国内旅行の費用は平均いくら?内訳と賢い節約術10選を徹底解説

国内旅行の費用は平均いくら?、内訳と賢い節約術を徹底解説

「次の休みには、どこかへ国内旅行に行きたいな」と考えたとき、真っ先に気になるのが「一体いくらかかるのだろう?」という費用の問題ではないでしょうか。行き先や泊数、旅行のスタイルによって費用は大きく変わるため、予算を立てるのが難しいと感じる人も少なくありません。

国内旅行の費用は、交通費や宿泊費といった大きな出費から、食費やお土産代などの細かな出費まで、さまざまな要素で構成されています。事前にこれらの内訳を理解し、自分の希望に合った予算を立てることが、満足度の高い旅行を実現するための第一歩です。また、少しの工夫で旅行費用を賢く抑える方法も数多く存在します。

この記事では、国内旅行にかかる費用の内訳や、泊数・人数・行き先別の平均的な相場を徹底解説します。さらに、誰でも今日から実践できる具体的な節約術10選や、失敗しない旅行予算の立て方まで、網羅的にご紹介します。

本記事を読めば、国内旅行の費用に関する疑問や不安が解消され、自分にぴったりの旅行プランを立てられるようになります。計画的に予算を管理し、お得に、そして心から満喫できる国内旅行の準備を始めましょう。

国内旅行でかかる費用の内訳

交通費、宿泊費、食費、観光・アクティビティ費、お土産代、その他(旅行保険・Wi-Fiなど)

国内旅行の費用と一言でいっても、その中身は多岐にわたります。予算を正確に立てるためには、まずどのような項目にお金がかかるのかを把握することが不可欠です。主な費用項目は、「交通費」「宿泊費」「食費」「観光・アクティビティ費」「お土産代」「その他」の6つに大別できます。

これらの項目が総額に占める割合は、旅行のスタイルによって大きく変動します。例えば、遠方へ飛行機で行くなら交通費の割合が高くなりますし、高級旅館に泊まるなら宿泊費が大部分を占めるでしょう。ここでは、それぞれの費用の特徴と目安について詳しく見ていきましょう。

交通費

交通費は、旅行費用全体の中でも特に大きな割合を占める項目です。出発地から目的地までの往復にかかる費用が主ですが、旅行先での移動費も含まれます。利用する交通手段によって金額が大きく異なるため、予算を考える上で最も重要な要素の一つと言えます。

  • 飛行機:
    遠距離の移動に最も速く、便利な手段です。特に北海道や沖縄、離島への旅行では必須となります。費用は航空会社(JAL・ANAなどのフルサービスキャリアか、Peach・JetstarなどのLCCか)、時期、予約のタイミングによって数十倍の差が出ることもあります。LCCを利用したり、早期予約割引(早割)を活用したりすることで、費用を大幅に抑えることが可能です。
  • 新幹線・特急列車:
    中距離から長距離の都市間移動において、時間と快適性のバランスが取れた選択肢です。正確な運行スケジュールで計画が立てやすいのがメリット。飛行機同様、早割や往復割引、インターネット予約限定の割引きっぷなどを活用するとお得になります。
  • 高速バス・夜行バス:
    費用を最も安く抑えたい場合に最適な交通手段です。特に夜行バスは、移動と睡眠を兼ねることで、移動時間と宿泊費1泊分を節約できるという大きなメリットがあります。ただし、移動時間が長く、体力的な負担がかかる点は考慮が必要です。
  • 自家用車・レンタカー:
    複数人での旅行や、公共交通機関が不便な地域を巡る場合に便利です。高速道路料金やガソリン代がかかりますが、人数で割れば一人当たりの費用を抑えられます。荷物を気にせず、自由な時間に行動できるのが最大の魅力です。レンタカーの場合は、車両のレンタル料金に加えて、保険料やガソリン代が必要になります。

交通費を計画する際は、 단순히往復の料金だけでなく、空港から市内への移動費や、観光地を巡るための交通費(電車、バス、タクシー代など)も忘れずに予算に組み込むことが大切です。

宿泊費

交通費と並んで、旅行費用に大きな影響を与えるのが宿泊費です。宿泊施設の種類やグレード、立地、宿泊する時期によって価格は大きく変動します。

  • シティホテル・リゾートホテル:
    充実した設備やサービスが魅力で、快適な滞在を求める方におすすめです。レストランやプール、大浴場などが併設されていることも多く、ホテルステイそのものを楽しめます。費用は高めですが、その分満足度も高いでしょう。
  • 旅館:
    日本の伝統的なおもてなしを体験できるのが魅力です。温泉や豪華な会席料理がセットになっているプランが多く、非日常感を味わえます。特に温泉地の人気旅館は高価ですが、特別な旅行には最適です。
  • ビジネスホテル:
    駅周辺など利便性の高い場所に多く、比較的リーズナブルな価格で宿泊できます。設備はシンプルですが、清潔で機能的な部屋が多く、観光の拠点として寝る場所を確保したい場合に適しています。朝食が無料または安価で提供されることも多いです。
  • ホステル・ゲストハウス:
    宿泊費を徹底的に抑えたい一人旅や若者グループに人気です。ドミトリー(相部屋)が中心で、キッチンやラウンジなどの共用スペースが充実しています。他の旅行者と交流できるのも魅力の一つです。個室を備えている施設もあります。
  • 民泊(Airbnbなど):
    アパートの一室や一軒家を借りるスタイルで、まるでその土地に住んでいるかのような体験ができます。キッチン付きの物件を選べば自炊も可能で、グループや家族での長期滞在ではホテルより割安になることがあります。

観光庁の「旅行・観光消費動向調査(2023年年間値・速報)」によると、日本人国内宿泊旅行における1人1回あたりの宿泊費の平均は22,785円となっています。これはあくまで平均値であり、上記のどのタイプの宿泊施設を選ぶかによって、1泊数千円から数十万円まで大きな幅があります。自分の旅の目的や予算に合わせて、最適な宿泊施設を選びましょう。

食費

旅行の醍醐味の一つが「食」です。ご当地のグルメや特産品を味わうことは、旅の思い出をより豊かなものにしてくれます。食費は、どのような食事をどのくらい楽しむかによって、大きく変わる変動費です。

1日あたりの食費の目安としては、一般的に5,000円~10,000円程度を見込むと良いでしょう。しかし、これはあくまで目安です。

  • 朝食: 500円~1,500円
    ホテルの朝食ビュッフェを利用するか、コンビニやカフェで軽く済ませるかで大きく変わります。素泊まりプランにして、地元のパン屋さんでモーニングを楽しむのもおすすめです。
  • 昼食: 1,000円~2,500円
    観光の合間に、名物のランチセットやご当地ラーメンなどを楽しむ時間です。手軽に済ませたい場合は、地元のスーパーでお弁当やお惣菜を買うのも一つの手です。
  • 夕食: 3,000円~8,000円
    1日で最も豪華になりやすい食事です。地元の食材を使った料理が楽しめる居酒屋やレストラン、旅館の会席料理など、選択肢は様々です。予算を抑えたい日は、ご当地チェーンのレストランなどを利用するのも賢い方法です。

全ての食事を外食で豪華にすると食費は高騰します。 予算を管理するためには、「夜は地元の名物料理を堪能するから、昼は少し控えめにする」といったように、メリハリをつけることが重要です。また、市場や道の駅などを訪れると、新鮮で美味しい食材を安価で楽しめることもあります。

観光・アクティビティ費

観光スポットの入場料や、体験型アクティビティへの参加費用も予算に含めておく必要があります。有名な寺社仏閣の拝観料、美術館や博物館の入館料、テーマパークのチケット代、マリンスポーツや工芸体験などの費用がこれにあたります。

  • 入場料・拝観料: 1箇所あたり500円~2,000円程度が目安です。歴史的建造物や世界遺産などは比較的高めに設定されていることがあります。
  • テーマパーク: 1日券で8,000円~10,000円を超える施設もあります。
  • 体験アクティビティ: 内容によりますが、数千円から1万円以上かかるものまで様々です。

これらの費用は、事前に訪れたい場所をリストアップし、公式サイトなどで料金を調べておくと正確な予算が立てやすくなります。全ての場所で費用がかかるわけではありません。公園や展望台、美しい景色が楽しめる海岸など、無料で楽しめるスポットもたくさんあります。 有料の観光地と無料のスポットをうまく組み合わせることで、満足度を保ちながら費用を抑えることが可能です。

お土産代

家族や友人、職場へのお土産や、自分自身の旅の記念品を購入する費用です。これは完全に個人の裁量に委ねられる費用ですが、つい買いすぎてしまい、気づいたら予算を大幅にオーバーしていた、ということも少なくありません。

観光庁の同調査によれば、国内宿泊旅行における1人1回あたりのお土産代の平均は6,108円です。これを一つの目安として、あらかじめ「お土産代は〇〇円まで」と上限を決めておくと良いでしょう。誰に何を買うか、事前にリストアップしておくのも衝動買いを防ぐのに効果的です。

最近では、現地で荷物になるのを避けるため、オンラインストアでご当地のお土産を事前に注文しておくという方法も人気です。

その他(旅行保険・Wi-Fiなど)

上記以外にも、見落としがちですが考慮しておくべき費用があります。

  • 国内旅行傷害保険:
    旅行中のケガや病気、持ち物の盗難や破損、他人への賠償責任などに備えるための保険です。数百円から数千円程度で加入できます。特に、慣れない土地でのアクティビティや長期の旅行、小さな子供連れの旅行などの場合は、万が一に備えて加入を検討すると安心です。クレジットカードに付帯している場合もあるため、出発前に確認しておきましょう。
  • Wi-Fiルーターレンタル:
    スマートフォンやPCを頻繁に使う場合、ホテルのWi-Fiだけでは不十分なことがあります。特に山間部など電波が不安定な場所へ行く際は、レンタルWi-Fiがあると便利です。1日あたり500円前後からレンタルできます。
  • 雑費:
    コインロッカー代、有料トイレの利用料、急な雨具の購入費など、予期せぬ出費に備えて、総予算の5%~10%程度を予備費として確保しておくと、いざという時に慌てずに済みます。

これらの内訳を理解し、自分の旅行スタイルに合わせて各項目に予算を割り振ることが、計画的で楽しい旅行への第一歩となります。

【泊数別】国内旅行の費用相場

旅行の総費用は、滞在日数に大きく左右されます。ここでは、観光庁の「旅行・観光消費動向調査2023年年間値(速報)」のデータを参考に、日帰り、1泊2日、2泊3日、そしてそれ以上の長期滞在における費用相場を解説します。自分の計画している旅行が、平均と比べて高いのか安いのかを把握する目安にしてください。

日帰り旅行の費用相場

宿泊を伴わない日帰り旅行は、最も手軽にリフレッシュできる方法の一つです。費用を抑えやすく、まとまった休みが取れない人にも人気があります。

観光庁の調査によると、2023年の日帰り旅行における1人1回あたりの平均費用は18,514円です。
この費用の主な内訳は以下のようになります。

費目 平均金額
交通費 7,163円
飲食費 3,924円
買物代(お土産など) 4,209円
娯楽サービス費 2,757円
(その他) 461円

(参照:観光庁「旅行・観光消費動向調査2023年年間値(速報)」)

日帰り旅行では、総費用の約4割を交通費が占めることがわかります。そのため、費用を抑える鍵は「いかに交通費を安くするか」にかかっています。

  • 近場への日帰り旅行(自家用車や在来線利用):
    この場合の費用は、1人あたり5,000円~15,000円程度に収まることが多いでしょう。ガソリン代や電車代に加え、昼食代、日帰り温泉の入浴料、少しのお土産代などが含まれます。
  • 少し遠出の日帰り旅行(新幹線や特急利用):
    新幹線や特急を利用して隣県や主要観光地へ足を延ばす場合、費用は1人あたり15,000円~30,000円程度が目安です。往復の交通費が高くなる分、総額も上がりますが、その分非日常感をより味わえます。高速バスを利用すれば、この費用をさらに抑えることも可能です。

日帰り旅行は、宿泊費がかからない分、食事やアクティビティに予算を多めに配分できるのが魅力です。「普段は行かないような少し高級なレストランでランチを楽しむ」「興味のあった体験アクティビティに参加する」など、目的に合わせてお金を使うことで、短い時間でも満足度の高い一日を過ごせます。

1泊2日の費用相場

週末や連休を利用して行ける1泊2日の旅行は、国内旅行で最もポピュラーな形態です。観光庁のデータでは宿泊旅行全体の平均値が示されていますが、その中でも1泊2日の旅行は多くの人が経験する基本的なパターンと言えます。

宿泊旅行全体での1人1回あたりの平均費用は65,193円です。このうち、1泊2日の旅行に絞って一般的な相場を考えると、おおよそ30,000円~70,000円程度が目安となります。この金額は、行き先や交通手段、宿泊施設のグレードによって大きく変動します。

費目 平均金額(宿泊旅行全体) 1泊2日の目安
交通費 19,578円 10,000円~40,000円
宿泊費 22,785円 8,000円~30,000円
飲食費 9,997円 8,000円~15,000円
買物代(お土産など) 6,108円 3,000円~8,000円
娯楽サービス費 5,618円 2,000円~10,000円

(参照:観光庁「旅行・観光消費動向調査2023年年間値(速報)」の数値を基に目安を作成)

  • 近隣県への旅行(車や在来線):
    交通費を抑えられるため、総額も30,000円~50,000円程度が中心になります。浮いた交通費分を、少し良い宿や食事に回すことができます。
  • 遠方への旅行(飛行機や新幹線):
    北海道や沖縄、あるいは主要都市間を移動する場合、交通費だけで20,000円~50,000円程度かかることもあります。そのため、総額は50,000円~80,000円、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。LCCや早割、旅行会社のパッケージツアーなどを活用することが、費用を抑える上で非常に重要になります。

1泊2日の旅行では、交通費と宿泊費が総費用の大部分を占めます。この2つの「固定費」をいかに抑えるかが、予算計画の鍵を握ると言えるでしょう。

2泊3日の費用相場

2泊3日の旅行になると、時間に余裕が生まれるため、少し離れた場所へ足を延ばしたり、一つのエリアをじっくり観光したりと、行動の幅がぐっと広がります。

2泊3日の費用相場は、1人あたり50,000円~100,000円程度が一般的です。1泊2日に比べて、宿泊費1泊分と、滞在中の食費や観光費が追加されるため、総額は高くなります。

費用の内訳としては、1泊2日の旅行費に加えて、以下の費用が上乗せされるイメージです。

  • 宿泊費:1泊分(8,000円~30,000円程度)
  • 食費・観光費など:1日分(5,000円~15,000円程度)

合計で、1泊2日のプランに13,000円~45,000円程度上乗せされる計算になります。

2泊3日の旅行のメリットは、中日(2日目)を丸一日観光に使えることです。移動の疲れを気にせず、朝から晩までアクティブに行動できます。例えば、テーマパークで一日中遊んだり、複数の市町村を巡るドライブを楽しんだりするのに最適です。

予算を立てる際は、2日目のプランを具体的に考えることが重要です。レンタカーを借りるのか、公共交通機関のフリーパスを使うのか、あるいは高額なアクティビティに参加するのかによって、必要な費用が大きく変わってきます。時間に余裕があるからこそ、お金の使い方も計画的に行う必要があります。

3泊4日以上の費用相場

3泊4日以上の長期滞在では、複数の地域を周遊したり、一つの場所に腰を据えてゆったりと過ごしたりと、より自由度の高い旅行が可能になります。費用相場は1人あたり80,000円~200,000円以上と、行き先や過ごし方によって大きな幅があります。

長期滞在の場合、1日あたりの費用は短期滞在に比べて割安になる傾向があります。その理由は以下の通りです。

  • 交通費の割合低下: 往復の交通費は滞在日数にかかわらず一定です。そのため、滞在日数が長くなるほど、総費用に占める交通費の割合は相対的に低くなります。
  • 宿泊費の割引: ホテルによっては、連泊することで割引が適用される「連泊プラン」が用意されていることがあります。また、民泊やウィークリーマンションなどを利用すると、ホテルに長期滞在するよりも宿泊費を大幅に抑えられる可能性があります。
  • 自炊による食費の節約: キッチン付きの宿泊施設を選べば、地元のスーパーで食材を買い、自炊をすることができます。これにより、毎食外食する場合に比べて食費を大きく節約できます。

例えば、北海道や沖縄のように見どころが多い広大なエリアを巡る場合や、複数の県をまたいで旅行する場合には、3泊4日以上の余裕を持った日程がおすすめです。

長期旅行の予算を計画する際は、「移動日」と「滞在日」を分けて考えるとスムーズです。高額な交通費がかかるのは主に初日と最終日の移動日であり、間の滞在日は比較的費用をコントロールしやすいです。全体の予算を日数で単純に割るのではなく、日ごとの活動内容に合わせて予算を配分することが、賢い計画のコツです。

【人数別】国内旅行の費用相場

旅行は誰と行くかによっても、楽しみ方や費用の考え方が変わります。一人旅、カップルや夫婦での二人旅、そして家族や友人グループでの旅行、それぞれのスタイルにおける費用相場と特徴を見ていきましょう。総額だけでなく、一人当たりの費用がどう変わるかに注目することがポイントです。

一人旅の費用相場

自分のペースで気ままに旅ができる一人旅は、近年ますます人気が高まっています。誰にも気兼ねなく、好きな場所へ行き、好きなものを食べられる自由さが最大の魅力です。

一人旅の費用相場は、1泊2日で35,000円~80,000円程度が目安となります。二人以上の旅行に比べて、一人当たりの費用は割高になる傾向があります。その最大の理由は宿泊費です。多くのホテルや旅館では、部屋単位で料金が設定されているため、一人で利用すると二人で利用するよりも一人当たりの料金が高くなります(いわゆる「シングルチャージ」)。

費用項目 一人旅の特徴と注意点
交通費 人数による変動はなし。LCCや高速バスなど、安価な手段を選びやすい。
宿泊費 割高になりがち。 ビジネスホテルやホステル、ゲストハウス、一人旅歓迎の宿を選ぶのがおすすめ。
食費 自分の好きなものを好きなだけ食べられる。カウンター席のある店などを選べば気兼ねなく楽しめる。
観光費 全て自己負担。グループ割引などは適用されない。

一人旅の費用を抑えるコツは、宿泊先の選び方にあります。 シティホテルや旅館でも「シングルルーム」や「おひとり様プラン」を用意しているところを探しましょう。また、ドミトリー(相部屋)のあるホステルやゲストハウスを利用すれば、宿泊費を1泊3,000円~5,000円程度に抑えることも可能です。

一方で、一人旅は全ての費用を自分で管理するため、予算オーバーに気づきやすいというメリットもあります。自分のこだわりたい部分(例:食事、特定の体験)にはお金をかけ、それ以外の部分(例:宿泊、移動)は徹底的に節約するなど、メリハリのある予算配分がしやすいのも一人旅の特長です。自由度の高さを活かして、自分だけのオリジナルな旅を計画してみましょう。

2人(カップル・夫婦)の費用相場

カップルや夫婦など、2人での旅行は最もバランスの取れたスタイルかもしれません。感動を共有できる相手がいる喜びと、費用面での効率の良さを両立できます。

2人旅行の費用相場は、1泊2日で一人あたり30,000円~70,000円程度が目安です。総額では60,000円~140,000円となります。一人旅に比べて、一人当たりの費用は安くなる傾向にあります。

費用項目 2人旅行の特徴とメリット
交通費 自家用車やレンタカーを利用する場合、ガソリン代や高速代を折半できるため、一人当たりの負担が減る。
宿泊費 最も効率が良くなる項目。 ツインやダブルの部屋を2人で利用するため、一人当たりの宿泊費を抑えられる。
食費 様々な料理をシェアして楽しめる。コース料理なども頼みやすい。
観光費 一人当たりの負担は一人旅と変わらないが、タクシーなどを利用する際に割り勘できるメリットがある。

2人旅行の最大のメリットは、宿泊費の効率の良さです。ほとんどの宿泊施設は2名利用を基本としているため、最もコストパフォーマンスの高い料金で宿泊できます。ロマンチックな雰囲気のホテルや旅館など、カップル向けのプランが豊富なのも魅力です。

また、自家用車やレンタカーでの移動も、2人であれば運転を交代できるため、長距離のドライブも楽になります。高速代やガソリン代を折半できるため、公共交通機関を使うよりも安く、かつ自由度の高い旅が実現できる場合もあります。

予算を立てる際は、お互いの希望をすり合わせることが大切です。「どこにお金をかけたいか」「どこは節約したいか」を事前に話し合っておくことで、旅行中のすれ違いを防ぎ、お互いが満足できるプランを作ることができます。

3〜4人(家族・グループ)の費用相場

友人グループや家族(特に子供連れ)での旅行は、賑やかで楽しい思い出作りに最適です。費用面では、総額は大きくなりますが、工夫次第で一人当たりの費用をかなり抑えることが可能です。

3〜4人での旅行費用は、1泊2日で一人あたり25,000円~60,000円程度が目安です。総額では75,000円~240,000円と大きな幅があります。

費用項目 3〜4人旅行の特徴とメリット
交通費 レンタカーの利用が非常に効率的。 7~8人乗りのミニバンなどを借りれば、公共交通機関より安く快適に移動できる。
宿泊費 ファミリールームやコネクティングルーム、一棟貸しのコテージや民泊を利用することで、一人当たりの宿泊費を抑えられる。
食費 大皿料理をシェアしたり、自炊をしたりすることで食費を節約しやすい。
観光費 施設によってはグループ割引が適用される場合がある。

グループ旅行で最も効果的な節約方法は、移動手段と宿泊先の工夫です。
特に交通費は、人数分の電車や飛行機のチケット代を考えると高額になりがちですが、大きめのレンタカーを1台借りれば、全員の交通費をまとめて大幅に削減できます。空港や駅で借りて、そのまま観光に使えるので、荷物が多くなりがちな家族旅行にも最適です。

宿泊先も、ホテルで複数の部屋を予約するより、4~5人以上が泊まれる大部屋や和室、あるいはキッチン付きの民泊やコテージを1棟借りる方が、結果的に安くなるケースが多くあります。みんなで一緒に過ごす時間が増えるのも、グループ旅行の醍醐味と言えるでしょう。

ただし、人数が増えるほど、全員の希望や意見をまとめるのが難しくなります。予算を立てる段階で、幹事を決めて旅の目的や予算上限を明確にし、全員の合意を得ておくことが、スムーズで楽しい旅行にするための重要なポイントです。

【シーズン別】旅行費用はいつが高い?安い?

繁忙期(ゴールデンウィーク・お盆・年末年始)、閑散期(オフシーズン)、通常期

国内旅行の費用は、旅行に行く「時期」によって劇的に変動します。特に航空券や宿泊費は、需要と供給のバランスによって価格が常に変わる「ダイナミックプライシング(価格変動制)」が採用されているため、いつ予約し、いつ出発するかは予算に直結する非常に重要な要素です。ここでは、旅行費用が高騰する「繁忙期」、安くなる「閑散期」、そしてその中間にあたる「通常期」について、それぞれの特徴と費用の傾向を解説します。

繁忙期(ゴールデンウィーク・お盆・年末年始)

繁忙期とは、多くの人が一斉に休暇を取り、旅行に出かける時期を指します。具体的には以下の期間が該当します。

  • ゴールデンウィーク(4月下旬~5月上旬)
  • お盆休み(8月中旬)
  • 年末年始(12月下旬~1月上旬)
  • その他、3連休や夏休み期間(7月下旬~8月)も準繁忙期と言えます。

この時期は旅行需要がピークに達するため、航空券や宿泊費は年間で最も高騰します。 通常期の1.5倍から2倍以上、場合によってはそれ以上の価格になることも珍しくありません。

なぜ繁忙期は高くなるのか?
これは単純な需要と供給の原理に基づきます。航空機の座席数やホテルの部屋数といった「供給」は限られているのに対し、休みの人が増えることで「需要」が爆発的に増加するため、価格が釣り上がるのです。

繁忙期に旅行を計画する場合の注意点は以下の通りです。

  • 予約は可能な限り早く: 人気の宿泊施設や安い航空券は、数ヶ月前、場合によっては半年前から埋まり始めます。予定が立ち次第、すぐに予約を押さえるのが鉄則です。
  • 費用の高騰は覚悟する: ある程度の出費は避けられません。通常期と同じ予算感でいると、希望の宿や便が取れない可能性があります。
  • 混雑を避ける工夫: 観光地はもちろん、空港や駅、道路も大変混雑します。移動時間を多めに見積もったり、あえて定番を外した穴場スポットを選んだりする工夫が必要です。

どうしてもこの時期にしか旅行できない場合は、出発日や帰着日を1日ずらすだけで、数万円単位で費用が変わることがあります。例えば、多くの人が休みに入る前日に出発したり、休みが終わる翌日に帰ってきたりするなどの工夫が有効です。

閑散期(オフシーズン)

閑散期(オフシーズン)は、繁忙期の逆で、旅行に出かける人が少なくなる時期です。一般的に、以下の期間が閑散期にあたります。

  • 1月中旬~2月: 年末年始と春休みの間の期間。
  • 4月上旬~中旬: 春休みとゴールデンウィークの間の期間。
  • 6月: 梅雨の時期で、祝日もないため。
  • 9月下旬~11月上旬(連休を除く): 夏休みと年末シーズンの間の期間。
  • 12月上旬~中旬: 年末の繁忙期に入る直前の期間。

この時期は、航空券や宿泊費が年間で最も安くなります。 旅行会社もこの時期の集客のために、非常にお得なセールやキャンペーンを打ち出すことが多く、旅行好きにとってはまさに「狙い目」のシーズンです。

閑散期に旅行するメリット:

  • 圧倒的な費用の安さ: 繁忙期と比べて半額以下で旅行できることもあります。同じ予算で、よりグレードの高いホテルに泊まったり、滞在日数を延ばしたりすることが可能です。
  • 観光地が空いている: 人混みを気にすることなく、ゆっくりと観光を楽しめます。人気店の行列も短く、写真撮影もしやすいでしょう。
  • 予約が取りやすい: 直前の計画でも、比較的希望の便や宿を確保しやすいです。

もちろん、デメリットもあります。例えば、6月は梅雨で天候が不安定だったり、冬の閑散期は営業していない観光施設やアクティビティがあったりします。また、スキーリゾートの夏や、ビーチリゾートの冬のように、その土地のメインシーズンを外すことになる場合もあります。しかし、そうしたデメリットを理解した上で、人混みを避けて静かに過ごしたい、とにかく費用を抑えたいという方には最高のシーズンと言えるでしょう。

通常期

通常期は、上記の繁忙期と閑散期以外の期間を指します。具体的には、連休のない週末や平日などがこれにあたります。

この時期の費用は、平日と週末(金・土曜日)で大きく異なります。

  • 平日(月~木曜日): 比較的空いており、料金も安めに設定されています。有給休暇などを利用して平日に旅行を計画するのが、賢い方法の一つです。
  • 週末(金・土曜日): 仕事が休みの人が多いため、需要が高まり、宿泊費を中心に料金が上がります。特に土曜日の宿泊は最も高くなる傾向があります。

「ショルダーシーズン」を狙うという考え方もあります。これは、繁忙期の直前や直後の期間を指し、気候も良く、比較的混雑も少ないながら、料金は繁忙期のピークよりも抑えられているため、コストパフォーマンスが高い時期とされています。例えば、ゴールデンウィーク直後の5月中旬や、夏休みが終わったばかりの9月上旬などがこれにあたります。

最適な旅行時期を見つけるには、まず自分の旅の目的を明確にすることが大切です。「絶対にこのイベントが見たい」という目的なら繁忙期でも行く価値がありますし、「のんびり温泉に浸かりたい」という目的なら閑散期がベストです。費用、混雑度、気候、イベントの有無など、様々な要素を総合的に判断して、自分にとってベストな旅行シーズンを見つけましょう。

【行き先別】人気観光地の費用相場(1泊2日)

どこへ旅行するかによって、必要な費用、特に交通費は大きく変わります。ここでは、東京出発をモデルケースとして、人気の観光地である北海道、東京、京都・大阪、福岡、沖縄への1泊2日旅行にかかる費用相場を比較してみましょう。交通手段や宿泊施設のグレードは中程度(LCCではないフルサービスキャリアや新幹線、1泊1万~1万5千円程度のホテル)を想定しています。

【行き先別】1泊2日旅行の費用相場(1人あたり・東京発)

行き先 交通費(往復)の目安 宿泊費(1泊)の目安 食費・観光費等(2日分)の目安 合計費用の目安 特徴
北海道(札幌) 30,000円~60,000円 10,000円~20,000円 15,000円~25,000円 55,000円~105,000円 航空券代が費用を左右。現地での移動(レンタカー等)も考慮が必要。
東京 (近郊から)5,000円~15,000円 12,000円~25,000円 15,000円~30,000円 32,000円~70,000円 宿泊費と食費の選択肢が豊富だが、全体的に物価は高め。
京都・大阪 25,000円~40,000円 10,000円~25,000円 15,000円~25,000円 50,000円~90,000円 新幹線が便利。宿泊費は時期による変動が激しい。周遊パスが有効。
福岡 25,000円~50,000円 8,000円~18,000円 12,000円~20,000円 45,000円~88,000円 LCCの就航が多く航空券を抑えやすい。食費が比較的リーズナブル。
沖縄(那覇) 30,000円~70,000円 10,000円~25,000円 15,000円~25,000円 55,000円~120,000円 航空券代が夏休み等の繁忙期に高騰。レンタカーがほぼ必須。

※上記の金額はあくまで一般的なシーズンにおける目安であり、繁忙期・閑散期、予約のタイミングによって大きく変動します。

北海道旅行の費用相場

広大な大地に豊かな自然と美味しいグルメが満載の北海道。東京からは飛行機の利用が一般的です。航空券代が旅行費用全体に占める割合が非常に高く、いつ行くかによって総額が大きく変わります。 LCCを利用したり、オフシーズンを狙ったりすることで、費用を抑えることが可能です。

1泊2日では行動範囲が限られるため、札幌・小樽周辺などエリアを絞って観光するのが現実的です。もし富良野や函館など、広範囲を巡りたい場合はレンタカーが必須となり、移動時間と費用がさらにかかります。そのため、北海道を存分に楽しむには、できれば2泊3日以上の滞在がおすすめです。食費は、海産物やラーメン、ジンギスカンなど魅力的なものが多いため、少し多めに見積もっておくと良いでしょう。

東京旅行の費用相場

日本の首都である東京は、最新のトレンド、グルメ、エンターテイメントが集まる魅力的な都市です。地方から東京へ旅行する場合、新幹線や飛行機、高速バスなど多様な交通手段が選べます。

東京の旅行で費用がかさみやすいのは、宿泊費と食費です。宿泊施設は選択肢が非常に豊富ですが、都心部の便利な立地のホテルは全国的に見ても高価な傾向にあります。少しエリアをずらしたり、ビジネスホテルを活用したりする工夫が求められます。食費も、有名店や高級店は多いですが、B級グルメやコストパフォーマンスの高いランチも探せばたくさん見つかります。公共交通機関が非常に発達しているため、JRや地下鉄の乗り放題きっぷを活用すると、現地での移動費を節約できます。

京都・大阪旅行の費用相場

歴史と文化が息づく京都と、食と笑いの街・大阪。この2都市は距離が近く、セットで観光する人も多い人気のエリアです。東京からは東海道新幹線を利用するのが最も便利で、所要時間と費用のバランスが取れています。

京都は国内外から観光客が集中するため、特に桜や紅葉のシーズン、祇園祭の時期などは宿泊費が著しく高騰します。 予約も困難になるため、早めの計画が必須です。一方、大阪は比較的リーズナブルなビジネスホテルが多く、宿泊費を抑えたい場合は大阪を拠点にするのも一つの手です。両都市を効率よく巡るには、阪急・京阪といった私鉄やJRの路線を組み合わせる必要があり、関西エリアで使える周遊パスの購入を検討するとお得になる場合があります。

福岡旅行の費用相場

「食の都」として名高い福岡は、コンパクトな市内に空港と主要駅があり、アクセスが非常に良いのが特徴です。東京からは飛行機での移動がメインとなり、多くのLCCが就航しているため、セールなどを狙えば航空券をかなり安く手に入れられる可能性があります。

福岡の魅力は、何と言ってもリーズナブルで美味しいグルメです。もつ鍋、水炊き、博多ラーメン、屋台料理など、食い倒れの旅を楽しむには最高の場所です。宿泊費も、都心部にビジネスホテルが集中しており、比較的安価に滞在できます。1泊2日でも十分に楽しめるコンパクトさも魅力で、コストパフォーマンスに優れた旅行先と言えるでしょう。

沖縄旅行の費用相場

美しい海と独自の文化が魅力の沖縄は、日本を代表するリゾート地です。東京からは飛行機で約3時間。航空券代は、夏休みやお盆、年末年始といった繁忙期には非常に高騰しますが、台風シーズン後の秋や冬の閑散期には驚くほど安くなることもあります。

沖縄本島内の移動は、公共交通機関(モノレールやバス)だけでは不便なことが多く、レンタカーの利用がほぼ必須となります。そのため、予算にはレンタカー代とガソリン代も忘れずに計上する必要があります。美しいビーチや絶景スポットは無料で楽しめる場所も多いですが、美ら海水族館などの人気施設やマリンアクティビティはそれなりの費用がかかります。リゾートホテルでのんびり過ごすか、アクティブに観光するかで、費用の使い方が大きく変わる旅行先です。

国内旅行の費用を賢く抑える節約術10選

旅行の計画は楽しいものですが、予算の制約は誰にでもあります。しかし、少しの知識と工夫で、旅行の満足度を落とすことなく費用を賢く抑えることが可能です。ここでは、計画段階から旅行中まで使える、実践的な10個の節約術を具体的に解説します。

① 旅行に行く時期をオフシーズンにずらす

これは最も効果的な節約術の一つです。前述の通り、航空券や宿泊費は需要によって大きく変動します。ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの繁忙期を避け、多くの人が働いている平日や、旅行需要が落ち込む閑散期(1月下旬~2月、6月など)を狙うだけで、旅行費用は劇的に安くなります。

例えば、繁忙期には往復7万円する沖縄行きの航空券が、閑散期には2万円以下になることもあります。宿泊費も同様で、同じホテルでも平日と週末、繁忙期と閑散期では料金が倍以上違うことも珍しくありません。もし休暇を自由に調整できるのであれば、カレンダーの祝祭日から外れた時期を積極的に選びましょう。費用が安いだけでなく、観光地が空いていて快適に過ごせるという大きなメリットもあります。

② 航空券とホテルはセットで予約する

飛行機を利用する旅行の場合、航空券と宿泊施設を個別に予約するよりも、セットで予約する「ダイナミックパッケージ(国内ツアー)」の方が安くなるケースが多くあります。これは、旅行会社が航空会社やホテルから団体料金で仕入れているため、個人で手配するよりも割安な価格で提供できるからです。

楽天トラベルの「ANA楽パック」「JAL楽パック」や、じゃらんの「JALじゃらんパック」「ANAじゃらんパック」などが代表的です。これらのサービスでは、好きな航空便とホテルを自由に組み合わせることができ、予約も一度で済むため手間が省けるというメリットもあります。出発日が近づくほど料金は上がる傾向にあるため、こちらも早めの予約がおすすめです。

③ 早割を利用して早めに予約する

「早期予約割引」、通称「早割」は、交通機関や宿泊施設をお得に利用するための基本テクニックです。

  • 航空券の早割:
    JALの「先得」やANAの「スーパーバリュー」などが有名です。搭乗日の75日前、55日前、28日前など、早く予約するほど割引率が高くなります。予定が早く決まっている場合は、これらの販売開始タイミングを狙って予約することで、正規運賃の半額以下で航空券を手に入れられる可能性があります。
  • 新幹線の早割:
    JR各社もインターネット予約限定の早割きっぷを販売しています。「えきねっとトクだ値」(JR東日本)や「EX早特」(JR東海・西日本)などがあり、乗車日の21日前や28日前の予約で大幅な割引が受けられます。
  • ホテルの早割:
    多くのホテル予約サイトやホテルの公式サイトでは、「30日前予約」「60日前予約」といった早割プランが用意されています。通常のプランよりも安く宿泊できるため、積極的に活用しましょう。

旅行の計画は、できるだけ早く始めることが節約に直結すると覚えておきましょう。

④ LCCや高速バスなど安い交通手段を選ぶ

快適性や時間よりも価格を重視するなら、交通手段の選択肢を広げることが重要です。

  • LCC(格安航空会社):
    Peach、Jetstar、Spring Japanなどが国内の主要路線で運航しています。JALやANAといったフルサービスキャリアに比べて運賃が格段に安く、セール時には数千円で都市間を移動できることもあります。ただし、手荷物の重量制限が厳しい、座席が狭い、遅延や欠航時の補償が手薄いなどのデメリットもあるため、利用する際はルールをよく確認する必要があります。
  • 高速バス・夜行バス:
    長距離移動における最安の選択肢です。特に夜行バスは、寝ている間に移動できるため、移動時間を有効活用でき、さらに宿泊費1泊分を浮かせることができるという大きなメリットがあります。最近では、3列独立シートや女性専用エリアなど、快適性を高めたバスも増えています。

⑤ 旅行会社のセールやクーポンを活用する

オンライン旅行予約サイト(OTA)は、定期的にお得なセールやクーポン配布を行っています。これらをうまく活用することで、表示価格からさらに費用を抑えることが可能です。

  • 楽天トラベル スーパーセール: 年4回(3月、6月、9月、12月)開催される大規模なセールで、多くのホテルが半額以下のプランなどを提供します。
  • じゃらんスペシャルウィーク: 約2週間にわたって開催されるセールで、お得なプランやクーポンが多数配布されます。
  • 自治体の観光支援クーポン(ふるさと応援割など): 国や地方自治体が観光振興のために発行する割引クーポンです。宿泊代金が数千円割引になるなど、非常にお得なものが多いため、旅行先の自治体でキャンペーンが行われていないか、予約前にチェックする習慣をつけましょう。

⑥ 宿泊先のグレードや種類を工夫する

「旅行中は寝るだけだから、宿は安くても良い」と割り切れるなら、宿泊先の選択肢を広げることで費用を大幅に削減できます。

  • ビジネスホテルを選ぶ: 観光地の旅館やリゾートホテルに比べて、駅前のビジネスホテルは価格が安定しており、リーズナブルです。最近では大浴場付きなど、快適性の高い施設も増えています。
  • 素泊まりプランにする: 旅館やホテルの食事は魅力的ですが、その分料金も高くなります。あえて食事なしの「素泊まり」プランを選び、夕食は地元の居酒屋やレストラン、朝食はコンビニやカフェで済ませることで、費用を抑えつつ現地の食文化に触れることができます。
  • ホステルや民泊を利用する: 一人旅やグループ旅行なら、ホステルやゲストハウス、民泊(Airbnbなど)も有力な選択肢です。特にキッチン付きの民泊なら自炊も可能で、長期滞在での食費節約に繋がります。

⑦ 食費はご当地グルメと節約を組み合わせる

旅行の楽しみである食事ですが、毎食豪華にすると予算を圧迫します。そこで「1日1食は贅沢に、残りは節約」といったメリハリをつけるのがおすすめです。

例えば、「夕食は郷土料理が味わえる名店を予約する」「昼食は話題のご当地B級グルメを楽しむ」「朝食は地元のスーパーやパン屋さんで調達する」といった形です。地元のスーパーマーケットは、その土地ならではの食材やお惣菜が安く手に入る宝庫であり、現地の生活を垣間見ることができて一石二鳥です。

⑧ お土産は事前にリストアップして買いすぎを防ぐ

旅先の魅力的なお土産物屋さんでは、つい財布の紐が緩みがちです。気づいたら予算オーバー、という事態を防ぐために、出発前にお土産を渡す相手と品物、そして予算をリストアップしておくことを強くおすすめします。リストにないものは買わない、と決めておくだけで、無駄な出費を大幅に減らすことができます。また、かさばるお土産は、現地で買うのではなく、帰宅後にオンラインストアで購入するという手もあります。

⑨ 現地の移動は乗り放題パスなどを活用する

旅行先での細かな移動費も、積み重なると大きな金額になります。特に電車やバスを何度も乗り降りするような観光プランの場合は、その都度きっぷを買うよりも、乗り放題パス(フリーパス)を利用する方が断然お得です。

JRの「青春18きっぷ」のような広範囲なものから、箱根の「箱根フリーパス」、京都市内の「バス一日券」など、各観光地には様々な種類のパスが用意されています。自分の行動計画と照らし合わせ、どのパスを使えば最も効率的か、事前に調べておきましょう。

⑩ ポイントやマイルを貯めて支払いに使う

日々の生活で貯まる各種ポイントやマイルを、旅行費用に充当するのも賢い方法です。

  • クレジットカードのポイント: 貯まったポイントを航空会社のマイルや旅行代金の支払いに使えるカードが多くあります。
  • 航空会社のマイル: 飛行機に乗るだけでなく、提携店の利用などでも貯めることができます。特典航空券に交換すれば、交通費をほぼ無料にすることも夢ではありません。
  • 共通ポイント(楽天ポイント、Pontaポイントなど): 楽天トラベルやじゃらんなどの予約サイトで、1ポイント=1円として支払いに利用できます。

普段の買い物から意識的にポイントを貯めることで、将来の旅行費用を大きく節約できます。

旅行の予算を立てる4ステップ

旅行の目的と予算の上限を決める、行き先と日数を決める、交通手段と宿泊先を具体的に決める、全体の費用を計算して調整する

行き当たりばったりの旅行も魅力的ですが、予算の範囲内で満足度の高い旅を実現するには、事前の計画が欠かせません。ここでは、誰でも簡単に実践できる、旅行の予算を立てるための具体的な4つのステップを紹介します。この手順に沿って計画を進めれば、費用に関する不安を解消し、安心して旅行を楽しむことができます。

① 旅行の目的と予算の上限を決める

すべての計画は、ここから始まります。まずは「何のために旅行に行くのか」という目的を明確にしましょう。

  • 癒やし・リラックス: 温泉に浸かってのんびりしたい、景色の良い場所で静かに過ごしたい。
  • グルメ: 話題の〇〇を食べ尽くしたい、その土地ならではの食材を味わいたい。
  • アクティビティ: スキーやダイビングを楽しみたい、テーマパークで思いっきり遊びたい。
  • 観光・文化体験: 歴史的建造物や美術館を巡りたい、伝統工芸を体験したい。

目的がはっきりすると、お金をかけるべきポイント(優先順位)が見えてきます。 例えば、「グルメ旅」なら食費の予算を多めに確保し、その分宿泊はリーズナブルなビジネスホテルにする、といった判断ができます。

次に、今回の旅行で使える「予算の総額(上限)」を決めます。「今回は全部で〇万円まで」というざっくりとした金額で構いません。この上限があることで、後のステップで具体的な選択肢を絞り込みやすくなります。無理のない範囲で、現実的な金額を設定することが大切です。

② 行き先と日数を決める

ステップ①で決めた目的と予算上限をもとに、具体的な行き先と日数を検討します。

  • 行き先: 予算が限られているなら、交通費があまりかからない近場の旅行先が候補になります。特定の目的(例:スキー)があるなら、その目的を果たせる場所の中から、予算内で行ける場所を探します。複数の候補地がある場合は、それぞれの交通費や物価を大まかに調べて比較検討しましょう。
  • 日数: 予算総額と、行きたい場所でやりたいことを考慮して日数を決めます。1泊2日なのか、2泊3日なのかで、必要な宿泊費や食費が大きく変わってきます。予算に余裕がなければ日数を短くし、逆に余裕があればもう1泊延ばす、といった調整を行います。

この段階では、「〇〇県の〇〇温泉に1泊2日で行く」といったレベルまで具体化できているのが理想です。

③ 交通手段と宿泊先を具体的に決める

行き先と日数が決まったら、旅行費用の中でも最も大きな割合を占める「固定費」、つまり交通費と宿泊費を具体的に調べて確定させます。

  • 交通手段の検索・比較:
    Googleフライトやスカイスキャナーなどの比較サイトを使って、目的地までの航空券の料金を調べます。新幹線が選択肢にあるなら、JRの予約サイトで早割料金などを確認します。高速バスも比較検討しましょう。複数の交通手段の料金と所要時間を比較し、自分の予算と時間の都合に最も合ったものを選びます。
  • 宿泊先の検索・比較:
    楽天トラベルやじゃらんなどのホテル予約サイトで、目的地の宿泊施設を検索します。ステップ①で考えた優先順位を思い出し、「立地は良いか」「価格は予算内か」「食事付きか素泊まりか」などの条件で絞り込んでいきます。口コミや評価も参考に、予算内で最も満足できそうな宿を選びましょう。

このステップで交通手段と宿泊先を実際に予約してしまうのが理想ですが、まだ検討段階であれば、かかる費用の概算をメモしておきます。これで、旅行費用の大部分が固まります。

④ 全体の費用を計算して調整する

最後のステップとして、ここまでの情報を元に全体の費用を計算し、最終的な調整を行います。

  1. 固定費を合計する: ステップ③で確定(または概算)した往復交通費と宿泊費を合計します。
  2. 変動費を見積もる: 滞在中の食費、観光・アクティビティ費、お土産代などの「変動費」を見積もります。食費は「1日あたり〇円×日数」、観光費は「行きたい場所の入場料の合計」といった形で計算します。お土産代や雑費(予備費)も忘れずに加えましょう。
  3. 総額を計算し、予算と比較する: 「固定費+変動費」で旅行の総費用を算出します。この金額が、ステップ①で決めた予算の上限内に収まっているかを確認します。
  • 予算内に収まった場合: 計画は完璧です。安心して旅行の準備を進めましょう。
  • 予算をオーバーした場合: どこかの費用を削る必要があります。優先順位の低い項目から見直しましょう。
    • 宿泊先のグレードを一つ下げる。
    • 食事のプランを見直す(豪華な食事を1回減らすなど)。
    • 有料の観光スポットを減らし、無料のスポットを増やす。
    • お土産代の上限を引き下げる。
    • 交通手段をより安いもの(例:新幹線→高速バス)に変更できないか検討する。

このように、項目ごとに費用を分解して考えることで、どこを調整すればよいかが明確になります。 全ての費用が予算内に収まるまでこの調整作業を繰り返せば、無理のない、自分だけの旅行プランが完成します。

まとめ:予算をしっかり立ててお得に国内旅行を楽しもう

本記事では、国内旅行にかかる費用の内訳から、泊数・人数・行き先別の相場、そして誰でも実践できる具体的な節約術まで、幅広く解説してきました。

国内旅行の費用は、主に「交通費」「宿泊費」「食費」「観光費」「お土産代」で構成されています。特に交通費と宿泊費が総額の大部分を占めるため、この2つをいかにコントロールするかが予算計画の鍵となります。

費用の相場は、旅行のスタイルによって大きく異なります。観光庁の最新調査では、日帰り旅行の平均費用は1人あたり約1.8万円、宿泊旅行では約6.5万円という結果が出ています。しかし、これはあくまで平均値です。一人旅かグループ旅行か、繁忙期か閑散期か、そしてどこへ行くかによって、費用は何倍にも変動します。

旅行費用を賢く抑えるためには、以下のような節約術が有効です。

  • 旅行時期を閑散期にずらす
  • 航空券とホテルをセットで予約する
  • 早割を最大限に活用する
  • LCCや高速バスを検討する
  • セールやクーポンを見逃さない

これらのテクニックを駆使し、「予算を立てる4ステップ」に沿って計画を進めることで、予算オーバーの心配なく、心から旅行を満喫できます。

旅行の計画は、目的地に思いを馳せる楽しい時間であると同時に、現実的な予算と向き合う作業でもあります。しかし、事前のしっかりとした予算立てこそが、満足度の高い、思い出に残る旅行を実現するための最も重要な準備です。本記事で紹介した情報を参考に、ぜひあなただけの最高の国内旅行プランを立ててみてください。