「いつかはクルーズ旅行に行ってみたい」と憧れを抱きながらも、「料金が高そう」「準備が大変そう」「楽しみ方がわからない」といった理由で、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。クルーズ旅行は、かつての「富裕層の特別な旅行」というイメージから、今では誰もが気軽に楽しめるレジャーへと進化を遂げています。
この記事では、クルーズ旅行に興味を持ち始めた初心者の方へ向けて、その基本的な知識から具体的な魅力、費用の内訳、旅行の選び方、準備、船内での過ごし方まで、あらゆる疑問を解消するための情報を網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、クルーズ旅行への漠然とした不安は期待へと変わり、あなたにぴったりのクルーズプランを具体的にイメージできるようになっているはずです。さあ、未知なる洋上の冒険へ、一緒に出航準備を始めましょう。
目次
クルーズ旅行とは?
クルーズ旅行とは、大型客船を移動手段および宿泊施設として、複数の目的地(寄港地)を巡る旅のスタイルです。単に目的地へ移動するための交通手段ではなく、船そのものが一つの巨大なリゾート施設であり、旅の目的そのものとなる点が大きな特徴です。
しばしば「動くホテル」や「洋上のリゾートシティ」と表現されるように、客船内には快適な客室はもちろん、レストラン、カフェ、バー、プール、劇場、スパ、ジム、カジノ、ショッピングアーケードなど、滞在を豊かにするありとあらゆる施設が揃っています。乗客は、船が次の目的地へ向かって航行している間、これらの施設を自由に利用し、思い思いの時間を過ごせます。そして、朝目覚めると、新たな国や街に到着しているのです。
従来の旅行、例えば飛行機や鉄道を利用した周遊旅行と比較すると、その違いは明確です。従来の旅行では、都市を移動するたびに空港や駅へ向かい、重いスーツケースを運び、宿泊先で荷ほどきと荷造りを繰り返す必要があります。これは、特に多くの場所を巡る旅では大きな負担となりがちです。
一方、クルーズ旅行では、一度乗船してしまえば、旅の終わりまで荷物の移動は一切不要です。自分の客室が拠点となり、そこから様々な寄港地へ「日帰り旅行」に出かけるような感覚で観光を楽しめます。この手軽さと快適さは、クルーズ旅行が持つ本質的な魅力の一つと言えるでしょう。
また、クルーズ旅行の多くは「オールインクルーシブ」という料金体系を採用しています。これは、旅行代金に客室での宿泊費、船から次の寄港地への移動費、船内での基本的な食事代、多くのエンターテイメントやアクティビティの参加費などがすべて含まれていることを意味します。旅行中に細かな出費を気にする必要が少なく、予算管理がしやすい点も、多くの旅行者にとって大きなメリットです。
クルーズ旅行は、訪れるエリアや船のコンセプトによって、その趣が大きく異なります。
- ファミリー層には、ウォータースライダーやキッズプログラムが充実した巨大なカジュアル客船が人気です。
- カップルや夫婦には、落ち着いた雰囲気の中でグルメやスパを楽しめるプレミアムな客船が選ばれます。
- アクティブなシニア層には、文化や歴史に触れる寄港地観光が豊富な航路や、世界一周のような長期クルーズが支持されています。
- 最近では、一人旅を楽しむ乗客も増えており、一人参加者向けのイベントを開催する船会社も少なくありません。
このように、クルーズ旅行はもはや一部の人のための特別なものではなく、あらゆる世代、あらゆる目的の旅行者に応える、多様で魅力的な選択肢となっています。このガイドを参考に、あなただけのクルーズの旅を見つけてみてください。
クルーズ旅行の5つの魅力
クルーズ旅行が世界中の人々を魅了し続けるのには、他の旅行スタイルにはないユニークで強力な魅力があるからです。ここでは、その中でも特に代表的な5つの魅力について、具体的に掘り下げていきます。
① 移動や荷物整理の手間がなく楽
クルーズ旅行最大の魅力は、なんといってもその「圧倒的な快適さと手軽さ」にあります。従来の陸路や空路での周遊旅行を想像してみてください。都市から都市へ移動するたびに、重いスーツケースをパッキングし、空港や駅まで運び、チェックインの列に並び、到着後はまた荷物を受け取ってホテルへ移動し、荷ほどきをする…この繰り返しは、旅の楽しさと同じくらい、大きなストレスや疲労の原因にもなり得ます。
しかし、クルーズ旅行では、この移動と荷物整理に伴う煩わしさが一切ありません。旅の初日に乗船し、自分の客室に荷物を置けば、そこが旅の終わりまであなたの拠点となります。毎晩、快適なベッドで眠っている間に、船は静かに次の目的地へと航海してくれます。そして朝、カーテンを開けると、昨日とはまったく違う新しい景色が目の前に広がっているのです。
この「目が覚めたら次の街にいる」という体験は、クルーズ旅行ならではの感動的な瞬間です。時間を有効に使えるだけでなく、移動による体力の消耗が最小限に抑えられるため、日中の寄港地観光を全力で楽しむことができます。特に、小さなお子様連れのファミリーや、体への負担を減らしたいシニア層にとって、このメリットは計り知れないほど大きいでしょう。
自分の部屋が常に一緒に移動してくれるため、寄港地観光から疲れて船に戻れば、そこはもう慣れ親しんだ自分の空間です。すぐにシャワーを浴びたり、着替えたり、バルコニーで休憩したりと、まるで自宅にいるかのようにリラックスできます。このストレスフリーな旅のスタイルこそ、多くのリピーターを生み出している最大の理由なのです。
② 豪華で多彩な食事が楽しめる
クルーズ旅行は、しばしば「食の祭典」と称されるほど、食事が大きな魅力の一つとなっています。旅行代金には、1日3食の基本的な食事はもちろん、時間帯によってはアフタヌーンティーや夜食、軽食ビュッフェ、さらにはルームサービスまで含まれていることがほとんどです。
クルーズ船の食事の選択肢は非常に多彩で、乗客を飽きさせない工夫が凝らされています。
- メインダイニング: 毎晩、フルコースディナーをエレガントな雰囲気の中で楽しめるレストランです。メニューは日替わりで、前菜からデザートまで、複数の選択肢の中から好きなものを選べます。専属のウェイターがサービスを担当し、まるで高級レストランにいるかのような体験ができます。
- ビュッフェレストラン: 朝から晩までオープンしており、好きなものを好きなだけ食べられるカジュアルなレストランです。和洋中さまざまな料理が並び、サラダ、フルーツ、デザートも豊富に揃っています。時間や服装を気にせず、気軽に利用できるのが魅力です。
- カフェ・軽食コーナー: ピザ、ハンバーガー、サンドイッチ、アイスクリームなどを提供するカウンターも船内に点在しています。小腹が空いた時や、プールサイドでのんびり過ごしながら軽食をつまむのに最適です。
- スペシャリティレストラン(有料): 基本料金とは別にカバーチャージ(席料)を支払うことで、さらに本格的な食事が楽しめる有料のレストランです。寿司、鉄板焼き、ステーキハウス、フレンチ、イタリアンなど、船によって様々なジャンルのレストランがあり、記念日など特別な夜を過ごすのにぴったりです。
クルーズ旅行は、食を通じて世界を旅する体験でもあると言えます。寄港地の食文化を取り入れた特別メニューが提供されたり、世界的に有名なシェフが監修するレストランがあったりと、食へのこだわりは船会社が最も力を入れる部分の一つです。追加料金なしでこれほど多様で質の高い食事を毎日楽しめることは、他の旅行では考えられないほどの贅沢であり、クルーズのコストパフォーマンスを実感できる大きなポイントです。
③ 飽きさせない船内施設とエンターテイメント
クルーズ船は、単なる移動と宿泊の場ではありません。それ自体が巨大なエンターテイメント施設であり、乗客が航海中に退屈することのないよう、ありとあらゆる施設とプログラムが用意されています。船の大きさやクラスによって設備は異なりますが、その充実度は驚くべきものがあります。
主な船内施設には、以下のようなものがあります。
- リラクゼーション施設: 広々とした屋外プール、温かいジャグジー、オーシャンビューのフィットネスジム、サウナ、本格的なトリートメントを受けられるスパ。
- エンターテイメント施設: 毎晩ブロードウェイスタイルのショーや音楽ライブが上演される大劇場、映画館、本格的なカジノ、ダンスホール、ライブミュージックが流れるバーやラウンジ。
- カルチャー・学習施設: 数千冊の蔵書を誇る図書室、アートギャラリー、日替わりで開催されるカルチャー教室(ダンス、料理、語学など)。
- ファミリー向け施設: お子様を預かってくれる専門スタッフ常駐のキッズクラブ、ゲームセンター、ウォータースライダーやロッククライミングなどのアクティビティ施設。
- ショッピング施設: ブランド品や化粧品、お酒などを免税価格で購入できるショッピングアーケード。
これらの施設に加えて、船内では毎日「船内新聞」が客室に届けられます。そこには、その日に行われるイベントやアクティビティのスケジュールがぎっしりと書かれています。ビンゴ大会、クイズ大会、スポーツトーナメント、著名人による講演会、星空観測会など、参加したいプログラムを見つけて自由に参加できます。
終日航海日(寄港地に停泊せず一日中航海する日)でさえ、時間を持て余すことはありません。むしろ、船内施設やイベントをすべて体験するには時間が足りないと感じるほどです。アクティブに過ごしたい人も、静かにのんびり過ごしたい人も、それぞれのスタイルで充実した時間を過ごせる懐の深さが、クルーズ旅行の大きな魅力です。
④ 寄港地での観光を満喫できる
船内での滞在が魅力的な一方で、クルーズ旅行のもう一つの柱は、様々な寄港地を訪れて観光を楽しめることです。一度の旅行で、個人ではなかなか訪れることが難しい複数の国や都市、島々を効率よく巡ることができるのは、クルーズならではの大きなメリットです。
寄港地に到着すると、乗客は自由に下船してその土地の観光を楽しむことができます。過ごし方は主に2つの選択肢があります。
- オプショナルツアー(ショアエクスカーション)に参加する:
船会社が企画・販売する日帰りの観光ツアーです。その土地の主要な観光名所を効率よく巡るバスツアー、歴史ガイド付きのウォーキングツアー、シュノーケリングやダイビングといったアクティビティ体験、現地の文化に触れる料理教室など、多種多様なプログラムが用意されています。
最大のメリットは、移動手段やスケジュールの心配が不要で、安心して観光に集中できる点です。特に初めて訪れる場所や、公共交通機関が不便な地域では非常に便利です。また、船の出発時間に間に合うようにスケジュールが組まれているため、乗り遅れる心配もありません。 - 自由行動:
ツアーには参加せず、自分たちのペースで街を散策したり、公共交通機関を利用して行きたい場所を訪れたりすることも可能です。事前にガイドブックやインターネットで情報を集め、オリジナルの観光プランを立てるのも旅の醍醐味です。タクシーをチャーターしたり、港の近くのビーチでのんびりしたりと、過ごし方は無限大です。ただし、船の出港時間(オールアボードタイム)は厳守する必要があるため、時間管理には注意が必要です。
クルーズ旅行は、毎日異なる文化や風景に出会える感動的な体験を提供してくれます。カリブ海の美しいビーチをホッピングしたり、地中海の歴史的な港町を訪ね歩いたり、アラスカの雄大な氷河に圧倒されたりと、航路によって全く異なる冒険が待っています。この船旅と寄港地観光の組み合わせが、変化に富んだ飽きることのない毎日を創り出すのです。
⑤ 実はコストパフォーマンスが高い
「クルーズ旅行は高価」というイメージは根強いですが、その内容を詳しく見ていくと、実は非常にコストパフォーマンスに優れた旅行スタイルであることがわかります。一見すると高額に見える旅行代金も、その中に何が含まれているかを考慮すれば、むしろ割安であるケースが少なくありません。
クルーズの旅行代金(クルーズ代金)は、前述の通り「オールインクルーシブ」が基本です。具体的には、以下の費用がすべて含まれています。
- 宿泊費: 旅行期間中の全宿泊
- 交通費: 複数の寄港地への海上移動
- 食費: 1日3食以上の食事、軽食、カフェ
- エンターテイメント費: 毎晩のショー、イベント参加費
- 施設利用費: プール、ジム、ジャグジーなどの利用
これらを、同程度の期間とクオリティで個人旅行(陸旅)をする場合と比較してみましょう。都市間の移動にかかる飛行機代や鉄道代、毎日の宿泊ホテル代、朝昼晩のレストランでの食事代、観光の合間のカフェ代、夜のショーやコンサートのチケット代…これらを個別に支払っていくと、合計金額はクルーズ代金を上回ることも珍しくありません。
例えば、1泊2万円のホテルに7泊し、1日1万円の食費と5,000円のエンタメ・交通費がかかると仮定するだけでも、1週間で(20,000円 + 10,000円 + 5,000円)× 7日 = 245,000円となります。これに都市間移動の費用が加わります。一方、カジュアルクラスのクルーズであれば、1週間で10万円台から探すことも可能です。
もちろん、船のクラスや客室のタイプ、航路、時期によって料金は大きく変動します。しかし、一度支払ってしまえば、旅行中の基本的な出費を心配することなく、心ゆくまでリゾート体験を満喫できるという安心感は、何物にも代えがたい価値があります。追加でかかる費用(アルコール代、有料レストラン、オプショナルツアー代など)を自分でコントロールすれば、非常に賢く豪華な旅が実現できるのです。このトータルでの経済合理性が、クルーズ旅行の隠れた、しかし強力な魅力と言えるでしょう。
クルーズ旅行の費用について
クルーズ旅行を計画する上で、最も気になるのが費用でしょう。「一体いくらかかるのか?」という疑問に答えるため、ここでは費用の相場から料金に含まれるもの・含まれないものまで、詳しく解説していきます。
クルーズ旅行の費用相場
クルーズ旅行の費用は、「1泊あたりいくら」という考え方をすると分かりやすくなります。料金は、①旅行期間、②エリア・航路、③船のランク、④客室のタイプ、⑤旅行の時期といった様々な要因で大きく変動します。
以下に、一般的な費用相場の目安をまとめました。これはあくまで1人あたりのクルーズ代金(2名1室利用時)であり、港までの交通費や追加費用は含まれていません。
期間/エリア/ランク | カジュアルクラス | プレミアムクラス | ラグジュアリークラス |
---|---|---|---|
【ショートクルーズ(3〜5泊)】 | |||
日本発着 | 5万円~15万円 | 10万円~25万円 | 20万円~ |
【定番クルーズ(7〜10泊)】 | |||
日本発着 | 10万円~30万円 | 20万円~50万円 | 50万円~ |
地中海・カリブ海 | 8万円~25万円 | 15万円~40万円 | 40万円~ |
アラスカ | 12万円~30万円 | 25万円~60万円 | 60万円~ |
【長期クルーズ(14泊以上)】 | |||
世界一周など | 100万円~ | 200万円~ | 500万円~ |
費用のポイント
- 1泊あたりの単価: カジュアル船なら1泊1万円~2万円台、プレミアム船なら2万円~4万円台、ラグジュアリー船なら5万円以上が目安です。
- 予約時期: 一般的に、早く予約するほど「早割」が適用されてお得になります。逆に、出発間際になると「直前割引」で安くなることもありますが、希望の客室が選べないリスクもあります。
- 旅行シーズン: ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始などの繁忙期は料金が高騰します。一方、オフシーズンを狙うと、同じ内容のクルーズでもかなり安く参加できることがあります。
- 一人参加の場合: クルーズ料金は2名1室利用を基本としているため、1名で客室を利用する場合は、1.5倍~2倍の追加料金がかかることが一般的です。
この相場観を基に、自分の予算や希望に合ったクルーズを探すのが良いでしょう。
旅行代金に含まれるもの(オールインクルーシブ)
クルーズ旅行の大きな特徴である「オールインクルーシブ」。旅行代金(クルーズ代金)には、旅の基本的な要素がほぼすべて含まれており、これがコストパフォーマンスの高さに繋がっています。
一般的にクルーズ代金に含まれるものの例
- 客室料金: 旅行期間中の客室使用料。ルームクリーニングも毎日行われます。
- 船内での基本的な食事: メインダイニングでのフルコースディナー、ビュッフェレストランでの朝・昼・晩の食事、ピザやハンバーガーなどの軽食。
- 船内でのソフトドリンク: ビュッフェレストランでの水、コーヒー、紅茶、ジュース類(船会社やレストランにより異なる)。
- 船内施設の使用料: プール、ジャグジー、フィットネスジム、図書室、キッズクラブなど。
- 船内エンターテイメント: 劇場でのショー、音楽ライブ、映画鑑賞、各種イベントやアクティビティへの参加。
- 移動費用: 出航地から各寄港地、最終目的地までの海上運賃。
船のランクが上がると、オールインクルーシブの範囲も広がります。例えば、プレミアムクラスやラグジュアリークラスの船では、以下のようなものもクルーズ代金に含まれることが多くなります。
- アルコール飲料(一部またはすべて)
- スペシャリティレストランの利用料
- 船内チップ
- Wi-Fi利用料
- ランドリーサービス
- 一部のオプショナルツアー
どこまでが料金に含まれるかは船会社や予約プランによって異なるため、予約の際には必ず詳細を確認することが重要です。
旅行代金に含まれないもの
オールインクルーシブとはいえ、すべての費用が含まれているわけではありません。旅行を快適に楽しむためには、別途必要となる費用をあらかじめ把握しておくことが大切です。
一般的にクルーズ代金に含まれないものの例
- 港までの交通費: 自宅から出発地の港(または空港)までの交通費。海外クルーズの場合は、日本から発着地の港最寄りの空港までの航空券代が別途必要になります。
- 寄港地観光ツアー(オプショナルツアー): 船会社が提供するツアーは基本的に有料です。
- 船内でのアルコール飲料・一部のソフトドリンク: バーやラウンジ、メインダイニングで注文するアルコール類や炭酸飲料、フレッシュジュースなどは有料の場合が多いです。お得なドリンクパッケージが用意されていることもあります。
- スペシャリティレストラン: より専門的で高級な食事を提供する有料レストランのカバーチャージ。
- 船内チップ(サービス料): 乗客にサービスを提供するクルーへの心付け。近年は、1泊1人あたり15ドル前後が自動的に船内会計に計上される「自動精算制」が主流です。ラグジュアリー船ではチップが代金に含まれている場合もあります。
- 個人的な費用: ショッピング、カジノ、スパでのトリートメント、クリーニングサービス、医療費など。
- 通信費: 船内でのWi-Fi利用は有料の場合がほとんどです。衛星回線を利用するため、陸上よりも高額になる傾向があります。
- 海外旅行保険: 万が一の病気や怪我、盗難に備えて加入が強く推奨されます。
- ビザ取得費用: 寄港国によってはビザが必要な場合があり、その取得費用。
- 港湾税・政府関連諸税: クルーズ代金とは別に見積もりや請求書に記載されることが多い費用です。
これらの追加費用を合計すると、クルーズ代金の2〜5割程度が目安となります。予算を立てる際は、クルーズ代金だけでなく、これらの費用も考慮に入れるようにしましょう。
初めてのクルーズ旅行の選び方
数あるクルーズの中から自分にぴったりの一つを見つけるのは、楽しみであると同時に悩ましい作業でもあります。ここでは、初めてクルーズ旅行を選ぶ際に基準となる4つのポイント「旅行期間」「エリア・航路」「船のランク」「客室タイプ」について解説します。
旅行期間で選ぶ
まずは、どのくらいの期間旅行できるかによって、選択肢が絞られてきます。
- 週末+αで楽しめる「ショートクルーズ」(2~5泊)
金曜の夜に出発して月曜の朝に帰着するような、短い日程のクルーズです。クルーズ旅行がどんなものか体験してみたい初心者に最適です。日本発着であれば、釜山(韓国)や済州島(韓国)、台湾などを巡るコースが人気です。費用も手頃で、気軽に非日常を味わうことができます。 - クルーズの魅力を満喫できる「定番クルーズ」(6~10泊)
クルーズ旅行の最も一般的な期間です。船内生活と寄港地観光のバランスが良く、クルーズの醍醐味を存分に味わうことができます。日本発着では、九州や沖縄、北海道を一周するコースや、台湾、ロシアまで足を延ばすコースがあります。海外では、地中海、カリブ海、アラスカなどの人気エリアを巡るのに最適な長さです。夏休みなどの長期休暇を利用して参加するのにおすすめです。 - じっくりと非日常に浸る「長期クルーズ」(11泊以上)
ハワイ航路やオセアニア、アジア大周遊、さらには数十日から100日以上かけて地球を一周する「世界一周クルーズ」など、壮大な旅が楽しめます。時間にゆとりがあり、日常から完全に離れてじっくりと旅をしたい方向けです。一生に一度の特別な体験となるでしょう。
エリア・航路で選ぶ
どこを旅したいか、どんな景色を見たいかによって、選ぶべきエリアは決まります。世界中には魅力的なクルーズエリアが無数に存在します。
日本発着クルーズ
初めての方や、言語に不安がある方に最もおすすめなのが日本発着クルーズです。横浜、神戸、那覇などの日本の港から出発・帰着するため、海外への航空券手配が不要で非常に手軽です。外国船であっても日本人スタッフが乗船していたり、日本語メニューや日本語の船内新聞が用意されていたりと、日本人向けのサービスが充実していることが多いのが特徴です。人気の航路は、沖縄や奄美の島々を巡るコース、韓国や台湾を訪れるコース、夏にはねぶた祭りに合わせて寄港する東北・北海道周遊コースなど、多彩な選択肢があります。
地中海クルーズ
歴史、文化、芸術、グルメ、そして美しい風景と、ヨーロッパの魅力が凝縮された王道エリアです。
- 西地中海: バルセロナ(スペイン)、マルセイユ(フランス)、ローマやナポリ(イタリア)などを巡り、活気ある港町と世界遺産を訪れます。
- 東地中海: ベネチア(イタリア)やアテネ(ギリシャ)から出発し、サントリーニ島やミコノス島といったギリシャの美しい島々や、アドリア海の真珠と称されるドブロブニク(クロアチア)などを巡ります。エーゲ海の青と白のコントラストは圧巻です。
カリブ海クルーズ
世界最大のクルーズマーケットであり、温暖な気候とエメラルドグリーンの海が魅力のリゾートエリアです。アメリカのフロリダ半島の港を拠点に、多くのクルーズ船が就航しています。
- 東カリブ: プエルトリコ、セント・マーチン島など、ショッピングや美しいビーチが楽しめる島々を巡ります。
- 西カリブ: メキシコのコズメル、ジャマイカ、ケイマン諸島などを訪れ、マヤ文明の遺跡探訪やマリンスポーツが楽しめます。
- 南カリブ: バルバドスやアルバなど、より手つかずの自然が残るエキゾチックな島々を巡ります。
アラスカクルーズ
夏(5月~9月)限定で楽しめる、大自然を満喫するクルーズです。シアトル(アメリカ)やバンクーバー(カナダ)から出発し、フィヨルドの壮大な景色の中を進みます。ハイライトは、轟音とともに海に崩れ落ちる氷河の壁(カービング)の観察です。また、クジラやシャチ、アザラシ、白頭鷲といった野生動物との遭遇も大きな魅力です。他のエリアとは一線を画す、ダイナミックな自然体験が待っています。
船のランクで選ぶ
クルーズ船は、そのサービスや設備、船内の雰囲気によって、大きく3つのランクに分けられます。自分の旅のスタイルや予算に合わせて選びましょう。
ランク | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
カジュアルクラス | 船体が大きく、乗客定員も多い。ウォータースライダー、ロッククライミングなどアクティブな施設が充実。船内は活気があり、賑やかな雰囲気。料金は最も手頃。 | ファミリー、友人グループ、アクティブに過ごしたい若者層 |
プレミアムクラス | カジュアルとラグジュアリーの中間。落ち着いた雰囲気で、食事やサービスの質が高い。エンターテイメントやカルチャープログラムも充実しており、バランスが良い。 | カップル、夫婦、落ち着いた旅を好む大人 |
ラグジュアリークラス | 船体は比較的小型で、乗客一人あたりのスペースが広い。きめ細やかなパーソナルサービスが特徴。クルーズ代金にチップやアルコール代などが含まれるオールインクルーシブ制が多い。 | 富裕層、記念旅行、最高級のサービスを求める人 |
カジュアルクラス
MSCクルーズ、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル、カーニバル・クルーズ・ラインなどが代表的です。巨大な船内はまさに「洋上のテーマパーク」。多彩な施設とイベントで、子供から大人まで誰もが楽しめます。
プレミアムクラス
プリンセス・クルーズ、ホーランド・アメリカ・ライン、セレブリティ・クルーズなどがこのカテゴリーに含まれます。洗練された内装と、質の高い食事、落ち着いたサービスが魅力で、ゆったりとした大人の時間を過ごしたい方におすすめです。
ラグジュアリークラス
シルバーシー・クルーズ、シーボーン・クルーズ、リージェント・セブンシーズ・クルーズなどが有名です。執事(バトラー)サービスが付くこともあり、究極の贅沢を体験できます。小型船の利点を活かし、大型船では行けないような秘境の港を訪れるコースもあります。
客室(キャビン)のタイプで選ぶ
最後に、船内での居住空間となる客室(キャビン)を選びます。主に4つのタイプがあり、料金も大きく異なります。
客室タイプ | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
内側客室 | 船の内側に位置し、窓がない最もリーズナブルな客室。 | 滞在費を抑えたい人、日中はほとんど客室におらずアクティブに過ごす人 |
海側(窓付き)客室 | 窓があり、外の景色や光が入る客室。窓は開閉できないのが一般的。 | 閉塞感が苦手な人、リーズナブルに景色を楽しみたい人 |
バルコニー付き客室 | プライベートなバルコニー(ベランダ)が付いた客室。椅子とテーブルが置かれていることが多い。 | 客室でプライベートな時間を大切にしたい人、潮風を感じながら過ごしたい人 |
スイート客室 | リビングとベッドルームが分かれているなど、広く豪華な客室。様々な特典(優先乗下船、専用ラウンジなど)が付く。 | 記念旅行など特別な旅をしたい人、最高級の快適さを求める人 |
内側客室
最も予算を抑えられる選択肢です。日中は船内施設や寄港地でアクティブに過ごし、客室は寝るためだけ、と割り切れる方には十分です。
海側(窓付き)客室
窓があるだけで開放感が格段にアップします。毎朝、光と共に目覚め、外の天候や景色を確認できるのは大きなメリットです。
バルコニー(ベランダ)付き客室
クルーズ旅行で最も人気が高いのがこのタイプです。プライベートなバルコニーで朝食をとったり、読書をしたり、誰にも邪魔されずに海を眺めたりと、クルーズならではの優雅な時間を満喫できます。
スイート客室
広さや豪華さはもちろん、様々な付加価値サービスが魅力です。専任のバトラー、スイート客室専用のレストランやラウンジの利用、優先的な乗船・下船や寄港地観光の予約など、ワンランク上のVIP待遇を受けられます。
これらの4つのポイントを総合的に考え、自分の希望と予算に最もマッチするクルーズを選ぶことが、満足度の高い旅への第一歩となります。
クルーズ旅行の準備:持ち物と服装
クルーズ旅行が決まったら、次は何を準備すればよいのでしょうか。ここでは、旅行を快適に過ごすための持ち物と、船内での服装(ドレスコード)について詳しく解説します。
必要な持ち物リスト
長期の船旅となると荷物が多くなりがちですが、基本的な持ち物は通常の海外旅行と大きくは変わりません。ここでは「必ず持っていくもの」と「あると便利なもの」に分けてリストアップします。
必ず持っていくもの
これらは忘れると乗船できなかったり、旅先で非常に困ったりするものです。出発前に何度も確認しましょう。
- パスポート: 残存有効期間がクルーズ終了日から6ヶ月以上あるか必ず確認しましょう。
- ビザ(査証): 寄港国によっては必要になります。日本国籍の場合は不要な国が多いですが、必ず事前に旅行会社や大使館の公式サイトで確認してください。
- クルーズのeチケット(乗船券): 予約後に発行される乗船に必要な書類です。印刷して持参します。
- 航空券(海外クルーズの場合): クルーズの発着港までの航空券です。
- クレジットカード: 船内での支払いは、乗船時に登録したクレジットカードで一括精算するのが基本です。VISAやMastercardなど、国際的に通用するカードを複数枚持っていくと安心です。
- 現金: 船内ではほとんど現金は使いませんが、寄港地での少額の買い物や、クルーに直接チップを渡したい場合などに備えて、現地通貨や米ドルを少し持っていくと便利です。
- 海外旅行保険証: 万が一の病気や怪我、盗難に備えて必ず加入し、証券を携帯しましょう。
- 常備薬・処方薬: 普段服用している薬は、旅行日数分+予備を必ず持参してください。酔い止め、胃腸薬、頭痛薬なども持っていくと安心です。
- 着替え: 日数分のカジュアルな服装、下着、パジャマ、そして後述するドレスコードに合わせた服。
- スマートフォン・充電器: カメラや情報収集、連絡手段として必須です。変換プラグや変圧器が必要な場合もあるので、渡航先の電源事情を調べておきましょう。
あると便利なもの
必須ではありませんが、持っていくと船内生活や寄港地観光がより快適になるアイテムです。
- フォーマルウェアと小物: ドレスコードに合わせたドレスやスーツ、それに合う靴、バッグ、アクセサリー。
- 羽織るもの: 船内は冷房が効いていることが多いので、カーディガンやジャケット、ストールなどが一枚あると体温調節に非常に便利です。
- 水着・ビーチサンダル: プールやジャグジーを楽しむために。
- 日焼け対策グッズ: 帽子、サングラス、日焼け止め。特にカリブ海や地中海など日差しが強いエリアでは必須です。
- 双眼鏡: 航海中に遠くの島やイルカ・クジラを探したり、寄港地で景色を眺めたりするのに役立ちます。
- カメラ: スマートフォンとは別に、美しい景色を記録するために。
- エコバッグ・折りたたみバッグ: 寄港地での買い物や、船内での移動時に小物を入れるのに便利です。
- 洗濯用品: 長期クルーズの場合、船内のコインランドリーを利用したり、客室で簡単な手洗いをしたりするために、小分けの洗剤や洗濯バサミ、携帯用ハンガーがあると重宝します。
- 筆記用具: メモを取ったり、船内で出会った人と連絡先を交換したりする際に。
- 本・電子書籍: プールサイドやバルコニーでのんびり読書する時間は至福のひとときです。
服装(ドレスコード)の基本
クルーズ旅行で初心者が最も気になることの一つが「服装」、特に「ドレスコード」でしょう。ドレスコードは、その場の雰囲気を皆で楽しむためのものであり、決して堅苦しいルールではありません。基本的には「日中」「夕方以降」で服装を分け、夕方以降は船会社が指定するドレスコードに合わせるのが一般的です。ドレスコードは通常、乗船前に案内があり、毎日の船内新聞でも確認できます。
主に以下の3つのカテゴリーに分けられます。
カジュアル
日中の船内や寄港地観光、ビュッフェレストランでの食事など、リラックスして過ごす際の服装です。Tシャツ、ポロシャツ、ショートパンツ、ジーンズ、スニーカーなど、普段着で問題ありません。ただし、水着のままレストランに入ることはできないなど、最低限のマナーは守りましょう。
インフォーマル
メインダイニングでのディナーなどで指定されることが多いドレスコードです。「スマートカジュアル」とも呼ばれます。「ちょっとお洒落なレストランに食事に行く」くらいの服装をイメージすると分かりやすいでしょう。
- 男性: 襟付きのシャツ(ポロシャツでも可)、スラックスやチノパン。ジャケットを着用するとよりスマートです。ネクタイは必須ではありません。
- 女性: ワンピース、ブラウスとスカート、お洒落なパンツスタイルなど。
Tシャツ、短パン、サンダル、ダメージジーンズなどは避けるのが無難です。
フォーマル
クルーズ期間中に1~2回設定される、最も格式の高いドレスコードです。船長主催のウェルカムパーティーやフェアウェルパーティー(お別れパーティー)などがこれにあたります。非日常の華やかな雰囲気を楽しむ絶好の機会です。
- 男性: タキシードやダークスーツ(濃紺やチャコールグレー)にネクタイ、革靴が基本です。
- 女性: イブニングドレス、カクテルドレス、ドレッシーなワンピース、着物など。華やかなアクセサリーを合わせると、より一層素敵になります。
近年の傾向と注意点
- ドレスコードの緩和: 最近はカジュアル船を中心に、フォーマルナイトでも男性はジャケット着用程度でOKなど、ドレスコードが緩和される傾向にあります。
- 参加は任意: フォーマルナイトは強制ではありません。ドレスコードが苦手な方は、その日のディナーはビュッフェレストランを利用するなどの選択肢もあります。
- レンタルサービス: 船によってはフォーマルウェアのレンタルサービスがある場合もあります。
あまり難しく考えず、旅のイベントの一つとしてお洒落を楽しむ気持ちで準備するのがおすすめです。
クルーズ旅行中の楽しみ方
いよいよ乗船!クルーズ旅行中は、船内と寄港地でそれぞれ異なる魅力的な時間を過ごすことができます。ここでは、具体的な楽しみ方の例をご紹介します。
船内での過ごし方
クルーズの大きな特徴は、移動時間そのものを楽しめることです。特に終日航海日は、巨大なリゾート施設である船内を遊び尽くすチャンスです。
食事
クルーズの楽しみの中心は「食」にあります。
- 朝食: 爽やかな海の景色を眺めながら、ビュッフェで好きなものを好きなだけ選ぶのもよし、メインダイニングで落ち着いてアラカルトメニューをいただくのもよし。天気が良ければ、バルコニーでルームサービスの朝食を頼むのも最高の贅沢です。
- 昼食: 寄港地から戻ってきて、手軽にビュッフェやプールサイドのグリルで済ませるのも良いですし、メインダイニングでコースランチを楽しむこともできます。
- ティータイム: 午後には、多くの船でアフタヌーンティーのサービスがあります。スコーンやサンドイッチ、ケーキと共に優雅なひとときを過ごせます。
- 夕食: 一日のハイライトはメインダイニングでのディナーです。日替わりのフルコースメニューに舌鼓を打ち、同席した人々と旅の思い出を語り合うのは、クルーズならではの社交の場でもあります。もちろん、気分に合わせてビュッフェや有料のスペシャリティレストランを選ぶ自由もあります。
ショーやイベント
毎晩、船のメインシアターでは、ラスベガスやブロードウェイにも引けを取らない、本格的なショーが上演されます。ミュージカル、マジック、アクロバット、コメディなど、その内容は多彩で、クルーズのエンターテイメントチームの高い実力に驚かされることでしょう。これらのショーはすべて無料(クルーズ代金に含まれる)で楽しめます。
ショー以外にも、ラウンジでの生演奏、ダンスパーティー、カラオケ大会、クイズ大会、ビンゴ大会など、参加型のイベントが船内の至る所で開催されています。毎朝届けられる船内新聞でスケジュールをチェックし、興味のあるものに気軽に参加してみましょう。
プールやスパなどのリラクゼーション施設
アクティブに過ごすだけでなく、のんびりと心身を癒す時間も大切です。
- プール・ジャグジー: 太陽の下、プールサイドのデッキチェアで読書をしたり、昼寝をしたり。温かいジャグジーに浸かりながら海を眺めるのは至福の時間です。大人専用の静かなプールエリアが設けられている船も多くあります。
- スパ・サウナ: 有料にはなりますが、本格的なマッサージやフェイシャルトリートメントを受ければ、日頃の疲れも吹き飛びます。多くの船にサウナやスチームルームが完備されており、気軽に利用できます。
- フィットネスジム: 最新のマシンが揃ったジムで、海を眺めながら汗を流すのも爽快です。ヨガやピラティスなどのクラスが開催されることもあります。
ショッピング・カジノ
船内には、ブランド品、化粧品、香水、お酒、タバコ、船のロゴグッズなどを扱う免税店が並ぶショッピングアーケードがあります。公海を航行中にオープンし、免税価格で買い物を楽しめます。
また、多くの外国船には本格的なカジノが併設されています。スロットマシンからブラックジャック、ルーレットまで、様々なゲームに挑戦できます。初心者向けのテーブルもあるので、運試しに少額で遊んでみるのも良い経験になるでしょう。
寄港地での過ごし方
船が港に到着すれば、そこは新たな冒険の舞台です。限られた時間の中で、その土地の魅力を最大限に満喫しましょう。
- オプショナルツアーに参加する: 船会社が企画するツアーは、安心・安全・効率的に観光できる最良の選択肢の一つです。バスで主要な観光名所を巡ったり、現地の文化を体験したりと、内容は様々です。人気のツアーは早く埋まってしまうこともあるので、乗船前に予約しておくのがおすすめです。
- 個人で観光する: 事前にガイドブックやブログで情報を集め、自分だけのプランで行動するのも自由旅行の醍醐味です。公共交通機関を使ったり、タクシーをチャーターしたり、港の周りを散策したり。自分のペースで、興味のある場所をじっくりと見ることができます。
- 港の近くでのんびりする: 必ずしも遠出する必要はありません。港の近くのカフェで人間観察をしたり、ビーチで海水浴を楽しんだり、マーケットでお土産を探したりするだけでも、十分にその土地の雰囲気を味わえます。
寄港地での過ごし方で最も重要なことは、指定された最終帰船時間(オールアボードタイム)を絶対に守ることです。船は時間になると容赦なく出港してしまいます。時間に余裕を持った行動を心がけましょう。
初めてのクルーズで気になるQ&A
クルーズ旅行には、経験したことがないからこその疑問や不安がつきものです。ここでは、初心者の方が抱きがちな質問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
船酔いが心配だけど大丈夫?
最も多い心配事ですが、ほとんどの場合、心配は不要です。
現代の大型クルーズ客船には、「フィン・スタビライザー」と呼ばれる横揺れ防止装置が装備されています。これは、船の水中部分から翼(フィン)を出し、ジャイロセンサーで揺れを感知して自動的に角度を調整し、揺れを大幅に軽減する仕組みです。そのため、天候が穏やかな海域では、船内にいると動いていることすら忘れてしまうほど揺れを感じません。
どうしても心配な方は、酔い止め薬(アネロン、トラベルミンなど)を持参しましょう。また、客室を選ぶ際に、揺れが少ないとされる船の中央部・低層階を指定するのも一つの方法です。
言葉(英語)が話せなくても楽しめる?
はい、楽しめます。特に日本発着クルーズであれば、言葉の心配はほとんどありません。
日本発着の外国船クルーズでは、日本人コーディネーターや日本語が話せるクルーが多数乗船していることがほとんどです。フロントデスクやレストランには日本語対応スタッフが待機しており、船内新聞やレストランのメニューも日本語版が用意されています。
海外発着のクルーズでも、メインダイニングのメニューは写真付きであったり、身振り手振りや簡単な単語で十分に意思疎通ができたりする場合が多いです。最近はスマートフォンの翻訳アプリも非常に高性能なので、持っていると心強いでしょう。
船内の治安は安全?
船内は非常に安全な空間です。
乗船できるのは、事前に身元が確認された乗客とクルーのみです。また、船内の至る所に監視カメラが設置されており、セキュリティースタッフが常時巡回しています。客室にはセーフティボックスも完備されています。ただし、貴重品の管理は自己責任です。寄港地では、通常の海外旅行と同様に、スリや置き引きなどには注意が必要です。
船内での支払いはどうするの?現金は必要?
船内での支払いは、すべて「クルーズカード」で行います。
乗船手続きの際にクレジットカードを登録すると、ルームキー兼身分証明書となる「クルーズカード(シーパスカードなど名称は様々)」が渡されます。船内でのショッピング、有料ドリンクの注文、スパの利用などは、すべてこのカードを提示してサインするだけで完了し、料金は自動的に自分のアカウントに記録されます。そして、下船前に登録したクレジットカードから一括で精算される仕組みです。
そのため、船内で現金を使う場面はほとんどありません。現金は、寄港地での小さな買い物や食事、個人的に渡すチップなどのために、少額の米ドルや現地通貨を用意しておくと便利です。
チップは必要?
多くのクルーズでは、チップは「自動精算制」となっています。
客室係やレストランのウェイターなど、サービスを提供してくれるクルーへの感謝を示すチップは、クルーズ文化の一部です。しかし、誰にいくら渡せば良いか悩む必要はありません。現在主流となっているのは、1泊1人あたり15ドル前後(船のクラスによる)の「船内チップ」または「サービス料」が、自動的に船内会計に加算されるシステムです。
もちろん、特に素晴らしいサービスを受けたクルーに対して、個人的に現金でチップを渡すことは喜ばれます。なお、ラグジュアリークラスの船では、チップがクルーズ代金に予め含まれている(チップ不要)場合が多いです。
インターネットやWi-Fiは使える?
はい、使えますが、有料で陸上より高額かつ低速な場合が多いです。
船内では、衛星通信を利用したWi-Fiサービスが提供されています。料金プランは、利用時間ごとやSNSのみ利用可能プラン、動画も見られるフルプランなど、船会社によって様々です。料金は1日あたり20~30ドル程度が目安で、陸上の通信環境に比べると割高です。速度も天候や船の位置によって不安定になることがあります。
高額な通信費を払うよりは、「デジタルデトックス」の機会と捉え、船内での時間や寄港地での景色に集中するのも、クルーズの贅沢な楽しみ方の一つです。
パスポートやビザは必要?
パスポートは絶対に必要です。ビザは寄港国によります。
クルーズ旅行は、たとえ日本発着であっても海外へ出るため、パスポートは必須です。クルーズ終了日から起算して6ヶ月以上の残存有効期間が求められるのが一般的ですので、必ず確認してください。
ビザ(査証)については、寄港する国とご自身の国籍によって必要性が異なります。日本国籍の場合、短期の観光目的であればビザが免除される国が多いですが、ロシアや一部の国では必要になる場合があります。必ず事前に旅行会社や各国の大使館・領事館の公式サイトで最新情報を確認し、必要であれば早めに申請手続きを行いましょう。
どんな年齢層の人が参加しているの?
船や航路によって様々ですが、近年はあらゆる年齢層の方が参加しています。
かつてはシニア層が中心というイメージでしたが、巨大なカジュアル客船の登場により、30代~40代のファミリー層や20代のカップル・友人グループも急増しています。アクティビティが豊富なカリブ海クルーズは若者に人気があり、歴史や文化に触れる地中海クルーズは幅広い年代に、日本発着クルーズはシニア層から三世代ファミリーまで、多様な乗客が楽しんでいます。
一人でも参加できる?
はい、一人でも全く問題なく楽しめます。
一人で参加する「ソロクルーザー」は年々増えています。船会社によっては、シングル(一人用)客室を用意していたり、一人参加者同士の交流会を開催したりするところもあります。メインダイニングでは、他の乗客との相席を希望することもでき、旅先での新たな出会いの機会にもなります。
ただし、多くの客室は2名定員のため、一人で利用する場合は「シングル割増代金」として、正規料金の150%~200%程度の料金がかかるのが一般的です。
初心者におすすめのクルーズツアー・船会社
数あるクルーズ船や船会社の中から、特に初心者の方におすすめの選択肢を「日本発着」と「海外」に分けてご紹介します。ここに挙げるのはあくまで一例であり、あなたの旅のスタイルに合った船を見つけるための参考にしてください。
日本発着でおすすめのクルーズ船
まずは、言葉や移動の心配が少なく、手軽に参加できる日本発着クルーズで人気の代表的な客船です。
MSCベリッシマ
ヨーロッパ最大のクルーズ会社「MSCクルーズ」が運航する、日本発着クルーズ史上最大級の客船です。その大きさは圧巻で、船内には屋内プロムナードのLEDスカイドーム、ウォーターパーク、F1シミュレーターなど、最先端のエンターテイメント施設が満載です。活気ある雰囲気で、お子様連れのファミリーやアクティブに過ごしたい若者世代に絶大な人気を誇ります。
参照:MSCクルーズ公式サイト
ダイヤモンド・プリンセス
プレミアムクラスの代表格「プリンセス・クルーズ」が運航する客船です。日本人乗客のために設えられた展望大浴場「泉の湯」が大きな特徴で、船旅をしながら温泉気分を味わえます。食事やサービスも日本人の好みに合わせてきめ細やかに調整されており、落ち着いた雰囲気の中で質の高いクルーズを楽しみたい大人世代におすすめです。
参照:プリンセス・クルーズ公式サイト
にっぽん丸
日本の船会社である商船三井客船が運航する、日本船籍の客船です。「美食の船」として名高く、経験豊かなシェフが腕を振るう、日本の四季や寄港地にちなんだ料理は絶品です。クルーのほとんどが日本人であり、言葉の心配は一切不要で、日本ならではの温かくきめ細やかなおもてなしを受けられます。クルーズが全く初めての方や、シニア層に特に人気があります。
参照:商船三井客船公式サイト
海外で人気のクルーズ船会社
少し慣れてきたら、海外のクルーズエリアに挑戦してみるのも良いでしょう。世界には魅力的な船会社がたくさんあります。
ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
世界最大級の客船を次々と就航させる、カジュアルクラスのリーディングカンパニーです。船内にはロッククライミングの壁、洋上サーフィン施設、アイススケートリンクなど、「これが船の上?」と驚くようなダイナミックなアトラクションが満載です。特にカリブ海クルーズでは圧倒的な存在感を誇り、アクティブなファミリーやグループに最適です。
参照:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル公式サイト
プリンセス・クルーズ
日本発着でもおなじみのプレミアムクラスの船会社。世界中に航路網を持ち、特にアラスカクルーズでは長年の実績と高い評価を得ています。船内では、映画を屋外の大型スクリーンで楽しむ「ムービーズ・アンダー・ザ・スターズ」が人気です。カジュアルすぎず、ラグジュアリーすぎない、バランスの取れたサービスが幅広い層に支持されています。
参照:プリンセス・クルーズ公式サイト
MSCクルーズ
日本発着のベリッシマでも知られる、イタリアの船会社です。地中海を拠点とし、ヨーロッパの洗練されたスタイリッシュな雰囲気が特徴です。ファミリー向けのサービスも手厚く、キッズクラブの充実度や、子供料金が無料または割引になるキャンペーンを頻繁に行っていることから、ヨーロッパでのファミリークルーズに人気があります。
参照:MSCクルーズ公式サイト
クルーズ旅行の予約方法
クルーズ旅行を予約するには、主に3つの方法があります。
- クルーズ専門の旅行代理店に相談する
初心者の方に最もおすすめの方法です。クルーズに精通したスタッフが、予算や希望に合わせて最適なプランを提案してくれます。航空券やホテルの手配、海外旅行保険の加入まで一括でお願いできるパッケージツアーも多く、手間がかかりません。困ったときに日本語で相談できる安心感も大きなメリットです。 - 大手旅行代理店で予約する
JTBやHISといった大手旅行代理店でも、クルーズ旅行のパッケージツアーを多数扱っています。特に日本発着クルーズの品揃えが豊富で、添乗員付きのツアーなども見つかります。 - 船会社の公式サイトで直接予約する
英語の読解力があり、個人手配に慣れている方は、船会社の公式サイトから直接予約することも可能です。最も情報が正確で、中間マージンがかからないメリットがあります。ただし、航空券や前後の宿泊、送迎などはすべて自分で手配する必要があります。
どの方法を選ぶにしても、早めに計画を立て、「早割」を利用するのがお得に予約するコツです。憧れのクルーズ旅行、ぜひあなたにぴったりのプランを見つけて、素晴らしい船旅を実現してください。