換がしにくい可能性がある

ホテル専門学校のカリキュラムは、ホテル業界で活躍することに特化して最適化されています。これは、目標が定まっている人にとっては大きなメリットですが、裏を返せば、卒業後にホテル業界以外の分野へ進路を変更しようと考えた場合、不利になる可能性があることを意味します。

大学では、専門分野以外にも幅広い一般教養科目を学びます。そのため、就職活動の段階で金融業界やメーカー、IT業界など、全く異なる分野に興味が移ったとしても、比較的スムーズに進路変更が可能です。

一方、専門学校では2年間(または3年間)、ホテルに関する専門知識・スキルの習得に時間を費やします。そのため、いざ他の業界を目指そうとしても、

  • 企業側から「なぜ専門学校で学んだことを活かさないのか?」と疑問を持たれやすい。
  • 他業界の就職活動で必要となる知識や教養が不足している場合がある。
  • 応募資格を「大卒以上」としている企業には応募できない。

といった壁に直面する可能性があります。

もちろん、専門学校で身につけた高度なコミュニケーション能力、ホスピタリティマインド、語学力、マナーなどは、航空業界、ブライダル業界、小売・販売業、秘書など、「人」と接する多くの仕事で高く評価される汎用的なスキルです。決して他分野への道が完全に閉ざされるわけではありません。

しかし、「まだ将来やりたいことが明確に決まっていない」「ホテル業界以外にも少し興味がある」という段階であれば、幅広い選択肢を残せる大学進学の方が適しているかもしれません。「絶対にホテリエになる」という強い意志と覚悟があるかどうかが、専門学校への進学を判断する上での一つの大きな分かれ道と言えるでしょう。

後悔しない!ホテル専門学校の選び方7つのポイント

目指す職種に合ったコースがあるか、実習やインターンシップ制度が充実しているか、目指せる資格と合格実績を確認する、就職率だけでなく就職先の質も見る、学費と奨学金制度を比較検討する、学校の雰囲気や立地は自分に合っているか、オープンキャンパスに参加して直接確かめる

自分にぴったりのホテル専門学校を見つけることは、夢への第一歩を成功させるための最も重要なプロセスです。しかし、何を基準に選べば良いのか分からず、パンフレットの華やかさや知名度だけで決めてしまうと、後々後悔することになりかねません。ここでは、学校選びで失敗しないための7つの具体的なチェックポイントを解説します。

① 目指す職種に合ったコースがあるか

一口に「ホテリエ」と言っても、その職種は多岐にわたります。まずは、自分がホテル業界のどのような仕事に興味があるのかを考えてみましょう。

  • 宿泊部門: フロントクラーク、ベル、ドア、コンシェルジュなど
  • 料飲部門: レストランサービス、バーテンダー、ソムリエなど
  • 宴会・ブライダル部門: ウエディングプランナー、バンケットサービスなど
  • マネジメント: 将来の支配人や管理職候補
  • その他: テーマパークホテル、旅館、海外のホテルなど

その上で、各学校が設置している学科やコースが、自分の目指す職種と合致しているかを詳細に確認することが最初のステップです。

例えば、「世界中のお客様を最高のおもてなしで迎えたい」という想いが強く、特にコンシェルジュに憧れているなら、語学教育や異文化理解の授業が充実している「国際ホテル科」のようなコースが適しているでしょう。一方で、「食とワインの世界を極めたい」という方は、レストランサービスやソムリエの専門実習に力を入れているコースを選ぶべきです。

また、2年制か3年制かという点も重要です。3年制のコースでは、より専門性を深めたり、海外留学や長期インターンシップが組み込まれていたり、ホテルマネジメントなどの高度な内容を学べたりする場合があります。自分の学びたいこと、目指すレベルに合わせて、最適なカリキュラムを提供している学校を探しましょう。

② 実習やインターンシップ制度が充実しているか

ホテル専門学校の最大の魅力は、実践的な学びの機会が豊富にあることです。そのため、実習やインターンシップ制度の「量」と「質」は、学校選びにおける極めて重要な判断基準となります。

確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 学内実習の設備: フロント、客室、レストラン、バー、チャペルなどの実習施設は、実際のホテルの設備に近いレベルで整っているか。公式サイトの施設紹介ページやオープンキャンパスで、自分の目で確かめましょう。古い設備よりも、最新のホテルで導入されているシステム(PMS:ホテル管理システムなど)を導入している学校の方が、より実践的なスキルが身につきます。
  • 学外実習(インターンシップ)の提携先: どのようなホテルで実習ができるのかは、その学校の業界とのパイプの強さを示しています。国内外のラグジュアリーホテル、有名チェーンホテルとの提携実績が豊富な学校は、それだけ質の高い実務経験を積むチャンスが多いと言えます。実習先のリストを公開している学校も多いので、必ずチェックしましょう。
  • 実習の期間と頻度: 年間(あるいは在学期間中)にどれくらいの時間、実習が行われるのか。1年生の早い段階から実習が始まるのか、それとも2年生になってからなのか。長期休暇中に行われるのか、それとも通常授業と並行して行われるのか。実習期間が長ければ長いほど、現場で学べることは多くなります。
  • 海外研修・留学制度: グローバルに活躍したいと考えているなら、海外の提携ホテルでの研修や、提携校への留学制度が整っているかは非常に重要です。語学力と国際感覚を同時に磨く絶好の機会となります。

これらの情報は、学校のパンフレットやウェブサイトに詳しく記載されています。複数の学校を比較し、最も自分の成長につながる実習環境を提供している学校を選びましょう。

③ 目指せる資格と合格実績を確認する

資格は、自分のスキルや知識を客観的に証明するための強力な武器になります。就職活動で有利になるだけでなく、入社後のキャリアアップにもつながります。学校選びの際には、どのような資格取得を目標として掲げ、そのためのサポート体制がどれだけ手厚いかを確認しましょう。

チェックすべきは、単に「〇〇の資格が取れます」という謳い文句だけではありません。

  • 資格対策講座の有無: 通常の授業とは別に、資格試験に特化した対策講座が無料で開講されているか。
  • 合格実績(合格率): 実際にその学校の学生が、目標とする資格にどれくらいの割合で合格しているのか。高い合格率は、指導の質の高さを裏付ける客観的なデータです。公式サイトやパンフレットで具体的な数値が公表されているかを確認しましょう。
  • 取得を推奨している資格の種類: ホテルビジネス実務検定(H検)やレストランサービス技能検定(HRS)といった専門資格だけでなく、TOEIC®や秘書検定、マナー・プロトコール検定など、幅広い資格取得をサポートしている学校は、学生のキャリアの可能性を広げようとする意識が高いと言えます。

④ 就職率だけでなく就職先の質も見る

多くの専門学校が「就職率98%」「就職率100%」といった高い数値をアピールしていますが、この数字だけで判断するのは危険です。本当に見るべきなのは、その「中身」、つまり「どのようなホテルに、どのような職種で就職しているのか」という就職先の質です。

  • 主な就職先リスト: 卒業生が具体的にどのホテルに就職したのか、そのリストを確認しましょう。自分が憧れているホテルや、業界内で評価の高いラグジュアリーホテル、外資系ホテルが多数含まれているかどうかがポイントです。
  • 職種の内訳: 全員が希望通りの職種に就けているとは限りません。宿泊部門や料飲部門といった専門職での就職が多いのか、それとも契約社員や関連の薄い職種での就職も含まれているのか。可能であれば、職種別の就職実績も確認したいところです。
  • 求人倍率: 学生一人あたりに何件の求人が来ているかを示す「求人倍率」も、企業からの信頼度を測る一つの指標になります。

これらの情報は、就職実績のページやデータブックに記載されています。自分の目指すキャリアパスを実現できる可能性が高い学校かどうかを、客観的なデータから見極めましょう。

⑤ 学費と奨学金制度を比較検討する

専門学校で学ぶには、決して安くない費用がかかります。後悔しないためには、事前に資金計画をしっかりと立てておくことが不可欠です。

  • 学費総額の確認: 入学金、授業料だけでなく、実習費、教材費、研修旅行費、制服代など、卒業までに必要なすべての費用を洗い出し、総額でいくらかかるのかを正確に把握しましょう。「その他費用」として一括りにされている場合は、その内訳を問い合わせるのが賢明です。
  • 複数の学校を比較: 同じようなカリキュラムでも、学校によって学費は異なります。複数の学校の総費用をリストアップし、比較検討しましょう。
  • 奨学金・特待生制度: 学費の負担を軽減するため、利用できる制度は積極的に活用しましょう。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金はもちろんのこと、学校独自の奨学金制度や、成績優秀者を対象とした特待生制度(授業料免除など)が充実しているかは重要なチェックポイントです。
  • 教育ローン: 企業と提携した教育ローンや、国の教育ローンなど、様々な選択肢があります。各制度の利用条件や利率を事前に調べておきましょう。

⑥ 学校の雰囲気や立地は自分に合っているか

2年、あるいは3年間という長い時間を過ごすキャンパスです。学習環境だけでなく、学校全体の雰囲気や学生のカラー、そして立地が自分に合っているかも、充実した学校生活を送るための大切な要素です。

  • 校風: 厳しく指導する校風か、学生の自主性を重んじる自由な校風か。国際色豊かな雰囲気か、アットホームな雰囲気か。学校のブログやSNS、在校生のインタビュー記事などから、その学校ならではの空気感を感じ取ってみましょう。
  • 立地: 自宅からの通学時間や交通の便は現実的か。最寄り駅からの距離はどのくらいか。また、都心部にあり、周りに多くのホテルが立ち並ぶ環境か、それとも落ち着いた郊外にあるのかによっても、学生生活は変わってきます。アルバイト先の探しやすさや、最新のホテル事情に触れる機会の多さにも影響するかもしれません。

⑦ オープンキャンパスに参加して直接確かめる

ここまでに挙げた6つのポイントは、パンフレットやウェブサイトでもある程度は確認できます。しかし、最終的に自分に合う学校かどうかを判断するためには、実際にその場所へ足を運ぶことが何よりも重要です。

オープンキャンパスは、学校選びにおける最大の情報収集の場です。

  • 施設・設備の確認: 写真で見るのと、実物を見るのとでは印象が全く違います。実習室の広さや清潔感、設備の充実度を自分の目で確かめましょう。
  • 体験授業: 授業の雰囲気やレベル、教え方が自分に合っているかを体感できます。「楽しい」と感じられるかどうかが、学びの継続には不可欠です。
  • 先生や在校生との対話: パンフレットには書かれていない、学校のリアルな姿を知る絶好の機会です。先生方の教育に対する情熱や人柄、在校生の表情や言葉遣いから、学校の雰囲気を肌で感じることができます。気になること、不安なことは、この機会にどんどん質問してみましょう。

できれば、複数の学校のオープンキャンパスに参加し、それぞれの学校を客観的に比較検討することを強くおすすめします。手間はかかりますが、このひと手間が、後悔のない学校選びにつながるのです。

【2024年最新】ホテル専門学校おすすめ20選

全国には数多くのホテル専門学校がありますが、ここでは特に実績や特色のある学校を20校厳選してご紹介します。各学校の公式サイトを参考に、2024年時点での最新情報を基にまとめています。自分に合った学校を見つけるための参考にしてください。

① 専門学校日本ホテルスクール(東京)

1972年創立、日本で最初に設立されたホテル専門学校として知られています。長年の歴史で培われたホテル業界との強固なパイプと、13,000名を超える卒業生のネットワークが最大の強みです。昼間部(国際ホテルマネジメント科/3年制、ホテル科/2年制)と夜間部(ホテル科/2年制)を設置し、多様な学習ニーズに対応。本格的な実習施設と、業界経験豊富な講師陣による質の高い教育を提供しています。(参照:専門学校日本ホテルスクール公式サイト)

② 東京YMCA国際ホテル専門学校(東京)

「国際性」「実用性」「社会性」を教育の柱とし、ホスピタリティ業界で活躍する人材を育成。特に英語教育に定評があり、少人数クラスやネイティブ講師による授業が充実しています。2年次には全員が参加する海外研修(アメリカ)があり、国際感覚を養うことができます。ホテル科、ホテル専攻科(大学・短大卒者対象)が設置されています。(参照:東京YMCA国際ホテル専門学校公式サイト)

③ 東京ホテル・ウエディング&IR専門学校(東京)

滋慶学園グループの一員で、ホテル・ウエディング・IR(統合型リゾート)の3分野を総合的に学べるのが特徴です。3年制・2年制のコースがあり、特にワールドクラスのホテルで活躍できる人材育成に力を入れています。企業プロジェクトとして、実際の企業と共に商品開発やイベント企画を行うなど、実践的な学びが豊富です。業界との強い連携による高い就職実績も魅力です。(参照:東京ホテル・ウエディング&IR専門学校公式サイト)

④ 国際ホテル・ブライダル専門学校(千葉)

通称「wish」。英語力を徹底的に鍛える「語学教育」、業界のプロから学ぶ「専門教育」、個性を伸ばす「国際感覚・キャリア教育」の3つの教育を軸にしています。海外インターンシップや海外大学への編入制度も充実しており、グローバルな活躍を目指す学生に最適です。ホテル科、ブライダル科、英語コミュニケーション科など、目的に合わせた多様な学科が揃っています。(参照:国際ホテル・ブライダル専門学校公式サイト)

⑤ 専門学校東京ホスピタリティ・アカデミー(東京)

東京観光財団が設立した学校法人Adachi学園が運営。ホテル、観光、エアライン、鉄道など、ホスピタリティ業界を幅広く網羅したコースが特徴です。産学協同教育システムを取り入れ、在学中からプロの現場を経験できる機会が豊富に用意されています。Wメジャーカリキュラムにより、入学したコース以外の科目も追加料金なしで受講できるため、幅広いスキルを身につけられます。(参照:専門学校東京ホスピタリティ・アカデミー公式サイト)

⑥ 横浜国際ホテル・ブライダル専門学校(神奈川)

2024年4月に横浜ホテル&ブライダル専門学校から校名変更。国際都市・横浜という立地を活かし、グローバルな人材育成に力を入れています。2年間で最大800時間の実習・演習がカリキュラムに組まれており、実践力を徹底的に鍛えます。ホテル科、ブライダル科のほか、レストランサービスに特化したコースなどもあります。(参照:横浜国際ホテル・ブライダル専門学校公式サイト)

⑦ 札幌観光ブライダル・製菓専門学校(北海道)

北海道でホテル・観光・ブライダル・製菓を学ぶならここ。三幸学園グループの一員で、全国のネットワークを活かした就職サポートが強みです。ホテル科では、コースが細分化されており、フロント、ホテルマネジメント、テーマパークなど、目指すキャリアに合わせた専門的な学習が可能です。地元北海道の有名ホテルやリゾートへの就職に強いのも特徴です。(参照:札幌観光ブライダル・製菓専門学校公式サイト)

⑧ 仙台ホテル・ブライダル&製菓専門学校(宮城)

札幌校と同じく三幸学園グループの学校で、東北エリアのホスピタリティ教育を牽引しています。ホテル、ブライダル、製菓、調理の分野を網羅。実際の結婚式をプロデュースする実践授業など、学生が主体となって学ぶ機会が豊富です。地元密着型の就職サポートで、東北地方のホテルや結婚式場への高い就職率を誇ります。(参照:仙台ホテル・ブライダル&製菓専門学校公式サイト)

⑨ ホスピタリティツーリズム専門学校大阪(大阪)

ホテル、観光、エアライン、鉄道、ブライダルなど、ツーリズム業界のプロを育成する西日本最大級の専門学校。3年制・2年制の多彩な学科・コースを設置し、特に英語・韓国語・中国語の語学教育が充実しています。海外研修や留学制度も豊富で、世界を舞台に活躍したい学生を強力にバックアップします。(参照:ホスピタリティツーリズム専門学校大阪公式サイト)

⑩ 大阪ホテル専門学校(大阪)

2020年に開校した比較的新しい学校ですが、ホテル業界のプロフェッショナルが設立し、現場のニーズに即したカリキュラムを提供しています。2年制のホテル科のみに特化し、宿泊、料飲、ブライダル、マーケティングなどホテル業務全般を深く学びます。少人数制で、一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな指導が特徴です。(参照:大阪ホテル専門学校公式サイト)

⑪ キャリエールホテル旅行専門学校(京都)

京都の地で50年以上の歴史を持つ学校法人大和学園が運営。国際的な観光都市・京都という立地を最大限に活かし、伝統的な「おもてなし」の心と国際感覚を両立させた教育を実践しています。ホテル学科では、デュアル実習(有給の長期インターンシップ)を導入しており、学びながら収入を得て実践力を高めることができます。(参照:キャリエールホテル旅行専門学校公式サイト)

⑫ 神戸国際調理製菓専門学校(兵庫)

調理・製菓の分野で高い知名度を誇りますが、ホテル・ブライダル分野の人材育成にも力を入れています。「ホテル・ブライダルコース」では、料飲サービスの知識・技術をベースに、宿泊やブライダルのスキルを学びます。食のプロを育成する学校ならではの、レベルの高い料飲実習が魅力です。(参照:神戸国際調理製菓専門学校公式サイト)

⑬ 名古屋外語・ホテル・ブライダル専門学校(愛知)

通称「N-heart」。その名の通り、語学教育とホスピタリティ教育を融合させたカリキュラムが特徴です。ホテル学科では、ネイティブ講師による授業や海外研修を通じて、実践的な語学力と国際感覚を養成。有名ホテルとの連携も強く、東海エリアを中心に高い就職実績を誇っています。(参照:名古屋外語・ホテル・ブライダル専門学校公式サイト)

⑭ トライデント外国語・ホテル・ブライダル専門学校(愛知)

河合塾グループが運営する専門学校で、質の高い教育ときめ細やかな学生サポートに定評があります。ホテル学科では英語力強化に重点を置いており、TOEICのスコアアップ実績も豊富です。有名ホテルでのインターンシップも充実しており、即戦力となる人材を育成しています。(参照:トライデント外国語・ホテル・ブライダル専門学校公式サイト)

⑮ 専門学校名古屋ホスピタリティ・アカデミー(愛知)

東京校と同じくAdachi学園が運営。ホテル、ブライダル、観光、エアライン、鉄道、製菓・調理と幅広い分野をカバーしています。「産学協同教育」を掲げ、在学中から企業の課題に取り組むプロジェクトを多数実施。Wメジャーカリキュラムで、自分の専門分野以外の知識・スキルも習得可能です。(参照:専門学校名古屋ホスピタリティ・アカデミー公式サイト)

⑯ 専門学校西鉄国際ビジネスカレッジ(福岡)

大手私鉄の西日本鉄道(西鉄)が設立した学校で、地元・九州の観光・サービス業界と非常に強い結びつきを持っています。ホテル・ブライダル科では、西鉄グループのホテルをはじめ、九州全域の有名ホテルへの就職に強みを発揮。実践的なカリキュラムと手厚い就職サポートで、地域社会に貢献する人材を育成しています。(参照:専門学校西鉄国際ビジネスカレッジ公式サイト)

⑰ 福岡ホテル・ウエディング&IR専門学校(福岡)

東京校と同じく滋慶学園グループの一員。九州におけるホテル・ウエディング・IR分野のプロフェッショナルを育成します。最新の施設・設備を備え、業界の動向を反映したカリキュ-ラムを提供。九州初となるIR(統合型リゾート)コースを設置するなど、未来のホスピタリティ業界を見据えた教育を展開しています。(参照:福岡ホテル・ウエディング&IR専門学校公式サイト)

⑱ 広島外語専門学校(広島)

語学教育を強みとする専門学校で、ホテルコースを設置しています。「語学の広島外語」として、徹底した英語教育により、国際的なホテルで通用するコミュニケーション能力を養成。平和都市・広島という立地を活かし、世界中からのゲストをもてなすためのホスピタリティ精神を学びます。(参照:広島外語専門学校公式サイト)

⑲ 沖縄専門学校那覇日経ビジネス(沖縄)

地元沖縄の経済界が設立した学校法人日経教育グループが運営。リゾート観光科の中にホテル・ブライダルコースがあり、世界有数のリゾート地である沖縄の観光産業を支える人材を育成しています。県内の主要リゾートホテルとの連携が強く、実践的な実習と高い就職実績が魅力です。(参照:沖縄専門学校那覇日経ビジネス公式サイト)

⑳ 国際観光専門学校熱海校(静岡)

観光教育のパイオニアとして長い歴史を持つ学校です。温泉地・熱海という立地を活かし、ホテルだけでなく旅館での「おもてなし」についても深く学べるのが特徴。ホテル・ブライダル科を設置し、実習中心のカリキュラムで即戦力を育てます。伝統と革新を両立させた教育を行っています。(参照:国際観光専門学校熱海校公式サイト)

ホテル専門学校で取得を目指せる主な資格

ホテルビジネス実務検定(H検)、レストランサービス技能検定(HRS)、TOEICなどの語学系資格、マナー・プロトコール検定、ブライダルコーディネート技能検定

ホテル専門学校では、業界で働く上で有利となる様々な資格の取得をサポートしています。資格は、あなたのスキルレベルを客観的に証明し、就職活動やキャリアアップにおいて大きな自信と武器になります。ここでは、多くの専門学校で取得を目指せる代表的な資格を5つ紹介します。

ホテルビジネス実務検定(H検)

ホテルビジネス実務検定(H検®)は、ホテル業務に必要な知識を体系的に網羅した、この業界における最も代表的な資格の一つです。特定非営利活動法人ホテルビジネス実務検定協会(J-HBS)が主催しています。

この検定は、宿泊、料飲、宴会といった実務知識はもちろん、マーケティング、総務人事、施設管理、関連法規まで、ホテル運営に関わる幅広い分野から出題されます。レベルは、基礎的な知識を問う「ベーシックレベル(2級・1級)」と、管理職レベルの応用力や判断力を問う「マネジメントレベル(2級・1級)」に分かれています。

専門学校では、まずベーシックレベルの取得を目標に設定しているところが多く、合格のための対策講座も充実しています。この資格を持っていることで、ホテル業界のビジネス構造を理解しているという証明になり、就職活動の際に自己PRの強力な材料となります。入社後も、昇進・昇格の要件としているホテルもあるため、キャリアを通じて役立つ資格です。

レストランサービス技能検定(HRS)

レストランサービス技能検定(HRS)は、料飲サービスに関する知識と技能を証明する唯一の国家資格です。厚生労働省が所管し、公益社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会が試験を実施しています。

試験は学科試験と実技試験で構成され、テーブルサービスにおける一連の流れ(テーブルセッティング、接客応対、オーダーテイク、料理や飲み物の提供、後片付けなど)の正確さ、スピード、そしてサービスの質が問われます。レベルは3級、2級、1級とあり、3級は実務経験がなくても受験できますが、2級、1級となるにつれて一定の実務経験が必要となります。

専門学校の学生は、在学中に3級の取得を目指すのが一般的です。この資格を持つ者は「レストランサービス技能士」を名乗ることができ、高いサービススキルを持つプロフェッショナルであることの証明になります。特に、ホテルのレストランやバー、宴会部門でキャリアを築きたいと考えている人にとっては、非常に価値の高い資格と言えるでしょう。

TOEICなどの語学系資格

今日のホテル業界において、語学力はもはや特別なスキルではなく、必須の能力となりつつあります。特に、世界中からお客様を迎えるホテルでは、英語でのコミュニケーション能力が不可欠です。

その英語力を測る指標として最も広く利用されているのがTOEIC® Listening & Reading Testです。多くのホテルで採用の応募条件や、配属先決定、昇進の参考指標としてTOEIC®スコアが用いられています。一般的に、フロントやコンシェルジュなどの接客部門では600点以上、外資系ラグジュアリーホテルを目指すなら730点以上、あるいはそれ以上のスコアが求められることが多いです。

専門学校では、レベル別の英語クラスやTOEIC®対策講座に力を入れており、在学中に大幅なスコアアップを目指すことができます。また、英語だけでなく、近年増加している中華圏や韓国からのお客様に対応するため、中国語検定(中検)HSK(漢語水平考試)韓国語能力試験(TOPIK)などの資格も、持っていると大きな強みになります。

マナー・プロトコール検定

ホスピタリティのプロとして、洗練された立ち居振る舞いや正しい言葉遣いは基本中の基本です。マナー・プロトコール検定は、社会人として求められるマナーや、国際的な交流の場で必要となる儀礼(プロトコール)に関する知識と技能を測定する検定です。

この検定では、ビジネスマナー、テーブルマナー、冠婚葬祭のマナーといった基本的な内容から、様々な国や文化の習慣、宗教上の配慮、国際的な序列など、より高度で専門的な知識まで問われます。

ホテリエは、国内外のVIPや要人をお迎えする機会も少なくありません。どのようなお客様に対しても失礼なく、かつ心からの敬意をもっておもてなしをするために、マナーやプロトコールの知識は不可欠です。この資格を取得することで、質の高いホスピタリティを提供できる人材であることをアピールできます。

ブライダルコーディネート技能検定

ホテルの重要な収益部門である宴会・ブライダル分野。ウエディングプランナーやバンケットスタッフを目指す人にとって、非常に有効なのがブライダルコーディネート技能検定です。これは、レストランサービス技能検定(HRS)と同じく、国家検定(技能検定)の一つです。

この検定では、新規顧客への接客・提案から、結婚式・披露宴のプランニング、関連法令、宗教に関する知識まで、ブライダルコーディネートに必要な幅広い専門知識と実務能力が問われます。

国家資格であるため信頼性が高く、お客様に安心して大切な一日を任せていただけるプランナーであることの証明になります。ホテルのブライダル部門への就職を目指すなら、ぜひ在学中に取得しておきたい資格です。

ホテル専門学校卒業後の主な就職先と職種

ホテル専門学校で2年間(または3年間)の学びを終えた後、卒業生たちはどのような場所で、どのような仕事に就くのでしょうか。ここでは、卒業後の具体的なキャリアパスについて、主な就職先と目指せる職種を詳しく見ていきましょう。

主な就職先の種類

ホテル専門学校で学んだ知識とスキルは、ホテル業界内はもちろん、ホスピタリティが求められる様々な場所で活かすことができます。

シティホテル・リゾートホテル

最も代表的な就職先が、都市部にあるシティホテルや、観光地にあるリゾートホテルです。これらのホテルは規模が大きく、宿泊、料飲、宴会、ブライダル、レジャー施設など、様々な部門で構成されています。

  • シティホテル: 交通の要衝に位置し、ビジネス利用から観光、国際会議、婚礼まで幅広いニーズに対応します。帝国ホテル、ホテルオークラ、ホテルニューオータニといった国内の老舗ホテルや、ザ・リッツ・カールトン、マリオット、ヒルトンといった外資系のラグジュアリーホテルなどが含まれます。多様なキャリアパスが描けるのが魅力です。
  • リゾートホテル: 軽井沢、箱根、沖縄、北海道といった観光地に立地し、非日常的な空間と体験を提供します。お客様の滞在期間が比較的長いため、よりパーソナルで質の高いサービスが求められます。

ビジネスホテル

駅前などに多く見られる、ビジネス出張者を主なターゲットとしたホテルです。宿泊に特化していることが多く、効率的なオペレーションスキルが身につきます。近年では、「宿泊特化型」でありながらも、デザイン性の高い空間や質の高い朝食、大浴場などで付加価値を高めた新しいタイプのビジネスホテルも増えており、人気の就職先となっています。

旅館

日本ならではの伝統的な「おもてなし」を深く学びたい学生には、旅館も魅力的な選択肢です。和装での接客(仲居)、日本料理の配膳、温泉の管理、日本文化に関する深い知識などが求められます。外国人観光客からの人気も高く、語学力を活かす場面も多くあります。

レストラン・ブライダル施設

ホテルの料飲部門やブライダル部門で働くだけでなく、独立したレストランやゲストハウスウエディング施設なども有力な就職先です。ホテルで学んだ高度なサービススキルや専門知識は、これらの施設でも高く評価されます。特定の分野、例えばフランス料理やイタリアン、あるいはウエディングプロデュースの専門性をより深く追求したい場合に選ばれることが多いです。

その他(空港・旅行会社など)

専門学校で身につけたホスピタリティマインドとコミュニケーション能力は、観光産業全般で通用するポータブルスキルです。そのため、空港のグランドスタッフやキャビンアテンダント、旅行会社のカウンターセールスやツアーコンダクター、テーマパークのキャストなど、ホテル以外の分野へ進む卒業生もいます。

目指せる主な職種

ホテルという一つの建物の中には、多種多様なプロフェッショナルが働いています。ここでは、ホテルを構成する主な部門と、そこで活躍する職種を紹介します。

宿泊部門(フロント、コンシェルジュ、ベルなど)

お客様がホテルに到着してから出発するまで、滞在中のあらゆるお世話をする、まさに「ホテルの顔」と言える部門です。

  • フロントクラーク: チェックイン・チェックアウト、宿泊予約、会計、電話応対などを担当します。
  • コンシェルジュ: 観光案内、レストランや観劇の予約、交通手段の手配など、お客様のあらゆる要望に応える「よろず相談役」です。豊富な知識と高い語学力、提案力が求められます。
  • ベルスタッフ/ドアスタッフ: ロビーでお客様をお迎えし、客室まで荷物を運びます。ホテルでの第一印象と最後の印象を決める重要な役割です。

料飲部門(レストランサービス、バーテンダー、ソムリエなど)

ホテル内のレストランやバーで、食事や飲み物を通じてお客様に満足を提供する部門です。

  • レストランサービス(ウェイター/ウェイトレス): お客様を席へご案内し、オーダーを取り、料理や飲み物を提供します。料理に関する知識も必要です。
  • バーテンダー: カクテルをはじめとする様々なドリンクを作り、提供します。お客様との会話を楽しむコミュニケーション能力も重要です。
  • ソムリエ: ワインの専門家として、仕入れから管理、お客様への提案までを担当します。

宴会・ブライダル部門

企業のパーティーや国際会議といった一般宴会から、人生の晴れ舞台である結婚披露宴まで、様々なイベントを成功に導く部門です。

  • バンケットサービス: 宴会場での料理や飲み物の提供、会場設営などを担当します。
  • ウエディングプランナー: お客様の希望をヒアリングし、最高の結婚式を企画・提案・実行します。
  • 宴会セールス: 企業や団体に宴会の利用を提案し、予約を獲得する営業職です。

マーケティング・セールス部門

お客様をホテルに呼び込むための戦略を立て、実行する裏方の重要な部門です。

  • マーケティング: 市場を分析し、魅力的な宿泊プランやイベントを企画・広報します。
  • セールス(営業): 旅行会社や企業を訪問し、団体客の宿泊や宴会の利用を促進します。

管理部門(総務、経理、人事など)

ホテルの運営を円滑に進めるために、従業員や施設、お金の管理を行うバックオフィス部門です。専門学校から新卒で直接配属されることは稀ですが、現場で経験を積んだ後に、これらの部門へキャリアチェンジする道もあります。

ホテル専門学校に関するよくある質問

社会人や大学卒業後からでも入学できますか?、英語が苦手でも大丈夫ですか?、どんな人がホテル業界に向いていますか?、夜間部や通信制の学校はありますか?、入学試験は難しいですか?

最後に、ホテル専門学校への進学を検討している方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。不安や疑問を解消し、次の一歩を踏み出すための参考にしてください。

社会人や大学卒業後からでも入学できますか?

はい、まったく問題ありません。 多くのホテル専門学校では、社会人や大学・短大卒業生を積極的に受け入れています。実際、クラスには高校新卒者だけでなく、様々な経歴を持つ20代、30代の学生が在籍していることも珍しくありません。

異なる業界からのキャリアチェンジを目指す社会人や、大学で学んだ知識をより実践的なスキルに結びつけたいと考える大卒者にとって、ホテル専門学校は理想的な学びの場です。社会人経験者向けの特別入試制度や、学費の一部が免除される制度を設けている学校もあります。年齢や経歴に関わらず、「ホテリエになりたい」という強い意志があれば、誰にでも門戸は開かれています。

英語が苦手でも大丈夫ですか?

入学時点で英語が堪能である必要はありませんので、大丈夫です。 もちろん、英語力があるに越したことはありませんが、「英語が苦手だから」という理由だけで夢を諦めるのは非常にもったいないことです。

ほとんどのホテル専門学校では、入学後に行うプレイスメントテストの結果に基づいて、習熟度別のクラス編成を行っています。そのため、英語が苦手な人は基礎からじっくりと、得意な人はさらに高いレベルを目指して、自分のペースで学習を進めることができます。ネイティブ講師による実践的な英会話の授業も多く、ホテルで実際に使われるフレーズを中心に学ぶため、モチベーションを維持しながら効率的にスキルアップが可能です。

重要なのは、入学後の2年間で「どれだけ英語力を伸ばせるか」です。苦手意識を克服し、武器に変えるための環境は整っています。

どんな人がホテル業界に向いていますか?

ホテル業界で活躍している人には、いくつかの共通する特性があります。以下のような資質を持つ人は、ホテル業界に向いていると言えるでしょう。

  • 人を喜ばせるのが好き: お客様の笑顔や「ありがとう」の言葉が、何よりのやりがいだと感じられる人。
  • コミュニケーション能力が高い: 初対面の人とでも臆せず話せ、相手の話を丁寧に聞くことができる人。
  • チームで働くのが好き: 多くの仲間と協力して、一つの目標を達成することに喜びを感じる人。
  • 体力と精神的な強さがある: 立ち仕事や不規則なシフトにも対応できる体力と、時にはクレームにも冷静に対処できる精神的な強さ。
  • 好奇心旺盛で勉強熱心: 語学や文化、食、歴史など、様々なことに興味を持ち、学び続けられる人。
  • 気配りができる: 相手が何を求めているかを先読みして、行動できる人。

これらすべてを完璧に満たしている必要はありません。専門学校での学びや実習を通じて、これらの資質を磨いていくことができます。

夜間部や通信制の学校はありますか?

はい、数は少ないですが存在します。

  • 夜間部: 日中は働きながら、夜間に通って学ぶスタイルです。経済的な負担を抑えつつ、キャリアチェンジを目指す社会人に人気があります。記事中で紹介した「専門学校日本ホテルスクール」のように、長い歴史と実績を持つ夜間部を設置している学校もあります。
  • 通信制: 通信制のホテル専門学校は非常に数が限られています。ホテル業務は実践的なスキル習得が不可欠なため、実習(スクーリング)のために定期的に通学する必要がある場合がほとんどです。自分のライフスタイルに合わせて学習計画を立てられるメリットはありますが、高い自己管理能力が求められます。

ホスピタリティ業界を目指す上では、実習環境が整った通学制が一般的ですが、様々な事情で通学が難しい場合は、これらの選択肢も検討してみると良いでしょう。

入学試験は難しいですか?

大学入試の一般選抜のように、学力試験の点数だけで合否が決まるような難しい試験は少ないと言えます。ホテル専門学校の入試で最も重視されるのは、学力よりも「人物」です。

多くの学校で主流となっているAO入試や推薦入試では、主に面接書類選考によって選考が行われます。面接官が見ているのは、以下のような点です。

  • ホテル業界への熱意: なぜホテリエになりたいのか、その学校で何を学びたいのか。
  • コミュニケーション能力: 明るい表情、はきはきとした受け答え、正しい言葉遣い。
  • 学習意欲と将来性: この学校で学び、成長できる人材かどうか。

もちろん、最低限の基礎学力は必要ですが、それ以上に「この仕事がしたい」という強い気持ちを自分の言葉で伝えることが合格への鍵となります。事前にオープンキャンパスに参加して先生と話したり、自己PRをしっかり準備したりすることが大切です。

まとめ:自分に合った専門学校を選んでホテル業界のプロを目指そう

この記事では、ホテル専門学校の基礎知識から、メリット・デメリット、後悔しないための選び方、おすすめの学校、そして卒業後のキャリアに至るまで、網羅的に解説してきました。

ホテル専門学校は、「一流のホテリエになる」という夢への最短ルートとなり得る、非常に魅力的な選択肢です。実践的なスキルを短期間で身につけ、業界との強いパイプを活かして憧れのホテルへの就職を目指せる環境は、何物にも代えがたい価値があります。

しかし、そのメリットを最大限に享受し、後悔のない2年間(または3年間)を送るためには、何よりも「自分に合った学校を選ぶ」ことが不可欠です。パンフレットやウェブサイトの情報だけでなく、この記事で紹介した7つの選び方のポイントを参考に、多角的な視点から学校を比較検討してください。

そして、最も重要なのは、必ずオープンキャンパスに足を運び、自分の目で見て、肌で感じることです。学校の雰囲気、先生や在校生の熱意、施設の充実度を直接確かめることで、あなたにとって最高の学び舎がきっと見つかるはずです。

この記事が、あなたの輝かしい未来への第一歩を踏み出す一助となれば幸いです。自分にぴったりの専門学校で情熱を燃やし、世界中のお客様に感動を提供するプロフェッショナルを目指してください。