ホテルシステム(PMS)とは?主要サービス8選の機能と費用を比較

ホテルシステム(PMS)とは?、主要サービスの機能と費用を比較

現代のホテル運営において、顧客満足度の向上と業務効率化を両立させることは、経営の根幹をなす重要な課題です。多様化する顧客ニーズに応え、激化する競争を勝ち抜くためには、経験や勘に頼る旧来の運営手法から脱却し、データを活用した戦略的なアプローチが不可欠となります。その中心的な役割を担うのが、ホテルシステム(PMS)です。

この記事では、ホテル運営の「頭脳」とも言えるホテルシステム(PMS)について、その基本的な概念から、主要な機能、導入のメリット・デメリット、そして失敗しないための選び方までを網羅的に解説します。さらに、現在市場で提供されている主要なPMSサービスを比較し、自社の施設に最適なシステムを見つけるための具体的なヒントを提供します。

PMSの導入を検討しているホテル・旅館の経営者や現場担当者の方はもちろん、ホテル業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関心のある方にとっても、有益な情報となるでしょう。

ホテルシステム(PMS)とは?

ホテルシステム(PMS)とは?

ホテルシステム、通称PMSは「Property Management System」の略称であり、その名の通り、宿泊施設(Property)を統合的に管理(Management)するためのシステムです。単なる予約管理ツールに留まらず、フロント業務からバックオフィス業務まで、ホテル運営に関わるあらゆる情報を一元化し、業務全体の最適化を図るための基幹システムとして機能します。

ホテル運営の中核を担う管理システム

ホテルシステム(PMS)は、ホテル運営における神経中枢に例えられます。宿泊客の予約情報、顧客の個人情報や宿泊履歴、客室の空き状況や清掃状況、料金設定や会計処理といった、日々発生する膨大な情報をリアルタイムで集約・管理します。

PMSが導入されていない、あるいは機能が不十分な環境を想像してみてください。予約は電話やファックスで受け、手書きの台帳に転記する。空室状況はフロントと清掃スタッフが内線電話で確認し合い、顧客情報は紙のカードで管理する。チェックアウト時の会計は電卓で計算し、売上データはExcelに手入力して集計する。このような手作業中心のオペレーションでは、以下のような問題が頻発しがちです。

  • 予約の転記ミスやダブルブッキング
  • 情報共有の遅れによるお客様への対応の遅延
  • 会計時の計算ミス
  • スタッフの業務負荷増大とそれに伴う接客品質の低下
  • 経営状況のリアルタイムな把握が困難

PMSは、これらの課題を解決するために開発されました。システムが情報を一元管理することで、各部門間でのスムーズな連携を促進し、業務の自動化と標準化を実現します。例えば、オンライン予約サイト(OTA)からの予約は自動でPMSに取り込まれ、客室在庫も即座に更新されるため、ダブルブッキングのリスクを大幅に低減できます。

このように、PMSは単なる業務効率化ツールではなく、ヒューマンエラーを削減し、データの正確性を担保することで、ホテル全体のサービス品質と経営基盤を支える、まさに中核的な存在なのです。スタッフは煩雑な事務作業から解放され、本来注力すべき「おもてなし」に集中できるようになり、結果として顧客満足度の向上にも繋がります。

PMSとサイトコントローラー・ブッキングエンジンの違い

ホテル運営のデジタル化を考える上で、PMSと共によく名前が挙がるのが「サイトコントローラー」と「ブッキングエンジン」です。これらは密接に連携して機能しますが、それぞれ異なる役割を持っています。その違いを正しく理解することは、自社に必要なシステムを適切に選定する上で非常に重要です。

システム名 主な役割 管理対象 特徴
ホテルシステム(PMS) 施設内の業務全般を統合管理する「基幹システム」 予約情報、顧客情報、客室状況、会計、売上データなど、施設内部の情報すべて ホテル運営の司令塔。フロント業務とバックオフィス業務を繋ぎ、情報を一元化する。
サイトコントローラー 複数の販売チャネルを一元管理する「在庫管理システム」 楽天トラベル、じゃらんnetなどのOTAや旅行会社の在庫・料金・予約情報 複数のOTAの部屋の在庫や料金をまとめて調整し、予約情報を自動で取り込む。オーバーブッキングを防ぐ。
ブッキングエンジン 自社公式サイトでの直接予約を受け付ける「予約エンジン」 自社公式サイト経由の予約情報、顧客情報 OTAに支払う手数料がかからず、利益率の高い直接予約を増やすためのツール。デザインの自由度も高い。

サイトコントローラー(Channel Manager)は、楽天トラベルやじゃらんnet、Booking.comといった複数のOTA(Online Travel Agent)や旅行代理店の管理画面を一つにまとめるシステムです。各OTAで販売している客室の在庫や料金を一括で更新できるため、販売機会の損失や、手作業による更新ミス、ダブルブッキング(オーバーブッキング)を防ぐ上で絶大な効果を発揮します。まさに、外部への「販売窓口」を効率的に管理するためのツールと言えます。

一方、ブッキングエンジン(Booking Engine)は、自社の公式ウェブサイトに設置する予約システムのことです。これにより、お客様はホテルの公式サイトから直接、宿泊予約を完了できます。OTA経由の予約には通常10%前後の販売手数料が発生しますが、自社サイトからの直接予約(自社直販)であればその手数料はかかりません。そのため、利益率を向上させ、独自のプランやサービスを提供してお客様を囲い込むための重要なツールとなります。

そして、PMSはこれら全ての情報の「最終的な受け皿」であり、「司令塔」です。サイトコントローラーやブッキングエンジンから入ってきた予約情報は、自動的にPMSに集約されます。PMSはその予約情報に基づき、客室の割り当て(アサイン)、顧客情報の登録、会計データの準備など、施設内でのオペレーションを円滑に進めるための処理を行います。

理想的な連携の形は、「サイトコントローラーとブッキングエンジンが外部からの予約を獲得し、その情報をPMSに自動で流し込み、PMSが施設内の業務を回す」という流れです。この3つのシステムがスムーズに連携することで、予約からチェックアウト、そしてその後の顧客管理までの一連のプロセスがシームレスに繋がり、ホテル運営のDXが完成するのです。したがって、PMSを選ぶ際には、これらの外部システムとの連携がスムーズに行えるかどうかが極めて重要な選定ポイントとなります。

ホテルシステム(PMS)の主な機能

予約管理機能、顧客情報管理機能、客室管理機能、会計・料金管理機能、データ分析・レポーティング機能、外部システムとの連携機能

ホテルシステム(PMS)は、ホテル運営を多角的に支援するための多彩な機能を搭載しています。ここでは、PMSが持つ代表的な6つの機能について、それぞれがどのような役割を果たし、どのように業務効率化やサービス向上に貢献するのかを詳しく解説します。

予約管理機能

予約管理は、PMSの最も基本的かつ中心的な機能です。電話、メール、自社サイト、OTAなど、あらゆるチャネルからの予約情報を一元的に管理し、ホテルの収益の源泉となる予約業務全体を統括します。

この機能の核となるのが、「ルームインジケーター」や「予約台帳」と呼ばれる、客室の予約状況を一覧表示する画面です。縦軸に客室番号や客室タイプ、横軸に日付を配置したカレンダー形式のインターフェースが一般的で、どの部屋がいつからいつまで予約されているか、どの部屋が空いているかを視覚的に一目で把握できます。これにより、スタッフは空室確認の問い合わせに迅速かつ正確に回答できます。

主な機能は以下の通りです。

  • 新規予約の登録: 宿泊者名、連絡先、宿泊日程、人数、利用プランなどの基本情報を入力します。
  • 予約内容の変更・キャンセル処理: 日程変更や人数の増減、プランの変更、キャンセル手続きをシステム上で行います。キャンセルが発生した場合、その客室は自動的に空室在庫として戻され、再販売が可能になります。
  • 団体予約管理: 修学旅行や企業研修などの団体予約に対応します。部屋のブロック(仮押さえ)、代表者情報と個人名の紐付け、一括での請求書発行など、複雑な団体予約の管理を効率化します。
  • 予約情報の自動取り込み: サイトコントローラーやブッキングエンジンと連携することで、OTAや自社サイト経由の予約が自動的にPMSの予約台帳に反映されます。これにより、手作業での転記ミスや、予約の見落としといったヒューマンエラーを根絶できます。

この予約管理機能によって、フロントスタッフは予約受付や確認の電話対応、データ入力といった煩雑な作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

顧客情報管理機能

顧客情報管理機能は、いわばホテルにとってのCRM(Customer Relationship Management)ツールとしての役割を果たします。一度宿泊したお客様の情報を資産として蓄積し、その情報を活用してリピート利用を促進し、顧客満足度を高めることを目的とします。

具体的には、以下のような情報を管理します。

  • 基本情報: 氏名、性別、年齢、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報。
  • 宿泊履歴: 過去の宿泊日、利用した客室タイプ、宿泊料金、利用したプランなど。
  • 利用履歴: レストランやスパ、売店など、館内施設での利用履歴や金額。
  • 顧客の嗜好・要望: 喫煙/禁煙の希望、高層階/低層階の好み、アレルギー情報、記念日(誕生日、結婚記念日)など、お客様に関する特記事項。

これらの情報を蓄積・活用することで、「パーソナライズされたおもてなし」が可能になります。 例えば、リピーターのお客様がチェックインした際に、「〇〇様、いつもご利用ありがとうございます。今回も高層階のお部屋をご用意いたしました」といった声がけができれば、お客様は「自分のことを覚えてくれている」と感じ、ホテルへのロイヤリティが高まります。また、アレルギー情報を事前に把握しておけば、レストランでの食事提供時に細やかな配慮ができます。

さらに、蓄積した顧客データを分析することで、ターゲットを絞ったマーケティング施策を展開できます。例えば、「過去1年間に3回以上宿泊したお客様」や「記念日月に宿泊したお客様」といった条件でリストを抽出し、特別な割引プランや特典付きのメールマガジンを配信することで、効果的に再訪を促すことが可能です。

客室管理機能

客室管理機能は、ホテルの「商品」である客室の状態をリアルタイムで正確に把握し、効率的な運用をサポートする機能です。フロント部門とハウスキーピング(客室清掃)部門とのスムーズな連携を実現します。

この機能の中心は、リアルタイムでの客室ステータス管理です。客室の状態は、主に以下のように分類・管理されます。

  • VI (Vacant Inspected) / VC (Vacant Clean): 空室・清掃済み。すぐに販売・案内できる状態。
  • VD (Vacant Dirty): 空室・未清掃。チェックアウト後で、まだ清掃が終わっていない状態。
  • OC (Occupied Clean): 在室中・清掃済み。連泊客の部屋で、日中の清掃が完了した状態。
  • OD (Occupied Dirty): 在室中・未清掃。連泊客の部屋で、まだ清掃に入っていない状態。
  • OOO (Out of Order): 販売停止。修繕やメンテナンスが必要で、販売できない状態。

これらのステータスがPMS上でリアルタイムに更新されることで、フロントスタッフは「今すぐお客様を案内できる部屋はどれか」を正確に把握できます。これにより、アーリーチェックインの希望にも柔軟に対応しやすくなります。

また、多くのPMSでは、ハウスキーピングスタッフがスマートフォンやタブレットの専用アプリを使って、清掃完了報告ができるようになっています。清掃スタッフがアプリ上で「清掃完了」のボタンを押すと、その情報が即座にPMSに反映され、客室ステータスが「VD」から「VC」に切り替わります。これにより、フロントが内線電話で清掃状況を確認する手間がなくなり、両部門の業務が大幅に効率化されます。

さらに、チェックイン時の部屋割り(アサイン)作業も支援します。顧客の要望(例:禁煙、ツインベッド)や宿泊履歴、あるいは連泊や団体客の部屋を近くに配置するといった条件を考慮しながら、最適な部屋を自動または半自動で割り当てることができます。

会計・料金管理機能

会計・料金管理機能は、宿泊料金や館内施設の利用料金を正確に計算し、チェックアウト時の精算業務をスムーズに行うための機能です。

宿泊料金は、基本料金だけでなく、追加の食事代、アップグレード料金、アーリーチェックイン/レイトチェックアウト料金など、様々な要素で変動します。また、レストランやバー、スパ、売店など、館内各所のPOS(Point of Sale)システムとPMSを連携させることで、お客様が部屋付けにした利用料金を自動的に宿泊勘定に取り込むことができます。これにより、チェックアウト時に各部署に電話で利用状況を確認する必要がなくなり、請求漏れや計算ミスを防ぎます。

主な機能は以下の通りです。

  • 自動料金計算: 宿泊プラン、人数、追加サービスに基づき、請求額を自動で算出します。
  • 請求書(インボイス)発行: チェックアウト時に、明細が記載された請求書を迅速に印刷・発行します。
  • 多様な決済手段への対応: 現金、クレジットカードはもちろん、近年需要が高まっている電子マネーやQRコード決済との連携も可能です。
  • 売掛金管理: 企業契約や旅行代理店経由の予約で発生する後払いの請求(売掛金)を管理し、請求書発行や入金管理をサポートします。
  • 料金プラン管理: シーズンや曜日、イベントの有無などに応じて、複数の料金プラン(レートプラン)を柔軟に設定・管理できます。これにより、需要に応じたダイナミックな価格設定(レベニューマネジメント)の基礎を築きます。

この機能により、精算業務の迅速化と正確性の向上が実現し、お客様を待たせることなくスムーズなチェックアウト体験を提供できます。

データ分析・レポーティング機能

PMSは、日々蓄積される膨大なデータを集計・分析し、経営判断に役立つレポートを作成する強力な機能を持っています。これにより、経験や勘に頼る経営から、データに基づいた客観的な意思決定(データドリブン経営)への移行を可能にします。

主に以下のような経営指標(KPI)を自動で算出し、可視化します。

  • OCC (Occupancy Rate): 販売客室稼働率。 販売可能な客室のうち、実際に販売された客室の割合。
  • ADR (Average Daily Rate): 平均客室単価。 販売した客室の1室あたりの平均販売価格。
  • RevPAR (Revenue Per Available Room): 販売可能客室数あたり収益。 「ADR × OCC」で算出され、ホテルの収益性を測る最も重要な指標の一つ。

これらのKPIを日次、週次、月次、年次といった単位で集計し、過去の同時期との比較分析を行うことで、自社の経営状況を正確に把握できます。

さらに、以下のような多角的な分析も可能です。

  • 予約経路分析: どのOTAからの予約が多いか、自社サイト経由の予約はどのくらいかなどを分析し、費用対効果の高い販売チャネルを見極めます。
  • 顧客属性分析: 年齢層、性別、国籍、リピート回数などを分析し、主要な顧客層を特定します。これにより、ターゲット顧客に響くマーケティング施策の立案に繋がります。
  • リードタイム分析: お客様が宿泊日の何日前に予約する傾向があるかを分析し、早期予約割引プランなどの効果測定に役立てます。

これらのレポート機能を活用することで、経営者は収益改善のための具体的な打ち手を検討し、迅速な意思決定を下すことができるようになります。

外部システムとの連携機能

現代のホテル運営は、PMS単体で完結するものではありません。PMSをハブ(中心)として、様々な外部システムと連携させることで、さらなる業務効率化とサービス品質の向上が実現します。

主要な連携対象システムは以下の通りです。

  • サイトコントローラー/ブッキングエンジン: 前述の通り、予約情報と在庫情報を自動で同期させるための必須の連携です。
  • POS (Point of Sale) システム: レストランや売店の売上情報をPMSの宿泊勘定に自動で連携させます。
  • スマートロック/キーカードシステム: チェックイン時にPMSで発行した暗証番号やキーカード情報がドアロックに自動で反映され、物理的な鍵の受け渡しが不要になります。
  • 会計ソフト: PMSで集計した売上データを会計ソフトにエクスポートし、経理業務を効率化します。
  • セルフチェックイン/チェックアウト機: お客様自身で手続きを完結できるキオスク端末と連携し、フロント業務の省力化を実現します。
  • CRM/MAツール: PMSの顧客データをより高度なマーケティング活動に活用するためのツールと連携します。

PMSのAPI(Application Programming Interface)連携の柔軟性や、連携可能なシステムの豊富さは、PMS選定における非常に重要な評価項目です。自社で利用中、あるいは将来的に導入したいシステムとスムーズに連携できるかを確認することが、DX戦略を成功させる鍵となります。

ホテルシステム(PMS)の2つの導入形態

ホテルシステム(PMS)の導入形態は、大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類に分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあり、施設の規模や方針、予算によって最適な選択は異なります。両者の違いを正しく理解し、自社に合った形態を選びましょう。

項目 クラウド型 オンプレミス型
導入形態 ベンダーが管理するサーバーにインターネット経由でアクセスして利用 自社の施設内にサーバーや機器を設置してシステムを構築・利用
初期費用 安価または無料の場合もある 高価(サーバー、ソフトウェアライセンス購入費など)
運用費用 月額・年額の利用料(ランニングコスト)が発生 サーバー維持費、保守・管理のための人件費など
導入スピード 早い(最短即日〜数週間) 時間がかかる(数ヶ月単位)
アクセス場所 インターネット環境があればどこでも可能 原則として施設内(VPN等で外部接続も可能だが制限あり)
カスタマイズ性 制限あり(標準機能の範囲内での利用が基本) 高い(自社の業務フローに合わせて自由に構築可能)
メンテナンス ベンダー側が自動で実施(アップデート、セキュリティ対策) 自社で実施(専門知識を持つ担当者が必要)
推奨施設 中小規模のホテル・旅館、新規開業施設、多店舗展開の施設 大規模ホテル、チェーンホテル、独自のセキュリティ要件を持つ施設

クラウド型

クラウド型PMSは、インターネット上にあるベンダーのサーバーにアクセスしてシステムを利用する形態です。SaaS(Software as a Service)とも呼ばれます。近年、多くのPMSがこの形態を採用しており、ホテル業界の主流となりつつあります。

最大のメリットは、導入の手軽さとコストの低さです。自社で高価なサーバーを購入・設置する必要がなく、初期費用を大幅に抑えることができます。料金体系は月額制が一般的で、客室数や利用機能に応じたプランが用意されているため、事業規模に合わせてスモールスタートが可能です。

また、インターネット環境さえあれば、パソコンやタブレット、スマートフォンなど、様々なデバイスから場所を問わずにシステムにアクセスできます。例えば、マネージャーが外出先から売上状況を確認したり、自宅から予約状況をチェックしたりといった柔軟な働き方が可能になります。

システムのアップデートやセキュリティパッチの適用、サーバーのメンテナンスといった保守・運用はすべてベンダー側が行ってくれるため、施設側に専門知識を持つIT担当者を置く必要がありません。 法改正や新しい決済方法への対応なども、ベンダーが迅速に行ってくれるため、常に最新の状態でシステムを利用できる安心感があります。

一方で、デメリットとしては、継続的に月額または年額の利用料が発生する点が挙げられます。また、多くのユーザーが共通のプラットフォームを利用するため、オンプレミス型に比べてカスタマイズの自由度は低くなる傾向があります。自社の特殊な業務フローに合わせた独自の機能を追加することは難しい場合があります。さらに、安定したインターネット接続が利用の前提となるため、通信障害が発生するとシステムが利用できなくなるリスクも考慮する必要があります。

オンプレミス型

オンプレミス型PMSは、自社の施設内にサーバーコンピュータを設置し、そこにソフトウェアをインストールしてシステムを構築・運用する、従来型の導入形態です。

最大のメリットは、カスタマイズ性の高さです。自社の業務フローに合わせて、必要な機能を自由に追加・改修することができます。他のシステムとの連携も、独自の仕様に合わせて作り込むことが可能です。そのため、非常に複雑なオペレーションを持つ大規模なホテルや、独自のブランドイメージをシステムにも反映させたい高級ホテルなどで採用されるケースが多く見られます。

また、システムが外部のインターネットから切り離された閉じたネットワーク(イントラネット)内で運用されるため、セキュリティを自社のポリシーに合わせて厳格に管理できるという利点もあります。顧客情報を外部のサーバーに置くことに抵抗がある場合や、極めて高いセキュリティレベルが求められる場合には、オンプレミス型が選択肢となります。一度導入すれば、ソフトウェアのライセンスは自社の資産となり、月額利用料は発生しないため、長期的に見ると総コストを抑えられる可能性もあります。

しかし、導入には多くのハードルが存在します。サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアライセンスの購入に数百万円から数千万円単位の高額な初期投資が必要です。また、システムの構築には数ヶ月単位の期間を要します。

さらに、導入後もサーバーの維持管理、セキュリティ対策、定期的なバックアップ、障害発生時の対応など、システムの保守・運用をすべて自社で行う必要があり、専門知識を持つIT担当者の配置が不可欠です。システムのアップデートも手動で行う必要があり、陳腐化しないように継続的な投資が求められます。これらの運用コストや人的リソースを確保できる体力のある大規模な施設向けの選択肢と言えるでしょう。

ホテルシステム(PMS)を導入する4つのメリット

宿泊業務の効率化と生産性向上、ヒューマンエラーの削減、顧客満足度の向上、データ活用による経営戦略の立案

ホテルシステム(PMS)の導入は、単なるIT化に留まらず、ホテル経営そのものに多大なプラスの効果をもたらします。ここでは、PMSを導入することで得られる4つの主要なメリットについて、具体的なシーンを交えながら深掘りしていきます。

① 宿泊業務の効率化と生産性向上

PMS導入の最も直接的で分かりやすいメリットは、宿泊業務全般における圧倒的な効率化と生産性の向上です。手作業に依存した従来のオペレーションでは、多くの時間と労力が単純作業に費やされていました。PMSはこれらの作業を自動化・システム化することで、スタッフを非生産的な業務から解放します。

例えば、予約管理業務を考えてみましょう。従来は、OTAからの予約通知メールやFAXを見て、手作業で予約台帳に転記していました。この作業には時間がかかる上、転記ミスや見落としのリスクが常に伴います。しかし、PMSとサイトコントローラーを連携させれば、予約情報は24時間365日、自動的にPMSに取り込まれ、在庫情報もリアルタイムで更新されます。 これにより、フロントスタッフは予約の入力作業から解放され、ダブルブッキングの心配をすることなく、安心して他の業務に取り組めます。

チェックイン・チェックアウト業務も同様です。PMSがあれば、予約情報を呼び出すだけで宿泊者情報が画面に表示され、宿泊料金も自動計算されます。ルームキーの発行や精算処理もスムーズに行えます。セルフチェックイン機と連携すれば、お客様自身で手続きを完結させることも可能になり、フロントの混雑緩和とスタッフの負担軽減に繋がります。

このように、予約、フロント、会計、清掃といった各部門の業務がPMSを介してシームレスに連携し、情報共有が円滑になることで、業務プロセス全体が最適化されます。その結果、スタッフは煩雑な事務作業から解放され、お客様へのきめ細やかな対応や、より質の高いサービスを提供するなど、本来注力すべき「おもてなし」に多くの時間を割けるようになります。 これこそが、生産性向上の本質的な価値と言えるでしょう。

② ヒューマンエラーの削減

ホテル運営において、ヒューマンエラーは信用の失墜に直結する深刻な問題です。ダブルブッキング(オーバーブッキング)、料金の計算ミス、顧客の要望の伝達漏れなど、手作業に起因するミスは、お客様に多大な迷惑をかけるだけでなく、ホテルの評判を大きく損なう原因となります。

PMSは、業務プロセスの標準化と自動化を通じて、これらのヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけることができます。

  • ダブルブッキングの防止: サイトコントローラーとの連携により、すべての販売チャネルの在庫が一元管理されるため、同じ部屋を重複して販売してしまうミスを防ぎます。
  • 料金計算ミスの防止: 宿泊プランや追加サービスの料金はシステムにマスタ登録されており、チェックアウト時には自動で正確な請求額が算出されます。手計算による間違いは起こりません。
  • 情報伝達漏れの防止: お客様からの「禁煙室希望」「アレルギーがある」といった重要な要望は、予約情報に紐づけてPMSに記録されます。この情報はフロント、レストラン、ハウスキーピングなど、関係する全部門のスタッフがリアルタイムで共有できるため、「言った、言わない」のトラブルや、担当者不在による伝達漏れを防ぐことができます。
  • 転記ミスの防止: 予約情報や顧客情報を手書きの台帳やExcelに転記する必要がなくなるため、入力ミスそのものが発生しません。

正確な情報管理は、安定したホテル運営の土台であり、お客様からの信頼を獲得するための第一歩です。PMSを導入することは、属人化した業務から脱却し、誰が担当しても一定の品質を保てる、ミスの起こりにくいオペレーション体制を構築することに繋がるのです。

③ 顧客満足度の向上

業務効率化やヒューマンエラー削減によってもたらされる最終的な恩恵の一つが、顧客満足度(CS)の向上です。PMSは、直接的・間接的に、お客様の宿泊体験をより快適で価値あるものに変える力を持っています。

まず、業務効率化によって生まれた時間的な余裕は、スタッフの心にも余裕をもたらします。事務作業に追われることなく、笑顔でお客様を迎え、一人ひとりの要望に耳を傾け、丁寧に対応することができます。スムーズで待たされることのないチェックイン・チェックアウト体験は、お客様のストレスを軽減し、旅の始まりと終わりを気持ちの良いものにします。

さらに、PMSの顧客情報管理機能は、「パーソナライズされたおもてなし」を実現するための強力な武器となります。過去の宿泊履歴や記録された要望に基づき、「〇〇様、お帰りなさいませ。前回お気に召していただいた、窓からの眺めが良いお部屋をご用意いたしました」といった対応が可能になります。誕生日や記念日を把握していれば、ささやかなお祝いのメッセージカードや小菓子を用意することもできるでしょう。

このような細やかな配慮は、お客様に「大切にされている」「自分のことを理解してくれている」という特別な感情を抱かせます。画一的なサービスではなく、自分だけの為にカスタマイズされたサービスを受けるという体験は、深い満足感と感動を生み、ホテルへの強い愛着(ロイヤリティ)を育みます。

結果として、「またこのホテルに泊まりたい」というリピーターを増やし、好意的な口コミを広げてもらうことに繋がります。PMSは、単なる管理ツールではなく、顧客との良好な関係を築き、ファンを創造するためのプラットフォームでもあるのです。

④ データ活用による経営戦略の立案

PMSは、日々の運営で発生するあらゆるデータを蓄積する「宝の山」です。このデータを正しく活用することで、経営者は経験や勘といった主観的な判断から脱却し、客観的なデータに基づいた戦略的な意思決定(データドリブン経営)を行うことが可能になります。

PMSのレポーティング機能を使えば、稼働率(OCC)、平均客室単価(ADR)、RevPARといった重要な経営指標をリアルタイムで把握できます。日次や月次のレポートを分析し、前年同月比や予算比を確認することで、経営状況を正確に評価し、問題点を早期に発見することができます。

例えば、「稼働率は高いのに、利益が伸び悩んでいる」という課題が見つかった場合、ADRやRevPARの推移を詳しく分析します。すると、「特定OTA経由の割引プランの比率が高く、客室単価を押し下げている」といった原因が浮かび上がってくるかもしれません。その場合、手数料の低い自社サイトからの直接予約を強化する施策や、付加価値の高い宿泊プランを造成するといった具体的な対策を検討できます。

また、予約経路の分析を行えば、どの販売チャネルが最も収益に貢献しているかが一目瞭然です。費用対効果の低い広告宣伝費を削減し、効果の高いチャネルにリソースを集中させるといった、効率的なマーケティング戦略の立案が可能になります。

顧客データの分析も重要です。どのような年齢層や居住地のお客様が多いのか、リピーターと新規顧客の比率はどのくらいか、といった情報を分析することで、より的確なターゲティングが行えます。

このように、PMSが提供するデータを羅針盤とすることで、需要予測に基づいた最適な料金設定(レベニューマネジメント)や、効果的な販売戦略、顧客ターゲットに合わせたサービス開発など、科学的根拠に基づいた精度の高い経営戦略を立案・実行できるようになります。

ホテルシステム(PMS)導入のデメリットと注意点

ホテルシステム(PMS)の導入は多くのメリットをもたらしますが、一方で、事前に理解しておくべきデメリットや注意点も存在します。これらを軽視すると、導入が失敗に終わったり、期待した効果が得られなかったりする可能性があります。ここでは、主な2つの課題について解説します。

導入・運用にコストがかかる

当然のことながら、高機能なシステムを導入・運用するには相応のコストが発生します。 これは、PMS導入を検討する上で最も大きなハードルの一つです。コストは、主に「初期費用」と「ランニングコスト」に分けられます。

初期費用は、システムを導入する際に一度だけ発生する費用です。

  • オンプレミス型の場合: サーバーやネットワーク機器の購入費、ソフトウェアのライセンス購入費、システム構築のための設定作業費などがかかり、数百万円から、大規模なものでは数千万円に及ぶこともあります。
  • クラウド型の場合: 初期費用は無料、あるいは数万円から数十万円程度と、オンプレミス型に比べて大幅に低く抑えられています。しかし、データ移行や初期設定のサポートが有償オプションとなっている場合もあるため、契約前によく確認する必要があります。

ランニングコストは、システムの利用を継続するために定期的に発生する費用です。

  • クラウド型の場合: 主に月額または年額の利用料が発生します。料金体系はベンダーによって様々で、「客室数に応じた従量課金制」や「機能に応じた固定料金制」などがあります。一般的には、月額数万円から数十万円程度が相場となります。
  • オンプレミス型の場合: 月額利用料は発生しませんが、サーバーの電気代、故障時の修理・交換費用、セキュリティを維持するためのメンテナンス費用、そして何よりも専門のIT担当者を雇用するための人件費といった、目に見えにくいコストが継続的にかかります。

これらのコストを単なる「出費」として捉えるのではなく、将来の業務効率化、売上向上、顧客満足度向上によって得られるリターンを考慮した「投資」であるという視点が重要です。導入を検討する際には、複数のベンダーから見積もりを取得し、自社の予算と照らし合わせながら、費用対効果を慎重に見極める必要があります。「安かろう悪かろう」で必要な機能が欠けていては意味がありませんし、逆にオーバースペックで使わない機能ばかりのシステムに高額な費用を払うのも非効率です。

スタッフの教育と操作に慣れる時間が必要

新しいシステムを導入するということは、これまでの業務フローを大きく変えることを意味します。たとえどれだけ優れたPMSを導入したとしても、それを使うスタッフが操作方法を習得し、新しい業務プロセスに慣れなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。

特に、長年手作業での業務に慣れ親しんできたスタッフや、ITツールに苦手意識を持つスタッフがいる場合、新しいシステムへの移行には心理的な抵抗が伴うことがあります。操作が覚えられず、かえって業務に時間がかかってしまったり、ミスを恐れて以前の方法に戻ろうとしたりするケースも少なくありません。

この課題を乗り越えるためには、導入前の周到な準備と、継続的なサポートが不可欠です。

  • 導入計画の共有: なぜPMSを導入するのか、それによってどのようなメリットがあるのかを全スタッフに丁寧に説明し、目的意識を共有します。
  • 十分な研修期間の確保: ベンダーが提供する導入トレーニングを積極的に活用し、全スタッフが操作方法を学ぶ機会を設けます。本稼働前に、テスト環境で実際に操作を練習する時間を十分に確保することが重要です。
  • マニュアルの整備: 自社の運用に合わせた分かりやすい操作マニュアルを作成し、いつでも参照できるようにしておきます。動画マニュアルなどを用意するのも効果的です。
  • サポート体制の構築: 導入初期は疑問やトラブルが発生しやすいため、すぐに質問できる担当者を決めたり、ベンダーのサポートデスクを気軽に利用できる雰囲気を作ったりすることが大切です。

システムの導入は、契約して終わりではありません。むしろ、全スタッフがシステムを使いこなし、その効果を実感できるまでが導入プロジェクトです。 スタッフの習熟度を考慮せずに導入を急ぐと、現場の混乱を招き、最悪の場合、サービス品質の低下に繋がりかねません。スタッフの教育コストと慣れるまでの時間をあらかじめ織り込み、余裕を持ったスケジュールで導入を進めることが成功の鍵となります。

失敗しないホテルシステム(PMS)の選び方と比較ポイント

施設の規模や形態に合っているか、課題を解決する機能が搭載されているか、スタッフ全員が使いやすい操作性か、外部システムとスムーズに連携できるか、費用は予算に見合っているか、サポート体制は充実しているか、セキュリティ対策は万全か

数多くのベンダーから多種多様なホテルシステム(PMS)が提供されており、どれを選べば良いか迷ってしまうことも少なくありません。自社にとって最適なPMSを導入するためには、いくつかの重要なポイントを押さえて比較検討することが不可欠です。ここでは、失敗しないための7つの選定基準を詳しく解説します。

施設の規模や形態に合っているか

まず最初に確認すべきは、そのPMSが自社の施設の規模や業態(ビジネスモデル)に適しているかという点です。ホテルと一言で言っても、その種類は様々です。

  • 大規模ホテル/チェーンホテル: 数百室規模の客室管理、宴会場やレストランとの連携、法人契約管理、複数の施設を統括する本部機能など、複雑なオペレーションに対応できる高機能なPMS(多くはオンプレミス型や大規模向けのクラウド型)が必要です。
  • ビジネスホテル: 効率的なフロント業務、法人顧客管理、スピーディーなチェックイン・チェックアウトが重視されます。セルフチェックイン機との連携機能などもポイントになります。
  • リゾートホテル/旅館: 宿泊だけでなく、食事(部屋食、個室食事処など)、温泉、スパ、アクティビティといった付帯サービスの予約・管理機能が重要です。複雑なパッケージプランの作成や、きめ細やかな顧客情報管理機能が求められます。
  • ホステル/ゲストハウス: ドミトリー(相部屋)のベッド単位での在庫管理や、男女別の部屋割りといった特殊な管理機能に対応している必要があります。
  • 民泊/小規模ホテル: 低コストで導入でき、スマートフォンやタブレットで手軽に操作できるシンプルなクラウド型PMSが適しています。無人・省人化運営を支援するスマートロック連携や自動メッセージ機能などが強みになります。

提供されている料金プランが、自社の客室数に見合っているかも重要な確認事項です。自社の特性を理解し、その業態に特化した機能や導入実績が豊富なPMSを選ぶことが、最初のステップとなります。

課題を解決する機能が搭載されているか

「多機能なシステム=良いシステム」と安易に考えるのは危険です。重要なのは、自社が現在抱えている経営上・運営上の課題を具体的に解決してくれる機能が備わっているかです。

まずは、自社の課題を洗い出してみましょう。

  • 「ダブルブッキングが頻発して困っている」
  • 「フロントのチェックイン業務が混雑し、お客様を待たせている」
  • 「リピーターが増えず、新規顧客の獲得コストばかりかかっている」
  • 「清掃スタッフとの連携がうまくいかず、客室の準備に時間がかかる」
  • 「売上データはあるが、経営分析に活かせていない」

これらの課題に対して、PMSがどのように貢献できるかを具体的に検討します。例えば、「ダブルブッキング」が課題ならサイトコントローラーとの連携がスムーズなことは必須条件です。「リピーター育成」が課題なら、詳細な顧客情報を蓄積・分析できるCRM機能が充実しているPMSを選ぶべきです。

機能一覧表を眺めるだけでなく、自社の課題リストと照らし合わせながら、本当に必要な機能を見極めることが、費用対効果の高い投資に繋がります。

スタッフ全員が使いやすい操作性か

PMSは、フロントスタッフだけでなく、予約担当、経理担当、清掃担当、そして経営者まで、様々な立場のスタッフが日常的に利用するツールです。そのため、ITの専門家でなくても直感的に理解でき、誰でも簡単に使える操作性(ユーザーインターフェース/UI)は極めて重要です。

画面の見た目がごちゃごちゃしていたり、目的の機能にたどり着くまでに何度もクリックが必要だったりするシステムは、現場のストレスを増大させ、かえって生産性を低下させる原因になります。

操作性を確認するためには、資料請求やウェブサイトの情報だけでは不十分です。必ず無料トライアルやデモンストレーションを申し込み、実際にシステムを触ってみることを強く推奨します。その際は、マネージャーだけでなく、実際に日常業務でシステムを使用する現場のスタッフにも参加してもらい、率直な意見を聞くことが大切です。「この画面は分かりやすいか」「毎日この操作を続けられそうか」といった現場の感覚が、導入後の定着を左右します。

外部システムとスムーズに連携できるか

前述の通り、PMSはホテル運営の「ハブ」となるシステムです。そのため、現在利用している、あるいは将来的に導入を検討している外部システムと円滑に連携できるかは、必ず確認しなければならない最重要ポイントの一つです。

特に、以下のシステムとの連携は多くの施設にとって必須となるでしょう。

  • サイトコントローラー
  • ブッキングエンジン(自社サイト予約システム)
  • POSシステム(レストラン、売店など)
  • 会計ソフト

これらのシステムとの連携がAPIなどを通じて自動化されていれば、データの手入力が不要になり、一元管理のメリットを最大限に享受できます。逆に、連携が不十分だと、システム間でCSVファイルを手動でエクスポート・インポートするといった手間が発生し、業務効率が大きく損なわれます。

導入したいPMSが、自社で使っているサイトコントローラーやPOSシステムのメーカーと公式に連携しているか、連携実績は豊富か、といった点をベンダーに具体的に確認しましょう。

費用は予算に見合っているか

導入・運用コストが、自社の予算の範囲内に収まるかどうかの検討も欠かせません。クラウド型の場合は、初期費用と月額ランニングコストの両方を正確に把握しましょう。

月額料金の体系はベンダーによって様々です。

  • 客室数に応じた従量課金
  • 利用機能に応じたプラン制
  • 予約件数に応じた成果報酬型

自社の施設の規模や予約状況を考慮し、どの料金体系が最もコストパフォーマンスが高いかをシミュレーションしてみましょう。また、基本料金に含まれる機能の範囲と、別途料金が発生するオプション機能の範囲を明確に区別しておくことも重要です。「便利な機能だと思ったら、実は高額なオプションだった」ということがないように注意が必要です。契約期間の縛りや、解約時の条件についても事前に確認しておくと安心です。

サポート体制は充実しているか

システムにトラブルはつきものです。特に、24時間365日稼働しているホテルにとって、「いざという時に頼れるサポート体制」が整っているかは、PMSを安心して利用し続けるための生命線です。

以下の点を確認しましょう。

  • サポート対応時間: 24時間365日対応か、平日の日中のみか。深夜や早朝にチェックイン・チェックアウトがあるホテルでは、夜間・休日のサポートは必須です。
  • サポート対応方法: 電話、メール、チャットなど、どのような問い合わせ手段が用意されているか。緊急時に迅速に対応してもらえる電話サポートがあると心強いです。
  • サポートの質: 導入時の初期設定や操作方法のトレーニングはどこまで行ってくれるか。専任の担当者がつくかなど、サポートの質も重要です。

導入実績が豊富なベンダーは、ホテル特有の事情を理解した質の高いサポートを提供してくれる傾向があります。

セキュリティ対策は万全か

PMSは、お客様の氏名や連絡先、場合によってはクレジットカード情報といった、極めて機密性の高い個人情報を大量に取り扱います。万が一、これらの情報が漏洩すれば、お客様に多大な迷惑をかけるだけでなく、ホテルの信用は失墜し、経営に深刻なダメージを与えます。

そのため、ベンダーがどのようなセキュリティ対策を講じているかを厳しくチェックする必要があります。

  • 第三者認証の取得状況: ISMS(ISO27001)認証やプライバシーマーク(Pマーク)など、情報セキュリティに関する客観的な認証を取得しているかは、信頼性を測る一つの指標です。
  • 技術的な対策: 通信の暗号化(SSL/TLS)、不正アクセスを防ぐファイアウォール、データのバックアップ体制、アクセス権限の細かい設定が可能か、などを確認します。
  • データセンターの安全性(クラウド型の場合): データを保管しているデータセンターが、物理的なセキュリティや災害対策の面で信頼できる場所にあるかも重要なポイントです。

自社の大切な情報資産と、お客様からの信頼を守るため、セキュリティ対策に妥協は許されません。

おすすめホテルシステム(PMS)8選

ここでは、日本国内で導入実績が豊富で、多くのホテル・旅館から支持されている代表的なホテルシステム(PMS)を8つご紹介します。それぞれに特徴や強みがあるため、「選び方」で解説したポイントを参考に、自社の施設に合ったシステムを見つけるための比較検討にお役立てください。

※掲載している情報は、各サービスの公式サイトに基づいたものです。料金や機能の詳細は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

サービス名 運営会社 特徴 料金(目安) 参照元
trawell 株式会社キャディッシュ 旅館・ホテルに特化した老舗PMS。柔軟なカスタマイズ性と手厚いサポートが強み。 要問い合わせ 株式会社キャディッシュ公式サイト
suitebook SQUEEZE株式会社 無人・省人化運営に強み。スマートロックやセルフチェックイン端末との連携がスムーズ。 月額9,900円(税込)〜 SQUEEZE株式会社公式サイト
innto 株式会社innto シンプルで直感的な操作性が特徴。中小規模のホテル・旅館向け。 月額9,900円(税込)〜 株式会社innto公式サイト
HOTEL SMART メトロエンジン株式会社 AIを活用したレベニューマネジメント機能が強力。データ分析による収益最大化を支援。 要問い合わせ メトロエンジン株式会社公式サイト
TAP 株式会社タップ 大規模ホテル・リゾートホテルでの導入実績が豊富。基幹システムとして幅広い業務をカバー。 要問い合わせ 株式会社タップ公式サイト
AirHost PMS 株式会社エアホスト 民泊・小規模ホテルに特化。予約管理から清掃管理、メッセージ自動化まで一気通貫で対応。 月額2,200円(税込)/施設〜 株式会社エアホスト公式サイト
Staysee 合同会社Staysee 無料プランから始められるのが最大の特徴。小規模施設や個人オーナー向け。 無料プランあり。有料プランは月額2,970円(税込)〜 合同会社Staysee公式サイト
Beds24 Beds24株式会社 ドイツ発のグローバルなPMS。多言語・多通貨対応で、インバウンド需要の取り込みに強い。 月額料金制(客室数により変動) Beds24株式会社公式サイト

① trawell

trawellは、株式会社キャディッシュが提供する、旅館・ホテル業界で長年の実績を持つPMSです。特に日本の旅館文化に深く根差した機能が充実しており、部屋食や宴会管理、きめ細やかな顧客管理など、複雑なオペレーションに対応できる柔軟性が強みです。オンプレミス型とクラウド型の両方を提供しており、施設の規模や要望に応じた導入形態を選択できます。全国をカバーする手厚いサポート体制にも定評があり、システムの安定稼働を重視する施設から高い信頼を得ています。(参照:株式会社キャディッシュ公式サイト)

② suitebook

suitebookは、SQUEEZE株式会社が運営するクラウド型PMSです。「無人・省人化運営」にフォーカスしている点が最大の特徴で、スマートロックやセルフチェックイン用のタブレット、スマートスピーカーなど、最先端のIoTデバイスとの連携機能が充実しています。チェックインからチェックアウトまでのプロセスを自動化することで、スタッフの業務負担を大幅に軽減し、人手不足の解消に貢献します。ブティックホテルやデザインホテル、省人化を目指す宿泊施設に適しています。(参照:SQUEEZE株式会社公式サイト)

③ innto

innto(イントゥ)は、株式会社inntoが提供するクラウド型PMSです。「シンプルで、誰でも使いやすい」ことを追求した、直感的で分かりやすいインターフェースが特徴です。予約管理、顧客管理、客室管理といった基本機能を網羅しつつ、複雑さを排除しているため、ITに不慣れなスタッフでもスムーズに導入・運用を開始できます。主に中小規模のホテルや旅館をターゲットとしており、手頃な価格設定も魅力の一つです。(参照:株式会社innto公式サイト)

④ HOTEL SMART

HOTEL SMARTは、メトロエンジン株式会社が開発・提供するクラウド型PMSです。このシステムの最大の特徴は、AI(人工知能)を活用した高度なレベニューマネジメント機能を標準搭載している点です。競合施設の価格や地域のイベント情報、過去の予約実績などの膨大なデータをAIが分析し、最適な宿泊料金を自動で提案します。データに基づいた価格戦略で収益の最大化を目指したい、すべての規模の施設におすすめできるサービスです。(参照:メトロエンジン株式会社公式サイト)

⑤ TAP

TAP(タップ)は、株式会社タップが提供するPMSで、国内のシティホテルやリゾートホテルといった大規模施設においてトップクラスのシェアを誇ります。宿泊、宴会、レストラン、婚礼など、ホテル内のあらゆる部門を統合管理する基幹システムとして機能します。長年の実績に裏打ちされた信頼性と、大規模オペレーションに対応する豊富な機能群が強みです。主にオンプレミス型での提供となり、施設の業務フローに合わせた詳細なカスタマイズが可能です。(参照:株式会社タップ公式サイト)

⑥ AirHost PMS

AirHost PMSは、株式会社エアホストが提供する、民泊、ゲストハウス、小規模ホテルといった領域に強みを持つクラウド型PMSです。複数のOTAとの連携はもちろん、ゲストへの定型メッセージの自動送信機能や、清掃スタッフへのタスク自動割り当て機能など、運営を徹底的に自動化・効率化するための機能が充実しています。少人数での施設運営や、複数の物件を管理するオーナーにとって、非常に強力なツールとなります。(参照:株式会社エアホスト公式サイト)

⑦ Staysee

Staysee(ステイシー)は、合同会社Stayseeが提供するクラウド型PMSです。最大の特徴は、月額費用0円のフリープランが用意されている点です。客室数や予約件数に一部制限はありますが、基本的な予約管理や顧客管理機能は無料で利用できます。そのため、「まずはPMSがどのようなものか試してみたい」「開業したばかりでコストを抑えたい」といった小規模施設や個人オーナーにとって、導入のハードルが非常に低いサービスと言えます。必要に応じて機能を追加できる有料プランも用意されています。(参照:合同会社Staysee公式サイト)

⑧ Beds24

Beds24は、ドイツで開発され、世界中で利用されているグローバルなクラウド型PMSです。多言語・多通貨に標準で対応しており、海外のOTAとの連携も豊富なため、インバウンド顧客を積極的に取り込みたい施設に最適です。ドミトリー管理や柔軟な料金設定など、機能性も非常に高く、ホステルからホテルまで幅広い業態に対応します。世界中のユーザーからのフィードバックを元に、常に機能がアップデートされ続けている点も魅力です。(参照:Beds24株式会社公式サイト)

ホテルシステム(PMS)導入の流れ

課題の洗い出しと目的の明確化、情報収集と製品の比較検討、デモや問い合わせで詳細を確認、契約と導入準備、運用開始と効果測定

自社に最適なPMSを見つけた後、実際に導入して運用を開始するまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。計画的に進めることで、スムーズな移行と導入効果の最大化が期待できます。ここでは、一般的な導入プロセスを5つのステップに分けて解説します。

STEP1:課題の洗い出しと目的の明確化

すべての始まりは、「現状の課題は何か?」そして「PMSを導入して何を達成したいのか?」を明確にすることです。これが曖昧なままでは、最適なシステムを選ぶことも、導入後の効果を測定することもできません。

  • 課題の洗い出し: フロント、予約、経理、清掃など、各部門のスタッフからヒアリングを行い、「予約の転記に時間がかかりすぎる」「部門間の情報共有が遅い」「顧客データを活用できていない」といった具体的な問題点をリストアップします。
  • 目的の明確化: 洗い出した課題をもとに、導入後のゴールを設定します。例えば、「予約管理業務にかかる時間を30%削減する」「リピート率を前年比で10%向上させる」「ダブルブッキングをゼロにする」といった、できるだけ具体的で測定可能な目標(KPI)を立てることが重要です。

この最初のステップが、導入プロジェクト全体の羅針盤となります。

STEP2:情報収集と製品の比較検討

STEP1で明確になった目的を達成できるPMSを探すフェーズです。インターネット検索や業界の展示会、同業者からの紹介などを通じて、候補となる製品の情報を収集します。

この段階では、各ベンダーの公式サイトや製品資料を比較し、「失敗しないホテルシステム(PMS)の選び方」で解説した7つのポイント(施設の規模・形態、機能、操作性、連携性、費用、サポート、セキュリティ)に沿って、自社の要件を満たす製品を3〜5社程度に絞り込みます。この段階で、各社の料金体系や機能一覧をまとめた比較表を作成すると、検討がスムーズに進みます。

STEP3:デモや問い合わせで詳細を確認

候補となるPMSを絞り込んだら、次はより具体的な情報を得るために、ベンダーに直接アプローチします。

  • デモンストレーションの依頼: 営業担当者に依頼し、オンラインまたは訪問形式で実際のシステム画面を見ながら操作説明を受けます。この際、自社の課題を具体的に伝え、そのシステムでどのように解決できるのかをシミュレーションしてもらうと、導入後のイメージが湧きやすくなります。デモには、必ず現場のスタッフにも同席してもらいましょう。
  • 無料トライアルの活用: 無料の試用期間が設けられている場合は、積極的に活用しましょう。実際にデータを入力したり、予約処理を行ったりすることで、マニュアルだけでは分からない操作感やレスポンスの速さを体感できます。
  • 見積もりの取得: 初期費用や月額費用、オプション料金などを含んだ詳細な見積もりを依頼します。複数のベンダーから見積もりを取ることで、費用の妥当性を判断する「相見積もり」が重要です。

このステップで得た情報をもとに、導入するPMSを1社に最終決定します。

STEP4:契約と導入準備

導入するPMSを決定したら、ベンダーと契約を締結し、本格的な導入準備に移ります。

  • 契約内容の確認: 料金、サービス内容、サポート範囲、契約期間、解約条件などを契約書で再度詳細に確認します。
  • 導入スケジュールの策定: ベンダーの担当者と協力し、データ移行、システム設定、スタッフトレーニング、本稼働開始日(Go-Live)までの一連のスケジュールを具体的に決定します。
  • データ移行の準備: 既存の顧客台帳や予約データを、新しいPMSに移行するための準備を進めます。データの形式を整えたり、クリーニングしたりする作業が必要になる場合があります。
  • スタッフへの説明とトレーニング: 全スタッフを対象とした説明会を開き、導入の目的とスケジュールを共有します。その後、ベンダーによる操作トレーニングを実施し、本稼働に向けた習熟度を高めます。

この準備期間を丁寧に行うことが、スムーズな運用開始に繋がります。

STEP5:運用開始と効果測定

設定した本稼働日(Go-Live)から、いよいよ新しいPMSでの運用がスタートします。

  • 初期の並行稼働とサポート活用: 導入直後は、予期せぬトラブルや操作に関する疑問が発生しやすい時期です。可能であれば、旧システムと短期間だけ並行稼も検討し、ベンダーのサポートデスクを積極的に活用しながら、問題を一つずつ解決していきます。
  • 効果測定と改善: システムの運用が安定してきたら(通常は1〜3ヶ月後)、STEP1で設定したKPI(業務削減時間、リピート率など)を測定し、導入効果を評価します。目標が達成できていなければ、運用の仕方を見直したり、活用できていない機能がないかを確認したりして、継続的に改善(PDCAサイクル)を回していくことが重要です。

PMSの導入はゴールではなく、より良いホテル経営を実現するためのスタートです。システムを最大限に活用し続けることで、その価値はさらに高まっていきます。

ホテルシステム(PMS)に関するよくある質問

ここでは、ホテルシステム(PMS)の導入を検討する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

費用相場はどれくらいですか?

ホテルシステム(PMS)の費用は、導入形態(クラウド型/オンプレミス型)、施設の規模(客室数)、必要な機能などによって大きく変動するため、「一概にいくら」と断言することは難しいのが実情です。しかし、大まかな目安として以下のように整理できます。

【クラウド型の場合】

  • 初期費用: 0円 〜 30万円程度。無料のサービスもあれば、初期設定やデータ移行のサポート費用として数十万円かかる場合もあります。
  • 月額費用: 数千円 〜 数十万円程度。料金体系は様々です。
    • 客室数に応じた従量課金: 例)1室あたり500円/月
    • 固定料金: 例)月額50,000円(50室まで)
    • 機能に応じたプラン制: 例)基本プラン月額30,000円、CRM機能付きプラン月額50,000円

小規模な施設であれば月額数万円から、中〜大規模の施設であれば月額10万円以上が一つの目安となるでしょう。

【オンプレミス型の場合】

  • 初期費用: 数百万円 〜 数千万円。サーバーやネットワーク機器の購入、ソフトウェアライセンス、個別のカスタマイズ開発費などを含めると、非常に高額になります。
  • 運用費用: 月額利用料はかかりませんが、サーバーの電気代やメンテナンス費用、保守を担当する人件費などが別途発生します。

正確な費用を知るためには、自社の要件を伝えた上で、複数のベンダーから見積もりを取得することが不可欠です。

無料で使えるホテルシステムはありますか?

はい、無料で利用できるホテルシステム(PMS)も存在します。

代表的な例として、本記事でも紹介した「Staysee」などが挙げられます。これらの無料プランは、主に以下のような特徴があります。

  • 機能制限: 利用できる機能が基本的なもの(予約管理、顧客管理など)に限定されている。高度な分析機能や外部システム連携は有料オプションの場合が多い。
  • 客室数や予約数の上限: 管理できる客室数や、月に処理できる予約数に上限が設けられている。
  • サポートの制限: サポートがメールのみであったり、返信に時間がかかったりすることがある。

これらの無料PMSは、「開業したばかりで、とにかくコストを抑えたい」「まずは試しにPMSを使ってみたい」「客室数がごく少ない個人経営の施設」といった場合には、非常に有効な選択肢となります。

ただし、事業が成長し、より高度な機能や手厚いサポートが必要になった際には、有料プランへのアップグレードや、他の高機能なPMSへの乗り換えを検討する必要が出てくるでしょう。本格的なホテル運営を目指すのであれば、将来的な拡張性も視野に入れ、初期から有料のサービスを選択することも一つの賢明な判断です。

まとめ

本記事では、ホテルシステム(PMS)について、その基本的な役割から具体的な機能、導入のメリット・デメリット、そして失敗しないための選び方まで、幅広く解説してきました。

ホテルシステム(PMS)は、もはや単なる予約管理ツールではありません。それは、ホテル運営のあらゆる情報を一元化し、業務効率化、ヒューマンエラー削減、顧客満足度の向上、そしてデータに基づいた経営戦略の実現を可能にする、現代のホテル経営に不可欠な「中核システム」です。

PMS導入を成功させるための鍵は、以下の点に集約されます。

  1. 自社の課題と目的を明確にすること。
  2. 施設の規模や業態に合ったシステムを選ぶこと。
  3. 機能、操作性、連携性、費用、サポート、セキュリティの観点から総合的に比較検討すること。
  4. 導入をゴールとせず、全スタッフで活用し、継続的に改善していくこと。

クラウド型やオンプレミス型といった選択肢があり、小規模施設向けの安価なサービスから大規模ホテル向けの本格的なシステムまで、その種類は多岐にわたります。自社の現状と未来像をしっかりと見据え、最適なパートナーとなるPMSを選び抜くことが重要です。

ホテルシステム(PMS)への投資は、単なるコストではありません。それは、スタッフを煩雑な作業から解放し、本来最も価値のある「おもてなし」に集中できる環境を整え、お客様に最高の宿泊体験を提供し、ひいてはホテルの収益性と競争力を高めるための、未来に向けた戦略的投資です。この記事が、貴館のさらなる発展の一助となれば幸いです。