【全国】温泉旅行におすすめの人気温泉地ランキング20選を紹介

温泉旅行におすすめ、人気温泉地ランキング20選を紹介

日本全国に点在する温泉地は、古くから人々の心と体を癒す場所として親しまれてきました。湯けむり立ち上る温泉街の風情、大自然に抱かれた露天風呂、そして地域ならではの美食。温泉旅行には、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な魅力が詰まっています。

しかし、「いざ温泉旅行に行こう!」と思っても、数ある選択肢の中からどこを選べば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。絶景を楽しみたい、プライベートな空間でくつろぎたい、特定の泉質で体の悩みをケアしたいなど、旅の目的は人それぞれです。

この記事では、そんな温泉選びの悩みを解決するため、温泉旅行の計画の立て方から、2024年最新版の全国人気温泉地ランキング、知っておくと旅がもっと楽しくなる豆知識まで、網羅的に解説します。 あなたの理想の温泉旅行を叶えるためのヒントが、きっと見つかるはずです。この記事を参考に、心に残る特別な旅を計画してみませんか。

温泉旅行の計画を立てる!温泉地・宿の選び方

旅の目的から選ぶ、温泉の泉質や効能で選ぶ、行きたいエリアから選ぶ

最高の温泉旅行を実現するためには、事前の計画が何よりも重要です。誰と、どんな目的で、どのような時間を過ごしたいのかを明確にすることで、数ある温泉地や宿泊施設の中から最適な選択ができます。ここでは、温泉地や宿を選ぶ際の具体的なポイントを「旅の目的」「泉質・効能」「エリア」という3つの視点から詳しく解説します。

旅の目的から選ぶ

温泉旅行の満足度を大きく左右するのが、「旅の目的」です。あなたが温泉旅行に何を求めているのかを具体的にイメージすることで、行き先は自然と絞られてきます。

絶景の露天風呂でリフレッシュしたい

温泉の醍醐味といえば、やはり開放感あふれる露天風呂です。日常のストレスから解放され、心身ともにリフレッシュしたいなら、絶景が望める露天風呂を持つ温泉地や宿を選びましょう。

  • 海の絶景: 目の前に広がる雄大な海を眺めながら湯に浸かる時間は、まさに至福のひとときです。夕日が海に沈む光景や、満点の星空と漁火が織りなす幻想的な夜景は、忘れられない思い出になるでしょう。静岡県の熱海温泉や和歌山県の南紀白浜温泉などは、海沿いの立地を活かした絶景露天風呂で知られています。
  • 山の絶景: 四季折々の表情を見せる山々を望む露天風呂もまた格別です。新緑の春、深緑の夏、紅葉の秋、雪景色の冬と、訪れる季節によって全く異なる景色が楽しめます。特に、標高の高い場所にある温泉地では、雲海や満点の星空といった、そこでしか見られない絶景に出会える可能性もあります。神奈川県の箱根温泉や群馬県の草津温泉、山形県の蔵王温泉などは、豊かな自然に囲まれたロケーションが魅力です。
  • 川のせせらぎや渓谷美: 川沿いの露天風呂では、心地よいせせらぎをBGMに、穏やかな時間を過ごせます。渓谷に面した温泉地なら、ダイナミックな自然の造形美を間近に感じながら入浴できます。栃木県の鬼怒川温泉や熊本県の黒川温泉などは、渓谷沿いの風情ある温泉地として人気です。

絶景露天風呂を探す際は、宿の公式サイトで露天風呂からの眺望を写真で確認することが重要です。また、時間帯によっても景色は大きく変わるため、「夕日が見える」「星空がきれい」といった口コミ情報も参考にすると良いでしょう。

貸切風呂・客室露天風呂でプライベートな時間を過ごしたい

カップルでの記念日旅行や、小さなお子様連れの家族旅行など、周りを気にせずプライベートな空間で温泉を楽しみたい場合には、貸切風呂(家族風呂)や客室露天風呂のある宿が最適です。

  • 貸切風呂(家族風呂): 宿泊者などが時間制で貸し切ることができるお風呂です。大浴場と同じくらい広い湯船を持つ豪華なものから、こぢんまりとした隠れ家的な雰囲気のものまで様々です。予約方法(当日フロントで予約、事前予約制など)や利用料金(無料、有料)は宿によって異なるため、事前に確認しておきましょう。誰にも邪魔されずに、自分たちだけのペースで温泉を満喫できるのが最大のメリットです。
  • 客室露天風呂: 自分の客室に専用の露天風呂が付いているタイプです。24時間いつでも好きな時に、好きなだけ温泉に入れるという究極の贅沢が味わえます。朝起きてすぐ、あるいは寝る前のひとときなど、思い立った瞬間に湯浴みを楽しめるのは客室露天風呂ならではの魅力です。料金は高めに設定されていますが、その分、プライバシーと満足度は非常に高いといえます。

これらのプライベートな風呂は非常に人気が高いため、希望する場合は早めの予約が不可欠です。特に、客室露天風呂付きの部屋は数が限られていることが多いので、旅行の計画が決まったらすぐに宿探しを始めることをおすすめします。

ご当地グルメを堪能したい

旅の楽しみは温泉だけではありません。その土地ならではの美味しい食事も、旅行の満足度を大きく高めてくれます。食を旅のメインに据えるなら、地域の特産品を活かした料理が自慢の温泉地や宿を選びましょう。

  • 海の幸: 伊勢海老やアワビ、カニ、新鮮な魚介類など、海の幸が豊富なエリアの温泉地は食通にとってたまりません。静岡県の伊豆半島や石川県の和倉温泉、兵庫県の城崎温泉(冬の松葉ガニ)などは、海の幸を存分に味わえる温泉地として有名です。
  • 山の幸: 豊かな自然に育まれた山菜やキノコ、川魚、そしてブランド牛なども温泉地の魅力的な食材です。岐阜県の下呂温泉周辺では飛騨牛、群馬県の草津温泉や伊香保温泉では上州牛など、その土地が誇るブランド肉を会席料理で提供する宿が多くあります。
  • 地酒や郷土料理: 各地には、その土地の気候風土から生まれた地酒や郷土料理があります。温泉で体を温めた後に、地元の日本酒やワインを傾けながら郷土料理に舌鼓を打つのは、まさに大人の贅沢です。

宿を選ぶ際には、食事のプランをよく確認しましょう。「地元のブランド牛付きプラン」や「舟盛り付きプラン」など、食材にこだわったプランを用意している宿が狙い目です。また、温泉街に美味しい飲食店や居酒屋が点在しているエリアなら、宿は素泊まりにして、外食を楽しむ「食べ歩き」の旅も一興です。

日帰りで気軽に温泉を楽しみたい

宿泊する時間はなくても、「気軽に温泉に入ってリフレッシュしたい」というニーズに応えてくれるのが、日帰り温泉(立ち寄り湯)です。

日帰り温泉には、主に以下のタイプがあります。

  • 日帰り温泉施設: 入浴に特化した施設で、広々とした大浴場や露天風呂、サウナ、食事処、休憩スペースなどを備えていることが多く、一日中ゆっくりと過ごせます。
  • 旅館・ホテルの日帰り入浴: 多くの旅館やホテルが、宿泊客以外にも時間を区切って温泉を開放しています。憧れの高級旅館の温泉を、比較的リーズナブルな料金で体験できるのが魅力です。ただし、清掃時間や宿泊客の利用が少ない時間帯(午前中〜午後早い時間)に限定されていることが多いので、事前に利用可能時間と料金を確認しておく必要があります。

日帰り温泉を選ぶ際は、自宅からのアクセスの良さが重要なポイントになります。首都圏からなら箱根や熱海、鬼怒川、関西圏からなら有馬や南紀白浜などが、日帰りでも訪れやすい人気の温泉地です。タオルやアメニティの有無も施設によって異なるため、持参すべきものを事前にチェックしておくと安心です。

一人旅でゆっくり羽を伸ばしたい

誰にも気兼ねなく、自分のペースで時間を過ごしたい。そんな「おひとりさま」の時間を満喫する一人旅にも、温泉は最高の目的地です。

一人旅で温泉地を選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  • 「おひとり様歓迎」プランの有無: 最近では、一人旅向けの宿泊プランを用意している宿が増えています。通常よりもリーズナブルな料金設定であったり、食事の量を調整してくれたり、部屋でのんびり食事ができるプランがあったりと、一人でも気兼ねなく過ごせる工夫がされています。
  • 温泉街の散策が楽しめるか: 一人旅では、宿での時間だけでなく、温泉街をぶらぶらと散策する時間も楽しみの一つです。趣のある街並み、カフェ、土産物屋、足湯などが充実している温泉地なら、一人でも飽きることなく過ごせます。城崎温泉の外湯めぐりや、銀山温泉のレトロな街並み散策は、一人旅にもぴったりです。
  • 読書や趣味に没頭できる環境か: 静かで落ち着いた雰囲気の宿を選び、ひたすら読書にふけったり、趣味に没頭したりするのも一人旅の醍醐味です。景色の良い部屋や、ラウンジが充実している宿を選ぶと良いでしょう。

温泉の泉質や効能で選ぶ

温泉の魅力は、その温かさや景観だけではありません。温泉に含まれる化学成分、すなわち「泉質」によって、様々な効能(適応症)が期待できることも大きな特徴です。 自分の体調や悩みに合わせて泉質を選ぶことで、温泉旅行は単なるレジャーから「湯治」という側面も持つようになります。

例えば、

  • 美肌を目指したいなら: 皮膚の角質を柔らかくする効果が期待される「炭酸水素塩泉(重曹泉)」や、メラニンの生成を抑えるといわれる「硫黄泉」がおすすめです。「美人の湯」として知られる温泉地を選んでみましょう。
  • 冷え性を改善したいなら: 塩分が皮膚をコーティングして保温効果が高い「塩化物泉」が適しています。湯冷めしにくいため、「熱の湯」とも呼ばれます。
  • 肩こりや腰痛を和らげたいなら: 血行促進効果が高い「単純温泉」や、血管を拡張させる作用があるといわれる「硫酸塩泉」などが良いでしょう。
  • 生活習慣病が気になるなら: 飲用することで効能が期待できる温泉もあります。ただし、飲用には専門的な知識が必要な場合もあるため、必ず現地の指示に従ってください。

各温泉地がどのような泉質を持つかは、温泉地の公式サイトや観光協会のウェブサイト、各宿泊施設の案内などで確認できます。後の章「知っておくと温泉旅行がもっと楽しくなる豆知識」で各泉質の詳細を解説しますが、まずは「自分の悩みに合った泉質はどれか」という視点で温泉地を探してみるのも、新しい発見があって面白いでしょう。

行きたいエリアから選ぶ

旅の目的や泉質と並行して考えたいのが、「どのエリアに行くか」という点です。移動時間や交通費は旅行全体のスケジュールと予算に大きく関わってきます。

  • 首都圏からのアクセスを重視するなら: 神奈川県の箱根、静岡県の熱海・伊豆、群馬県の草津・伊香保、栃木県の鬼怒川などが定番です。新幹線や特急、高速バスなど交通手段が豊富で、週末を利用した1泊2日の旅行にも手軽に訪れることができます。
  • 関西圏からのアクセスを重視するなら: 兵庫県の有馬・城崎、和歌山県の南紀白浜、岐阜県の下呂などが人気です。こちらも主要都市からのアクセスが良く、日帰りから宿泊まで様々なプランが立てやすいのが特徴です。
  • 時間をかけてでも訪れたい憧れの地へ: 北海道の登別や、九州の別府・由布院・黒川など、少し足を延ばせば、その土地ならではの雄大な自然や独特の文化に触れることができます。飛行機や新幹線を利用して、連休などを活用した長期滞在を計画するのも良いでしょう。

行きたいエリアを決めることは、旅行の具体的なイメージを固める第一歩です。 エリアを絞り込むことで、その中からさらに自分の目的に合った温泉地を探しやすくなります。各エリアの気候や見どころ、旬の食材なども考慮に入れると、より一層充実した旅行計画が立てられるでしょう。

【2024年最新】全国の人気温泉地ランキングTOP20

ここでは、各種旅行サイトのランキングやアンケート結果などを基に、全国から選りすぐりの人気温泉地をランキング形式でご紹介します。それぞれの温泉地の魅力や特徴、泉質、アクセス情報などを詳しく解説しますので、あなたの次の旅の目的地を見つける参考にしてください。

① 箱根温泉(神奈川県)

首都圏からのアクセス抜群、多彩な魅力が詰まった温泉リゾート
都心からロマンスカーで約85分というアクセスの良さで、年間を通して多くの観光客で賑わう日本有数の温泉地です。箱根山の麓に「箱根二十湯」と呼ばれる泉質の異なる温泉が点在し、湯めぐりが楽しめるのも魅力。美術館や観光名所、グルメスポットも豊富で、カップルからファミリーまで、あらゆる層が楽しめるオールマイティな温泉地です。

  • 泉質: 単純温泉、塩化物泉、硫酸塩泉、硫黄泉など(場所により異なる)
  • 効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、美肌効果など
  • 魅力・見どころ: 芦ノ湖の遊覧船、箱根彫刻の森美術館、大涌谷の黒たまご、旧街道の杉並木、強羅公園など、見どころ満載です。箱根登山鉄道やロープウェイを乗り継ぎながら周遊するのも楽しみ方の一つです。
  • アクセス:
    • 電車:新宿駅から小田急ロマンスカーで箱根湯本駅まで約85分
    • 車:東名高速道路 厚木ICから小田原厚木道路経由で約1時間
  • こんな人におすすめ: 観光も温泉もグルメも楽しみたい欲張りな方、アート好き、都心から気軽に訪れたい方

② 草津温泉(群馬県)

日本三名泉の一つ、湯量と泉質を誇る天下の名湯
「恋の病以外はすべて効く」とまで言われる草津温泉。日本一の自然湧出量を誇り、温泉街の中心にある「湯畑」は圧巻の光景です。もうもうと立ち上る湯けむりと硫黄の香りが、温泉地に来たことを実感させてくれます。強酸性の泉質は殺菌力が高く、古くから湯治場として栄えてきました。「湯もみと踊り」ショーも名物で、活気あふれる温泉街の散策も楽しめます。

  • 泉質: 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(酸性泉)
  • 効能: 皮膚病、神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 湯畑、西の河原公園、熱乃湯の「湯もみと踊りショー」、温泉街での食べ歩き(温泉まんじゅう、温泉たまごなど)。少し足を延せば白根山の湯釜(※火山活動により立ち入り制限の場合あり)も。
  • アクセス:
    • 電車:JR吾妻線 長野原草津口駅からJRバスで約25分
    • 車:関越自動車道 渋川伊香保ICから約1時間30分
  • こんな人におすすめ: 本格的な泉質を求める方、活気のある温泉街を散策したい方、湯治に興味がある方

③ 別府温泉(大分県)

源泉数・湧出量ともに日本一を誇る「おんせん県」のシンボル
別府市内に数百もの温泉が湧き、源泉数、湧出量ともに日本一を誇る温泉天国。別府、鉄輪(かんなわ)、明礬(みょうばん)など個性豊かな8つの温泉郷は「別府八湯」と総称され、それぞれ異なる泉質と雰囲気を楽しめます。温泉の蒸気を利用した「地獄蒸し料理」や、奇観を呈する源泉を巡る「地獄めぐり」は、別府ならではのユニークな体験です。

  • 泉質: 単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉など、世界中にある11の泉質のうち10種類が存在するとされる。
  • 効能: 泉質により様々。神経痛、リウマチ、皮膚病、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 海地獄や血の池地獄などを巡る「別府地獄めぐり」、湯けむりが立ち上る鉄輪温泉の街並み、名物「地獄蒸しプリン」や「とり天」。
  • アクセス:
    • 電車:JR日豊本線 別府駅下車
    • 飛行機:大分空港からリムジンバスで約40分
  • こんな人におすすめ: 様々な種類の温泉に入ってみたい方、ユニークな温泉体験をしたい方、温泉街でのグルメを楽しみたい方

④ 由布院温泉(大分県)

アートと自然が調和する、洗練された温泉地
由布岳の麓に広がる、のどかで洗練された雰囲気の温泉地。メインストリートの「湯の坪街道」には、お洒落なカフェや雑貨店、美術館などが立ち並び、散策するだけでも楽しめます。温泉街の喧騒から少し離れると、田園風景が広がる静かなエリアもあり、ゆっくりと過ごしたい大人に人気です。豊富な湯量を誇り、肌に優しい単純温泉が中心です。

  • 泉質: 単純温泉
  • 効能: 疲労回復、神経痛、筋肉痛、関節痛など
  • 魅力・見どころ: 湯の坪街道でのショッピングや食べ歩き、温泉の湖「金鱗湖」、由布院のシンボル「由布岳」の美しい景観、観光辻馬車。
  • アクセス:
    • 電車:JR久大本線 由布院駅下車
    • 飛行機:大分空港からリムジンバスで約55分
  • こんな人におすすめ: お洒落な街歩きを楽しみたい方、アートやカフェ巡りが好きな方、静かで落ち着いた雰囲気を好むカップルや女性グループ

⑤ 登別温泉(北海道)

「温泉のデパート」と呼ばれる北海道屈指の名湯
豊富な湯量と9種類もの多彩な泉質が湧き出すことから「温泉のデパート」と称される、北海道を代表する温泉地。温泉街からほど近い「地獄谷」は、荒涼とした大地から白煙と火山ガスが噴き出す圧巻の光景で、登別温泉の源泉となっています。原生林に囲まれた大自然の中で、様々な泉質の湯めぐりが楽しめます。

  • 泉質: 硫黄泉、食塩泉(塩化物泉)、明礬泉(酸性泉)、緑礬泉(酸性含鉄泉)など多彩
  • 効能: 泉質により様々。皮膚病、リウマチ、高血圧、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 爆裂火口跡「地獄谷」、天然の足湯が楽しめる「大湯沼川天然足湯」、クマを間近で観察できる「のぼりべつクマ牧場」。
  • アクセス:
    • 電車:JR室蘭本線 登別駅からバスで約15分
    • 飛行機:新千歳空港から高速バスで約1時間15分
  • こんな人におすすめ: 色々な泉質を試してみたい方、ダイナミックな自然景観を楽しみたい方、北海道旅行で温泉をメインにしたい方

⑥ 有馬温泉(兵庫県)

関西の奥座敷、歴史深き二つの名湯「金泉・銀泉」
日本三名泉、日本三古湯の一つに数えられる、歴史ある温泉地。神戸市の六甲山の北側に位置し、関西圏からのアクセスも良好です。有馬温泉の代名詞は、鉄分と塩分を含み空気に触れると赤褐色になる「金泉」と、無色透明の炭酸泉「銀泉」。この二つの異なる泉質を楽しめるのが最大の魅力です。風情ある温泉街の散策も楽しめます。

  • 泉質:
    • 金泉:含鉄-ナトリウム-塩化物強塩高温泉
    • 銀泉:二酸化炭素泉(炭酸泉)、放射能泉(ラドン泉)
  • 効能:
    • 金泉:冷え性、腰痛、関節痛、皮膚病など
    • 銀泉:高血圧、末梢循環障害、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 趣のある温泉街「湯本坂」の散策、外湯「金の湯」「銀の湯」、名物「炭酸せんべい」、六甲山へのロープウェイ。
  • アクセス:
    • 電車:神戸電鉄 有馬温泉駅下車
    • バス:大阪(阪急三番街)から高速バスで約1時間
  • こんな人におすすめ: 歴史と風情のある温泉街が好きな方、特徴の異なる二つの湯を楽しみたい方、関西圏から日帰りや一泊で訪れたい方

⑦ 下呂温泉(岐阜県)

日本三名泉、アルカリ性の“つるつる”美肌の湯
草津、有馬と並び「日本三名泉」と称えられる名湯。飛騨川の流域に温泉街が広がり、そのお湯はpH9を超えるアルカリ性単純温泉で、肌の角質を取る効果が期待できることから「美人の湯」として名高いです。 入浴すると肌がすべすべ、つるつるになる感覚は格別。温泉街には無料の足湯が点在し、気軽に名湯を楽しめます。

  • 泉質: アルカリ性単純温泉
  • 効能: リウマチ、運動機能障害、神経痛、疲労回復、美肌効果
  • 魅力・見どころ: 温泉街に点在する足湯めぐり、「下呂温泉合掌村」、温泉寺、飛騨川沿いの噴泉池(※水着着用)、ご当地グルメ「鶏ちゃん」「朴葉味噌」。
  • アクセス:
    • 電車:JR高山本線 下呂駅下車
    • 車:中央自動車道 中津川ICから約1時間
  • こんな人におすすめ: 美肌の湯を求める方、足湯めぐりや街歩きを楽しみたい方、飛騨地方のグルメを堪 températuresたい方

⑧ 道後温泉(愛媛県)

夏目漱石『坊っちゃん』の舞台、3000年の歴史を誇る日本最古の湯
日本書紀にも登場する、日本最古の温泉といわれる道後温泉。温泉街の中心にそびえる「道後温泉本館」は、その歴史と風格から国の重要文化財に指定されており、道後温泉のシンボル的存在です。アルカリ性単純温泉の湯は、刺激が少なく湯あたりしにくいのが特徴。レトロな雰囲気の商店街「道後ハイカラ通り」の散策も楽しいです。

  • 泉質: アルカリ性単純温泉
  • 効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 道後温泉本館(※現在保存修理工事中、一部入浴可)、別館の「飛鳥乃湯泉」「椿の湯」、道後ハイカラ通りでの食べ歩き、坊っちゃんカラクリ時計。
  • アクセス:
    • 電車:伊予鉄道 道後温泉駅下車(松山市駅から約25分)
    • 飛行機:松山空港からリムジンバスで約40分
  • こんな人におすすめ: 歴史や文学に興味がある方、レトロな温泉街の雰囲気が好きな方、四国旅行を計画している方

⑨ 指宿温泉(鹿児島県)

世界でも珍しい「天然砂むし温泉」でデトックス体験
鹿児島県の薩摩半島南端に位置する、温暖な気候の温泉郷。指宿温泉最大の名物は、海岸の砂浜で楽しむ「天然砂むし温泉」です。温泉の熱で温められた砂に全身を埋めると、体の芯からじんわりと温まり、大量の汗とともに老廃物が排出される爽快感が味わえます。このデトックス効果は、医学的にも証明されています。

  • 泉質: ナトリウム-塩化物泉
  • 効能: 神経痛、リウマチ、腰痛、冷え性、デトックス効果など
  • 魅力・見どころ: 砂むし会館「砂楽」での砂むし温泉体験、薩摩富士とも呼ばれる「開聞岳」の絶景、JR日本最南端の駅「西大山駅」、竜宮伝説が伝わる「長崎鼻」。
  • アクセス:
    • 電車:JR指宿枕崎線 指宿駅下車
    • 飛行機:鹿児島空港からリムジンバスで約1時間40分
  • こんな人におすすめ: ユニークな温泉体験をしてみたい方、デトックスやリフレッシュをしたい方、南国の開放的な雰囲気が好きな方

⑩ 熱海温泉(静岡県)

海と坂の街、首都圏から一番近い温泉リゾート
古くは徳川家康も愛したといわれる歴史ある温泉地。相模湾に面した坂の多い地形で、海を望む絶景の宿が数多くあります。首都圏からのアクセスが非常に良く、新幹線なら東京から1時間足らず。温泉はもちろん、新鮮な海の幸、花火大会、美術館など、多様な観光資源に恵まれ、近年は若者向けの新しいスポットも増え、再び活気を取り戻しています。

  • 泉質: 塩化物泉、硫酸塩泉が中心
  • 効能: 神経痛、リウマチ、慢性皮膚病、冷え性、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 海沿いの「熱海サンビーチ」、絶景が楽しめる「MOA美術館」、パワースポット「來宮神社」、レトロな「熱海銀座商店街」、年間を通して開催される海上花火大会。
  • アクセス:
    • 電車:JR東海道新幹線・東海道本線 熱海駅下車
    • 車:東名高速道路 沼津ICまたは厚木ICから約1時間
  • こんな人におすすめ: 首都圏から手軽に温泉旅行に行きたい方、海の幸と絶景を楽しみたい方、花火が好きな方

⑪ 城崎温泉(兵庫県)

浴衣と下駄が正装、7つの外湯めぐりが楽しい温泉街
志賀直哉の『城の崎にて』でも知られる、文学の香り高い温泉地。柳並木と太鼓橋がかかる大谿川(おおたにがわ)沿いに風情ある温泉街が広がります。「駅を玄関、道を廊下、旅館を客室、外湯を大浴場」という考えのもと、街全体が一つの旅館のように機能しており、浴衣と下駄で7つの外湯をめぐるのが城崎温泉の醍醐味です。

  • 泉質: ナトリウム・カルシウム-塩化物・高温泉
  • 効能: 神経痛、筋肉痛、消化器病、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 「一の湯」「御所の湯」など個性豊かな7つの外湯めぐり、柳並木の美しい温泉街散策、冬には名物の松葉ガニ。
  • アクセス:
    • 電車:JR山陰本線 城崎温泉駅下車
    • バス:大阪(阪急三番街)から高速バスで約3時間
  • こんな人におすすめ: 風情ある温泉街を浴衣で散策したい方、外湯めぐりを楽しみたい方、冬にカニを堪能したい方

⑫ 黒川温泉(熊本県)

里山の自然に溶け込む、統一感のある美しい景観
阿蘇の山々に抱かれた、渓谷沿いの小さな温泉郷。「黒川温泉一旅館」のコンセプトのもと、温泉街全体が自然の景観と調和するよう、派手な看板などを排し、統一感のあるしっとりとした雰囲気を守り続けています。 名物の「入湯手形」を購入すれば、好きな3軒の露天風呂に入浴でき、里山の自然を感じながらの湯めぐりが楽しめます。

  • 泉質: 含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉など(宿により異なる)
  • 効能: 神経痛、リウマチ、皮膚病、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 「入湯手形」を使った露天風呂めぐり、田の原川沿いの風情ある街並み、竹林のライトアップ「湯あかり」(冬季)。
  • アクセス:
    • バス:福岡(博多・天神)から高速バスで約2時間30分、熊本駅から九州横断バスで約3時間
    • 車:九州自動車道 熊本ICから約1時間30分
  • こんな人におすすめ: しっとりと落ち着いた雰囲気の温泉地が好きな方、自然に囲まれた露天風呂に入りたい方、コンセプトのある街づくりに興味がある方

⑬ 和倉温泉(石川県)

七尾湾に面した北陸随一の高級温泉郷
能登半島の七尾湾に面し、1200年の歴史を持つ温泉地。高温で豊富な湯量を誇り、その塩分濃度の高いお湯は「海の温泉」とも呼ばれます。殺菌効果や保湿効果が高く、飲用すれば胃腸の働きを整えるとも言われています。海沿いには大規模で豪華な旅館が立ち並び、上質なもてなしと日本海の幸を堪 températuresできる、北陸を代表する温泉郷です。(※能登半島地震の影響により、営業状況は各施設の公式サイトでご確認ください)

  • 泉質: ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
  • 効能: リウマチ、痛風、神経痛、貧血、皮膚病など
  • 魅力・見どころ: 七尾湾の穏やかな景色、パティシエ辻口博啓氏の美術館&カフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」、新鮮な海の幸、和倉温泉総湯。
  • アクセス:
    • 電車:JR七尾線・のと鉄道 和倉温泉駅下車
    • 飛行機:のと里山空港からふるさとタクシーで約40分
  • こんな人におすすめ: 豪華な旅館で上質なサービスを受けたい方、日本海の新鮮な魚介類を味わいたい方、穏やかな海の景色に癒されたい方

⑭ 乳頭温泉郷(秋田県)

ブナの原生林に抱かれた、秘湯ムード満点の温泉郷
秋田駒ヶ岳の麓、ブナの原生林の中に「鶴の湯」「妙乃湯」など7つの湯宿が点在する温泉郷。それぞれが独自の源泉を持ち、泉質も多種多様です。都会の喧騒とは無縁の、まさに秘湯と呼ぶにふさわしい静寂と大自然に包まれています。特に、白濁した湯で知られる「鶴の湯温泉」の混浴露天風呂は、その風情から多くの温泉ファンを魅了しています。

  • 泉質: 硫黄泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、単純温泉など宿により様々
  • 効能: 高血圧、動脈硬化、皮膚病、糖尿病、疲労回復など
  • 魅力・見どころ: 7つの湯をめぐる「湯めぐり帖」、冬の雪景色に包まれた露天風呂、ブナの原生林の散策、名物「山の芋鍋」。
  • アクセス:
    • 電車:JR秋田新幹線 田沢湖駅から羽後交通バス「乳頭温泉」行きで約50分
    • 車:東北自動車道 盛岡ICから約1時間
  • こんな人におすすめ: 秘湯の雰囲気を味わいたい方、大自然の中で静かに過ごしたい方、雪見風呂を楽しみたい方

⑮ 鬼怒川温泉(栃木県)

鬼怒川渓谷の絶景を望む、関東有数の大温泉郷
首都圏からのアクセスも良く、鬼怒川の渓谷沿いに大型のホテルや旅館が立ち並ぶ、関東を代表する温泉地の一つ。その名の通り、ダイナミックな鬼怒川の渓谷美を眺めながら入浴できる宿が多く、四季折々の自然の表情が楽しめます。周辺には「日光江戸村」や「東武ワールドスクウェア」といったテーマパークも充実しており、家族旅行にも最適です。

  • 泉質: アルカリ性単純温泉
  • 効能: 神経痛、筋肉痛、五十肩、疲労回復、美肌効果など
  • 魅力・見どころ: 鬼怒川ライン下り、スリル満点の「鬼怒楯岩大吊橋」、周辺のテーマパーク、世界遺産・日光東照宮へのアクセスも良好。
  • アクセス:
    • 電車:東武鬼怒川線 鬼怒川温泉駅下車(浅草から特急で約2時間)
    • 車:東北自動車道 宇都宮ICから日光宇都宮道路経由で約40分
  • こんな人におすすめ: 家族旅行やグループ旅行、アクティブに観光も楽しみたい方、渓谷の絶景を望む温泉に入りたい方

⑯ 銀山温泉(山形県)

大正ロマンの香り漂う、ノスタルジックな温泉街
銀山川の両岸に、大正から昭和初期にかけて建てられた木造の旅館が立ち並ぶ、情緒あふれる温泉地。ガス灯が灯る夕暮れ時から夜にかけての景色は特に幻想的で、まるでタイムスリップしたかのような気分に浸れます。 冬、雪が降り積もった温泉街の美しさは格別で、多くの写真家や観光客を惹きつけます。

  • 泉質: ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉
  • 効能: 神経痛、リウマチ、皮膚病、婦人病など
  • 魅力・見どころ: ガス灯が灯るノスタルジックな温泉街、共同浴場「しろがね湯」、名物「はいからさんのカリーパン」、延沢銀山の坑道跡。
  • アクセス:
    • 電車:JR山形新幹線 大石田駅からバスで約40分
    • 車:東北中央自動車道 東根ICから約1時間
  • こんな人におすすめ: レトロでロマンチックな雰囲気が好きな方、写真映えする景色を求める方、雪景色の温泉街を見てみたい方

⑰ 伊香保温泉(群馬県)

365段の石段街がシンボル、二つの名湯を持つ温泉地
草津温泉と並び、群馬県を代表する温泉地。温泉街のシンボルである365段の石段は、温泉情緒たっぷり。この石段の両脇には、旅館や土産物屋、遊技場などが軒を連ね、散策が楽しめます。有馬温泉と同様に、鉄分を多く含み茶褐色をした「黄金の湯(こがねのゆ)」と、近年になって湧出した無色透明の「白銀の湯(しろがねのゆ)」の二種類の温泉があるのが特徴です。

  • 泉質:
    • 黄金の湯:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
    • 白銀の湯:メタけい酸単純泉
  • 効能:
    • 黄金の湯:神経痛、筋肉痛、冷え性、疲労回復など
    • 白銀の湯:病後回復、疲労回復、健康増進
  • 魅力・見どころ: 風情ある石段街の散策、伊香保神社、石段の湯・露天風呂、水沢うどん、榛名山(伊香保ロープウェイ)。
  • アクセス:
    • バス:新宿から高速バスで約2時間30分
    • 車:関越自動車道 渋川伊香保ICから約20分
  • こんな人におすすめ: 温泉情緒あふれる石段街を歩きたい方、二種類の泉質を比べてみたい方、都心からバスで手軽に行きたい方

⑱ 修善寺温泉(静岡県)

伊豆の小京都、桂川沿いに広がる歴史と文学の温泉郷
伊豆半島で最も歴史が古く、弘法大師(空海)が開いたと伝わる温泉。桂川沿いに温泉街が広がり、竹林の小径や朱塗りの橋など、落ち着いた和の風情が漂うことから「伊豆の小京都」とも呼ばれています。源頼家ゆかりの史跡も多く、歴史散策も楽しめます。

  • 泉質: アルカリ性単純温泉
  • 効能: 神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性など
  • 魅力・見どころ: 桂川にかかる5つの恋の橋めぐり、風情ある「竹林の小径」、源氏ゆかりの「修禅寺」や「指月殿」、独鈷の湯(とっこのゆ)。
  • アクセス:
    • 電車:伊豆箱根鉄道 修善寺駅下車、バスで約8分
    • 車:東名高速道路 沼津ICから伊豆縦貫自動車道経由で約30分
  • こんな人におすすめ: しっとりとした和の雰囲気が好きな方、歴史散策や文学に興味がある方、静かに過ごしたいカップル

⑲ 南紀白浜温泉(和歌山県)

白い砂浜と青い海、テーマパークも揃う一大リゾート
有馬、道後と並び「日本三古湯」の一つに数えられる歴史を持ちながら、現代では開放的なリゾート地として発展。その名の通り、真っ白でサラサラの砂が美しい「白良浜(しららはま)」がシンボルです。海沿いに多くのホテルが立ち並び、海水浴シーズンは特に賑わいます。また、「アドベンチャーワールド」などのテーマパークもあり、家族連れに絶大な人気を誇ります。

  • 泉質: 塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉など
  • 効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、慢性皮膚病など
  • 魅力・見どころ: 白良浜の美しいビーチ、国の名勝「円月島」「三段壁」「千畳敷」、崎の湯(波打ち際の露天風呂)、アドベンチャーワールド。
  • アクセス:
    • 電車:JRきのくに線 白浜駅下車
    • 飛行機:南紀白浜空港(東京・羽田から約75分)
  • こんな人におすすめ: 海水浴やリゾート気分を味わいたい方、家族でテーマパークも楽しみたい方、絶景スポットを巡りたい方

⑳ 蔵王温泉(山形県)

強酸性の美肌の湯と、冬の樹氷で知られる高原リゾート
標高880mに位置する高原温泉郷で、日本屈指の強酸性硫黄泉で知られています。その泉質から「肌を白くする美肌の湯」「姫の湯」とも呼ばれます。冬には世界的に有名な「樹氷(スノーモンスター)」が見られるスキーリゾートとしても人気が高く、スキーやスノーボードを楽しんだ後に温泉で疲れを癒す、という贅沢な過ごし方ができます。

  • 泉質: 強酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(酸性泉)
  • 効能: 慢性皮膚病、慢性婦人病、高血圧、動脈硬化、美肌効果など
  • 魅力・見どころ: 冬の「樹氷」鑑賞(ロープウェイ利用)、蔵王大露天風呂(冬季休業)、火口湖「御釜(おかま)」の神秘的な景観(冬季閉鎖)、ジンギスカン。
  • アクセス:
    • バス:山形駅からバスで約40分
    • 車:山形自動車道 山形蔵王ICから約30分
  • こんな人におすすめ: スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが好きな方、強酸性の本格的な泉質を求める方、樹氷の絶景を見てみたい方

知っておくと温泉旅行がもっと楽しくなる豆知識

代表的な温泉の泉質と効能、日本三名泉とは、覚えておきたい温泉の入浴マナー

温泉地を訪れる前に、温泉に関する基本的な知識を少しだけ深めておくと、旅の楽しみ方が何倍にも広がります。ここでは、代表的な「泉質」とその効能、有名な「日本三名泉」、そして誰もが気持ちよく温泉を利用するための「入浴マナー」について解説します。

代表的な温泉の泉質と効能

温泉は、地中から湧き出る際に溶け込んだ様々な化学成分によって、色や匂い、肌触り、そして体に及ぼす作用が異なります。日本の「温泉法」では、特定の物質が一定量以上含まれているものを「療養泉」とし、その成分によって10種類に分類しています。ここでは、代表的な8つの泉質の特徴と効能を分かりやすくまとめました。

泉質名 特徴 主な効能(適応症) 代表的な温泉地(例)
単純温泉 含有成分が規定量に満たないが、泉温が25℃以上。無色透明・無味無臭で肌への刺激が少ない。 疲労回復、神経痛、筋肉痛、健康増進など。万人向け。 下呂温泉、由布院温泉
塩化物泉 塩分を多く含み、しょっぱい。湯冷めしにくく「熱の湯」と呼ばれる。 冷え性、関節痛、うちみ、きりきず、慢性皮膚病、慢性婦人病。 熱海温泉、和倉温泉
炭酸水素塩泉 肌の角質を乳化させて洗い流す作用があり「美人の湯」といわれる。飲用すると胃酸を中和する作用も。 きりきず、やけど、慢性皮膚病、糖尿病、痛風、肝臓病。 嬉野温泉(佐賀)、川湯温泉(和歌山)
硫酸塩泉 「傷の湯」「脳卒中の湯」とも。血行促進や鎮静作用がある。カルシウム、ナトリウム、マグネシウムのいずれを多く含むかで細分化。 動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病。 伊香保温泉(黄金の湯)、法師温泉(群馬)
硫黄泉 卵が腐ったような独特の匂いがある。生活習慣病や皮膚病に効果が期待される。白濁する湯が多い。 慢性皮膚病、慢性婦人病、糖尿病、高血圧、動脈硬化症。 草津温泉、登別温泉、黒川温泉
酸性泉 pH値が低く、酸味が強い。殺菌力が非常に高く、皮膚病に効果がある。肌への刺激が強い。 慢性皮膚病(アトピー性皮膚炎など)、糖尿病。 草津温泉、蔵王温泉、玉川温泉(秋田)
含鉄泉 鉄分を多く含み、湧出時は無色透明だが空気に触れると酸化して赤褐色になる。貧血に良いとされる。 貧血、月経障害。 有馬温泉(金泉)、吉川温泉(京都)
放射能泉(ラドン泉) 微量の放射能(ラドン)を含む。吸入することで免疫力向上や鎮痛効果が期待される「ホルミシス効果」がある。 高血圧、動脈硬化症、痛風、慢性消化器病、神経痛。 三朝温泉(鳥取)、増富温泉(山梨)

単純温泉

最もポピュラーで、体に優しい温泉です。 含有成分の総量が1kg中に1,000mg未満で、泉温が25℃以上のものを指します。無色透明で匂いもなく、肌への刺激が少ないため、子どもからお年寄りまで、誰でも安心して入浴できます。 泉質名に「単純」と付いていますが、決して効能が劣るわけではありません。体を温め、血行を促進することで、自律神経を整えたり、疲労を回復させたりする効果が期待できます。特にpH8.5以上の「アルカリ性単純温泉」は、肌の角質を落とす効果から「美人の湯」とも呼ばれます。

塩化物泉

海水の成分に似た塩分を多く含む温泉で、舐めるとしょっぱいのが特徴です。塩分が皮膚に付着して膜を作り、汗の蒸発を防ぐため、保温効果が非常に高いです。 このため「熱の湯」や「温まりの湯」と呼ばれ、冷え性の改善に特におすすめです。また、殺菌効果も期待できるため、きりきずなどにも良いとされています。入浴後は体がポカポカと温まり、その効果が長く持続します。

炭酸水素塩泉

「美人の湯」の代表格として知られる泉質です。 主に「重曹泉」と「重炭酸土類泉」に分けられます。特に有名なのが「重曹泉」で、石鹸のように皮膚を乳化させ、古い角質や毛穴の汚れを洗い流すクレンジング効果が期待できます。入浴すると肌がなめらかに、すべすべになるのが実感できるでしょう。また、飲用すると胃酸を中和する働きがあるため、慢性的な胃の不調に悩む人にも良いとされています。

硫酸塩泉

「芒硝泉(ぼうしょうせん)」「石膏泉(せっこうせん)」「正苦味泉(せいくみせん)」の3つに大別されます。共通して、血行を促進し、痛みを和らげる鎮静作用があるとされています。血管を拡張させる働きから、高血圧や動脈硬化の予防に良いとされ「脳卒中の湯」と呼ばれることもあります。 また、肌に潤いとハリを与える効果も期待できるため、乾燥肌の人にもおすすめです。

硫黄泉

卵が腐ったような独特の匂い(硫化水素ガス)が特徴的な温泉です。この硫化水素ガスが毛細血管を拡張させ、血行を良くする働きがあります。生活習慣病の改善や、メラニンの生成を抑制する作用による美白効果が期待できるため、女性にも人気です。 湯の色は白濁していることが多く、温泉情緒も満点です。ただし、金属を腐食させる性質があるため、アクセサリー類は必ず外して入浴しましょう。

酸性泉

pH値が著しく低い、酸性の温泉です。ピリピリとした刺激があり、殺菌作用が非常に強いのが特徴です。そのため、アトピー性皮膚炎などの慢性的な皮膚病に高い効果が期待できるとされ、古くから湯治に利用されてきました。 ただし、刺激が強いため、肌が弱い人や傷がある人は注意が必要です。入浴後はシャワーなどで温泉成分を洗い流すのが一般的です。

含鉄泉

その名の通り、鉄分を豊富に含んだ温泉です。湧き出した直後は無色透明ですが、空気に触れて鉄分が酸化することで、赤褐色や黄褐色に濁ります。飲用することで鉄分を補給できるため、貧血、特に鉄欠乏性貧血に良いとされています。タオルなどが茶色く染まりやすいので注意が必要です。

放射能泉

微量の放射性物質であるラドンを含んでいる温泉です。放射能と聞くと不安に感じるかもしれませんが、温泉に含まれるのはごく微量で、健康に害を及ぼすものではありません。むしろ、ラドンを呼吸によって体内に取り込むことで細胞が活性化し、免疫力や自然治癒力を高める「ホルミシス効果」が期待できるといわれています。 痛みを和らげる効果もあるため、リウマチや神経痛にも良いとされています。

日本三名泉とは

日本三名泉とは

数ある日本の温泉地の中でも、特に歴史と名声において別格とされるのが「日本三名泉」です。これは、室町時代の詩人・万里集九や、江戸時代の儒学者・林羅山が、その著作の中で特に優れた温泉として挙げたことに由来します。

草津温泉(群馬県)

「天下の名湯」としてその名を馳せる草津温泉。林羅山は、当時の全国の温泉を格付けした中で、草津を最も優れた温泉として評価しました。その特徴は、日本一の自然湧出量と、殺菌力の高い強酸性の泉質にあります。温泉街の中心に位置する「湯畑」は、まさに草津のシンボルです。

有馬温泉(兵庫県)

日本最古級の歴史を誇り、神話の時代からその名が知られる有馬温泉。林羅山は草津に次ぐ名湯として有馬を挙げています。豊臣秀吉が愛した温泉地としても有名です。最大の特徴は、赤褐色の「金泉」と無色透明の「銀泉」という、全く異なる二つの泉質を楽しめる点にあります。

下呂温泉(岐阜県)

万里集九が、草津、有馬とともに「天下の三名泉」としてその名を記したのが下呂温泉です。pH9を超える滑らかなアルカリ性単純温泉は、肌をすべすべにする効果から「美人の湯」として広く知られています。飛騨川沿いに広がるのどかな温泉街も魅力です。

覚えておきたい温泉の入浴マナー

かけ湯で体を慣らす、タオルは湯船に入れない、長時間の入浴は避ける、入浴後は水分補給を忘れずに

温泉は公共の場です。自分自身が気持ちよく入浴するため、そして周りの人も快適に過ごせるように、基本的な入浴マナーを守ることは非常に大切です。

かけ湯で体を慣らす

湯船に入る前には、必ず「かけ湯」をしましょう。これには二つの重要な意味があります。一つは、体の汚れを洗い流し、湯船のお湯を清潔に保つため。 もう一つは、温泉の温度と泉質に体を慣らすためです。 いきなり熱い湯船に入ると、急激な血圧の変動を引き起こし、心臓に負担をかける「ヒートショック」の原因になります。足先から手先、そして体へと、心臓から遠い場所から順にお湯をかけていきましょう。

タオルは湯船に入れない

体を洗ったり拭いたりするためのタオルを、湯船の中に入れるのはマナー違反です。タオルの繊維や雑菌がお湯に溶け出し、衛生的ではありません。 小さなタオル(手ぬぐい)は、浴室内まで持ち込んでも構いませんが、湯船に入るときは浴槽の縁に置くか、濡らして軽く絞って頭の上に乗せるなどしましょう。

長時間の入浴は避ける

せっかくの温泉だからと、長時間湯船に浸かり続けるのは禁物です。特に泉質の濃い温泉や高温の温泉では、体に大きな負担がかかります。のぼせや湯あたり、脱水症状の原因になるだけでなく、かえって疲労を増してしまうこともあります。 「額に汗がじんわりと滲んできたら一度上がる」のを目安に、休憩を挟みながら、数回に分けて入浴するのがおすすめです。これを「分割浴」といいます。

入浴後は水分補給を忘れずに

入浴中は、自分が思っている以上に汗をかいています。体内の水分が失われると、脱水症状や熱中症のリスクが高まります。入浴前はもちろん、入浴後には必ずコップ1〜2杯程度の水分を補給することを習慣にしましょう。 脱衣所や休憩スペースにウォーターサーバーが設置されていることも多いので、積極的に利用しましょう。アルコールには利尿作用があるため、入浴直後の水分補給としては適していません。まずはお水やお茶で喉を潤しましょう。

【エリア別】人気の温泉地を探す

日本全国には魅力的な温泉地が数多く存在します。ここでは、この記事のランキングで紹介した温泉地を中心に、エリアごとの特徴と代表的な温泉地をまとめました。あなたが住んでいる場所や、次に行きたい旅行先から、お気に入りの温泉地を見つけてみましょう。

エリア 主な人気温泉地(本記事で紹介) エリアの特徴
北海道・東北 登別温泉、乳頭温泉郷、銀山温泉、蔵王温泉 雄大な自然に囲まれた温泉地が多く、冬には美しい雪景色や樹氷を楽しめる。秘湯ムード漂う温泉郷も魅力。
関東 箱根温泉、草津温泉、鬼怒川温泉、伊香保温泉 首都圏からのアクセスが良く、週末旅行にも最適。泉質も景観も多彩で、活気のある大規模な温泉地が多い。
甲信越・北陸 和倉温泉 日本アルプスや日本海など、豊かな自然環境が特徴。海の幸、山の幸に恵まれ、グルメも楽しめる。歴史ある温泉地も点在。(※本記事紹介は和倉温泉のみ)
東海 下呂温泉、熱海温泉、修善寺温泉 太平洋や山々に囲まれ、温暖な気候の温泉地が多い。首都圏・中京圏からのアクセスも良好で、リゾート地としても人気。
関西(近畿) 有馬温泉、城崎温泉、南紀白浜温泉 歴史が古く、風情ある温泉街を持つ名湯が揃う。京阪神からのアクセスが良く、日帰りでも楽しめる。
中国・四国 道後温泉 日本最古の温泉や、海沿いの温泉など、歴史と自然を感じられるエリア。瀬戸内海の穏やかな気候も魅力。(※本記事紹介は道後温泉のみ)
九州 別府温泉、由布院温泉、指宿温泉、黒川温泉 「おんせん県」大分を筆頭に、源泉数・湧出量ともに日本トップクラス。個性豊かな温泉地が密集しており、温泉巡りも楽しい。

北海道・東北エリア

広大な大地と手つかずの自然が魅力のエリア。冬の厳しい寒さがもたらす雪見風呂は格別です。

  • 登別温泉(北海道): 「温泉のデパート」と呼ばれるほど多彩な泉質が魅力。地獄谷の景観は圧巻。
  • 乳頭温泉郷(秋田県): ブナの原生林に佇む秘湯。雪深い冬の風情は一度は体験したい美しさ。
  • 銀山温泉(山形県): 大正ロマンの街並みが美しい。ガス灯が灯る夕暮れ時は幻想的。
  • 蔵王温泉(山形県): 強酸性の名湯と、冬の樹氷「スノーモンスター」で有名。スキーヤーにも人気。

関東エリア

首都圏からのアクセスに優れ、日帰りから宿泊まで気軽に楽しめる温泉地が豊富です。

  • 箱根温泉(神奈川県): 交通の便が良く、美術館や観光スポットも充実した一大リゾート。
  • 草津温泉(群馬県): 日本三名泉の一つ。湯畑を中心に活気あふれる温泉街が広がる。
  • 鬼怒川温泉(栃木県): 渓谷美を望む大型ホテルが立ち並ぶ。家族旅行やグループ旅行に最適。
  • 伊香保温泉(群馬県): 365段の石段街がシンボル。風情ある街並みの散策が楽しい。

甲信越・北陸エリア

日本海や雄大な山々に囲まれ、食文化も豊かなエリアです。

  • 和倉温泉(石川県): 七尾湾に面した高級温泉郷。上質なもてなしと海の幸が自慢。(※能登半島地震の影響にご注意ください)
  • このエリアには他にも、新潟県の月岡温泉(エメラルドグリーンの硫黄泉)や長野県の野沢温泉(共同浴場めぐりが楽しい)など、魅力的な温泉地が多くあります。

東海エリア

太平洋に面した温暖な気候と、首都圏・中京圏からのアクセスの良さが特徴です。

  • 下呂温泉(岐阜県): 日本三名泉の一つ。「美人の湯」として知られる滑らかな泉質が人気。
  • 熱海温泉(静岡県): 海を望む絶景と新鮮な魚介類、海上花火大会が楽しめるリゾート地。
  • 修善寺温泉(静岡県): 「伊豆の小京都」と呼ばれる、落ち着いた雰囲気の歴史ある温泉郷。

関西(近畿)エリア

歴史と伝統に彩られた名湯が多く、京阪神からの利便性も高いエリアです。

  • 有馬温泉(兵庫県): 日本三古湯・三名泉。赤褐色の「金泉」と無色透明の「銀泉」が楽しめる。
  • 城崎温泉(兵庫県): 浴衣姿で7つの外湯をめぐるのが醍醐味。風情ある街並みが魅力。
  • 南紀白浜温泉(和歌山県): 白い砂浜が美しいリゾート温泉地。テーマパークもあり家族連れに人気。

中国・四国エリア

瀬戸内海の穏やかな風景や、四国の豊かな自然に囲まれたエリアです。

  • 道後温泉(愛媛県): 日本最古といわれる歴史を持つ。シンボルの道後温泉本館は必見。
  • このエリアには、鳥取県の三朝温泉(世界有数の放射能泉)や、島根県の玉造温泉(美肌の湯として有名)など、特色ある温泉地が点在しています。

九州エリア

「温泉天国」とも呼ばれる、日本屈指の温泉密集地帯。個性豊かな温泉地をはしごするのもおすすめです。

  • 別府温泉(大分県): 源泉数・湧出量ともに日本一。「地獄めぐり」は外せない観光スポット。
  • 由布院温泉(大分県): アートと自然が調和したお洒落な温泉地。女性に特に人気。
  • 指宿温泉(鹿児島県): 世界的にも珍しい「天然砂むし温泉」でデトックス体験ができる。
  • 黒川温泉(熊本県): 統一感のある美しい景観が魅力。「入湯手形」での露天風呂めぐりが楽しい。

お気に入りの温泉地を見つけて特別な旅行に出かけよう

日本が世界に誇る文化、温泉。その魅力は、単に体を温めるだけにとどまりません。心身の疲れを癒す泉質、四季折々の美しい自然、その土地ならではの食文化、そして歴史が育んだ温泉街の風情。 これらすべてが一体となって、私たちに日常を忘れる特別な時間を与えてくれます。

この記事では、最高の温泉旅行を計画するためのヒントとして、様々な角度から温泉の選び方をご紹介しました。

  • 絶景の露天風呂で開放感を味わいたいのか、それとも貸切風呂でプライベートな時間を過ごしたいのか。
  • 美肌や疲労回復など、泉質の効能で選ぶのか、それともご当地グルメを旅の主役にするのか。
  • 週末に気軽に訪れられる近場の温泉か、時間をかけてでも訪れたい憧れの秘湯か。

あなたの「旅の目的」を明確にすることが、無数にある選択肢の中から、あなたにとって最高の温泉地を見つけるための第一歩です。

そして、全国の人気温泉地ランキングでは、北は北海道から南は鹿児島まで、それぞれに個性と魅力あふれる20の温泉地を詳しく解説しました。活気あふれる温泉リゾートから、しっとりとした風情の秘湯まで、きっとあなたの心に響く場所が見つかったのではないでしょうか。

さらに、泉質の知識や入浴マナーといった豆知識は、あなたの温泉旅行をより深く、豊かなものにしてくれるはずです。泉質の違いを感じながら湯めぐりをしたり、正しい入浴法で温泉の効果を最大限に引き出したりすることで、旅の満足度は格段に向上します。

さあ、この記事を片手に、次の休日の計画を立ててみませんか。どこで、誰と、どんな時間を過ごしたいですか? あなただけのお気に入りの温泉地を見つけて、心に残る特別な旅行に出かけましょう。 立ち上る湯気の向こうに、素晴らしい体験があなたを待っています。