社員旅行やサークル活動、冠婚葬祭の送迎など、大人数での移動が必要になった際に、貸切バスは非常に便利な交通手段です。公共交通機関のように乗り換えの手間がなく、目的地までダイレクトに移動できる快適さは、何物にも代えがたい魅力と言えるでしょう。
しかし、いざ貸切バスを手配しようとすると、「料金はいくらくらいかかるのだろう?」「どうやって見積もりを取ればいいの?」「少しでも安くする方法はないか?」といった疑問や不安が次々と浮かんでくるのではないでしょうか。
貸切バスの料金は、利用する時期やバスの種類、走行距離など様々な要因で変動するため、一概に「いくら」と言い切ることが難しいのが実情です。だからこそ、料金が決まる仕組みを正しく理解し、賢く手配する知識が重要になります。
この記事では、貸切バスの料金体系の基本から、種類別の料金相場、そして誰でも実践できる料金を安く抑えるための具体的なコツまで、網羅的に解説します。さらに、初めての方でも安心して手配が進められるよう、見積もりから利用当日までの流れや、おすすめの一括見積もりサービス、よくある質問にも詳しくお答えします。
この記事を最後まで読めば、貸切バスに関するあらゆる疑問が解消され、あなたの利用目的に最適なバスを、納得のいく価格で手配できるようになるでしょう。
目次
貸切バスの料金はどう決まる?料金の仕組みを解説
貸切バスの料金は、一見すると複雑に感じるかもしれませんが、その根幹にあるのは国土交通省が定めた非常に論理的な計算方法です。この仕組みを理解することが、適正な料金でバスを借りるための第一歩となります。ここでは、料金算出の基本から、料金に含まれる費用、別途必要になる費用まで、一つひとつ丁寧に解きほぐしていきます。
基本は「時間」と「距離」で計算される
貸切バスの運賃は、2014年4月に国土交通省が改定した「新運賃・料金制度」に基づいて算出されています。この制度の最大の特徴は、安全運行の確保を目的として、運賃を「時間制運賃」と「キロ制運賃」の二つの要素を合算して計算する点にあります。これにより、過当競争による不当な安売りを防ぎ、運転手の過労運転などを防止する狙いがあります。
具体的には、以下の計算式で基本料金が導き出されます。
貸切バスの基本料金 = (利用時間 × 時間単価) + (走行距離 × キロ単価)
この式に出てくる「利用時間」と「走行距離」が何を指すのか、詳しく見ていきましょう。
1. 時間制運賃
これは、バスがバス会社の車庫を出発してから、すべての行程を終えて車庫に帰着するまでの「拘束時間」に対してかかる料金です。ポイントは、乗客が実際にバスに乗っている時間だけでなく、回送時間や休憩時間もすべて含まれるという点です。
さらに、この拘束時間には、安全運行に不可欠な「出庫前点検」と「帰庫後点検」の時間として、合計2時間を加算することが義務付けられています。例えば、朝9時に出発し、夕方17時に解散する8時間の利用プランであっても、点検時間の2時間が加算され、合計10時間分の時間制運賃がかかる計算になります。
また、最低利用時間も定められており、点検時間の2時間を含めて最低3時間からとされています。たとえ1時間だけの利用であっても、3時間分の料金がかかる点には注意が必要です。
2. キロ制運賃
これは、バスがバス会社の車庫を出発してから、車庫に帰着するまでの「総走行距離」に対してかかる料金です。こちらも時間制運賃と同様に、乗客を乗せていない回送区間の距離もすべて含まれます。出発地から遠いバス会社に依頼すると、この回送距離が長くなり、結果的に料金が高くなるのはこのためです。
これらの「時間単価」と「キロ単価」は、バスの大きさ(大型・中型など)や、各地方の運輸局が定める上限・下限の範囲内で、バス会社ごとに設定されています。そのため、同じ条件で見積もりを依頼しても、バス会社によって提示される金額が異なるのです。
貸切バスの料金に含まれる費用
貸切バスの見積もりで提示される「基本料金」には、バスを運行するために最低限必要な経費がすべて含まれています。利用者が個別に手配したり支払ったりする必要がないため、非常に明朗で分かりやすいパッケージ料金と考えることができます。
具体的に含まれる主な費用は以下の通りです。
- バス車両のレンタル代:利用するバスそのものの使用料です。大型バス、中型バスといった車両の大きさやグレードによって価格が変動します。
- 運転手の派遣費用(人件費):安全な運行を担うプロの運転手の人件費です。貸切バスは、法律により必ず運転手付きで手配されます。バス車両だけを借りることはできません。
- ガソリン代:行程で必要となる燃料費です。長距離を走行する場合でも、追加でガソリン代を請求されることは基本的にありません。
- 自賠責保険・任意保険料:万が一の事故に備えるための保険料です。バス会社は、法律で定められた自賠責保険に加えて、対人・対物無制限の任意保険に加入しているのが一般的です。補償内容が気になる場合は、契約前に確認しておくと安心です。
これらの費用がすべてパッケージになっているため、利用者は提示された基本料金を支払うだけで、運転手付きのバスを自由に利用できるのが、貸切バスの大きなメリットです。
貸切バスの料金に含まれない費用
一方で、基本料金とは別に、利用者が実費で負担しなければならない費用も存在します。これらの費用は、選択するルートやスケジュールによって金額が大きく変動するため、基本料金には含めず、別途精算となるのが一般的です。見積もりを確認する際は、これらの付帯費用がどう扱われるのかをしっかり確認することがトラブルを避ける上で非常に重要です。
主な付帯費用は以下の通りです。
- 高速道路料金・有料道路料金:行程で高速道路や有料道路を利用した場合の通行料金です。ETC搭載車がほとんどですが、料金は利用者が負担します。当日の交通状況によってルートが変更になる可能性も考慮しておきましょう。
- 駐車場代:観光地や食事場所、宿泊施設などでバスを駐車する際にかかる費用です。事前に立ち寄り先の駐車場情報を調べ、バスが駐車可能か、料金はいくらかを確認しておくとスムーズです。
- 乗務員の宿泊費(宿泊を伴う場合):1泊2日以上の行程で、運転手の宿泊が必要になる場合の費用です。相場は1泊あたり8,000円~15,000円程度で、ホテルや旅館のシングルルーム1室分に相当します。通常は利用者側で運転手の宿泊先を手配・支払いしますが、バス会社によっては提携ホテルなどを手配してくれる場合もあります。
- フェリー代:島へ渡るなど、行程中にフェリーを利用する場合の航送運賃です。車両運賃と乗務員の旅客運賃が必要になります。
- バスガイド料金:観光案内を依頼する場合のガイド料金です。料金は1日あたり20,000円~30,000円程度が相場ですが、手配する会社によって異なります。
- 深夜早朝運行割増:22時から翌朝5時までの時間帯にバスを運行する場合、基本料金の2割増の料金がかかります。
- 交替運転者配置料金:安全基準により、長距離・長時間の運行(目安として1日の走行距離が500km超、または運転手の拘束時間が13時間超など)になる場合、交替の運転手を配置する必要があります。この場合、運転手2名分の人件費がかかるため、料金は大幅に上がります。
これらの付帯費用は、見積もり段階では概算で計上され、利用当日に発生した実費を現金で精算するか、後日請求書でまとめて支払う形式が一般的です。どの費用が自己負担になるのかを事前にリストアップし、予算に組み込んでおくことが、賢い利用のポイントです。
【種類別】貸切バスの料金相場
貸切バスの料金は、前述の通り「時間」と「距離」で決まりますが、その単価はバスの種類(大きさ)によって大きく異なります。ここでは、代表的な4種類のバス(大型・中型・小型・マイクロバス)について、それぞれの特徴と料金相場を解説します。利用人数や目的に合ったバスを選ぶための参考にしてください。
なお、ここで示す料金は、あくまで一般的な日帰り利用(利用時間8時間・走行距離200km程度)を想定した通常期の目安です。繁忙期や閑散期、利用条件によって金額は変動します。
バスの種類 | 定員目安 | 特徴 | 料金相場(日帰り・通常期) |
---|---|---|---|
大型バス | 約45~55名 | 大人数、長距離、豊富な設備(サロン、トイレ等) | 80,000円~150,000円 |
中型バス | 約27名 | 中規模団体、観光、合宿 | 70,000円~120,000円 |
小型バス | 約20~25名 | 少人数グループ、快適性重視 | 60,000円~110,000円 |
マイクロバス | 約20名 | 短距離送迎、近場の移動 | 50,000円~90,000円 |
※上記はあくまで目安です。時期、地域、走行距離、利用時間によって変動します。 |
大型バスの料金相場
料金相場:約80,000円~150,000円
大型バスは、貸切バスの中で最もサイズが大きく、正座席で45名、補助席を使えば最大で53~60名程度まで乗車可能な車種もあります。全長約12メートルという堂々とした車体は、大人数の団体を一度に輸送するのに最適です。
最大の特徴は、充実した設備と大容量のトランクルームです。床下にある貫通式のトランクは、スーツケースなら30~40個以上、ゴルフバッグやスキー・スノーボード用品といった大きな荷物も楽々収納できます。
車内設備も豪華で、テレビモニター、DVDプレイヤー、カラオケ、冷蔵庫、湯沸かし器などが標準装備されていることがほとんどです。また、後部座席がコの字型のソファになる「サロン席」を備えた車両も人気で、移動中にグループで歓談したり、レクリエーションを楽しんだりするのに最適です。長距離移動や渋滞時の安心材料となるトイレ付き車両を選択できるのも、大型バスならではのメリットと言えるでしょう。
【おすすめの用途】
- 30名以上の社員旅行、研修旅行
- 大学のサークル旅行、ゼミ合宿
- 大規模なイベントや視察団の送迎
- 荷物の多いスポーツの遠征(野球、サッカーなど)
中型バスの料金相場
料金相場:約70,000円~120,000円
中型バスは、定員が27名前後で、全長が約9メートルのバスです。「大型バスでは大きすぎるけれど、マイクロバスでは窮屈で設備も物足りない」というニーズにぴったりと応える、非常にバランスの取れた車種です。
車内設備は大型バスに引けを取らず、テレビ、DVD、カラオケ、冷蔵庫などを完備している車両がほとんどです。大型バス同様に貫通式のトランクも備えており、スーツケースや旅行カバンなど、ある程度の荷物も問題なく積み込めます。
大型バスに比べて車体が短く小回りが利くため、道幅の狭い観光地や温泉街などにもスムーズに入っていけるのが大きなメリットです。また、高速道路の料金区分が大型バスよりも安くなる場合があり、コストパフォーマンスにも優れています。20~30名程度のグループ旅行で、快適性と機動性を両立させたい場合に最適な選択肢です。
【おすすめの用途】
- 20~27名程度のグループ旅行、日帰り観光
- 結婚式や法事での親族一同の送迎
- 企業の視察や研修
- 部活動の合宿や遠征
小型バスの料金相場
料金相場:約60,000円~110,000円
小型バスは、定員が20~25名前後で、マイクロバスと同程度の全長約7メートルのバスです。マイクロバスとの最大の違いは、座席の快適性とトランクルームの有無です。小型バスの座席は、中型バスや大型バスと同様のリクライニングシートで、ゆったりとした作りになっています。また、後部に専用のトランクルームを備えているため、マイクロバスのように座席を潰して荷物を置く必要がありません。
快適なシートと充実した車内設備(テレビ、冷蔵庫など)を備えながら、車体はコンパクトで機動性が高いのが特徴です。少人数のグループで、少し贅沢で快適な移動を楽しみたい場合に適しています。
ただし、注意点として、小型バスは全国的に保有台数が非常に少ないという点が挙げられます。そのため、予約が取りにくく、料金も中型バスとあまり変わらないか、場合によっては高くなることもあります。希望する場合は、できるだけ早くから探し始めることをおすすめします。
【おすすめの用途】
- 15~20名程度の快適性を重視した小旅行
- 役員や来賓の送迎(VIP送迎)
- ゴルフコンペの送迎
- マイクロバスでは荷物が載りきらない少人数グループ
マイクロバスの料金相場
料金相場:約50,000円~90,000円
マイクロバスは、定員が20名前後(補助席利用で最大27名程度)の、最もコンパクトでリーズナブルな貸切バスです。その手軽さから、短距離・短時間の送迎用途で非常に人気があります。
料金が安い分、他のバスタイプと比べて設備はシンプルです。リクライニング機能がない固定式の座席が多く、カラオケや冷蔵庫などの設備も付いていない場合があります。そして、最大の注意点はトランクルームがないことです。荷物がある場合は、空いている座席に乗せることになります。そのため、参加者全員が大きなスーツケースを持っているような旅行には不向きです。乗車定員いっぱいで利用する場合は、荷物を置くスペースがほとんどないと考えておきましょう。
コストを最優先し、移動距離が短く、荷物も少ない場合に最適な選択肢です。
【おすすめの用途】
- 結婚式場、葬儀場、駅などへの短距離送迎
- 近隣の工場見学や視察
- 合宿所や研修施設への移動
- スポーツ少年団などの近距離の試合送迎
料金が高くなる時期・安くなる時期
貸切バスの料金は、需要と供給のバランスによって大きく変動します。旅行やイベントが増えるシーズンは需要が高まり、料金も上昇します。逆に、オフシーズンはバスの稼働率が下がるため、料金も安くなる傾向にあります。
- 繁忙期(料金が高くなる時期)
- 春(3月下旬~5月):卒業旅行、お花見、新入生歓迎コンパ、ゴールデンウィークなど、行楽需要が集中します。
- 夏(7月~8月):夏休みを利用した家族旅行やサークル合宿、帰省ラッシュで需要が高まります。
- 秋(9月下旬~11月):気候が良く、修学旅行や社員旅行、紅葉狩りシーズンと重なり、最も需要が高まる時期です。
この時期は、通常期の1.2倍から1.5倍、あるいはそれ以上に料金が跳ね上がることも珍しくありません。予約もすぐに埋まってしまうため、半年前からの計画が推奨されます。
- 閑散期(料金が安くなる時期)
- 年末年始明け(1月中旬~2月上旬):大きなイベントが少なく、旅行需要が落ち着く時期です。
- 梅雨時期(6月):天候が不安定なため、屋外でのイベントや旅行が少なくなり、料金が下がる傾向にあります。
- 冬期(12月、ただしクリスマスや年末を除く)
これらの時期は、料金が安くなるだけでなく、バスの予約も取りやすいため、日程を調整できるのであれば、閑散期を狙うのが最も効果的な節約方法と言えるでしょう。
貸切バスの料金を安くする8つのコツ
貸切バスは便利な反面、決して安い買い物ではありません。しかし、いくつかのポイントを押さえるだけで、料金を賢く抑えることが可能です。ここでは、誰でも実践できる8つの具体的なコツをご紹介します。これらを組み合わせて、最もコストパフォーマンスの高いプランを見つけ出しましょう。
① 繁忙期を避けて安い時期に利用する
最も効果的な節約術は、需要が集中する繁忙期を避け、閑散期に利用することです。前述の通り、貸切バスの料金は季節によって大きく変動します。
- 狙い目の時期:年末年始明けの1月中旬~2月上旬や、梅雨の6月は、バス会社の稼働が落ち着くため、料金交渉がしやすくなったり、キャンペーン料金が設定されたりすることがあります。
- 避けるべき時期:行楽シーズンの4月~5月、10月~11月は、修学旅行や社員旅行でバスの需要がピークに達します。この時期は料金が高騰するだけでなく、予約そのものが困難になることも少なくありません。
もし旅行の日程に融通が利くのであれば、閑散期にスケジュールを組むだけで、同じ内容のプランでも数万円単位の差が生まれる可能性があります。料金の安さに加え、予約の取りやすさというメリットもあるため、最初に検討したいポイントです。
② 平日に利用する
旅行やイベントは、どうしても土日祝日に集中しがちです。そのため、貸切バスの需要も週末に偏り、料金が高く設定されています。
そこで、可能であれば利用日を平日に設定することを検討してみましょう。平日であれば、週末に比べてバスの空きが多く、料金も割安になっているケースがほとんどです。特に、月曜日や金曜日よりも、火曜日から木曜日の方がさらに安くなる傾向があります。
「平日に休みを合わせるのは難しい」と感じるかもしれませんが、例えば社員旅行など、会社行事であれば日程調整の余地があるはずです。週末利用と平日利用の見積もりを両方取ってみて、どれくらい料金に差が出るか比較してみるのも良いでしょう。
③ 人数に合ったサイズのバスを選ぶ
「大は小を兼ねる」という考えで、実際の参加人数よりも大きなバスを選んでしまうと、無駄な費用が発生してしまいます。バスの料金は、車体のサイズが大きくなるほど高くなるのが原則です。
まずは参加人数と荷物の量を正確に把握し、それに最適なサイズのバスを選ぶことが重要です。
- 人数:乗車定員ギリギリで選ぶと、窮屈に感じたり、急な参加者増に対応できなかったりする可能性があります。少し余裕を持たせるのが理想ですが、過度に大きいバスは避けましょう。例えば、25人の団体であれば、中型バス(定員約27名)がジャストサイズです。大型バス(定員約45名)を選ぶ必要はありません。
- 荷物:特に注意したいのが荷物の量です。マイクロバスは料金が安いですが、トランクルームがありません。宿泊を伴う旅行や、スポーツ用具・楽器など大きな荷物がある場合は、座席の一部が荷物で埋まってしまいます。その結果、乗車可能人数が減ってしまうため、荷物が多い場合は、定員に余裕のある小型バスや中型バスを選ぶ方が、結果的に快適で確実です。
見積もりを依頼する際に、人数だけでなく「スーツケースが〇個ある」「ゴルフバッグが〇個ある」といった具体的な荷物情報を伝えることで、バス会社から最適な車種の提案を受けられます。
④ 出発地から近いバス会社を選ぶ
貸切バスの料金計算は、バスが利用者を乗せている時間・距離だけでなく、バス会社の車庫を出てから車庫に戻るまでの全ての時間・距離(回送時間・回送距離)が含まれることを思い出してください。
つまり、出発地から遠く離れた場所にあるバス会社に依頼すると、その分、回送のための時間と距離が長くなり、料金が割高になってしまいます。例えば、東京駅が出発地なのに、神奈川県にあるバス会社に依頼すると、神奈川の車庫から東京駅までの往復分の回送費用が上乗せされてしまうのです。
したがって、料金を抑えるためには、出発地(またはその周辺地域)に営業所を持つバス会社を選ぶのが鉄則です。一括見積もりサービスを利用すれば、出発地を入力するだけで、そのエリアに対応可能な複数のバス会社から自動的に見積もりを取得できるため、非常に効率的です。
⑤ 利用時間や走行距離を短くする
料金の基本が「時間」と「距離」である以上、これらを短くすることが直接的な節約に繋がります。旅行プランを立てる段階で、少し工夫を凝らしてみましょう。
- 利用時間を短縮する:出発時間を少し遅くしたり、帰着時間を少し早くしたりするだけでも、拘束時間を短縮できます。例えば、「朝8時出発・夜20時解散」の12時間プランを、「朝9時出発・夜19時解散」の10時間プランに見直すだけで、2時間分の料金を削減できます。無理に多くの観光地を詰め込まず、ゆとりのあるスケジュールを組むことが結果的に節約に繋がる場合もあります。
- 走行距離を短縮する:移動ルートを最適化し、無駄な走行を減らす工夫も有効です。立ち寄り地を地理的に近い場所でまとめたり、高速道路を効果的に利用して移動時間を短縮(結果的に拘束時間の短縮にも繋がる)したりするなど、効率的なルートを検討しましょう。プランニングの段階でGoogle マップなどを活用して、おおよその距離と移動時間を把握しておくと良いでしょう。
⑥ 深夜・早朝の運行を避ける
夜22時から翌朝5時までの時間帯は、「深夜早朝運行」とみなされ、運賃が2割増しになります。これは、運転手の安全と健康を守るための割増料金です。
例えば、夜行バスでの移動や、早朝出発・深夜帰着といったプランを組むと、この割増料金が適用され、総額が大きく膨れ上がってしまいます。また、深夜に及ぶ長時間の運行では、安全のために交代運転手が必要になるケースもあり、その場合はさらに人件費が加算されます。
特別な理由がない限りは、この時間帯の運行を避けるようなスケジュールを組むのが賢明です。どうしても必要な場合は、割増料金がかかることを念頭に置いて予算を計画しましょう。
⑦ 複数の会社から見積もりを取る(相見積もり)
貸切バスの料金には「定価」が存在しません。同じ条件であっても、バス会社の方針や保有するバスの状況、得意なエリアなどによって、提示される見積もり金額は大きく異なります。
そこで絶対に欠かせないのが、複数のバス会社から見積もりを取り、比較検討する「相見積もり」です。最低でも3社、できれば5社程度から見積もりを取得することで、そのプランの適正な料金相場を把握できます。
一社だけの見積もりで決めてしまうと、それが相場より高いのか安いのか判断できず、損をしてしまう可能性があります。一括見積もりサービスを利用すれば、一度の入力で複数の会社に依頼できるため、手間をかけずに相見積もりが可能です。価格だけでなく、見積もりの内訳、バスの年式、保険の内容、担当者の対応なども含めて総合的に比較し、最も納得のいく一社を選びましょう。
⑧ 早めに予約する
「善は急げ」という言葉通り、貸切バスの手配は早ければ早いほど有利です。特に、利用したいバスの種類や、サロン席付きといった希望の設備がある場合は、早期の予約が不可欠です。
- 繁忙期:春や秋の行楽シーズンは、半年前から予約が埋まり始めます。最低でも3ヶ月前には予約を完了させておきたいところです。
- 通常期:比較的空きはありますが、それでも1~2ヶ月前には手配を始めるのが安心です。
直前になると、希望の車種が既に予約で埋まっていたり、残っていても割高な料金プランしか選択肢がなかったりする可能性が高まります。早めに予約を確定させることで、豊富な選択肢の中からじっくりと比較検討する時間が生まれ、結果的に安くて質の良いバスを確保できる確率が格段に上がります。
用途に合わせて選ぼう!貸切バスの種類と特徴
貸切バスと一言で言っても、その種類は様々です。利用人数や目的、荷物の量によって最適なバスは異なります。ここでは、代表的な4種類のバス(大型・中型・小型・マイクロバス)のスペックや特徴を詳しく比較し、どのようなシーンに適しているかを解説します。
バスの種類 | 定員(正座席+補助席) | 全長 | 主な設備 | おすすめの用途 |
---|---|---|---|---|
大型バス | 45~55名 | 約12m | テレビ、DVD、カラオケ、冷蔵庫、湯沸かし器、貫通式トランク(大容量)、サロン席、トイレ付車両も | 大規模な団体旅行、社員旅行、長距離移動、空港送迎 |
中型バス | ~27名 | 約9m | 大型バスとほぼ同等の設備、貫通式トランク(中容量) | 中規模グループの観光、合宿・遠征、日帰り旅行 |
小型バス | 20~25名 | 約7m | 中型バスとほぼ同等の設備、トランクは小さめ | 少人数での快適な旅行、VIP送迎、視察 |
マイクロバス | ~20名 | 約7m | テレビ、冷蔵庫(一部)、トランクなし(座席をつぶして荷物スペースにする場合も) | 短距離の送迎(結婚式、合宿所)、近場の観光 |
大型バス
正座席45名+補助席5~10名程度 / 全長約12m
大型バスは、その名の通り貸切バスの中で最大のキャパシティを誇ります。大人数の団体でも1台で移動できるため、一体感が生まれ、コミュニケーションも活発になります。
最大の強みは、大容量の貫通式トランクです。床下に広がる収納スペースには、海外旅行用の大きなスーツケースを30~40個程度、ゴルフバッグやスキー板といった長尺の荷物も余裕で収納可能です。荷物が多い団体旅行やスポーツ遠征には欠かせない存在です。
車内設備も最も充実しており、長距離移動を快適に過ごすための工夫が満載です。大型のテレビモニターやDVD/Blu-rayプレイヤー、通信カラオケ、冷蔵庫、湯沸かしポットなどが標準装備されていることが多く、移動時間を退屈させません。特に人気なのが、後部座席がコの字型や回転式のソファになる「サロンカー(サロンバス)」です。テーブルを囲んでお弁当を食べたり、お酒を飲みながら談笑したり、ゲームを楽しんだりと、移動中も宴会のような雰囲気で盛り上がることができます。
さらに、長距離移動や渋滞が予想されるルートでは、トイレ付き車両を選ぶと安心感が増します。小さなお子様や高齢の方がいるグループにも喜ばれる設備です。
中型バス
正座席27名+補助席0~6名程度 / 全長約9m
中型バスは、大型バスの快適性とマイクロバスの機動性を兼ね備えた、非常に使い勝手の良いバスです。20名を超えるグループで、なおかつ荷物もそれなりにある場合に最適な選択肢となります。
設備面では大型バスと遜色なく、テレビやカラオケ、冷蔵庫などを完備している車両がほとんどです。床下には貫通式トランクもあり、1泊2日程度の旅行荷物であれば十分に収納できます。
全長が約9mと大型バスより3mほど短いため、小回りが利き、山間部の温泉地や道幅の狭い観光地へもアクセスしやすいのが大きな利点です。大型バスでは進入できないような場所でも、中型バスなら行けるというケースは少なくありません。
「大型バスを借りるほど人数は多くないが、マイクロバスでは設備や乗り心地が物足りない」という場合に、まさに理想的な一台と言えるでしょう。
小型バス
正座席20~25名 / 全長約7m
小型バスは、少人数グループ向けの高級志向のバスです。全長はマイクロバスとほぼ同じ約7mですが、その中身は大きく異なります。
最大の特徴は、乗り心地の良さです。座席は中型バスや大型バスと同じ、リクライニング機能付きのゆったりとしたシートが採用されています。補助席がないレイアウトが基本のため、通路も広く、長時間の移動でも疲れにくいのが魅力です。
また、マイクロバスにはない専用のトランクルームが後部に備え付けられています。容量は中型バスほど大きくはありませんが、15~20名程度の旅行荷物なら問題なく収納できます。
ただし、前述の通り、小型バスはバス会社全体での保有台数が非常に少ない希少な車種です。そのため、繁忙期には真っ先に予約が埋まってしまいます。料金も、台数が豊富な中型バスとあまり変わらないか、むしろ高く設定されていることもあります。少人数で上質な移動空間を求めるなら、早めの予約が必須です。
マイクロバス
正座席20名+補助席1~7名程度 / 全長約7m
マイクロバスは、最もコンパクトでリーズナブルな貸切バスです。結婚式場や駅からの送迎など、短距離・短時間のピストン輸送で最も多く利用されています。
料金が安い分、設備は他のバスタイプに比べてシンプルです。座席はリクライニング機能がない場合が多く、テレビや冷蔵庫などの設備も搭載されていない車両もあります。
そして、利用する上で最も注意すべき点は、専用のトランクルームがないことです。荷物は、空いている座席の上や足元に置くことになります。そのため、参加者全員が大きな荷物を持っている場合や、定員いっぱいで乗車する場合には、荷物を置くスペースが全くなくなってしまう可能性があります。宿泊を伴う旅行や、大きな機材を運ぶ用途には基本的に不向きです。
「安さ」「近距離」「荷物が少ない」という3つの条件が揃ったときに、そのコストパフォーマンスを最大限に発揮するバスであると理解しておきましょう。
初めてでも安心!貸切バスの見積もりから利用当日までの6ステップ
貸切バスの手配は、一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、手順に沿って進めれば誰でも簡単に行えます。ここでは、幹事さんがやるべきことを6つのステップに分けて、時系列で分かりやすく解説します。
① 利用プランを立てる
バス会社に見積もりを依頼する前に、まずは自分たちの希望を固める必要があります。以下の項目を事前に決めておくと、その後のやり取りが非常にスムーズになります。
- 利用日時:何月何日の何時から何時まで利用したいか。日帰りか、宿泊を伴うか。
- 出発地と目的地:どこから出発して、最終的にどこで解散するか。
- 大まかなスケジュール:途中で立ち寄りたい観光地や食事場所、おおよその滞在時間などをリストアップします。正確なタイムテーブルでなくても構いません。「午前中にA観光地、午後にB工場を見学したい」といったレベルで十分です。
- 利用人数と荷物の量:乗車する正確な人数(大人、子供の内訳も)と、スーツケースやスポーツ用具など、荷物の種類とだいたいの量を把握します。これはバスのサイズを選ぶ上で最も重要な情報です。
- 希望するバスの種類や設備:「サロン席付きのバスが良い」「トイレは必須」など、設備に関する要望があればまとめておきます。
これらの情報が曖昧なままだと、バス会社も正確な見積もりを出すことができません。幹事が中心となって、これらの基本情報をしっかりと固めることが、手配成功の第一歩です。
② 見積もりを依頼する
プランが固まったら、いよいよバス会社に見積もりを依頼します。方法は大きく分けて2つあります。
- バス会社に直接連絡する:近所のバス会社や、以前利用したことのあるバス会社に直接電話やウェブサイトから問い合わせる方法です。
- 一括見積もりサービスを利用する:専用のウェブサイトに一度だけ希望条件を入力するだけで、複数のバス会社から見積もりを取り寄せられるサービスです。
特におすすめなのが、一括見積もりサービスの利用です。1社ずつ連絡する手間が省け、料金やサービスを効率的に比較できるため、時間がない幹事さんには最適な方法です。この後のステップで紹介する「おすすめの貸切バス一括見積もりサービス」も参考にしてください。
③ 見積もり内容を比較・検討して予約する
一括見積もりを依頼すると、数時間から数日以内に複数のバス会社から見積書が届きます。ここからが幹事さんの腕の見せ所です。単純な料金の安さだけで飛びつかず、以下のポイントを総合的に比較検討しましょう。
- 料金の内訳:基本料金に何が含まれ、何が別途必要なのか(高速代、駐車場代など)をしっかり確認します。総額だけでなく、その内訳を細かく見比べることが重要です。
- バスの仕様:提案されたバスの車種、年式、定員、設備(カラオケ、サロン席の有無など)が自分たちの希望と合っているかを確認します。
- 保険の内容:万が一に備え、任意保険の補償内容(対人・対物)を確認しておくとより安心です。
- キャンセルポリシー:いつから、どのくらいのキャンセル料が発生するのかを必ず確認します。
- 担当者の対応:質問に対する回答が迅速で丁寧か、親身に相談に乗ってくれるかなど、担当者の人柄も重要な判断材料です。
これらの要素を総合的に判断し、最も信頼でき、コストパフォーマンスが高いと感じたバス会社に連絡を取り、正式に予約(契約)の手続きを進めます。
④ 運行内容の最終確認
予約が完了したら、あとは当日を待つだけ…ではありません。利用日の1週間~2週間前を目安に、バス会社の担当者と最終的な打ち合わせを行います。
- 当日の詳しい行程(タイムスケジュール)
- 乗車・降車場所の地図
- 参加者名簿
- 当日の緊急連絡先(幹事の携帯電話番号など)
これらの情報を共有し、認識のズレがないかをお互いに確認します。この段階で軽微な時間の変更などであれば対応してもらえることが多いですが、立ち寄り地を追加するなど大幅な変更は、追加料金が発生したり、そもそも対応が難しかったりする場合があるため注意が必要です。
⑤ 料金を支払う
料金の支払いタイミングはバス会社によって異なりますが、利用日よりも前に銀行振込で支払う「事前払い」が一般的です。契約時に支払い期日や方法について案内があるので、忘れずに手続きを済ませましょう。
高速道路代や駐車場代といった当日に発生する実費については、当日に運転手に現金で渡すか、後日、基本料金と合わせて請求されるかなど、精算方法を事前に確認しておくと当日慌てずに済みます。
⑥ 利用当日
いよいよ利用当日です。幹事として以下の点に気を配りましょう。
- 集合時間の厳守:参加者全員が集合時間に遅れないよう、事前に周知を徹底します。
- 運転手との挨拶と最終確認:バスが到着したら、まずは運転手さんに挨拶し、予約内容と当日の行程を口頭で再確認します。
- 実費の精算準備:当日精算が必要な費用(駐車場代など)のために、ある程度の現金を用意しておくとスムーズです。
- 車内でのマナー:飲食やカラオケの利用ルールなど、車内での過ごし方について運転手さんに確認し、参加者にも伝えます。
全ての行程が無事に終了し、解散場所でバスを降りる際には、一日安全運転を務めてくれた運転手さんへ感謝の気持ちを伝えることを忘れずに。
おすすめの貸切バス一括見積もりサービス3選
貸切バスを賢く手配する上で、今や欠かせないツールとなった「一括見積もりサービス」。一度の入力で複数のバス会社から見積もりが取れるため、比較検討の手間を大幅に削減できます。ここでは、実績と信頼性のある代表的な3つのサービスをご紹介します。
※各サービスの情報は、各公式サイトを参照して記載しています。最新の情報や詳細については、各公式サイトをご確認ください。
サービス名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
貸切バスの達人 | 株式会社アイ・ビー・アイ | ・業界最大級の提携バス会社数で全国をカバー ・安全基準をクリアした優良会社のみと提携 ・24時間Webで見積もり依頼が可能 |
バス旅ねっと | 株式会社バス旅 | ・専任の担当者がプランニングから手配までサポート ・旅行プラン全体の相談にも対応 ・急な手配にも柔軟に対応 |
バスブック | 株式会社リベント | ・創業からの長い実績と信頼 ・安全評価認定を受けたバス会社を優先紹介 ・経験豊富なコンシェルジュによる丁寧な対応 |
① 貸切バスの達人
運営会社:株式会社アイ・ビー・アイ
「貸切バスの達人」は、業界でも最大級の提携バス会社数を誇る、非常に人気の高い一括見積もりサービスです。全国を網羅しているため、出発地がどこであっても最適なバス会社を見つけやすいのが大きな強みです。
特筆すべきは、提携するバス会社に対する厳しい審査基準です。法令遵守はもちろんのこと、独自の安全基準を設けており、それをクリアした優良なバス会社のみが登録されています。利用者としては、安心してバス会社を選べるという大きなメリットがあります。
ウェブサイトの入力フォームは直感的で分かりやすく、24時間いつでも簡単に見積もり依頼が可能です。見積もり後の相談や手配は、経験豊富な専門スタッフがサポートしてくれるため、初めて貸切バスを利用する方でも安心して任せられます。
参照:貸切バスの達人 公式サイト
② バス旅ねっと
運営会社:株式会社バス旅
「バス旅ねっと」は、単にバスを見積もって手配するだけでなく、旅のプランニング段階から親身にサポートしてくれるのが特徴のサービスです。
見積もり依頼後、専任の担当者がつき、電話やメールで細かな要望をヒアリングしてくれます。「こんな旅行がしたいんだけど、どんなルートが良い?」「バスだけでなく、宿や食事の手配も相談したい」といった、バス手配に留まらない旅行全体の相談にも乗ってもらえるのが魅力です。
もちろん全国対応で、急な手配にも柔軟に対応してくれる体制が整っています。幹事業務に慣れていない方や、トータルで旅のサポートを受けたい方にとって、非常に心強いパートナーとなるでしょう。
参照:バス旅ねっと 公式サイト
③ バスブック
運営会社:株式会社リベント
「バスブック」は、20年以上の歴史を持つ、貸切バス手配の老舗サービスです。長年の運営で培われたノウハウと信頼性が最大の武器です。
特に力を入れているのが「安全性」の追求です。公益社団法人日本バス協会が認定する「貸切バス事業者安全性評価認定制度」で認定を受けたバス会社を優先的に紹介する方針を採っており、利用者が安全なバスを選びやすい環境を整えています。
問い合わせ後は、経験豊富なバスのプロ「コンシェルジュ」が丁寧に対応してくれます。料金だけでなく、利用シーンに合わせた最適なバスの提案や、きめ細やかなサポートに定評があり、安心して任せたいと考える利用者に高く評価されています。
参照:バスブック 公式サイト
貸切バスの主な利用シーン
貸切バスは、単なる移動手段に留まらず、様々なシーンでその価値を発揮します。ここでは、代表的な利用シーンをいくつかご紹介し、それぞれどのようなメリットがあるのかを解説します。
観光・旅行(社員旅行、サークル旅行など)
貸切バスの利用シーンとして最も一般的なのが、社員旅行や慰安旅行、大学のサークルやゼミ旅行といった団体での観光です。
- ドアツードアで楽々移動:出発場所から目的地、宿泊先まで、乗り換えなしでダイレクトに移動できます。重い荷物を持って駅の階段を上り下りする必要もありません。
- 移動時間も楽しい思い出に:プライベートな空間なので、車内でカラオケやDVD鑑賞、ゲームなどのレクリエーションを楽しめます。移動時間そのものが、旅の楽しい一部になります。
- 幹事も気兼ねなく楽しめる:プロの運転手が運転してくれるため、普段なら運転役で飲めない幹事さんや役員の方も、気兼ねなくお酒を楽しめます。
- オリジナルの旅程を組める:公共交通機関の時間に縛られることなく、自分たちのペースで自由なスケジュールを組むことができます。「この景色が良いから少し停車して」といったリクエストにも柔軟に対応してもらえる場合があります。
イベント送迎(結婚式、法事、展示会など)
結婚式や二次会、法事、企業の研修会や展示会など、特定の会場へ多くの人を一度に送迎する際にも、貸切バスは大変重宝します。
- アクセスの不便さを解消:最寄り駅から会場までが遠い、交通の便が悪いといった場合に、駅と会場を結ぶシャトルバスとして利用すれば、ゲストの負担を大幅に軽減できます。
- 時間管理が容易に:ゲストをまとめて送迎することで、遅刻や道に迷う人を減らし、イベントをスムーズに開始できます。
- ゲストへの心遣い:特に、遠方からのゲストや、ご高齢の方、小さなお子様連れのゲストにとって、会場まで直接送り届けてもらえるのは非常にありがたい配慮です。ヒールを履いた女性ゲストにも喜ばれるでしょう。
スポーツ合宿・遠征
野球、サッカー、吹奏楽など、部活動やクラブチームの合宿・遠征にも貸切バスは最適です。
- 大量の機材・荷物を運搬可能:ユニフォームやスパイクに加え、試合で使うボールやバット、楽器といった大量の荷物も、バスのトランクルームにまとめて積み込めます。
- 選手のコンディション維持:試合会場や練習場、宿泊施設まで直接移動できるため、公共交通機関の乗り換えなどで消耗する体力を温存でき、ベストなコンディションで本番に臨めます。
- 移動中にミーティングも可能:プライベートな空間なので、試合前のミーティングや、遠征先での注意事項の伝達なども、移動時間を使って効率的に行えます。
空港送迎
グループでの海外旅行や、企業の海外研修、国際会議への参加などで、空港へのアクセス手段として利用するケースも増えています。
- スーツケースの運搬が楽に:人数分の大きなスーツケースを、電車やバスで運ぶのは大変な労力です。貸切バスなら、全員の荷物をトランクに預けて、手ぶらで快適に空港まで移動できます。
- 乗り換えなしでスムーズに:指定の集合場所から空港の出発ロビー前まで直接アクセスできるため、乗り遅れの心配がありません。
- コストメリット:ある程度の人数が集まれば、タクシーを複数台利用したり、各自がリムジンバスや電車で移動したりするよりも、トータルの交通費を安く抑えられる場合があります。
貸切バスに関するよくある質問
最後に、貸切バスを手配する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問点を解消し、安心して手配を進めるための参考にしてください。
予約はいつまでにすればいいですか?
A. 早ければ早いほど良いですが、目安として通常期であれば利用日の1~2ヶ月前、繁忙期であれば3ヶ月~半年前をおすすめします。
特に、春(3~5月)と秋(9~11月)の行楽シーズンは、修学旅行や企業のイベントでバスの需要がピークに達します。この時期は半年前から予約が埋まり始めることも珍しくありません。サロン席付きのバスやリフト付きバスなど、特殊な車両を希望する場合は、さらに早めの行動が不可欠です。
もちろん、直前でも空車があれば手配可能な場合もありますが、料金が割高になったり、希望の車種が選べなかったりするリスクが高まります。
キャンセル料はいつからかかりますか?
A. 一般的には、配車日の14日前から発生します。
国土交通省が定める「標準運送約款」に基づき、多くのバス会社が以下の基準でキャンセル料を設定しています。
- 配車日の15日前まで:無料
- 配車日の14日前から8日前まで:所定の運賃・料金の20%
- 配車日の7日前から配車時刻の24時間前まで:所定の運賃・料金の30%
- 配車時刻の24時間前以降:所定の運賃・料金の50%
- 当日の出発後(無連絡不参加など):所定の運賃・料金の100%
ただし、これはあくまで標準的な例であり、バス会社によっては独自のキャンセル規定を設けている場合もあります。契約前に必ずキャンセルポリシーを確認することが重要です。
運転手さんへのチップ(心付け)は必要ですか?
A. 基本的に不要です。
貸切バスの料金には、運転手の人件費も含まれています。そのため、チップ(心付け)は義務ではありませんし、渡さなくても失礼にはあたりません。
しかし、素晴らしい運転やサービスへの感謝の気持ちとして渡したいという場合は、もちろん問題ありません。その際は、1日の利用で2,000円~5,000円程度を目安に、白い封筒に入れて、帰着時に「本日はありがとうございました」という言葉と共に渡すのがスマートです。あくまで感謝の気持ちなので、強制されるものではありません。
運転手付きで手配できますか?
A. はい、貸切バスは必ずプロの運転手付きでの手配となります。
道路運送法という法律により、緑ナンバーの事業用自動車(貸切バスなど)を運転手なしで車両だけ貸し出すことは固く禁じられています。いわゆる「レンタカー」のように、バスだけを借りて自分たちで運転することはできません。料金には必ず運転手の人件費が含まれていますのでご安心ください。
宿泊を伴う利用も可能ですか?
A. はい、可能です。1泊2日や2泊3日といった宿泊を伴う行程にも柔軟に対応できます。
その場合、基本料金に加えて、運転手の宿泊費が別途必要になります。相場は1泊あたり8,000円~15,000円程度で、シングルルーム1室分の料金です。
運転手の宿泊先は、利用者側で手配・支払いをするのが一般的ですが、バス会社によっては提携しているホテルなどを紹介・手配してくれる場合もあります。予約の際に確認してみましょう。
何人から貸し切れますか?
A. 極端に言えば、1人からでも貸し切ることは可能です。
貸切バスの料金は、乗車人数に関わらず「バス1台あたり」で計算されます。そのため、何人で利用しても料金は変わりません。しかし、当然ながら利用人数が少ないほど、一人あたりの負担額は大きくなります。
最も小さいマイクロバス(定員20名程度)の場合、一般的には10名以上で利用すると、電車や新幹線などの公共交通機関を乗り継いで移動するよりも、一人あたりのコストが安くなるケースが多いようです。利用シーンや移動距離に応じて、他の交通手段とのコストを比較検討してみるのが良いでしょう。