「GoToトラベルはいつから再開するのだろう?」多くの旅行好きが心待ちにしているこの疑問について、この記事では最新情報を徹底的に解説します。
2020年に大きな話題を呼んだGoToトラベルキャンペーンは、多くの人々の旅行を後押しし、観光業界に活気をもたらしました。しかし、その後の感染症拡大により停止して以来、再開の目処は立っていません。
この記事では、2024年現在のGoToトラベルの再開状況に関する公式情報や今後の見通しを詳しくお伝えします。さらに、過去に実施されたキャンペーンの振り返りから、再開後に予定されている新しい制度の変更点、そしてGoToトラベルの再開を待つ間に利用できるお得な旅行支援策まで、網羅的にご紹介します。
旅行の計画を立てている方、お得に旅を楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
GoToトラベルはいつから再開?【2024年最新情報】
旅行費用の一部が補助されることで大きな注目を集めたGoToトラベルキャンペーン。その再開を心待ちにしている方も多いでしょう。ここでは、2024年時点での再開に関する最新情報と、今後の見通しについて詳しく解説します。
結論:GoToトラベルの全国的な再開は現在未定
まず結論からお伝えすると、2024年6月現在、GoToトラベルキャンペーンの全国的な再開は未定です。政府や観光庁からの正式な再開時期の発表はありません。
GoToトラベル事業の公式サイトや関連省庁の発表を定期的に確認しても、具体的な再開スケジュールに関する言及は見られないのが現状です。過去には再開に向けた準備が進められていた時期もありましたが、社会情勢の変化に伴い、再開は見送られ続けています。
現在、観光庁はGoToトラベル事業の予算の一部を、他の観光振興策に充当しています。例えば、2024年3月から開始された「北陸応援割」は、能登半島地震で影響を受けた北陸4県の観光復興を支援するための事業であり、GoToトラベル事業の予算が活用されています。このように、政府の優先順位が全国一律の需要喚起策から、特定の地域や目的を持つ支援策へとシフトしていることが、GoToトラベルの再開が未定である一因と考えられます。
旅行を計画している方は、現時点ではGoToトラベルの再開を前提とした計画を立てることは難しいと認識しておく必要があります。しかし、再開を待つ間にも利用できるお得な旅行支援策は数多く存在します。この記事の後半では、それらの代替キャンペーンについても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
GoToトラベル再開の今後の見通し
全国的な再開は未定であるものの、今後の見通しについてはいくつかの観点から考察できます。再開を判断する上で重要となる要素は、主に以下の点が挙げられます。
- 国内の旅行需要の動向
コロナ禍が落ち着き、国内旅行の需要はすでに回復傾向にあります。特に週末や連休には、多くの観光地が賑わいを取り戻しています。インバウンド(訪日外国人旅行)需要も急速に回復しており、一部の地域では宿泊施設や交通機関の供給が追いつかない「オーバーツーリズム」の懸念も生じています。このような状況下で、全国一律の需要喚起策であるGoToトラベルを再開すると、さらなる混雑や価格高騰を招く可能性があるため、政府は慎重な姿勢を崩していません。旅行需要が特定の時期や地域に集中しすぎないよう、需要を平準化させる施策が優先される可能性が高いでしょう。 - 経済状況と物価動向
現在の日本経済は、物価高騰が大きな課題となっています。国民生活への影響を考慮し、政府の経済対策は物価高対策や賃上げ支援に重点が置かれています。GoToトラベルのような大規模な消費喚起策は、さらなる物価上昇を助長するリスクもはらんでいるため、経済全体のバランスを見ながら慎重に判断されると考えられます。 - 予算の確保
GoToトラベルは、国費を投入する大規模な事業です。再開には巨額の予算が必要となりますが、前述の通り、現在はその予算が「北陸応援割」のような緊急性の高い支援策や、持続可能な観光地づくりを促進する事業などに振り分けられています。今後、全国的な旅行支援を再開するためには、新たな予算措置が必要となり、国会での承認など、相応の手続きと時間が必要になります。 - 新しい制度への移行
仮に再開される場合、2020年に実施された制度がそのまま復活するわけではありません。後述しますが、割引率やクーポンの仕組みを変更した「新しいGoToトラベル」の制度案がすでに公表されています。この新制度は、旅行需要の平準化(休日から平日への誘導)や、より持続可能な形での観光支援を目指したものです。再開する際には、この新しい制度の枠組みが適用される可能性が高いですが、その制度設計やシステム準備にも時間が必要です。
これらの要素を総合的に考えると、GoToトラベルが近い将来に再開される可能性は低いと言わざるを得ません。再開されるとしても、それは国内の旅行需要が落ち着き、経済状況が安定し、かつ新たな予算が確保された後になるでしょう。旅行業界からは再開を望む声も根強くありますが、政府としては多角的な視点から慎重にそのタイミングを見極めている段階です。
利用者としては、公式発表を待つ姿勢が求められます。最新情報は観光庁の公式サイトで確認するのが最も確実です。不確定な情報に惑わされず、冷静に公式発表を待ちましょう。
GoToトラベルとは?
GoToトラベルキャンペーンの再開が待たれる一方で、「そもそもGoToトラベルってどんな制度だったの?」と疑問に思う方や、詳細を忘れてしまった方もいるかもしれません。ここでは、2020年に実施されたGoToトラベルキャンペーンの概要と、その目的について改めて詳しく解説します。
2020年に実施されたキャンペーンの概要
GoToトラベルキャンペーンは、新型コロナウイルス感染症の拡大により甚大な影響を受けた観光関連産業を支援し、地域経済の再活性化を図ることを目的として、2020年7月22日から開始された政府の需要喚起策です。
キャンペーンの仕組みは、旅行者にとって非常に魅力的なものでした。主な内容は以下の通りです。
支援内容 | 詳細 |
---|---|
旅行代金の割引 | 国内旅行を対象に、宿泊・日帰り旅行代金の最大35%が割引されました。旅行業者や宿泊事業者経由で予約することで、自動的に割引が適用される手軽さも特徴でした。 |
割引上限額 | 割引額には上限が設定されており、1人1泊あたり14,000円、日帰り旅行の場合は1人あたり7,000円が上限でした。 |
地域共通クーポン | 旅行代金の割引に加えて、旅行代金の15%相当額が「地域共通クーポン」として付与されました。このクーポンは、旅行先の都道府県とその隣接都道府県の対象店舗(飲食店、土産物店、観光施設、交通機関など)で利用できる金券のようなものでした。 |
クーポン上限額 | 地域共通クーポンにも上限があり、1人1泊あたり6,000円、日帰り旅行の場合は1人あたり3,000円が上限でした。 |
合計支援額 | 旅行代金の割引(35%)と地域共通クーポン(15%)を合わせると、旅行代金の最大50%(2分の1)相当が支援されるという、非常に手厚い内容でした。1人1泊あたりの支援額の上限は、割引14,000円とクーポン6,000円を合わせて合計20,000円でした。 |
例えば、1人1泊40,000円の宿泊プランを利用した場合、まず旅行代金が35%割引(14,000円引き)され、支払額は26,000円になります。さらに、旅行代金40,000円の15%にあたる6,000円分の地域共通クーポンが付与されました。実質的な負担額は20,000円となり、半額で旅行が楽しめた計算になります。
この画期的なキャンペーンは大きな反響を呼び、多くの人々が利用して国内各地を訪れました。一方で、開始当初は東京都在住者・東京都への旅行が対象外とされたり、地域共通クーポンの開始が10月にずれ込んだりと、制度運用においていくつかの混乱も見られました。また、キャンペーンの利用が感染拡大の一因になったのではないかという批判もあり、最終的には2020年12月28日から全国一斉に運用が停止され、現在に至っています。
GoToトラベル事業の目的
GoToトラベル事業がこれほど手厚い内容で実施されたのには、明確な目的がありました。その目的は、単に旅行代金を安くすることだけではありません。大きく分けて以下の2つの柱がありました。
- 観光需要の喚起と観光業界の支援
最大の目的は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって蒸発してしまった旅行需要を強力に喚起することでした。感染症対策のための移動自粛やインバウンド(訪日外国人旅行者)の途絶により、宿泊業、運輸業、飲食業、土産物店など、観光に依存する多くの事業者は壊滅的な打撃を受けました。廃業や倒産の危機に瀕する事業者も少なくなく、地域経済の基盤そのものが揺らいでいました。
GoToトラベルは、割引という直接的なインセンティブを与えることで、人々の「旅行に行きたい」という気持ちを後押しし、実際の行動に移させることを狙いとしていました。これにより、全国の観光地に人の流れを生み出し、宿泊施設や交通機関、飲食店などにお金が落ちる仕組みを作り出すことが期待されていました。結果として、事業の継続や雇用の維持に繋げ、日本の観光産業の火を消さないようにすることが、この事業の根幹にあったのです。 - 地域経済の活性化と消費の促進
もう一つの重要な目的は、旅行を通じて、その地域の経済全体を活性化させることでした。この目的を達成するために重要な役割を果たしたのが「地域共通クーポン」です。
旅行代金の割引だけでは、その恩恵は主に宿泊施設や交通機関に限定されがちです。しかし、地域共通クーポンは、旅行先の土産物店、飲食店、観光施設、アクティビティ、地域の交通機関など、幅広い加盟店で利用できました。これにより、旅行者は宿泊や移動だけでなく、現地での食事や買い物、観光体験にもお金を使いやすくなります。
つまり、旅行という「点」の消費を、地域全体に広がる「面」の消費へと波及させる効果を狙ったのです。大手ホテルや旅館だけでなく、地域の小さな商店や個人経営の飲食店にも経済効果が及ぶことで、地域経済全体の底上げを図ることが期待されていました。実際に、クーポンを利用して普段は買わないような特産品を購入したり、少し豪華な食事を楽しんだりした人も多く、地域の消費を多角的に下支えする役割を果たしました。
このように、GoToトラベルは「旅行代金割引」と「地域共通クーポン」という2つの仕組みを組み合わせることで、観光産業の支援と地域経済の活性化という2大目的の達成を目指した、非常によく練られた経済対策だったと言えます。その効果と影響の大きさゆえに、再開を望む声が今なお根強く残っているのです。
再開後に予定されている新しいGoToトラベルの内容
GoToトラベルが再開される際には、2020年に実施された制度からいくつかの点が変更される予定です。これは、過去のキャンペーンの課題を踏まえ、より持続可能で公平な制度を目指すための見直しです。観光庁がすでに公表している変更案に基づき、新しいGoToトラベルの主な内容を解説します。
割引率と割引上限額
新しいGoToトラベルでは、割引率と割引上限額が見直され、より多くの人が利用しやすい制度へと変更される予定です。
旧GoToトラベル | 新GoToトラベル(案) | |
---|---|---|
割引率 | 旅行代金の 35% | 旅行代金の 一律20% |
交通機関付き旅行プランの場合
鉄道や航空機、バスなどの交通機関と宿泊がセットになった、いわゆる「パック旅行」がこれに該当します。
- 旧制度: 割引上限は1人1泊あたり14,000円でした。
- 新制度(案): 割引上限は1人1泊あたり8,000円に変更される予定です。
この変更は、割引率を引き下げる一方で、交通費を含む高額になりがちなパック旅行への支援を手厚くすることで、遠方への旅行を促進する狙いがあると考えられます。例えば、50,000円の交通付きプランを利用した場合、旧制度では14,000円割引(上限適用)、新制度案では10,000円の割引となるところですが、新制度案の上限額が8,000円であるため、割引額は8,000円となります。割引率は下がりますが、公共交通機関の利用を促し、地方への経済効果をより広範囲に波及させる意図がうかがえます。
宿泊のみ・日帰り旅行プランの場合
ホテルや旅館の宿泊のみを予約する場合や、日帰りのバスツアーなどがこちらに分類されます。
- 旧制度:
- 宿泊のみ:割引上限は1人1泊あたり14,000円
- 日帰り:割引上限は1人あたり7,000円
- 新制度(案):
- 宿泊のみ:割引上限は1人1泊あたり5,000円
- 日帰り:割引上限は1人あたり5,000円
宿泊のみや日帰り旅行の場合、上限額は交通付きプランよりも低く設定されます。これは、近距離の旅行よりも、移動を伴う広域的な観光をより重点的に支援する方針の表れと言えるでしょう。割引率が一律20%に引き下げられることで、以前よりも支援額は少なくなりますが、その分、より多くの旅行機会にキャンペーンを適用できるよう、財源を広く薄く配分するという考え方に基づいています。これにより、キャンペーンが特定の高額旅行に集中するのを防ぎ、より長期間にわたって制度を継続させることを目指しています。
地域クーポンの変更点
旅行のもう一つのお楽しみである「地域クーポン」の仕組みも、大きく変更される予定です。
旧GoToトラベル | 新GoToトラベル(案) | |
---|---|---|
付与率 | 旅行代金の15% | 定額制 |
付与額(平日) | 旅行代金の15%(上限6,000円) | 1人1泊あたり 3,000円 |
付与額(休日) | 旅行代金の15%(上限6,000円) | 1人1泊あたり 1,000円 |
クーポンの種類 | 紙クーポン、電子クーポン | 原則として電子クーポン |
最も大きな変更点は、休日の付与額を低く抑え、平日の付与額を手厚くする「定額制」の導入です。旧制度では、旅行代金に応じてクーポンの額が決まる「定率制」で、曜日による差はありませんでした。
この変更の背景には、旅行需要の平準化という明確な目的があります。日本の観光地は、土日祝日や連休に利用者が集中し、平日は閑散とする傾向が強いです。この需要の偏りは、観光地での混雑(オーバーツーリズム)や、宿泊施設・観光事業者の従業員の働き方の課題に繋がっていました。
新しい制度では、平日に旅行する方が休日よりも2,000円分も多くのクーポンをもらえるため、旅行者にとっては平日の旅行がより魅力的になります。これにより、休暇を取得して平日に旅行する人を増やし、観光需要を休日だけでなく平日にも分散させることを狙っています。需要が平準化されれば、観光客はより快適に旅行を楽しめるようになり、観光事業者側も安定した経営や従業員の労働環境改善に繋がるという、双方にとってのメリットが期待されています。
また、クーポンが原則として電子クーポンに統一される点も重要な変更です。旧制度では紙クーポンも利用できましたが、発行や精算に手間がかかる、偽造や紛失のリスクがある、といった課題がありました。電子クーポンに統一することで、これらの課題を解決し、よりスムーズで効率的な運用を目指します。利用者にとってはスマートフォンの操作が必要になりますが、非接触で決済できるため衛生的であり、利用履歴の管理も容易になるという利点があります。
ワクチン接種歴や陰性証明の利用条件
再開に向けた議論が行われていた当時、キャンペーンの利用条件として「ワクチン・検査パッケージ」の活用が検討されていました。これは、旅行者がキャンペーンを利用する際に、以下のいずれかを提示することを条件とするものです。
- 新型コロナウイルスのワクチンを規定回数接種済みであることの証明書
- PCR検査や抗原検査などによる陰性結果の証明書
この仕組みは、安全・安心に旅行を楽しめる環境を確保し、感染拡大を抑制しながら経済活動を再開させることを目的としていました。全国旅行支援など、GoToトラベル停止後に行われた他の旅行支援策でも、この「ワクチン・検査パッケージ」は広く導入されていました。
ただし、この条件はあくまで感染症の流行状況を前提として議論されていたものです。2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、社会的な位置づけが大きく変化した現在、もしGoToトラベルが再開される場合、この条件がそのまま適用されるかどうかは不透明です。
今後の感染状況や社会全体の動向によっては、この利用条件は緩和されたり、撤廃されたりする可能性も十分に考えられます。再開が正式に決まった際には、利用条件に関する最新の公式発表を必ず確認する必要があります。
過去のGoToトラベルとの違いを比較
再開が予定されている新しいGoToトラベルは、2020年に実施された旧制度からいくつかの重要な変更が加えられています。ここでは、両者の違いを項目ごとに比較し、変更の背景や目的をより深く掘り下げていきます。
比較項目 | 旧GoToトラベル(2020年実施) | 新GoToトラベル(再開後の案) | 変更のポイント・目的 |
---|---|---|---|
割引率 | 旅行代金の35% | 旅行代金の20% | 割引率を下げ、より多くの人が長期間利用できるよう財源を配分 |
割引上限額(交通付き) | 1人1泊 14,000円 | 1人1泊 8,000円 | 遠距離旅行を促しつつ、過度な支援集中を避ける |
割引上限額(宿泊のみ・日帰り) | 宿泊: 1人1泊 14,000円 日帰り: 1人 7,000円 |
宿泊・日帰りともに 1人 5,000円 | 交通利用を伴う旅行を相対的に優遇 |
地域クーポン付与 | 旅行代金の15%(定率制) | 定額制(平日3,000円、休日1,000円) | 需要の平準化(平日への旅行を強力に促進) |
クーポン種類 | 紙クーポン・電子クーポン併用 | 原則、電子クーポンに統一 | 運用の効率化、利便性向上、不正防止 |
合計支援率(最大) | 旅行代金の50%相当 | 割引20%+クーポン(実質的な支援率は旅行代金により変動) | 全体的な支援レベルを抑制し、制度の持続可能性を高める |
割引率の違い
最も分かりやすい変更点は、旅行代金の割引率です。
- 旧制度:35%
- 新制度(案):20%
この変更の背景には、制度の持続可能性と公平性という2つの大きなテーマがあります。旧制度の35%という高い割引率は、旅行需要を爆発的に喚起する上で絶大な効果を発揮しました。しかしその一方で、巨額の予算を短期間で消費してしまうという側面もありました。また、もともと高額な旅行プランほど割引額が大きくなるため、恩恵が一部の利用者に偏りやすいという指摘もありました。
割引率を20%に引き下げることで、一人当たりの支援額を抑え、その分、より多くの国民が、より長期間にわたってキャンペーンの恩恵を受けられるようにする狙いがあります。これは、短期的な需要の爆発よりも、安定的で持続可能な観光需要の創出へと舵を切ったことを意味します。
また、割引上限額も、交通付きプランで14,000円から8,000円へ、宿泊のみプランで14,000円から5,000円へと引き下げられます。これも同様に、過度な支援が特定の高額旅行に集中するのを防ぎ、財源を広く公平に配分するための調整です。特に、交通付きプランの上限額を宿泊のみプランより高く設定することで、マイカー利用が中心の近距離旅行だけでなく、公共交通機関を利用した遠距離旅行も促進し、より広範囲の地域に経済効果を波及させたいという意図が明確に示されています。
地域クーポンの仕組みの違い
地域クーポンの仕組みの変更は、新しいGoToトラベルの最も象徴的な変更点と言えるでしょう。
- 旧制度:旅行代金の15%を付与する「定率制」
- 新制度(案):平日は3,000円、休日は1,000円を付与する「定額制」
この変更が目指すのは、前述の通り「旅行需要の平準化」です。旧制度では、クーポンの額は旅行代金に比例し、曜日による差はありませんでした。そのため、利用者は自然と混雑する週末や連休に集中し、平日の観光地は閑散としたままでした。
新制度(案)では、休日のクーポン額を1,000円に抑える一方で、平日のクーポン額を3,000円と3倍に設定しています。これにより、「どうせ旅行に行くなら、クーポンが多くもらえる平日にしよう」というインセンティブが強く働きます。例えば、夫婦2人で1泊旅行する場合、休日なら合計2,000円分のクーポンですが、平日なら合計6,000円分となり、4,000円もの差が生まれます。この差は、旅行の日程を決める上で大きな判断材料となるでしょう。
この仕組みは、旅行者側には「空いている平日に、よりお得に、快適に旅行できる」というメリットをもたらします。一方、観光事業者側には、以下のような多くのメリットが期待されます。
- 収益の安定化: 年間を通じて安定した集客が見込めるようになり、経営基盤が強化される。
- 労働環境の改善: 週末の過重労働と平日の人手過剰といったシフトの偏りが是正され、従業員の働きやすい環境が実現しやすくなる。
- サービスの質向上: 従業員の負担が軽減されることで、一人ひとりのお客様に対して、より丁寧なサービスを提供できるようになる。
- オーバーツーリズムの緩和: 特定の日に観光客が集中することによる交通渋滞、ゴミ問題、騒音などを緩和し、地域住民の生活と観光の調和を図る。
このように、地域クーポンの仕組みの変更は、単なるルールの見直しではなく、日本の観光が抱える構造的な課題を解決し、持続可能な観光地づくりを促進するための戦略的な一手と位置づけられています。
さらに、クーポンが原則として電子クーポンに統一されることで、事業者側の精算業務が大幅に簡略化され、利用者もスマートフォン一つで手軽に利用できるなど、運用面でのDX(デジタルトランスフォーメーション)も推進されます。これらの変更点を総合すると、新しいGoToトラベルは、過去の経験を踏まえ、より洗練され、社会的な課題解決にも貢献する制度へと進化を目指していることがわかります。
GoToトラベルの代わりに利用できる旅行支援キャンペーン
GoToトラベルの全国的な再開は未定ですが、旅行をお得に楽しむ方法がなくなったわけではありません。現在でも、国や自治体、そして民間の旅行会社が提供する様々な割引キャンペーンやセールが存在します。ここでは、GoToトラベルの代替として活用できる代表的な旅行支援策をご紹介します。
北陸応援割
「北陸応援割」は、2024年1月1日に発生した能登半島地震により観光需要に大きな影響を受けた北陸地域を支援するために、国がGoToトラベルの予算を活用して実施する復興支援策です。
- 対象地域: 新潟県、富山県、石川県、福井県の4県
- 実施期間: 2024年3月16日(土)から4月26日(金)宿泊分まで(第一弾)。※各県で予算がなくなり次第終了。石川県は第二弾として5月7日(火)から7月31日(水)宿泊分まで延長実施(能登地域は除く)。
- 割引内容: 旅行・宿泊料金の最大50%を割引
- 割引上限額:
- 宿泊単体商品:1人1泊あたり20,000円
- 交通付き宿泊旅行商品(1泊):1人あたり20,000円
- 交通付き宿泊旅行商品(2泊以上):1人あたり30,000円
- 周遊型旅行商品(宿泊地が2県以上):1人あたり35,000円
- 利用方法: 対象の旅行会社やオンライン予約サイト(OTA)、宿泊施設の公式サイトなどから、北陸応援割の対象商品を予約します。
- 注意点: 非常に人気の高いキャンペーンであり、各予約サイトや県ごとの予算が早期に上限に達することが多いです。また、ビジネス利用は対象外となります。利用を検討する場合は、各県の公式サイトや観光連盟の特設ページで最新の販売状況や対象事業者を確認することが重要です。
参照:観光庁 北陸応援割特設サイト、各県観光連盟公式サイト
各都道府県が実施する「全国旅行支援」や「県民割」
2023年に終了した全国旅行支援の後継として、一部の都道府県では、現在も独自の旅行支援キャンペーン(通称「県民割」など)を実施しています。これらのキャンペーンは、その都道府県の居住者限定であったり、特定の地域への旅行を対象としていたりと、条件は様々です。
例えば、特定の市町村が独自に宿泊割引やクーポン配布を行っているケースもあります。GoToトラベルや全国旅行支援のように全国規模ではありませんが、自分が住んでいる地域や、旅行を計画している地域の自治体公式サイトをチェックすると、思わぬお得なキャンペーンが見つかる可能性があります。
探し方のコツとしては、「(旅行先の都道府県名) 旅行支援」や「(お住まいの都道府県名) 県民割」といったキーワードで検索してみることです。自治体の観光課や観光連盟のウェブサイトが情報源となります。これらのキャンペーンは予算や期間が限定されていることがほとんどなので、こまめな情報収集が鍵となります。
旅行予約サイト独自の割引クーポン・セール
GoToトラベルがなくても、大手オンライン旅行予約サイト(OTA)は、年間を通じて様々な独自の割引クーポンやセールを頻繁に実施しています。これらを活用すれば、非常にお得に旅行を予約できます。
楽天トラベル
- スーパーSALE: 年4回(3月、6月、9月、12月)実施される大規模セール。半額以下のプランや大幅割引クーポンが多数登場します。
- 5と0のつく日: 毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日は、高級宿・温泉宿が5%OFF、国内ツアー(ANA楽パック・JAL楽パック)が5%OFFになるクーポンが利用できます。
- 宿クーポン: 宿泊施設が独自に発行するクーポン。予約画面で適用でき、他のクーポンと併用できる場合もあります。
- 先着利用クーポン: サイト上で配布される様々な割引クーポン。利用枚数に限りがあるため、早めの予約がおすすめです。
じゃらん
- じゃらんスペシャルウィーク: ほぼ毎月開催される大型セール。最大20%お得になる特別プランや、高額の割引クーポンが配布されます。
- じゃらんのお得な10日間: こちらも定期的に開催されるセール。限定プランやクーポンが魅力です。
- ステージ限定クーポン: じゃらんの利用実績に応じた会員ステージごとに、特別なクーポンが提供されます。
- 自治体クーポン: 各自治体が発行する旅行支援クーポン(ふるさと割など)をじゃらん上で獲得・利用できることがあります。
JTB
- 日本の旬: JTBが特定の地域を厳選し、その土地の魅力を深く掘り下げるキャンペーン。限定の宿泊プランやオプショナルツアーが提供されます。
- タイムセール: 期間限定で特定のホテルや旅館、ツアー商品が割引価格で販売されます。
- るるぶトラベル(JTBのサイト): こちらでも独自のクーポンやセールが頻繁に実施されています。特に「るるぶトラベルセール」は注目です。
一休.com
- タイムセール: 高級ホテルや旅館に特化した予約サイトならではの質の高いセール。通常は手の届きにくい憧れの宿が、期間限定で割引価格になります。
- ポイントアップキャンペーン: ポイント還元率が大幅にアップするキャンペーン。貯まったポイントは次回の宿泊予約に利用できます。
- 一休Plus+限定特典: 有料会員プログラム「一休Plus+」の会員向けに、特別な割引やアップグレード、レイトチェックアウトなどの特典が提供されます。
Yahoo!トラベル
- オンラインカード決済で毎日5%お得: Yahoo!トラベルでは、PayPay(残高)またはPayPay(クレジット)でオンライン決済すると、基本の1%に加えて4%のPayPayポイントが付与され、合計で毎日5%お得になります。
- 週末セール・タイムセール: 金曜日から日曜日にかけて開催される週末セールや、不定期のタイムセールでは、お得なプランが多数登場します。
- 旅割クーポン: サイト上で配布される割引クーポン。宿泊施設限定やエリア限定など様々な種類があります。
これらの予約サイトを複数比較検討し、セールやクーポンのタイミングを狙うことで、GoToトラベルに匹敵する、あるいはそれ以上にお得に旅行できる可能性があります。
航空会社独自のセール
飛行機を利用する旅行であれば、航空会社が実施するセールを狙うのも賢い方法です。
JAL(日本航空)
- JALタイムセール: 年に数回、不定期に開催される大規模な航空券セール。国内線の様々な路線が、片道6,600円や7,700円といった破格の価格で販売されることがあります。搭乗期間は数ヶ月先まで設定されることが多いです。
- JALダイナミックパッケージ: 航空券と宿泊を自由に組み合わせられるツアー商品。タイムセールと連動して、お得なプランが提供されることもあります。
ANA(全日本空輸)
- ANAにキュン!: 毎月29日に開催される月替わりのセール企画。「今月のトクたびマイル」の割引マイル数拡大や、国内線航空券のセール、ANAトラベラーズのツアー商品の割引など、多彩な特典が用意されます。
- ANA SUPER VALUE SALE: JALのタイムセールと同様に、年に数回開催される大規模なセール。国内線が平日片道7,000円、休日片道10,000円均一などで販売されることが多く、旅行好きには見逃せないイベントです。
これらのセールは非常に人気が高く、販売開始直後に売り切れてしまうことも少なくありません。航空会社のメールマガジンに登録したり、公式アプリをダウンロードしたりして、セール情報をいち早くキャッチできるように準備しておくことをおすすめします。
GoToトラベルに関するよくある質問
GoToトラベルの再開については、多くの人が関心を寄せており、様々な疑問が飛び交っています。ここでは、特に多く寄せられる質問に対して、最新の情報に基づき分かりやすくお答えします。
GoToトラベルの最新情報はどこで確認できる?
GoToトラベルに関する情報は、インターネット上に数多く存在しますが、中には古かったり、憶測に基づいていたりと不正確なものも少なくありません。最も信頼性が高く、正確な情報を得るためには、以下の一次情報源を確認することが不可欠です。
- 観光庁 GoToトラベル事業 公式サイト
GoToトラベル事業を所管する観光庁の公式サイトが、最も確実な情報源です。再開が決定した場合、その詳細(開始時期、対象期間、利用方法、新しい制度の内容など)は、まずこのサイトで公表されます。ブックマークしておき、定期的に確認することをおすすめします。報道機関も、最終的にはこの公式サイトの情報を基にニュースを配信します。 - 国土交通省の公式サイト
観光庁は国土交通省の外局であるため、国土交通大臣の記者会見などでGoToトラベルに関する言及がなされることがあります。国土交通省の公式サイトでは、大臣会見の要旨などが公開されており、政府全体の方向性を知る上で参考になります。 - 主要な報道機関のニュース
政府から正式な発表があった場合、NHKや大手新聞社などの主要な報道機関が一斉に速報を流します。日々のニュースをチェックしておくことで、大きな動きを見逃さずに済みます。ただし、一部のウェブメディアなどでは、アクセスを集めるために憶測に基づいた記事が掲載されることもあるため、情報の出所が信頼できる機関であるかを確認することが重要です。
避けるべき情報源
- 個人のブログやSNSでの「再開決定」といった未確認情報
- 数年前の古い情報を更新せずに掲載しているまとめサイト
これらの情報は、混乱を招くだけでなく、誤った期待を抱かせる原因にもなります。必ず公的機関からの正式発表を待つようにしましょう。
なぜGoToトラベルは再開されないの?
「国内旅行も盛り上がっているのに、なぜGoToトラベルは再開されないのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。その背景には、複数の複合的な要因が絡み合っています。
- 国内旅行需要の回復とオーバーツーリズムへの懸念
最大の理由として、すでに国内の旅行需要がコロナ禍以前の水準にまで回復していることが挙げられます。特に週末や大型連休には、多くの観光地で宿泊施設の予約が取りにくくなったり、交通渋滞が発生したりしています。ここにインバウンド(訪日外国人旅行者)の急回復も加わり、一部の地域では、観光客の集中による「オーバーツーリズム」が深刻な問題となっています。このような状況で全国一律の需要喚起策であるGoToトラベルを再開すれば、混雑や宿泊料金の高騰に拍車をかけ、地域住民の生活や旅行者自身の満足度を損なうことになりかねません。そのため、政府は大規模な需要喚起よりも、需要の平準化(平日への分散)や、まだ回復が遅れている地域への支援を優先しているのです。 - 経済政策の優先順位の変化
政府の経済政策の重点が、コロナ禍の「緊急支援」から、現在の「物価高対策」や「持続的な賃上げ」へとシフトしていることも大きな要因です。GoToトラベルには巨額の国家予算が必要ですが、現在はその財源を、国民生活に直結する物価高への対応や、構造的な課題である賃上げの促進に優先的に配分する必要があると考えられています。 - 人手不足の問題
観光業界は、コロナ禍で多くの人材が離職した影響で、深刻な人手不足に直面しています。宿泊施設のフロントや清掃、飲食店のホールスタッフ、バスの運転手など、多くの現場で人手が足りていません。この状態でGoToトラベルを再開して需要が急増すると、現場の負担が限界を超え、サービスの質の低下や事故のリスクを招く恐れがあります。まずは観光業界の働き手の確保や待遇改善を進めることが先決という考え方もあります。
これらの理由から、政府はGoToトラベルの再開に慎重な姿勢を崩しておらず、再開の前提となる社会経済状況が整うのを待っている段階と言えます。
再開が決まったら、すでに予約済みの旅行も対象になる?
これは非常に気になるポイントですが、一般的には、キャンペーンの対象となるのは「キャンペーン開始後に、所定の方法で予約された旅行」となる可能性が高いです。
過去に実施されたGoToトラベルや全国旅行支援では、原則としてキャンペーン発表後、あるいは販売開始日以降の予約が割引の対象でした。これは、制度の公平性を保ち、予算を適切に管理するために必要な措置です。
ただし、2020年のGoToトラベル開始時には、開始日より前に予約された旅行についても、旅行後に申請すれば割引分が還付される「あとから割引(還付申請)」という特例措置が取られたことがありました。この措置は、キャンペーン開始の発表から実施までの期間が短く、利用者の不利益を避けるために設けられたものです。
もし今後、GoToトラベルが再開される場合、このような「あとから割引」が再度導入される可能性はゼロではありません。しかし、制度運用の混乱を避けるため、導入されない可能性の方が高いと考えるのが現実的です。
したがって、基本的には「再開が正式に発表され、予約受付が開始されてから予約した旅行が対象になる」と考えておくのが無難です。再開を期待して前もって予約するのではなく、正式なルールが発表されるのを待ってから行動することをおすすめします。再開が決定すれば、その利用方法や対象となる予約期間について、観光庁から詳細なアナウンスがあるはずです。
まとめ
本記事では、GoToトラベルの再開に関する2024年最新情報から、制度の概要、再開後の変更点、そして代替となるお得な旅行キャンペーンまで、幅広く解説してきました。
最後に、この記事の要点を改めて整理します。
- GoToトラベルの全国的な再開は未定: 2024年6月現在、政府からの正式な再開発表はなく、具体的な時期の目処は立っていません。国内旅行需要の回復や経済状況の変化が、慎重な判断の背景にあります。
- 再開後の制度は変更予定: もし再開される場合、2020年の制度とは内容が変わります。主な変更点は、①割引率が一律20%になること、②地域クーポンが平日3,000円・休日1,000円の定額制になること、③クーポンは原則電子クーポンになることです。これは、需要の平準化と制度の持続可能性を高めるための見直しです。
- 過去の制度との比較: 新しい制度は、割引率を引き下げる代わりに、平日の旅行を強力に優遇する仕組みとなっています。これは単なる割引ではなく、オーバーツーリズムの緩和や観光地の労働環境改善といった、日本の観光が抱える構造的な課題解決を目指した戦略的な変更と言えます。
- 代替キャンペーンの積極的な活用が鍵: GoToトラベルの再開を待つ間も、お得に旅行する方法は数多く存在します。「北陸応援割」のような地域限定の復興支援策や、各都道府県が独自に行う旅行支援、そして「楽天トラベル」や「じゃらん」といった旅行予約サイトが実施するセールやクーポン、航空会社のタイムセールなどを積極的に活用しましょう。
結論として、現時点ではGoToトラベルの再開を当て込んだ旅行計画を立てることは現実的ではありません。 それよりも、今利用できる割引やセールを賢く見つけ出し、活用することが、お得に旅行を楽しむための最も確実な方法です。
旅行は、私たちの日常に彩りと活力を与えてくれる素晴らしい体験です。GoToトラベルの再開を待ち望む気持ちも大切ですが、まずは現在利用可能なキャンペーン情報をチェックし、次の素晴らしい旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたの次の旅行計画の一助となれば幸いです。