旅行券の種類とおすすめ8選!両親へのプレゼントに最適な選び方

旅行券の種類とおすすめ、両親へのプレゼントに最適な選び方

ご両親の結婚記念日や還暦祝い、誕生日といった特別な機会に、何を贈れば喜んでもらえるだろうかと悩む方は少なくありません。形に残るモノも素敵ですが、「普段はできないような特別な時間を過ごしてほしい」「夫婦水入らずでゆっくりしてほしい」という想いを込めて、旅行のプレゼントを検討する方も増えています。

しかし、いきなり旅行を計画してプレゼントするのは、ご両親の都合や好みに合わない可能性があり、かえって気を遣わせてしまうかもしれません。そこでおすすめなのが、受け取った側が自由に行き先や日程を決められる「旅行券」です。

旅行券と一口に言っても、伝統的な商品券タイプからカタログギフト形式、オンラインで利用するカードタイプまで、その種類は多岐にわたります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、ご両親のライフスタイルや好みに合わせて最適なものを選ぶことが、心から喜んでもらうための鍵となります。

この記事では、両親へのプレゼントとして旅行券がなぜ喜ばれるのかという理由から、旅行券の主な種類、そして後悔しないための選び方のポイントまで、網羅的に解説します。さらに、具体的におすすめの旅行券8選を、それぞれの特徴や注意点とともに詳しくご紹介。この記事を読めば、あなたの想いが最も伝わる最高の旅行券を見つけ、ご両親にかけがえのない「思い出」をプレゼントできるようになるでしょう。


プレゼントに旅行券が喜ばれる理由

行き先やプランを自由に決められる、普段はできない特別な体験ができる、モノではなく思い出を贈れる

大切なご両親へ感謝の気持ちを伝える贈り物として、なぜ旅行券がこれほどまでに選ばれ、喜ばれるのでしょうか。それは、旅行券が単なる「金券」ではなく、「時間」「体験」「自由」という、お金では買えない価値を届けられる特別なプレゼントだからです。ここでは、旅行券が持つ本質的な魅力を3つの側面から深掘りしていきます。

行き先やプランを自由に決められる

旅行券がプレゼントとして絶大な支持を得る最大の理由は、受け取ったご両親が「自分たちの意思」で旅行のすべてを決められるという、その圧倒的な自由度の高さにあります。

贈り手が良かれと思って具体的な旅行プランを組んでプレゼントした場合、日程の都合がつかなかったり、提案された行き先に興味が持てなかったりする可能性があります。特にご両親の世代になると、体力的な問題や通院の予定など、若い世代が想像する以上に細やかな配慮が必要になることも少なくありません。「せっかく贈ってくれたのに申し訳ない」と、かえってご両親に気を遣わせてしまうことにもなりかねないのです。

その点、旅行券であれば、そのような心配は一切無用です。
「気候の良い春になったら、前から行きたかったあの温泉に行こうか」「孫の夏休みに合わせて、みんなで泊まれる宿を探そう」「記念日当日は避け、少し落ち着いた平日にゆっくりと美食を楽しもう」
このように、ご両親が自分たちの体調や気分、そしてカレンダーと相談しながら、最も良いと思えるタイミングで、最も行きたい場所へ旅立つことができます。

例えば、長年連れ添ったご夫婦でも、旅の好みは異なるかもしれません。歴史的な街並みを散策したいお父様と、美しい庭園のある美術館を訪れたいお母様。旅行券があれば、お二人がじっくりと話し合い、お互いの希望を叶えるようなオリジナルのプランを練る時間そのものも楽しめます。この「計画する楽しみ」もまた、旅行という体験の醍醐味の一部なのです。

モノを贈る場合、サイズや色、機能が好みに合わないというミスマッチが起こりがちですが、旅行券は「選択の自由」そのものを贈るギフトです。それは、贈り手の都合を押し付けるのではなく、「お二人の好きなように、素敵な時間をお過ごしください」という、相手を尊重する深い思いやりの表現と言えるでしょう。この究極のパーソナライズ性が、旅行券を特別なプレゼントたらしめているのです。

普段はできない特別な体験ができる

旅行券は、「非日常」への扉を開けるきっかけをプレゼントする、という側面も持っています。

多くのご両親は、子育てが一段落し、自分たちのために時間やお金を使えるようになった後も、長年の習慣からか、つい節約を意識してしまいがちです。「自分たちのためにお金を使うのは、なんだか勿体ない」「旅行に行くなら、できるだけ費用を抑えたい」と考える方も少なくありません。

しかし、子どもから旅行券という形で「きっかけ」を贈られることで、その心理的なハードルは大きく下がります。「これは、子どもたちが私たちのために贈ってくれた特別なものだから」という大義名分が生まれ、普段なら躊躇してしまうような、少し贅沢な選択に踏み切りやすくなるのです。

例えば、自分たちで予約するならビジネスホテルを選ぶところを、露天風呂付き客室のある高級旅館を選んでみたり。いつもは素泊まりプランで済ませるところを、地元の旬の食材をふんだんに使った豪華な会席料理付きのプランを予約してみたり。あるいは、カヌー体験や陶芸教室といった、これまで経験したことのないアクティビティに挑戦してみるかもしれません。

このように、旅行券は単に旅費を補助するだけでなく、ご両親の「体験の質」を一段階引き上げる力を持っています。自分たちのお財布から出すには勇気がいるような「特別な体験」も、プレゼントとしてなら気兼ねなく、心から満喫できます。

子どもからの「たまには贅沢して、ゆっくり羽を伸ばしてね」というメッセージが込められた旅行券は、ご両親にとって、新しい世界への招待状のようなもの。その招待状を手に、これまで知らなかった景色を見たり、味わったことのない美食に舌鼓を打ったり、二人で新たな挑戦をしたりする。そうした一つひとつの体験が、日常の喧騒を忘れさせ、心身ともにリフレッシュさせてくれる最高の時間となるのです。

モノではなく思い出を贈れる

プレゼントには、形として残る「モノ」と、体験として心に残る「コト」の二種類があります。旅行券は、後者の「コト」消費を代表する贈り物であり、色褪せることのない「思い出」という最高の価値を提供します。

洋服やアクセサリー、家電製品といった「モノ」のプレゼントももちろん素敵ですが、時が経つにつれて古くなったり、流行遅れになったり、あるいは使わなくなってしまうこともあります。しかし、旅行先で見た美しい夕日、二人で笑い合った時間、美味しかった食事の記憶は、何年経ってもご両親の心の中で輝き続けます。

心理学の研究においても、物質的な消費(モノ)よりも経験的な消費(コト)の方が、長期的な幸福感につながりやすいことが示唆されています。旅行という経験は、計画段階のワクワク感、旅行中の楽しさ、そして帰宅後の思い出話という3つの段階で幸福感をもたらします。旅行から帰ってきた後も、撮った写真を見返したり、お土産話をしたりすることで、楽しかった記憶が何度も追体験され、幸福感が持続するのです。

特に、ご両親お二人での旅行は、夫婦としての絆を再確認する貴重な機会となります。日常の役割から解放され、ただの「夫」と「妻」として、あるいは恋人同士だった頃のように、ゆっくりと語り合う時間を持つことができます。旅先での共同作業(道を探したり、食事のメニューを決めたり)や、予期せぬ出来事さえも、二人の関係性をより豊かにするスパイスとなるでしょう。

子どもであるあなたが贈った旅行券がきっかけで生まれた時間は、ご両親にとってかけがえのない宝物になります。そして、「あの旅行は、あの子がプレゼントしてくれたんだよ」という会話が交わされるたびに、あなたの感謝の気持ちも一緒に思い出されるのです。

モノはいつかその役目を終えるかもしれませんが、家族の歴史に刻まれる美しい思い出は、永遠に消えることはありません。 旅行券を贈ることは、単なる旅行をプレゼントするのではなく、ご両親の人生のアルバムに、新たな輝かしい1ページを加えてもらうことに他ならないのです。


旅行券の主な種類を解説

両親へのプレゼントに最適な旅行券を選ぶためには、まずどのような種類があるのかを理解しておくことが重要です。旅行券は大きく分けて「旅行会社のギフト券」「カタログギフト」「カードタイプのギフト券」「宿泊施設発行のギフト券」の4つのタイプに分類できます。それぞれの特徴、メリット、デメリットを把握し、ご両親に最も合った形式を見つけましょう。

種類 形態 メリット デメリット こんな両親におすすめ
旅行会社のギフト券 紙の商品券 ・利用範囲が広い(ツアー、宿泊、交通機関など)
・信頼性が高く、年配の方にも分かりやすい
・店舗で相談しながら使える
・おつりが出ない場合が多い
・有効期限がある場合も
・紛失リスクがある
・旅行の計画をプロに相談したい
・行き先や日程を完全に自由に決めたい
・ネット予約に不慣れ
カタログギフト 冊子・カード ・選ぶ楽しみがある
・具体的なプランが提示され、計画が楽
・予算に合わせてコースを選びやすい
・掲載されているプランしか選べない
・人気の宿は予約が取りにくいことがある
・カタログに申込期限がある
・旅行の計画を立てるのが少し面倒
・厳選された選択肢から選びたい
・旅行以外のモノも選べる方が嬉しい
カードタイプのギフト券 プリペイドカード ・残高がなくなるまで繰り返し使える
・Web予約に便利
・スマートでかさばらない
・オンライン決済が基本で、ネット操作が必要
・使えるサイトが限定される
・実店舗で使いにくい場合がある
・ネットでの旅行予約に慣れている
・旅行のスタイルが柔軟
・少額からでも使いたい
宿泊施設発行のギフト券 紙・カード ・憧れの宿をピンポイントで贈れる
・その施設ならではの特別な体験を提供
・金額指定や宿泊プラン指定が可能
・利用先がその宿泊施設グループに限定される
・両親の好みに合わないリスクがある
・交通費は別途必要になる
・お気に入りのホテルや旅館がある
・特定の宿に泊まってほしいという明確な希望がある
・宿泊メインのプレゼントをしたい

旅行会社のギフト券

これは最も伝統的で、多くの方が「旅行券」と聞いてイメージするタイプです。JTBの「JTB旅行券(ナイストリップ)」や日本旅行の「ギフト旅行券」などが代表例で、紙の商品券形式になっています。

メリットは、その汎用性の高さと信頼感にあります。これらのギフト券は、発行元の旅行会社が取り扱う幅広い旅行商品に使用できます。国内・海外ツアーはもちろん、宿泊施設の予約、JR券や航空券の購入、観光船のチケットなど、旅に関わるさまざまな支払いに充当できるのが大きな魅力です。また、全国にある旅行会社の店舗カウンターで、専門のスタッフに相談しながら旅行プランを決め、その場で支払いに使えるため、インターネットでの予約に不慣れなご両親でも安心して利用できます。 紙の券という馴染み深い形も、年配の方にとっては分かりやすく、受け入れやすいでしょう。

一方でデメリットも存在します。最も注意すべき点は、多くのギフト券でおつりが出ないことです。例えば、5万円のギフト券で4万8,000円の旅行代金を支払った場合、差額の2,000円は返ってきません。そのため、券面額以上のプランで利用するか、端数は現金で支払うといった工夫が必要になります。また、商品によっては有効期限が設定されている場合があるため、購入前と贈る際には必ず確認が必要です。そして、現金同様、紛失や盗難に遭っても再発行はされないため、厳重な管理が求められます。

カタログギフト

冊子やカードに掲載された多数の旅行プラン(宿泊施設、日帰り温泉、レストランなど)の中から、好きなものを一つ選んで申し込む形式のギフトです。JTBの「たびもの撰華」やリンベルの「選べる宿泊ギフト」、EXETIMEの「EXETIME」などが有名です。

最大のメリットは、「選ぶ楽しみ」を提供できる点です。美しい写真とともに魅力的なプランが紹介されたカタログを眺めながら、「どこに行こうか」「どんな体験をしようか」とご両親が二人で話し合う時間は、旅の始まりを告げる楽しいイベントになります。また、すでに具体的なプランとしてパッケージ化されているため、一から旅行計画を立てるのが少し面倒だと感じるご両親にとっては、非常に手軽で便利です。価格帯別に複数のコースが用意されており、贈り手は予算に合わせて選びやすいのも利点です。商品によっては、旅行だけでなくグルメや雑貨なども選べるため、万が一旅行に行けなくなった場合でも無駄になりません。

デメリットとしては、選択肢がカタログに掲載されているプランに限定される点が挙げられます。自由に行き先や宿を決めたいというアクティブなご両親には、少し物足りなく感じられるかもしれません。また、人気の宿泊施設やシーズンによっては予約が取りにくいケースもあります。さらに、カタログギフト自体に申し込みの有効期限(多くは発行から半年〜1年程度)が設定されているため、期限内に申し込む必要がある点も注意が必要です。

カードタイプのギフト券

これは、オンラインでの利用を主目的としたプリペイドカード形式の旅行券です。JTBの「JTBトラベルギフト」や、VJA(三井住友カード)が発行する「VJAトラベルギフトカード」などがこれにあたります。購入時に指定した金額がカードにチャージされており、受け取った人はWebサイトで旅行商品を予約する際に、カード番号などを入力して支払いに利用します。

メリットは、そのスマートさと利便性です。カード一枚なのでかさばらず、財布に入れて手軽に持ち運べます。また、チャージされた金額の範囲内であれば、残高がなくなるまで何度でも利用できるのが大きな特徴です。例えば、10万円分のカードで、まず3万円の温泉旅行を予約し、後日残りの7万円で別の旅行を予約する、といった柔軟な使い方が可能です。1円単位で利用できるため、おつりを気にする必要もありません。オンラインでメッセージを添えたり、オリジナルデザインでカードを作成できたりするサービスもあり、パーソナルな贈り物としても優れています。

デメリットは、利用が基本的にオンライン予約に限られることです。そのため、パソコンやスマートフォンの操作に慣れていないご両親にとっては、利用のハードルが高く感じられる可能性があります。また、利用できる予約サイトが指定されている場合が多く、そのサイトで取り扱いのないホテルやプランは予約できません。店舗カウンターでの相談や予約を好むご両親には、不向きなタイプと言えるでしょう。

宿泊施設発行のギフト券

特定のホテルチェーンや旅館が独自に発行しているギフト券です。星野リゾートの「星野リゾート宿泊ギフト券」や、帝国ホテルのギフト券などが代表的です。

メリットは、「あの憧れの宿に泊まる」という特別な体験を、ピンポイントでプレゼントできる点にあります。ご両親が以前から「一度は泊まってみたい」と話していたホテルや、結婚記念日に訪れた思い出の旅館など、贈る側に明確な意図がある場合に最適です。金額を指定して贈るタイプと、「1泊2食付きペア宿泊券」のようにプランそのものを贈るタイプがあります。その宿泊施設ならではの上質なサービスや空間を存分に味わってもらいたい、という想いをストレートに伝えることができます。

最大のデメリットは、当然ながら利用できるのがその発行元の宿泊施設グループに限られることです。もしご両親の好みに合わなかったり、その施設がある地域への旅行を希望しなかったりした場合、使ってもらえないリスクがあります。また、宿泊に特化しているため、そこまでの交通費は別途自己負担となるのが一般的です。このタイプのギフト券を選ぶ際は、事前に入念なリサーチを行い、ご両親が本当にその宿泊施設に興味を持っているかを確認することが不可欠です。


両親へのプレゼントに最適な旅行券の選び方

贈る相手のライフスタイルに合わせて選ぶ、利用できる店舗やサービスの範囲を確認する、有効期限の有無や長さをチェックする、おつりが出るかどうかを確認する、サポートの手厚さで選ぶ

旅行券の種類を理解した上で、次にご両親に心から喜んでもらうための具体的な選び方のポイントを見ていきましょう。ただ単に有名な旅行券を選ぶのではなく、ご両親の個性や状況を細やかに思いやることが、最高のプレゼント選びにつながります。

贈る相手のライフスタイルに合わせて選ぶ

旅行券選びで最も重要なのは、主役であるご両親の性格やライフスタイルを考慮することです。以下の点をチェックリストのように確認してみましょう。

  • 旅行の計画は得意か、面倒に感じるか?
    • 得意な場合: 行き先から宿、交通手段まで自由に組み合わせられる「旅行会社のギフト券」がおすすめです。旅のプランニングそのものを楽しむタイプのご両親には、この自由度の高さが魅力的に映るでしょう。
    • 面倒に感じる場合: 厳選されたプランから選ぶだけの「カタログギフト」が最適です。「どこか良いところに連れて行ってほしい」というタイプのご両親には、魅力的な選択肢がまとめられている方が親切で、負担なく旅行を楽しめます。
  • インターネットの利用に慣れているか?
    • 慣れている場合: Webサイトでの予約に抵抗がなく、自分で情報収集するのが好きなご両親なら、「カードタイプのギフト券」も良い選択肢です。残高を気にしながら複数回使える利便性を享受できるでしょう。
    • 不慣れな場合: パソコンやスマホの操作に不安があるご両親には、「旅行会社のギフト券」が最も安心です。何か困ったことがあっても、全国の店舗でスタッフに対面で相談できるというサポート体制は、何よりの心強さとなります。
  • 特定の憧れの場所があるか?
    • ある場合: 「いつか星野リゾートに泊まってみたい」「記念日に行ったあのホテルにもう一度」といった具体的な希望を耳にしているなら、「宿泊施設発行のギフト券」が最も気持ちの伝わるプレゼントになります。あなたの「覚えていてくれたんだ」というサプライズが、喜びを倍増させるでしょう。
    • 特にない場合: 漠然と「温泉に行きたいな」という程度であれば、選択肢の広い「旅行会社のギフト券」「カタログギフト」の方が、その時の気分に合った場所を選べるため喜ばれます。

このように、ご両親の「人となり」を想像しながら選ぶことで、ミスマッチを防ぎ、「私たちのことをよく考えて選んでくれたんだな」という想いが伝わります。

利用できる店舗やサービスの範囲を確認する

旅行券は、種類によって使える範囲が大きく異なります。プレゼントした後に「使いたかった場所で使えなかった」という事態を避けるため、購入前に利用範囲をしっかりと確認することが不可欠です。

例えば、JTBや日本旅行といった大手旅行会社のギフト券は、自社が扱うパッケージツアーや、提携している全国のホテル・旅館、JRや航空会社のチケット購入など、非常に幅広い用途に利用できます。この汎用性の高さは大きなメリットです。

一方で、カードタイプのギフト券は、特定のオンライン予約サイトでのみ利用可能というケースがほとんどです。そのサイトが提携していない宿泊施設は予約できません。また、宿泊施設発行のギフト券は、当然ながらその施設グループでしか利用できません。

さらに注意したいのが、「何に使えるか」という点です。多くの旅行券は宿泊代やツアー代金には使えますが、お土産代や現地での飲食代、一部のオプショナルツアー代などには利用できない場合があります。特に、JRの回数券や一部の企画切符、ギフトカード類の購入には充当できないと規定されていることが多いです-。
贈る際には、「この券は、主に宿や交通機関の予約に使えるよ」と一言添えてあげると、ご両親も使う際のイメージが湧きやすく、より親切です。公式サイトの利用規約ページには対象となる商品・サービスが明記されているため、購入前に必ず目を通しておきましょう。

有効期限の有無や長さをチェックする

プレゼントした旅行券が、気づいたときには期限切れで紙くずになっていた…というのは、贈った側も贈られた側も悲しいものです。そうした事態を避けるためにも、有効期限の確認は絶対です。

旅行券には、有効期限が一切ないものと、期限が設定されているものがあります。

  • 有効期限なし: JTBの「JTB旅行券(ナイストリップ)」や日本旅行の「ギフト旅行券」など、伝統的な紙のギフト券の多くは有効期限がありません。これは受け取る側にとって非常に大きなメリットです。ご両親の体調や仕事の都合など、予期せぬ事情でしばらく旅行に行けなくなっても、焦る必要がありません。「いつでも好きな時に使ってね」というメッセージを込めるのに最適です。
  • 有効期限あり: カタログギフトやカードタイプのギフト券、宿泊施設発行のギフト券の多くには、発行日から半年、1年、2年といった有効期限が設けられています。特にカタログギフトは、カタログの申し込み期限が比較的短めに設定されていることが多いので注意が必要です。ご両親が忙しい方であったり、物事を先延ばしにしがちな性格であったりする場合は、なるべく有効期限が長いものを選ぶ配慮が大切です。

有効期限があるものを贈る場合は、プレゼントする際に「この券は来年の〇月までが期限だから、それまでに使ってね」と明確に伝えることが、贈り主としてのマナーと言えるでしょう。

おつりが出るかどうかを確認する

旅行券の使い勝手を大きく左右するのが、おつりが出るかどうかという点です。これは特に高額な旅行券を贈る際に重要なチェックポイントとなります。

残念ながら、現在発行されている旅行券のほとんどは、おつりが出ません。これは、資金決済に関する法律などの規定によるものです。例えば10万円の旅行券で9万5,000円の支払いに使った場合、差額の5,000円は戻ってこないのが一般的です。これを知らないと、損をした気分になってしまうかもしれません。

おつりが出ない旅行券を贈る場合は、以下のような使い方をアドバイスすると親切です。

  • 券面額以上のプランで利用する: 不足分は現金やクレジットカードで支払う。
  • 少額の券を組み合わせて贈る: 例えば5万円分を贈るなら、5万円券1枚ではなく、1万円券5枚で贈る。こうすれば、少額の支払いにも使いやすく、無駄なく使い切りやすくなります。

一方で、JTBの「JTBトラベルギフト」のようなカードタイプは、1円単位で残高を利用できるため、実質的におつりの問題を気にする必要がありません。Web予約に慣れたご両親であれば、こうしたタイプは非常に使い勝手が良いでしょう。

おつりの有無は、旅行券の満足度に直結する重要な要素です。それぞれの旅行券の規定をしっかり確認し、ご両親が損なく利用できるような配慮を心がけましょう。

サポートの手厚さで選ぶ

最後に、見落としがちですが非常に重要なのが、困ったときのサポート体制です。特に、ご両親が旅行の計画や予約手続きに不安を感じている場合は、サポートの手厚さで選ぶという視点が大切になります。

最もサポートが手厚いのは、やはり全国に店舗網を持つ大手旅行会社のギフト券です。JTBや日本旅行の店舗にギフト券を持っていけば、専門知識の豊富なカウンタースタッフが、ご両親の希望を丁寧にヒアリングし、最適なプランを提案してくれます。宿の空き状況の確認から、交通機関の手配、複雑な乗り換えの案内まで、旅行に関するあらゆる相談に乗ってもらえるのは、何よりの安心材料です。

一方、カタログギフトやカードタイプの場合、サポートは基本的に電話のコールセンターやメールでの問い合わせになります。もちろん、これらのサポート窓口もしっかりと整備されていますが、対面で表情を見ながら相談したいというご両親にとっては、少し物足りなく感じるかもしれません。

「何かあったら、近くの旅行会社の窓口に行けば大丈夫だよ」と伝えられることは、ご両親にとって大きな安心感につながります。プレゼントは、モノを渡して終わりではありません。受け取った相手が、スムーズに、そして安心してそれを利用できるまでの道筋を整えてあげることまで含めて、本当の「贈り物」と言えるでしょう。


プレゼントにおすすめの旅行券8選

ここでは、これまでの選び方のポイントを踏まえ、両親へのプレゼントとして特におすすめの旅行券を8つ厳選してご紹介します。それぞれの特徴やスペックを詳しく解説しますので、ご両親の顔を思い浮かべながら、最適な一枚を見つけてください。

商品名 発行元 タイプ 有効期限 おつり 主な利用場所 特徴
① JTB旅行券(ナイストリップ) JTB 紙のギフト券 なし なし 全国のJTBグループ店舗、電話 業界最大手の安心感。有効期限がなく、利用範囲も広い。
② 日本旅行ギフト旅行券 日本旅行 紙のギフト券 なし なし 全国の日本旅行グループ店舗、電話 赤い風船で有名。JTB同様、有効期限なしで使いやすい。
③ JTBたびもの撰華 JTB カタログギフト 6ヶ月〜1年程度 カタログ掲載の宿・レストラン等 旅だけでなくモノも選べる。上質な宿を厳選。
④ EXETIME EXETIME カタログギフト 6ヶ月 カタログ掲載の宿・アクティビティ等 体験型ギフトに強い。アクティブな両親に。
⑤ JTBトラベルギフト JTB カードタイプ 1年・2年・10年 あり (1円単位) JTBのWebサイト メッセージや写真を入れられる。Web予約派に最適。
⑥ 星野リゾート宿泊ギフト券 星野リゾート 紙・カード 1年 全国の星野リゾート施設 「あの星野リゾート」を贈れる特別感。
⑦ VJAトラベルギフトカード VJAグループ カードタイプ 2年 あり (1円単位) VJトラベルデスク(Web/電話) クレジットカード会社の信頼性。ホテル・旅館に特化。
⑧ 一休.comギフト 一休.com カードタイプ 6ヶ月 あり (1円単位) 一休.com、一休.comレストラン 厳選された高級宿・レストランに特化。美食家の両親に。
※各商品の仕様は変更される可能性があるため、ご購入前に必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

① JTB|JTB旅行券(ナイストリップ)

「旅行券の王道」とも言える、最も知名度と信頼性が高い紙タイプのギフト券です。旅行業界最大手のJTBが発行しており、迷ったらこれを選んでおけば間違いない、という安心感があります。
最大の特徴は、有効期限がないこと。ご両親のペースで、いつでも好きな時に使えるのが最大のメリットです。全国約800店のJTBグループ店舗で、国内・海外ツアー「ルックJTB」「エースJTB」をはじめ、旅館・ホテルの宿泊、JR券、航空券、フェリー、貸切バスなど、幅広い旅行関連商品の支払いに利用できます。
券種は1,000円、5,000円、10,000円の3種類。贈る金額に合わせて柔軟に組み合わせが可能です。例えば、3万円分を贈るなら1万円券を3枚にするなど、使いやすさを考慮して渡せます。
おつりは出ませんが、その分、店舗で専門スタッフに相談しながら、券面額を無駄なく使えるようなプランを組んでもらえるという強みがあります。インターネットが苦手で、対面での丁寧なサポートを求めるご両親に最もおすすめの旅行券です。
参照:株式会社JTB 公式サイト

② 日本旅行|ギフト旅行券

JTBと並ぶ大手旅行会社、日本旅行が発行する紙タイプのギフト券です。「赤い風船」のブランドで親しまれており、こちらも高い信頼性を誇ります。
JTB旅行券と同様に、有効期限がないのが大きな魅力。受け取ったご両親が焦らずに旅行の計画を立てられます。全国の日本旅行グループの店舗や電話予約で、国内旅行「赤い風船」、海外旅行「マッハ」「ベストツアー」などのパッケージツアーや、宿泊、JR券などの支払いに利用できます。
券種は1,000円、5,000円、10,000円、50,000円の4種類があり、予算に応じた組み合わせが可能です。こちらもおつりは出ないため、店舗で相談しながらの利用が基本となります。
JTBとほぼ同等のサービス内容ですが、お住まいの地域に日本旅行の店舗が多い場合や、ご両親が「赤い風船」に馴染みがある場合などはこちらを選ぶと良いでしょう。伝統と安心感を重視する方に適した、堅実な選択肢です。
参照:株式会社日本旅行 公式サイト

③ JTB|たびもの撰華

JTBが提供する、旅に特化した高品質なカタログギフトです。全国各地の有名旅館・ホテルでの宿泊プランや、日帰り温泉、レストランでの食事、さらには質の高い雑貨やグルメまで、幅広い選択肢が用意されています。
価格帯は3,000円台から10万円台まで、桜、楓、椿、梓、柊、橘、極(きわみ)といった風情のある名前のコースが用意されており、予算に応じて選びやすいのが特徴です。特に高価格帯のコースでは、一度は泊まってみたいような憧れの宿が数多く掲載されています。
「計画を立てるのは少し面倒だけど、素敵な場所でゆっくりしたい」というご両親にぴったり。美しい写真集のようなカタログを二人で眺めながら、次の旅行先を決める楽しい時間そのものをプレゼントできます。旅行に行けない場合でも、美味しいグルメなどに交換できるため、無駄になる心配がありません。ただし、申し込み有効期限(発行から約1年)があるので、贈る際に伝えるのを忘れないようにしましょう。
参照:株式会社JTB 公式サイト

④ EXETIME|EXETIME

「コト」のギフト、つまり体験型ギフトに強みを持つリンベルが提供する、旅専門のカタログギフトです。宿泊プランだけでなく、ゴルフ、クルージング、エステ、人間ドックといった、ユニークでアクティブな体験が数多くラインナップされているのが最大の特徴です。
価格帯によってPart.1からPart.5、そして最高級のPlatinumまで分かれており、掲載されている体験のグレードが異なります。「温泉でゆっくり」というだけでなく、「何か新しいことに挑戦してみたい」という好奇心旺盛でアクティブなご両親には、EXETIMEが刺激的なプレゼントになるでしょう。
こちらもJTBたびもの撰華と同様、モノやグルメも選べるようになっています。有効期限は発行後6ヶ月と、他のカタログギフトに比べてやや短めなので、その点だけ注意が必要です。贈る相手の趣味や興味に合わせて、ユニークな体験を贈りたい場合におすすめです。
参照:EXETIME(株式会社ユナイテッドスペース) 公式サイト

⑤ JTB|JTBトラベルギフト

オンラインでの利用に特化した、新しい形のカードタイプ旅行券です。購入時に設定した金額(5,000円~100万円)をチャージして贈ります。
最大のメリットは、Web上で1円単位で利用でき、残高がなくなるまで繰り返し使えること。おつりを気にする必要がなく、非常にスマートです。JTBのWebサイトで、国内の宿・ホテル、ツアー、海外ツアーなどの支払いに利用できます。
さらに、カードのデザインに好きな写真を使ったり、オリジナルのメッセージを入れたりできるカスタマイズ性の高さも魅力。ご両親の思い出の写真や、感謝のメッセージを添えれば、世界に一つだけの特別なプレゼントになります。有効期限は1年、2年、10年から選べるため、贈る相手に合わせて設定可能です。
パソコンやスマホでの予約に慣れている、モダンなご両親に最適な選択肢と言えるでしょう。
参照:株式会社JTB 公式サイト

⑥ 星野リゾート|星野リゾート宿泊ギフト券

「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」など、国内外でラグジュアリーなリゾートを展開する星野リゾート。その宿泊施設で利用できる専用のギフト券です。
「一度は星野リゾートに泊まってみたい」と憧れているご両親は多いはず。このギフト券は、その夢を叶える最高のプレゼントになります。50,000円と30,000円の金額指定タイプがあり、全国の星野リゾートの宿泊代や食事代として利用できます。
「特定の憧れの宿を贈る」という、非常にメッセージ性の強いプレゼントになります。結婚記念日や還暦など、特別な節目のお祝いに贈れば、忘れられない思い出になること間違いなしです。有効期限は発行日から1年間。利用は星野リゾート施設に限られるため、ご両親が星野リゾートに興味を持っていることを事前に確認してから贈るのが賢明です。
参照:星野リゾート 公式サイト

⑦ VJA|VJAトラベルギフトカード

三井住友カードなど、VJAグループが発行するカードタイプの旅行券です。クレジットカード会社が発行しているため、決済の安全性や信頼性は抜群です。
このカードは、VJAが提携する「VJトラベルデスク」のWebサイト、または電話での予約時に利用できます。全国のホテル・旅館の宿泊プランが豊富に用意されており、オンラインで手軽に予約・決済が完了します。
JTBトラベルギフトと同様、1円単位で利用可能で、有効期限(発行から2年)内であれば残高がなくなるまで何度でも使えるのが便利な点です。5,000円から10万円まで、7種類の券種から選べます。パッケージツアーなどには利用できず、主に国内の宿泊予約に特化している点が特徴です。シンプルな機能で、手軽に宿だけを予約したいというニーズに応えます。
参照:VJA(三井住友カード株式会社) 公式サイト

⑧ 一休.com|一休.comギフト

高級ホテル・旅館の予約サイトとして有名な「一休.com」で利用できるギフト券です。カードタイプで、ペアお食事券と宿泊券の2種類があります。
一休.comは、掲載する施設を厳選しており、「質」にこだわった宿やレストランが多く見つかります。特に「一休.comギフト ペアお食事券」は、有名ホテルのレストランや老舗料亭でのランチ・ディナーを贈ることができ、日帰りで特別な時間を過ごしてほしい場合に最適です。
「一休.comギフト 宿泊券」は、指定した金額分のポイントとしてチャージされ、一休.comおよび一休.comレストランの予約時に利用できます。1円単位で使え、有効期限は発行から6ヶ月です。
グルメなご両親や、上質な空間で静かに過ごすことを好むご両親には、一休.comギフトが洗練されたプレゼントとして喜ばれるでしょう。
参照:株式会社一休 公式サイト


旅行券をプレゼントするメリット・デメリット

受け手の自由度を最大限に尊重できる、特別な体験の「きっかけ」を贈れる、形に残らない「思い出」という価値を提供できる、贈る側の予算管理がしやすい、スマートでかさばらない

これまで様々な側面から旅行券について解説してきましたが、ここで改めて、プレゼントとして旅行券を贈る際のメリットとデメリットを整理してみましょう。両方の側面を理解することで、より心のこもった贈り方ができます。

旅行券のメリット

旅行券を贈ることには、他のプレゼントにはない多くの利点があります。これらは、ご両親に喜ばれる理由と深く結びついています。

  1. 受け手の自由度を最大限に尊重できる
    これが最大のメリットです。行き先、日程、同行者、旅行のスタイル(のんびり、アクティブなど)を、すべてご両親の都合と好みに委ねることができます。贈り手の自己満足にならず、「あなたの好きなように楽しんでください」という相手を思いやる気持ちが伝わります。
  2. 特別な体験の「きっかけ」を贈れる
    普段は節約を考えてしまうご両親も、プレゼントされた旅行券があれば「せっかくだから」と、少し豪華な宿やプランを選びやすくなります。非日常的で特別な体験をする「きっかけ」を提供できるのは、旅行券ならではの魅力です。
  3. 形に残らない「思い出」という価値を提供できる
    モノは古くなりますが、旅の記憶は色褪せません。ご両親が二人で過ごした時間、見た景色、交わした会話は、何物にも代えがたい財産となります。その「思い出作り」をお手伝いできるのが、旅行券を贈る本質的な価値です。
  4. 贈る側の予算管理がしやすい
    1万円、3万円、5万円、10万円など、自分の予算に合わせて金額を明確に決めて贈ることができます。プレゼント選びで予算オーバーを心配する必要がなく、計画的に贈り物ができます。
  5. スマートでかさばらない
    ギフト券やカード一枚なので、持ち運びや手渡しが非常にスマートです。遠方に住むご両親にも、書留などで気軽に送ることができます。サプライズの演出もしやすいでしょう。

これらのメリットから、旅行券は「相手本位」で「価値の高い」贈り物をしたいと考える場合に、非常に優れた選択肢であると言えます。

旅行券のデメリット

一方で、旅行券には注意すべきデメリットも存在します。これらを事前に把握し、対策を講じることで、ご両親をがっかりさせる事態を防ぐことができます。

  1. 有効期限のプレッシャー
    有効期限があるタイプの旅行券の場合、「期限内に使わなければ」というプレッシャーを与えてしまう可能性があります。特に忙しいご両親や、物事を先延ばしにしがちな方にとっては、かえって負担になることも。

    • 対策: 有効期限のない旅行券を選ぶか、期限が長いものを選びましょう。 また、贈る際に「もし期限が近くなったら声をかけてね」と一言添えるだけでも、ご両親の気持ちは楽になります。
  2. 利用先の制限
    「せっかくもらったのに、行きたいと思っていた宿では使えなかった」というケースは、最も避けたいミスマッチです。特に宿泊施設発行のギフト券や、特定のサイトでしか使えないカードタイプは注意が必要です。

    • 対策: 汎用性の高い大手旅行会社のギフト券を選ぶのが最も安全です。 もし特定の券を選ぶ場合は、事前にご両親の希望をリサーチしておくことが重要です。
  3. おつりが出ないことによる不便さ
    多くの紙タイプの旅行券ではおつりが出ないため、券面額を使い切るために、本来の希望より高いプランを選ばなければならない、といったことが起こり得ます。

    • 対策: 1万円券など、少額の券種を複数枚組み合わせて贈りましょう。 これにより、支払額に合わせて柔軟に利用でき、無駄なく使い切りやすくなります。あるいは、1円単位で使えるカードタイプを選ぶのも有効な解決策です。
  4. 受け取る側に計画の手間がかかる
    旅行券は自由度が高い反面、受け取った側が自分で旅行の計画を立てる必要があります。これを「楽しみ」と感じる人もいれば、「手間だ」と感じる人もいます。

    • 対策: 計画が苦手そうなご両親には、プランが予め用意されているカタログギフトがおすすめです。 あるいは、「計画で分からないことがあったら、いつでも手伝うからね」と申し出ることで、心理的なハードルを下げることができます。
  5. 紛失・盗難のリスク
    旅行券は金券と同じです。万が一なくしてしまった場合、再発行は基本的に不可能です。高額な旅行券であればあるほど、そのリスクは大きくなります。

    • 対策: 贈る際に「現金と同じように大切なものだから、失くさないように気をつけてね」としっかり伝えましょう。

これらのデメリットは、贈り手の少しの配慮と工夫で、その多くをカバーすることが可能です。メリットとデメリットの両方を理解した上で、ご両親に最適な形でプレゼントすることが大切です。


旅行券はどこで買える?主な購入場所

旅行会社の店舗、公式オンラインストア、金券ショップ

いざ旅行券をプレゼントしようと決めたら、次にどこで購入すればよいのかという疑問が浮かびます。主な購入場所は「旅行会社の店舗」「公式オンラインストア」「金券ショップ」の3つです。それぞれにメリットと注意点があるため、ご自身の状況に合わせて最適な場所を選びましょう。

旅行会社の店舗

JTBや日本旅行といった旅行会社の店舗カウンターは、旅行券を購入する際の最も伝統的で安心な場所です。

メリットは、専門知識を持つスタッフに直接相談できることです。「両親の還暦祝いに10万円の予算で探しているのですが、どの旅行券がおすすめですか?」といった具体的な相談に対して、プロの視点から最適な商品を提案してもらえます。旅行券の種類や使い方、注意点など、疑問点をその場で解消できるのは大きな安心材料です。
また、購入時にのし紙を付けてもらえたり、ギフト用のラッピングをしてもらえたりするのも店舗ならではのサービスです。特に目上の方への贈り物の場合、こうした体裁を整えることは非常に重要です。その場ですぐに商品を受け取れるため、「明日すぐにでも渡したい」という急な要望にも応えられます。

デメリットとしては、店舗まで足を運ぶ手間と時間がかかること、そして店舗の営業時間が限られていることが挙げられます。平日は仕事で忙しいという方にとっては、少しハードルが高いかもしれません。

こんな人におすすめ:

  • 初めて旅行券を購入する人
  • どの旅行券が良いか、専門家に相談して決めたい人
  • のしやラッピングなど、きちんとした体裁で贈りたい人
  • すぐに旅行券を手に入れたい人

公式オンラインストア

現在、ほとんどの旅行会社やギフト券発行元は、公式のオンラインストアを運営しています。

最大のメリットは、24時間365日、いつでもどこでも購入できる利便性の高さです。店舗の営業時間を気にする必要がなく、仕事の合間や深夜でも、自分の都合の良いタイミングで注文できます。支払い方法もクレジットカード決済が利用できるため、ポイントを貯めたい方にも有利です。
JTBトラベルギフトのように、オンライン限定で写真やメッセージを入れられるカスタマイズサービスを提供している場合もあります。購入した旅行券は、自宅だけでなく、直接贈り先の住所へ配送してもらうことも可能です。

デメリットは、注文してから手元に届くまで数日程度の時間がかかることです。すぐに渡したい場合には不向きです。また、実物を見たり、スタッフに直接質問したりすることはできません。商品の詳細や利用規約は、すべて自分でWebサイトを読んで確認する必要があります。

こんな人におすすめ:

  • 日中、店舗に行く時間がない人
  • オンラインでのショッピングに慣れている人
  • クレジットカードで決済したい人
  • 遠方に住む相手に直接配送したい人

金券ショップ

駅前や繁華街でよく見かける金券ショップでも、旅行券が販売されていることがあります。

メリットは、何と言っても定価よりも安く購入できる可能性があることです。商品にもよりますが、額面価格の数パーセント引きで販売されていることが多く、少しでも費用を抑えたい場合には魅力的に映るかもしれません。

しかし、両親へのプレゼントという目的においては、金券ショップでの購入は基本的におすすめできません。
デメリットやリスクがいくつか存在するためです。まず、在庫が不安定で、希望する券種や金額が必ずしもあるとは限りません。また、商品は「新券」ではなく、一度誰かの手に渡ったものである可能性が高いです。プレゼントなのに少し汚れていたり、折り目がついていたりすると、せっかくの気持ちが台無しになりかねません。のしやラッピングといったギフト対応も基本的にはありません。
そして最も懸念すべきは、偽造された券や盗難品である可能性がゼロではないという点です。信頼できる店舗であってもリスクは完全には排除できず、万が一トラブルに巻き込まれた場合、ご両親に大変な迷惑をかけてしまいます。

感謝の気持ちを伝える大切な贈り物だからこそ、価格の安さよりも安心と信頼を優先すべきです。ご両親へのプレゼント用の旅行券は、必ず旅行会社の店舗や公式オンラインストアといった正規のルートで購入することを強く推奨します。


旅行券を贈る前に確認したい注意点

有効期限は必ず伝える、利用対象外のサービスがある場合も、盗難・紛失しても再発行はできない

最高の旅行券を選び、購入したら、いよいよプレゼントです。しかし、渡す前にもう一度確認しておきたい注意点があります。これらを怠ると、せっかくのプレゼントが原因でトラブルになったり、ご両親を困らせてしまったりする可能性があります。最後の仕上げとして、しっかりとチェックしましょう。

有効期限は必ず伝える

これは最も重要な注意点の一つです。特に、カタログギフトやカードタイプの旅行券など、有効期限が設定されているものを贈る場合は、プレゼントを手渡す際に、口頭およびメッセージカードなどで有効期限を明確に伝えることを徹底しましょう。

「この旅行券、すごく素敵だから、大事にとっておこう」
ご両親がそう思って大切にしまい込み、気づいたときには期限が切れてしまっていた、という悲しい話は少なくありません。贈り手としては、「いつでも好きな時に使ってほしい」という気持ちかもしれませんが、期限がある以上、それは叶いません。

「このカタログは、来年の3月末までに申し込んでね」
「このカードは、発行から1年間が有効期限だから、忘れないうちに計画を立ててみてね」

このように、具体的な日付を伝えてあげるのが親切です。また、「もし使い方が分からなかったり、期限が近くなったりしたら、遠慮なく言ってね」と一言添えることで、ご両親も安心して相談しやすくなります。せっかくの贈り物を無駄にしないために、贈り主が最後まで責任を持つという姿勢が大切です。

利用対象外のサービスがある場合も

「この旅行券さえあれば、旅行にかかる費用はすべてまかなえる」とご両親が誤解してしまうと、現地でトラブルになる可能性があります。旅行券は万能ではなく、利用できるサービスとできないサービスがあることを、あらかじめ伝えておくとより親切です。

例えば、大手旅行会社のギフト券であっても、以下のような支払いには利用できないケースが多く見られます。

  • JRの回数券や一部の企画乗車券類
  • 旅行保険料
  • 外貨、トラベラーズチェック
  • お土産物店での買い物代
  • 宿泊施設での電話代やクリーニング代
  • 取消料の支払い

全ての細かいルールを伝える必要はありませんが、「主にツアー代金や、ホテル・旅館、飛行機や新幹線のチケット代に使えるよ。お土産代とかは別にかかるからね」というように、大まかな使い方のイメージを共有しておくと良いでしょう。

特に、全額を旅行券でまかなうのではなく、一部を足しにしてもらうような形で贈る場合は、「旅行代金の足しにしてね」という言葉を添えるのが賢明です。これにより、ご両親も「すべてをこれで払わなければ」というプレッシャーを感じずに済みます。

盗難・紛失しても再発行はできない

旅行券は、その性質上「現金」とほぼ同じものだと考えるべきです。財布を落としたら中のお金が戻ってこないのと同じように、旅行券を盗まれたり紛失したりしても、原則として再発行はされません。

特に、10万円、20万円といった高額な旅行券を贈る場合は、このリスクについてもしっかりと伝える責任があります。
「これは現金と同じで、なくしたら再発行ができないから、使う時まで大事な場所にしまっておいてね」
と、一言注意を促すだけで、ご両親の意識も変わります。

プレゼントを渡すという行為は、喜びや感謝を伝えるポジティブなイベントですが、こうしたリスク管理に関する情報伝達も、相手を本当に思いやる上では欠かせない要素です。喜びの気持ちとともに、大切なものを扱う上での注意点も、誠実に伝えることを心がけましょう。そうすることで、トラブルを未然に防ぎ、ご両親が心から安心してプレゼントを受け取り、旅行を楽しめるようになります。


旅行券に関するよくある質問

旅行券に関するよくある質問

最後に、旅行券を贈る際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問点をスッキリ解消して、自信を持ってプレゼントを選びましょう。

旅行券に消費税はかかりますか?

旅行券を「購入する」際には、消費税はかかりません。

これは、旅行券が「物品切手等」に分類されるためです。商品券やギフトカード、プリペイドカードなどは、それ自体が商品やサービスそのものではなく、将来商品やサービスと交換できる「権利」を表す証書です。このような非課税取引は、二重課税を防ぐ目的で定められています。もし旅行券の購入時に課税されると、その旅行券を使ってサービスを利用した時にも課税され、消費税を二重に支払うことになってしまうからです。
(参照:国税庁 タックスアンサー No.6229 商品券やプリペイドカードなど)

ただし、注意が必要なのは、その旅行券を「利用する」時です。ご両親が旅行券を使ってホテルに宿泊したり、パッケージツアーに参加したりする際には、そのサービス代金に対しては通常通り消費税がかかります。

まとめると以下のようになります。

  • あなたが旅行券を10,000円分購入する時: 支払う金額は10,000円。消費税はかからない。
  • ご両親がその旅行券で10,000円(税抜)の宿泊サービスを利用する時: サービス提供者(ホテルなど)は、11,000円(税込)の代金として受け取り、旅行券での支払いを受ける。

購入者としては、額面通りの金額を支払えばよい、と覚えておけば問題ありません。

旅行券と旅行ギフト券の違いは何ですか?

「旅行券」と「旅行ギフト券」、この二つの言葉はしばしば混同して使われますが、実は法律などで定められた明確な定義の違いはありません。 多くの場合は、発行する会社や文脈によって、便宜的に使い分けられているのが実情です。

しかし、一般的な傾向として、以下のようなニュアンスで区別されることがあります。

  • 旅行券:
    • 主に、JTBの「JTB旅行券(ナイストリップ)」や日本旅行の「ギフト旅行券」のような、伝統的な紙の商品券(金券)を指すことが多いです。
    • 旅行会社が発行し、その会社の取り扱う幅広い旅行商品(ツアー、宿泊、交通)に利用できる、汎用性の高いものを指す傾向があります。
  • 旅行ギフト券:
    • 「旅行券」よりも広い概念で使われることが多い言葉です。
    • 紙の旅行券だけでなく、カタログギフト形式のもの(例:たびもの撰華)や、カード形式のもの(例:JTBトラベルギフト)、特定の宿泊施設が発行するもの(例:星野リゾート宿泊ギフト券)などを含めた、旅行に関連する贈答用の券全般を指す場合に使われます。

結論として、これらの言葉の違いを厳密に気にする必要はありません。 大切なのは、その商品が具体的にどのような形態(紙、カタログ、カード)で、どのような特徴(有効期限、おつりの有無、利用範囲)を持っているのか、個別の商品名で正確に把握することです。プレゼントを探す際には、「旅行券」や「旅行ギフト」といったキーワードで広く検索しつつ、最終的には各商品の詳細情報をしっかりと確認するようにしましょう。